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2022-05-28 16:32:18

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診療マル秘裏話  号外Vol.2177 令和3年7月26日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)4F2hc前立腺ガンに特異的発現し転移や再発関与
2)山梨大SJS/TEN 新規発症メカニズム解明したと発表

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 4F2hc前立腺ガンに特異的発現し転移や再発関与

 
 
 
 
 
 
 千葉大学は6月2日、アミノ酸
を運ぶ役割を持つ蛋白質(アミ
ノ酸トランスポーター)4F2hc
が、前立腺ガンに特異的に発現
し、転移や再発に関わることを
解明したと発表しました。同大
大学院 医学研究院泌尿器科学
市川智彦教授らの研究グループ
によるものです。

 前立腺ガンの主な治療法の1
つとして、男性ホルモンを抑制
することでガンを抑制するホル
モン療法があります。しかし、
ホルモン療法を行っても効果が
なくなってくることがあり、こ
れを「去勢抵抗性前立腺ガン」
といいます。

 研究グループは2020年に、去
勢抵抗性前立腺ガンの原因に関
わる分子としてアミノ酸トラン
スポーターである4F2hc を見出
しました。アミノ酸トランスポ
ーターは、細胞が必要とするア
ミノ酸を取り込むために必要な
蛋白質です。ガン細胞では、細
胞の増殖や活性化に必要なアミ
ノ酸を取り込むため、発現量が
増加することが明らかになって
いました。4F2hc は、特にガン
細胞に発現するアミノ酸トラン
スポーター「LAT1」と強固に結
合する際に必須アミノ酸を多く
取り込み、ガン細胞の増殖シグ
ナルをコントロールして、増殖
を促進することが分かっていま
す。

 さらなる4F2hc の研究を進め
るため、研究グループは前立腺
全摘標本を解析しました。4F2h
c の発現が低い患者さんの無再
発生存期間は59.5か月、高い患
者さんでは43.4か月と有意に再
発までの期間が短いことが明ら
かとなり、4F2hc の発現が前立
腺ガンの予後に関わることが示
されました。また、4F2hc のシ
グナル伝達の下流にある「SKP-
2」 という新たな標的分子を見
出し、4F2hcがSKP-2を通して細
胞の増殖をコントロールしてい
ることが明らかにしました。

 今回の研究結果により、4F2h
c が前立腺ガンの新しい腫瘍マ
ーカー・治療標的となる可能性
が示されました。研究グループ
は、去勢抵抗性前立腺ガン患者
さんに対する「LAT1」を標的と
した阻害薬の臨床試験を進めて
います。研究グループは今後の
展開として、次のように述べて
います。

 「本研究により、4F2hc が前
立腺ガンの新しい腫瘍マーカー
ならびに治療標的となる可能性
が示唆されました。現在、去勢
抵抗性前立腺ガン患者に対する
LAT1阻害剤(JPH203)の臨床試
験を大学院医学研究院泌尿器科
学・薬理学と医学部附属病院臨
床試験部との共同プロジェクト
として進めています。LAT1と強
固に結合する蛋白の4F2hc の臨
床的重要性が示されたことは、
アミノ酸トランスポーターを標
的とするJPH203臨床試験の意義
をさらに裏付けする証拠となり
ます。今後は、4F2hc の基礎的
解析ならびにLAT1阻害剤の臨床
試験を、前立腺ガンのみならず、
腎細胞ガン、膀胱ガンなど、他
のガンへ応用していきます」

 前立腺ガンの最新治療につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 臨床試験の意義に異議を唱え
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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2】 山梨大SJS/TEN 新規発症メカニズム解明したと発表

 
 
 
 
 
 
 山梨大学は7月1日、スティー
ブンス・ジョンソン症候群(SJ
S)/中毒性表皮壊死症(TEN)
の新規発症メカニズムを解明し
たと発表しました。この研究は、
同大医学部附属病院皮膚科学講
座の木下真直助教、小川陽一講
師(責任著者)、川村龍吉教授
と新潟大学大学院医歯学総合研
究科皮膚科学分野の濱菜摘講師、
阿部理一郎教授らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「Science Translational Medi
cine」に掲載されています。

 SJS/TEN は、薬剤を使用する
ことによって全身の皮膚や粘膜
が壊死してしまい、診断・治療
が遅れれば死に至る疾患で、厚
生労働省の定める指定難病です。
これまでSJS/TEN は、原因とな
る薬剤に特異的な細胞傷害性T
細胞の産生する分子によって皮
膚や粘膜が傷害されると考えら
れてきました。一方、SJS/TEN
患者さんでは時に血液中の好中
球が減少します。このことから
研究グループは、好中球に何ら
かの異常があるのではないかと
考え、SJS/TEN 患者さんの血液・
皮膚における好中球を観察しま
した。

 まず、SJS/TEN 患者さんの血
液中の好中球を、健康な人や命
に関わらないタイプの薬剤アレ
ルギーの患者さんの好中球と比
較しました。その結果、明らか
な形態異常が存在することが分
かりました。また、この形態異
常は好中球のneutrophil extra
cellular traps(NETs)の形成
によるものであることが分かり
ました。

 NETsは、好中球が細菌などの
侵入に際して、自身の細胞内に
ある蛋白質を細胞外に放出し、
細菌を捕捉・死滅させるための
機構です。SJS/TEN 患者さんの
皮膚に好中球は存在しないとこ
れまで信じられてきましたが、
実際には発症早期から好中球が
侵入することが分かりました。
具体的には、皮膚に侵入した
好中球は、同様に皮膚に侵入し
た原因薬剤に特異的な細胞傷害
性T細胞の産生する分子lipoca
lin-2の 作用によってNETsを形
成します。NETsの中に含まれる
分子LL-37 が、表皮細胞に受容
体formyl peptide receptor1(
FPR1)の発現を誘導します。FP
R1を発現する表皮細胞は、単球
が産生する分子annexin A1の作
用によってネクロプトーシスと
いう細胞死に陥ります。ネクロ
プトーシスに陥った表皮細胞は、
さらにLL-37 を産生し、周囲の
表皮細胞にFPR1発現を誘導しま
す。連続的に、表皮細胞死のル
ープが発動することが分かった
ということです。

 LL-37は、lipocalin-2と同様
に、好中球や上皮細胞が産生す
るとされる抗菌作用のある蛋白
質です。今回の研究から、これ
までSJS/TEN に関わりがないと
思われていた好中球が、SJS/TE
N 発症・増悪に関与することが
明らかとなりました。

 SJS/TEN の死亡率の高さは、
早期診断の難しさが原因の1つ
とされています。今回、SJS/TE
N 発症に関与する新しい分子(
lipocalin-2、LL-37)が発見さ
れたことで、これらを測定し、
SJS/TEN 診断を早期に確定でき
るようになる可能性があります。

 「また、lipocalin-2、LL-37
機能を抑制する薬剤が開発でき
ればSJS/TEN の新規治療薬とな
ることが期待される」と研究グ
ループは述べています。

 SJS/TENについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 各停電車での旅行が確定する。


 
 
 
 
 
 
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編集後記

 千葉大学が6月2日、アミノ酸
を運ぶ役割を持つ蛋白質(アミ
ノ酸トランスポーター)4F2hc
が、前立腺ガンに特異的に発現
し、転移や再発に関わることを
解明したと発表したのは、素晴
らしい業績です。PSA とは別の
腫瘍マーカーが、特に、転移や
再発に関わるものだということ
が、特に優れている所だと思い
ます。前立腺ガンの場合、骨へ
の転移の症状から、初めて検出
されるということが多いようで
す。何となく、腰が痛いだけで
前立腺ガンの症状がないのに、
精査してみたら、前立腺ガンだ
ったということが多い訳です。
転移巣がメインになっているな
ら、イマイチPSA の値も当てに
ならない気がします。そこで、
(アミノ酸トランスポーター)
4F2hc の出番となる訳です。
 山梨大学が7月1日、スティー
ブンス・ジョンソン症候群(SJ
S)/中毒性表皮壊死症(TEN)
の新規発症メカニズムを解明し
たと発表したのは、画期的なこ
とだと思います。私が医学生の
時代から、SJS/TEN の原因が薬
であること以外は、何も分かっ
ていないというように教えられ
てきました。今回の研究から、
これまでSJS/TEN に関わりがな
いと思われていた好中球が、SJ
S/TEN 発症・増悪に関与するこ
とが明らかとなったのは、コロ
ンブスの卵だと思います。今回、
SJS/TEN 発症に関与する新しい
分子(lipocalin-2、LL-37)が
発見されたことで、これらを測
定し、SJS/TEN 診断を早期に確
定できるようになる可能性があ
り、lipocalin-2、LL-37機能を
抑制する薬剤が開発できればSJ
S/TEN の新規治療薬となること
が期待されるのは、本当に画期
的な発見と言えるでしょう。

 足底の面積を測定する。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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