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2022-04-05 22:08:53

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診療マル秘裏話  号外Vol.2132 令和3年6月4日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)骨肉腫の進展(浸潤・転移)機構の解明に成功
2)精神的ストレスによる腸内細菌叢の破綻の機序解明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 骨肉腫の進展(浸潤・転移)機構の解明に成功

 
 
 
 
 
 
 金沢大学は5月11日、細胞外
小胞による骨肉腫の進展(浸潤・
転移)機構の解明に成功したと
発表しました。この研究は、同
大ナノ生命科学研究所の華山力
成教授、吉田孟史特任助教、医
薬保健研究域医学系の土屋弘行
教授、同大大学院医薬保健学総
合研究科医学博士課程医学専攻
の荒木麗博大学院生らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、「Frontiers in Oncolog
y」に掲載されています。

 骨肉腫は小児・AYA 世代(思
春期・若年成人)に多い骨腫瘍
で、現代においても転移例での
5年生存率は10~20%と極めて予
後不良な悪性腫瘍です。そのた
め、その進展機構の早急な解明
と新規治療法の開発が望まれて
います。

 研究グループは今回、腫瘍が
分泌する細胞外小胞が、miRNA1
46a-5pという分子を腫瘍周辺の
マクロファージ(前破骨細胞)
へと送達することで破骨細胞へ
の分化を阻害し、腫瘍が浸潤・
転移を起こしやすい環境を構築
することを、骨肉腫モデルマウ
スの実験により見出しました。

 まず、腫瘍細胞を骨に移植し
た骨肉腫モデルマウスにおいて、
腫瘍による細胞外小胞の産生を
抑制しました。その結果、血管
新生や転移が抑えられることが
分かりました。次に、腫瘍由来
細胞外小胞がマクロファージ(
前破骨細胞)に作用し,TRAF6の
生成抑制及びNFκB 経路のリン
酸化抑制を通じて、破骨細胞へ
の分化を阻害することを見出し
ました。

 続いて、悪性度の異なる2種
類のヒト骨肉腫細胞株における
miRNA の全網羅的解析を行った
結果、高悪性度の細胞株に5倍
以上多く含まれているmiRNA146
a-5pが細胞外小胞によるTRAF6
の生成抑制に関与し、マクロフ
ァージの破骨細胞への分化を阻
害することを明らかにしました。
さらに、患者さんの検体におい
て治療前の生検組織で破骨細胞
の分化が抑制されている症例で
は、有意に転移が多く予後不良
であることが分かったというこ
とです。

 「今回の研究により、骨肉腫
の進展に細胞外小胞が深く関与
しており、その産生を抑えるこ
とで、腫瘍の浸潤・転移を阻止
できる可能性が示されました。
今後、骨肉腫の早期発見や予後
診断、新たな治療法の開発へと
研究が発展することが期待され
る」と研究グループは述べてい
ます。

 骨肉腫について解説している

動画です。

 
 


 
 
 八点の絵画で個展を行う。笑

 
 
 
 
 
 
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2】 精神的ストレスによる腸内細菌叢の破綻の機序解明

 
 
 
 
 
 
 コロナ禍において、うつ病は
世界的に患者数がいっそう増え
ることが懸念されています。こ
れまでに、うつ病の発症による
精神的ストレスで腸内細菌叢と
腸内代謝物の異常が生じる報告
はされていましたが、なぜ精神
的ストレスによって腸内細菌叢
の破綻が起こるのかは不明でし
た。北海道大学大学院先端生命
科学研究院准教授の中村公則氏、
同教授の綾部時芳氏らの研究グ
ループはその機序を解明、結果
をSci Rep(2021年5月10日オン
ライン版)に報告しました。

 中村氏らはうつ病における脳
腸相関に着目、小腸のパネート
細胞で発現する腸内自然免疫(
αディフェンシン)の分泌量が
精神的ストレスにより減少する
ことで、腸内細菌叢と腸内代謝
物の恒常性が破綻するのではな
いかという仮説を立てました。

 慢性社会的敗北ストレス(CS
DS)を12日間与えたマウス(CS
DS群)を用いてCSDS負荷とαデ
ィフェンシン分泌量の関連を分
析するため、まず便中のcryptd
in1(Crp1) を測定しました。
その結果、CSDS群のαディフェ
ンシン量は対照群と比較して9
日目に33%(P<0.01)、14日目
に45%(P<0.05)減少していま
した。

 さらに小腸組織の免疫蛍光分
析では、対照群と比較してCSDS
群にパネート細胞とCrp1の有意
な減少が見られ(P<0.01)、C
SDS負荷による,αディフェンシ
ン分泌量の減少が明らかになり
ました。次に、CSDS負荷による
腸内細菌叢の組成の変化を解析
しました。

 CSDS初期段階のCSDS群を中心
にcryptdin4(Crp4) の経口投
与を行ってCrp4投与群を生成、
前述の2群(CSDS群、対照群)
と比較しました。その結果、CS
DS群は対照群と比べて便中のα
ディフェンシン量が著しく減少
していました(P<0.05)。 一
方で、Crp4投与群と対照群では
便中のαディフェンシン量に有
意差が見られなかったことから、
Crp4の経口投与によってαディ
フェンシン量が回復することが
明らかになりました。

 便中のαディフェンシン量と
腸内細菌叢の組成との相関分析
を行うことにより、αディフェ
ンシンの増加または減少によっ
て有意に変化する腸内細菌叢を
特定しました。Ruminococcacea
e(R=0.493、P=0.038)、Allob
aculum(R=0.795、P<0.0001)、
Sutterella(R=0.535、P=0.022)、
Akkermansia(R=0.612、P=0.00
7) はαディフェンシンと正の
相関を示し、Erysipelotrichac
eae(r=-0.475、P=0.046)は負
の相関を示しました。以上のこ
とから、CSDS負荷によるαディ
フェンシン減少が少なくとも部
分的に腸内細菌叢異常を引き起
こすことが明らかになりました。

 さらに、CSDS負荷による腸内
代謝物の変化およびαディフェ
ンシンの関与を検証するため、
CSDS群とCrp4群の腸内代謝物を
分析しました。質量分析装置を
用いて便中の代謝物を同時に測
定、322 の候補代謝物を同定し
ました。αディフェンシンの増
減によって変化が引き起こされ
る便中の代謝物を明らかにする
ため、αディフェンシンと腸内
代謝物との相関分析を行った所、
34の代謝物と正の相関があり、
5つで負の相関がありました。
このことから、腸内のαディフ
ェンシン量が特定の腸内代謝物
に影響を及ぼすことが示されま
した。

 また腸内細菌叢と322 の代謝
物との相関分析により、αディ
フェンシンの減少によって引き
起こされた腸内細菌叢の異常が
特定の腸内代謝物の異常と相関
していることが示されました。

 最後に、αディフェンシンの
減少とCSDS群で観察された腸内
代謝物の変化との因果関係を検
討するため、αディフェンシン
を経口投与した場合の各群間の
代謝物の違いを相関分析した所、
CSDS群とCrp4群の間で有意な変
化が見られた代謝物は、対照群
とCrp4群の間では有意差が見ら
れませんでした。またCSDS群で
有意に減少した代謝物はαディ
フェンシンの経口投与によって
回復(増加)し、CSDS群で有意
に増加した代謝物はαディフェ
ンシンの経口投与によって抑制
されました。

 このことから、CSDS群にαデ
ィフェンシン経口投与を行って、
減少していた腸内のαディフェ
ンシンを増加させると、腸内細
菌叢と腸内代謝物の異常が改善
することが分かりました。

 本検討において精神的ストレ
スで起こるαディフェンシンの
機能低下が引き金となって腸内
細菌叢が異常になり、さらには
腸内代謝物の恒常性が失われる
という一連の脳腸相関が世界で
初めて明らかになりました。

 中村氏らは、「行動の変容を
含めた全身的な影響については
今後の検討が必要だ。しかし、
うつ病におけるαディフェンシ
ンを含む腸の自然免疫と腸内細
菌叢の関係性をさらに追究して
いくことによって、将来的に脳
腸相関という視点からのうつ病
に対する予防法や新規治療法の
開発が期待される」と展望して
います。

 うつ病の腸内細菌フローラと

の関係について解説している動

画です。

 
 


 
 
 支店に勤務する視点で考える。


 
 
 
 
 
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編集後記

 
 金沢大学が5月11日、細胞外
小胞による骨肉腫の進展(浸潤・
転移)機構の解明に成功したと
発表したのは、素晴らしい業績
です。骨肉腫は小児・AYA 世代
(思春期・若年成人)に多い骨
腫瘍で、現代においても転移例
での5年生存率は10~20%と極め
て予後不良な悪性腫瘍であるこ
とは、周知の事実です。そのた
め、その進展機構の早急な解明
と新規治療法の開発が望まれて
いたので、進展機構の解明が、
行われたことで、今後、骨肉腫
の早期発見や予後診断、新たな
治療法の開発へと研究が発展す
ることを期待したいと思います。
 精神的ストレスによって腸内
細菌叢の破綻が起こる機序を解
明、結果をSci Rep(2021年5月
10日オンライン版)に報告した
のは素晴らしい業績です。うつ
病における脳腸相関に着目、小
腸のパネート細胞で発現する腸
内自然免疫(αディフェンシン)
の分泌量が精神的ストレスによ
り減少することで、腸内細菌叢
と腸内代謝物の恒常性が破綻す
るのではないかという仮説を立
てて、それを証明したのは慧眼
だったと思います。ただ、副腎
疲労も、この機序に絡んでいる
ことは、間違いないので、腸内
細菌細菌叢の改善だけではなく、
副腎疲労の治療も行うべきだと
思います。

 庁内の人の腸内細菌叢を調査
する。          笑

 
 
 
 
 
 
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