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2022-03-24 22:07:44

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診療マル秘裏話  号外Vol.2121 令和3年5月22日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)カルシニューリン阻害外用薬発ガンリスク悪性リンパ腫で上昇
2)神経炎症を抑える働きをする化合物発見と発表

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 カルシニューリン阻害外用薬発ガンリスク悪性リンパ腫で上昇

 
 
 
 
 
 カルシニューリン阻害外用薬
(TCI) の発ガンリスクを系統
的レビューとメタ解析で検討し
ました。TCI(タクロリムスやp
imecrolimusなど) と発ガンの
関連性を非活性対照薬(nonact
ive comparator control)また
は外用コルチコステロイド対照
薬と比較した観察研究11件のデ
ータを対象としました。

 その結果、非活性対照薬との
比較でTCI とガン全体との関連
性は見られませんでした(相対
リスク1.03、95%CI 0.92-1.16)。
リンパ腫では、非活性対照薬と
の比較(同1.86,1.39-2.49)お
よび外用コルチコステロイド対
照薬との比較(同1.35、1.13-1
.61)でTCI使用と発症リスクの
上昇が見られました。黒色腫お
よび角化細胞ガンでは、TCI と
発症リスクに有意な関連性は見
られませんでした。

 カルシニューリン阻害外用薬
とは、アトピー性皮膚炎の新た
な治療薬として1999年に登場し
た薬剤です。タクロリムス(プ
ロトピック®)軟膏には0.1%成
人用(16歳以上を対象)と0.03
%小児用(2~15歳を対象)が
あります。顔の皮疹に対してス
テロイド外用薬のミディアムク
ラス以上の有用性があります。
塗り始めて数日間、ほとんどの
方が刺激感を訴えますが、症状
が軽快すると共に刺激感も消え
ていきます。顔に好んで使用さ
れますが、その他の部位にも使
えます。ただし、本剤の薬効は
ステロイド外用薬のストロング
クラスと同等ですので、あまり
重症度の高い皮疹では十分な効
果が得られません。なお、この
薬剤は皮膚病を熟知した医師が
使うべきものです。

 カルシニューリン阻害薬について解説

している動画です。

 
 


 
 
 軽快さは、大事だが警戒する
ことは、必要です。    笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 神経炎症を抑える働きをする化合物発見と発表

 
 
 
 
 
 金沢大学は4月28日、脳のグ
リア細胞の活性化を抑制するこ
とにより神経炎症を抑える働き
をする化合物を発見したと発表
しました。この研究は、同大学
医薬保健研究域医学系のRoboon
Jureepon 博士研究員、服部剛
志准教授、堀修教授らの共同研
究グループによるものです。研
究成果は,「Journal of Neuroc
hemistry」に掲載されています。
 神経炎症は中枢神経(脳と脊
髄)における免疫応答であり、
ミクログリアとアストロサイト
によって引き起こされます。神
経炎症は通常、病原体の侵入や
中枢神経の損傷に応答して一時
的に起こりますが、慢性的に神
経炎症が続くとアルツハイマー
病やパーキンソン病のような神
経変性疾患の進行に関与するこ
とが分かります。これは、慢性
の神経炎症においてミクログリ
アやアストロサイトが活性化す
ると、サイトカインや活性酸素
を産生し、神経細胞を傷害する
ためと考えられています。した
がって、これらの細胞の活性化
を抑制する分子を見つけること
が、これらの神経変性疾患の予
防や治療法の開発へつながると
考えられています。

 ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド(NAD+)は、細胞に
おけるエネルギー産生に働く分
子です。NAD+は加齢とともに低
下し、加齢に関連する疾患の発
症に重要な役割を担っていると
考えられています。動物モデル
においては、NAD+は老化を遅ら
せ、筋肉機能を回復させ、アル
ツハイマー病の病態を改善する
ことが知られています。しかし
ながら、NAD+が神経炎症に対し
てどのような効果をもつかは今
まで不明でした。

 研究グループは、NAD+の神経
炎症への効果を検証するために、
体内でNAD+を増加させる効果を
持つ化合物(ニコチンアミドリ
ボシド(NR)およびアピゲニン)
をあらかじめ投与したマウスに、
薬剤で神経炎症を起こしました。
すると、これらの化合物の投与
により、脳内のNAD+の量が増加
し、ミクログリアとアストロサ
イトの活性化が減少していまし
た。また、その結果、神経炎症
とそれによる神経の障害も軽減
していました。以上より、NRと
アピゲニンは脳内のNAD+の量を
増やし、ミクログリアとアスト
ロサイトの活性化を抑制する事
により、神経炎症を軽減する効
果をもつことが分かりました。

 神経炎症は、アルツハイマー
病やパーキンソン病などの神経
変性疾患だけでなく、脳の老化
やうつ病の病態にも関与すると
言われています。研究グループ
は、「今後、NRやアピゲニンの
上記疾患への効果を検証するこ
とで、新たな予防法や治療法の
開発につながることが期待され
る」と、述べています。

 ニコチンアミドリボシドは、
ビタミンB3と同様のピリジン‐
ヌクレオシドであり、ニコチン
アミドアデニンジヌクレオチド
またはNAD+の前駆体として機能
します。

 アピゲニン(Apigenin)は、多
くの植物に含まれるフラボンで
あり、天然に生成する多くの配
糖体のアグリコンです。近年、
アピゲニンはオートファジーと
呼ばれる過程を誘導する効果を
持つことが明らかとなり、化学
的疾病予防剤となる可能性があ
ると同時に化学療法への抵抗を
誘導する作用を持つことを説明
できるようになりました。アピ
ゲニンは、人体中で多くの医薬
品の代謝に関わる酵素CYP2C9の
阻害剤としても働きます。アピ
ゲニンは、シクロスポリンの副
作用を無効にする効果を示しま
す。シクロスポリンAは,ラット
の腎臓でトランスフォーミング
増殖因子βの発現を促進し、ア
ポトーシスを加速します。その
ため、トランスフォーミング増
殖因子βとアポトーシス指数は、
シクロスポリンA による腎臓へ
の損傷に対するアピゲニンの効
果を評価する指標として使われ
ます。アピゲニンは、数少ない
モノアミントランスポーターの
活性化因子の1つとして働きま
す。また、フルニトラゼパムを
競合阻害するベンゾジアゼピン
受容体のリガンドであり、抗不
安薬や精神安定剤としての効果
もわずかに示します。In vitro
では、アピゲニンは赤血球に毒
性を持つことが示されました。
アピゲニンは、成体の神経発生
も活性化させるという研究結果
もあります。前途有望な成果で
ありますが、ラットを用いた研
究で見られた効果は、まだヒト
では実証されていません。

 人体の炎症について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 整体で動物の成体を治療した。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 カルシニューリン阻害外用薬
(TCI) の発ガンリスクを系統
的レビューとメタ解析で検討し
たのは、素晴らしいことです。
カルシニューリン阻害薬は免疫
抑制剤と言われるもので、臓器
移植の拒絶反応に、内服薬は使
われます。外用薬は、アトピー
性皮膚炎の治療に使われますが、
その副作用として、悪性リンパ
腫のリスクを増大させるという
のには、正直驚きました。外用
薬なので、塗った部位に発生す
る可能性がある、黒色腫および
角化細胞ガンでは、TCI と発症
リスクに有意な関連性は見られ
なかったということですから、
皮膚ガンよりは、免疫抑制剤と
して、リンパ球に働かける作用
が強いのだと再認識しました。
 金沢大学が4月28日、脳のグ
リア細胞の活性化を抑制するこ
とにより神経炎症を抑える働き
をする化合物を発見したと発表
したのは、喜ばしいことです。
動物モデルにおいては、NAD+は
老化を遅らせ、筋肉機能を回復
させ、アルツハイマー病の病態
を改善することが知られている
ということなので、脳内のNAD+
の量を増やし、ミクログリアと
アストロサイトの活性化を抑制
するNRとアピゲニンは神経炎症
を抑えるという仮説を立てたの
は、非常にスマートな手法だと
思います。今後、NRやアピゲニ
ンのアルツハイマー病やパーキ
ンソン病などの神経変性疾患や
うつ病や脳の老化などの病態へ
の効果を検証することで、新た
な予防法や治療法の開発につな
がることを期待したいと思いま
す。

 神経変性疾患への対応チーム
を編成する。       笑

 
 
 
 
 
 
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発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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