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2022-05-08 22:08:05

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診療マル秘裏話  号外Vol.2160 令和3年7月6日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)ホルモン療法無効の前立腺ガン乳ガンの新治療薬候補
2)NAFLDの診断・予後予測バイオマーカートロンボスポンジン2

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 ホルモン療法無効の前立腺ガン乳ガンの新治療薬候補

 
 
 
 
 
 
 東京都健康長寿医療センター
は5月19日、ホルモン療法が効
かなくなった前立腺ガンと乳ガ
ンに対する新たな治療薬候補を
発見したことを発表しました。
同センター老化機構研究チーム
システム加齢医学研究の井上聡
研究部長、高山賢一専門副部長
と化学系の研究者らの共同研究
によるものです。

 ホルモンの刺激によりガンが
増殖する前立腺ガンや乳ガンで
は、男性ホルモンや女性ホルモ
ンを抑制するホルモン療法が行
われますが、治療するうちに効
果がなくなってしまうことがあ
ります。これまでに研究チーム
は、ホルモン療法の効かない前
立腺ガン細胞や乳ガン細胞では、
RNAに結合する蛋白質「PSF」が、
ガン細胞内での遺伝子の発現や
成熟を制御していることを報告
していました。

 今回、研究チームはPSF と結
合する小分子化合物を探索し、
ガン細胞内でPSF の機能を抑制
する2つの分子を同定しました。
また、この2つの分子の化学構
造を調整することで、より効果
的に働くことが予想される分子
を見出しました。そして、細胞
実験と動物実験で、PSF が増加
しているホルモン療法が効かな
いガン細胞の増殖を抑制する治
療薬となる可能性を確認しまし
た。さらに、ガン細胞内でPSF
の標的となっているガンを促進
する遺伝子の発現やホルモン療
法の標的となる受容体の発現も
抑制することを見出しました。
研究グループは、研究の意義と
して次のように述べています。

 「今回の治療薬候補分子の同
定によりホルモン療法が効かな
くなった乳ガン・前立腺ガンに
対する新しい治療法の開発につ
ながる可能性があります。特に
この薬剤候補分子はRNA 結合蛋
白質というこれまでにない種類
の分子を標的とした薬剤となる
ため従来の薬剤では効果のない
ガンに対する治療法の確立に寄
与することが考えられます。実
際に研究グループではすでに国
際特許を申請しており、今後小
分子の化学構造に改良を重ねる
ことでさらに効果を最適化し、
生体内での安全性が検証されれ
ば実際の臨床の現場でのガン治
療に応用可能と考えています」

 ホルモン療法薬について解説

している動画です。

 
 


 
 
 耕三さんが化学構造を同定し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
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2】 NAFLDの診断・予後予測バイオマーカートロンボスポンジン2

 
 
 
 
 
 
 大阪大学は6月11日、非アル
コール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
におけるバイオマーカーの網羅
的探索を行い、トロンボスポン
ジン2が有用な診断・予後予測
の非侵襲的バイオマーカーとな
ることを証明したと発表しまし
た。この研究は、同大医学部附
属病院の木積一浩医員、同大大
学院医学系研究科の小玉尚宏助
教、竹原徹郎教授(消化器内科
学)らの研究グループが、ニュ
ーキャッスル大学のクエンティ
ン・アンスティ教授らの研究グ
ループとの国際共同プロジェク
トとして行ったものです。研究
成果は、「HEPATOLOGY」に掲載
されています。

 NAFLD は、飲酒量が少ないに
も関わらず肝臓に過剰な脂肪蓄
積を認める疾患であり、肥満人
口の増加を背景に近年急増して
います。全世界での有病率は20
~30%にも及び、最も罹患者数
の多い肝疾患です。NAFLD の中
で、約10%を占めるNASHは病態
が進行性で肝硬変への進展や肝
ガンの発生母地になることから、
その適切な診断は極めて重要と
されています。また近年、肝線
維化がNAFLD の生命予後に最も
強く関連することが報告され、
肝線維化高度進展例を同定する
ことは治療介入や予後予測の点
からも非常に重要です。NASHの
診断や肝線維化の程度を把握で
きる最も信頼性の高い検査は、
肝臓の一部を針で採取して病理
診断を行う経皮的肝生検ですが、
侵襲性が高いことから血液検査
や画像検査など非侵襲的な診断
法の開発が求められています。

 近年、次世代シーケンサー装
置などを用いて生体内の分子を
網羅的に調べることで、疾患や
病態との関係を明らかにしてい
くオミックス解析技術がさまざ
まな疾患で用いられています。
中でもトランスクリプトーム解
析と呼ばれる遺伝子転写産物を
網羅的に解析する技術を用いた
バイオマーカーの探索は広く行
われていますが、NAFLD におい
てはいまだ十分に活用されてい
ません。

 研究グループは、98人の日本
人NAFLD患者さん、ならびに206
人の欧州人NAFLD 患者さんの肝
組織を用いてトランスクリプト
ーム解析を行い、NASHまたは肝
線維化が進行した症例において
肝臓内で発現が亢進する分泌蛋
白質を網羅的に探索しました。
そしてトロンボスポンジン2(T
HBS2)遺伝子に注目しました。
結果、肝組織におけるTHBS2 の
遺伝子発現量により、NASH並び
に肝線維化高度進展例を高精度
で診断できることを証明しまし
た。また、THBS2 遺伝子の発現
量は、NASHの病理学的な特徴で
ある肝細胞風船様変性や、肝線
維化を形成する1型コラーゲン
の発現と正の相関を認めること
を明らかにしました。

 次に、213人の日本人NAFLD患
者さんの血清を用いて、THBS2
遺伝子から産生される分泌蛋白
質トロンボスポンジン2(TSP-2)
の診断精度を評価しました。そ
の結果、TSP-2 の発現はNASH症
例並びに肝線維化進展症例にお
いて有意に上昇しており、血清
TSP-2 値によりNASH並びに肝線
維化高度進展例を高精度で診断
できることを証明しました。

 さらに、血清TSP-2 値により、
肝硬変に伴う腹水・食道静脈瘤
といった重篤な合併症や肝ガン
発症リスクの層別化も可能とな
ることを見出しました。以上よ
り、トロンボスポンジン2がNAF
LDにおける非侵襲的な診断・予
後予測バイオマーカーとなるこ
とが証明されました。

 研究グループは、「今回の研
究により同定されたバイオマー
カーであるトロンボスポンジン
2の臨床応用が進むことで、NA
FLD 患者の中から病態の進行す
るNASH並びに生命予後に直結す
る肝線維化高度進展例を非侵襲
的に診断することが可能となり、
早期の治療介入や適切な経過観
察に繋がることで生命予後の改
善に寄与することが期待される」
と、述べています。

 NAFLDについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 気体の性質に期待する。 笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 東京都健康長寿医療センター
が5月19日、ホルモン療法が効
かなくなった前立腺ガンと乳ガ
ンに対する新たな治療薬候補を
発見したことを発表したのは、
素晴らしい業績です。ホルモン
療法は効かなくなるのも困りま
すが、その副作用が強くて継続
が不可能になる症例も多数ある
ようです。これらの対策を考え
る必要があるホルモン療法は、
この先廃れてゆく可能性が高い
と思います。それに比べてこの
薬剤候補分子はRNA 結合蛋白質
というこれまでにない種類の分
子を標的とした薬剤となるため
従来の薬剤では効果のないガン
に対する治療法の確立に寄与す
る可能性があると期待していま
す。
 大阪大学が6月11日、非アル
コール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
におけるバイオマーカーの網羅
的探索を行い、トロンボスポン
ジン2が有用な診断・予後予測
の非侵襲的バイオマーカーとな
ることを証明したと発表したの
は、素晴らしい業績です。今回
の研究により同定されたバイオ
マーカーであるトロンボスポン
ジン2の臨床応用が進むことで、
NAFLD 患者さんの中から病態の
進行するNASH並びに生命予後に
直結する肝線維化高度進展例を
非侵襲的に診断することが可能
となり、早期の治療介入や適切
な経過観察に繋がることで生命
予後の改善に寄与することを期
待したいと思います。

 信州で非侵襲的治療を実行す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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