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2022-04-22 20:34:09

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診療マル秘裏話  号外Vol.2146 令和3年6月20日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)食道扁平上皮ガンの新たな治療標的PDHXを同定
2)重症化リスク高い軽症~中等症武漢熱の抗体治験薬

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 食道扁平上皮ガンの新たな治療標的PDHXを同定

 
 
 
 
 
 
 東京医科歯科大学は5月26日、
食道扁平上皮ガンにおける新た
な治療標的として、代謝関連分
子「PDHX(pyruvate dehydroge
nase [PDH] component X)」を
同定したと発表しました。この
研究は、同大難治疾患研究所・
分子細胞遺伝分野の井上純准教
授、岸川正大大学院生、稲澤譲
治教授らの研究グループと、同
大頭頸部外科学分野の朝蔭孝宏
教授との共同研究によるもので
す。研究成果は、「Cancer Sci
ence」にオンライン掲載されて
います。

 食道扁平上皮ガン(Esophage
al squamous cell carcinoma;
ESCC)は、日本を含むアジア諸
国で罹患率が高いガン種であり、
リンパ節に転移を起こしやすく、
極めて予後不良な疾患です。こ
れまでに、外科的切除、化学療
法、放射線療法、およびそれら
の治療法を組み合わせた集学的
治療法の開発が発展してきまし
たが、依然として、進行ガンの
予後は不良であり、新しい治療
戦略の開発が求められています。

 一方、細胞内では、グルコー
ス代謝やミトコンドリアTCA 回
路を含めたさまざまな代謝経路
がネットワークを構築すること
により、物質の合成や分解、お
よびエネルギー産生といった細
胞内代謝が厳密に制御されてい
ます。しかし、ガン細胞では、
ガン遺伝子や代謝関連遺伝子の
遺伝子異常を介して、細胞増殖・
生存に適した代謝経路ネットワ
ークが再構築されていることが
知られています。そのようなガ
ン細胞特有の代謝経路は、治療
標的として有効になると考えら
れており、実際に、さまざまな
代謝標的治療薬が開発され、そ
れらの実用化を目指した臨床試
験が盛んに行われています。そ
して今回、ESCCの治療標的とな
る代謝関連分子を特定すること
を目的とした研究が行われまし
た。

 研究グループは初めに、10種
の代謝経路に関連する224 遺伝
子に対して、各遺伝子の発現を
抑制するsiRNA ライブラリーを
作成しました。各siRNAを ESCC
細胞株へ導入した結果、43種の
代謝関連遺伝子において、細胞
増殖の抑制が認められました。
それらの遺伝子群の中から、ES
CC症例ガン部において、非ガン
部と比較して、高頻度に発現が
亢進する遺伝子の1つとして、
PDHXを同定しました。

 PDHXは、ピルビン酸からアセ
チルCoAへの変換を触媒するPDH
複合体の構成因子の1つとして
知られています。PDHXの発現は、
PDH 活性および細胞内エネルギ
ーとしてのATP 産生に寄与する
ことで、ガン幹細胞を含むスフ
ェア形成および腫瘍増殖に必須
であることが分かりました。ま
た、ESCC組織切片を用いた免疫
染色により、腫瘍組織内に存在
するガン幹細胞マーカーCD44陽
性細胞において、PDHX発現の活
性化が認められました。さらに、
ヒト11番染色体11p13 領域にお
いて、PDHXとCD44は隣接して座
位しており、共遺伝子増幅によ
って発現が亢進し、協調的に機
能することでガン幹細胞の増殖
に寄与することを見出しました。
そして、PDHXを高発現するESCC
細胞株を用いた担ガンマウスモ
デルにおいて、PDH阻害剤CPI-6
13の投与により、腫瘍増殖が顕
著に抑制されることが明らかと
なりました。

 今回の研究により、PDHXの発
現は、PDH 活性および細胞内エ
ネルギー産生を介して、ガン幹
細胞の増殖および腫瘍増殖に寄
与しており、ESCCの新たな治療
標的となることが明らかとなり
ました。現在、さまざまなガン
種を対象として、PDH阻害剤CPI
-613の臨床試験が行われており、
その実用化が期待されています。
しかし、CPI-613 に対する有効
患者さんを層別化するコンパニ
オン診断法は確立されていませ
ん。「研究成果は、腫瘍検体で
のPDHXの高発現または遺伝子増
幅の検出によるCPI-613 適応患
者層別化のコンパニオン診断法
の開発において、有用な分子基
盤となることが期待される」と、
研究グループは述べています。

 食道ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 黄ばんだ基板を取り付けて、
電子回路安定の基盤とする。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 重症化リスク高い軽症~中等症武漢熱の抗体治験薬

 
 
 
 
 
 
 米国食品医薬品局(FDA)は5
月26日、成人および小児(12歳
以上かつ体重40kg以上)の重症
化リスクが高い軽症ないし中等
症の新型コロナウイルス感染症
(武漢熱)に対して、モノクロ
ーナル抗体治験薬sotrovimab(
GlaxoSmithKline社) の緊急使
用許可(EUA) を発令しました。
65歳以上の患者さんや、特定の
慢性疾患がある患者さんへの使
用も対象となっています。

 同薬の安全性と有効性につい
ては、引き続き検証中です。な
お、入院患者さんや酸素療法を
要する患者さんへの使用は認め
られていません。高流量酸素や
人工呼吸を要する入院患者さん
に投与すると臨床転帰が悪化す
る可能性があります。sotrovim
abは、武漢熱ウイルスのスパイ
ク蛋白質に対して特異的に作用
する中和抗体で、ヒト細胞への
ウイルスの付着・侵入を防ぐよ
うに設計されています。

 今回のEUA を裏付けるデータ
は、武漢熱検査陽性で入院を要
さない軽症ないし中等症の成人
武漢熱患者さん583 例を対象と
した第1/2/3相無作為化二重
盲検プラセボ対照臨床試験の中
間解析結果に基づいています。
この試験では、被験者をsotrov
imab群(291例) とプラセボ群
(292例) に無作為に割り付け、
発症5日以内に投与しました。

 その結果、sotrovimab群の3
例(1%)、プラセボ群の27例(
7%)に主要評価項目に規定した
29日目までの急性疾患による24
時間を超える入院または全死亡
が認められ、リスクはsotrovim
ab群で85%低下しました。

 FDA は、sotrovimabを含むモ
ノクローナル抗体に対する耐性
変異株の出現の監視を続けてい
ます。現時点では、英国、南ア
フリカ、ブラジル、カリフォル
ニア、ニューヨーク州およびイ
ンドで報告された変異株に対す
る有効性が確認されています。
なお、sotrovimabの副作用には、
アナフィラキシーと輸注関連反
応、発疹、下痢などがあります。

 スーパー中和抗体開発のニュ

ース動画です。

 
 


 
 
 鉗子の使い方について監視す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京医科歯科大学が5月26日、
食道扁平上皮ガンにおける新た
な治療標的として、代謝関連分
子「PDHX(pyruvate dehydroge
nase [PDH] component X)」を
同定したと発表したのは、素晴
らしい業績です。 食道ガンが、
難治性であることは周知の事実
です。食道という臓器の性質上
内視鏡的に切除しようとしても
穴が開いてしまったり、放射線
もサイバーナイフのような治療
がしにくいということがあるか
らです。 治療標的が定まれば、
既存の三大療法に頼ることなく
おのずと治療方針が決定されて
あとは、副作用の心配だけをす
ればよいことになります。重大
副作用の出現がないことを祈念
したいと思います。
 米国食品医薬品局(FDA)が5
月26日、成人および小児(12歳
以上かつ体重40kg以上)の重症
化リスクが高い軽症ないし中等
症の新型コロナウイルス感染症
(武漢熱)に対して、モノクロ
ーナル抗体治験薬sotrovimab(
GlaxoSmithKline社) の緊急使
用許可(EUA) を発令したのは、
喜ばしいことです。FDA は、so
trovimabを含むモノクローナル
抗体に対する耐性変異株の出現
の監視を続けていて、現時点で
は、英国、南アフリカ、ブラジ
ル、カリフォルニア、ニューヨ
ーク州およびインドで報告され
た変異株に対する有効性が確認
されているということですので、
比較的安心して使えると考えら
れます。

 リスクが高い軽症者に警鐘を
鳴らす。         笑

 
 
 
 
 
 
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