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2022-02-24 22:19:19

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診療マル秘裏話  号外Vol.2097 令和3年4月24日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)ハイドロゲルが24時間でガン幹細胞を誘導する
2)褐色脂肪細胞体内時計障害で、太りやすくなる

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 ハイドロゲルが24時間でガン幹細胞を誘導する

 
 
 
 
 北海道大学は3月30日、ハイ
ドロゲルが24時間という極めて
短時間で、ガン細胞を先祖返り
させて、ガン幹細胞を誘導する
ことを発見したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学研
究院腫瘍病理学教室兼北海道大
学化学反応創成研究拠点(WPI-
ICReDD)の田中伸哉教授、同大
大学院先端生命科学研究院の龔
剣萍(グンチェンピン)教授,
安田和則名誉教授、国立ガン研
究センター研究所の間野博行所
長らの研究グループによるもの
です。研究成果は、「Nature B
iomedical Engineering」 にオ
ンライン掲載されています。

 現在、日本のガン死亡者数は
年間38万人に達し、死因の第1
位であり、ガンの克服は医療の
最大の課題です。2019年からガ
ンゲノムパネル検査が開始され、
数多くのガン患者さんが分子標
的治療薬、免疫チェックポイン
ト阻害剤などで治療されていま
す。しかし、ガンの5年生存率
は約66%で根治には至っていま
せん。その理由は、ガン組織の
中に化学療法や放射線療法に耐
性を示すガン幹細胞が存在し、
遠隔転移や数年後の再発の原因
となるからです。

 現在、世界中でガン幹細胞を
検出する方法が盛んに研究され
ていますが、臨床応用されてい
るものはありません。実用化さ
れない原因として、ガンの種類
によってガン幹細胞の性質がさ
まざまで、多様性があることが
あげられます。今回の成果は、
短時間で簡単にガン幹細胞を誘
導することができるため、実臨
床への応用が期待されるもので
す。

 今回実験に用いたのは、龔教
授が開発した、アクリルアミド・
プロパンスルホン酸と、ジメチ
ルアクリルアミドが網目状に組
み合わさって作製されたダブル
ネットワーク(DN)ゲルです。
これらの化学物質は、乳液など
に使われている身近なものです。
方法は簡単で、特別な培養液は
必要なく、ゲルの上にガン細胞
をまくだけで、24時間以内に急
速に球状の形を形成して、ガン
幹細胞マーカーが増加すること
が分かりました。ガン幹細胞マ
ーカーとは SOX2、OCT3/4 など、
2012年ノーベル医学・生理学賞
を受賞した山中ファクターです。
DNゲルによって誘導されたガン
幹細胞は500 個という少数の細
胞でもマウスの体の中で大きな
腫瘍を作ることからガン幹細胞
性を持つことが分かりました。
この方法は、現在国内特許及び
国際特許が出願されています。

 DNゲルは、肺ガン、乳ガン、
肝ガン、膵ガン、大腸ガン、中
皮腫、肉腫、悪性脳腫瘍、髄膜
腫などの多くのガンで、ガン幹
細胞を誘導しました。詳しい解
析を行うと、ゲルによるガン幹
細胞誘導には、ゲルにまいてか
ら数時間の早い段階ではイオン
チャネル受容体の働きが重要で、
12時間以降は、オステオポンチ
ンの働きが必要なことが分かり、
ゲルからの段階的な刺激によっ
て先祖返り(リプログラミング)
が進行すると判明しました。こ
の現象は、ハイドロゲル活性化
リプログラミング(HARP)、す
なわちハープ現象と命名されま
した。

 悪性脳腫瘍の手術材料に由来
するガン細胞は、DNゲルの上で
培養すると血小板増殖因子受容
体を発現することが判明し、そ
れに対する分子標的薬を使用す
ると細胞死が誘導されました。
よって、この方法を用いれば、
患者さん個別に治療薬を選択で
きる可能性があります。また、
悪性脳腫瘍と膀胱ガンの細胞を
用いて、約400 種類の抗ガン剤
を調べた所、ガン幹細胞を選択
的に消滅させる治療薬の候補を
発見しました。今後、何万種類
という大規模な薬剤ライブラリ
ーをスクリーニングすることで、
ガン幹細胞に対する特効薬の開
発が期待されます。

 ガン幹細胞が極めて短時間で
誘導できることは、ガン患者さ
んの生検検体を用いて、再発の
もととなるガン幹細胞の性質を
明らかにすることができるため、
初発の段階で、患者さんごとに
個別に将来の再発予防薬がわか
る可能性があります。また、乳
ガンなど初回手術から10年後の
再発などということがあります
が、そのような再発を防止する
ガン幹細胞治療薬の開発に貢献
することが期待されます。さら
に、中皮腫、悪性脳腫瘍、肺ガ
ンなどのガン幹細胞を根絶する
治療薬を同定することにより、
これらの悪性腫瘍の予後の改善
の可能性があります。「このゲ
ル基盤は将来のガン医療のさま
ざまな方向での発展の基盤とな
ることが期待されると、研究グ
ループは述べています。

 ガン幹細胞を標的とするサプ

リメントについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 目的地への道程を同定した。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 褐色脂肪細胞体内時計障害で、太りやすくなる

 
 
 
 
 
 
 金沢大学は3月31日、褐色脂
肪細胞の体内時計が障害される
と太りやすくなることを明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大医薬保健研究域医学
系の安藤仁教授らの共同研究グ
ループによるものです。研究成
果は、「Molecular Metabolism」
にAccepted Articleとして掲載
されています。

 ヒトを含む動物の行動や生理
機能には、約24時間を1周期と
する概日リズム(サーカディア
ンリズム)が認められ、生体の
恒常性維持に役立っています。
近年、この概日リズムの発振機
構が解明され、個々の細胞にお
いて時計遺伝子群からなる体内
時計が時を刻んでいることが判
明しました。この体内時計が乱
れる、いわゆる時差ぼけの状態
では、身体に不調をきたします
が、慢性的に時差ぼけを繰り返
すシフトワーカーでは、肥満や
高血圧、糖尿病などの生活習慣
病も発症しやすいことが知られ
ています。しかし、体内時計が
障害されるとなぜ太りやすくな
るのか、その機序については十
分には分かっていません。

 褐色脂肪細胞は、脂肪のエネ
ルギーを熱に変えることで体温
を維持する特殊な細胞であり、
この細胞の機能は肥満度と関連
することが報告されています。
また、体温や褐色脂肪細胞の機
能には概日リズムが知られてい
ます。そこで研究グループは、
適切な熱産生には褐色脂肪細胞
の体内時計が重要であり、その
体内時計が障害された場合には
太りやすくなるのではないかと
の仮説を立て、詳細な研究を進
めました。

 研究グループは、褐色脂肪細
胞で特異的に体内時計機能を欠
損する遺伝子改変マウス(BA-B
mal1 KOマウス) を作製し解析
しました。すると、予想に反し
て、BA-Bmal1 KO マウスの体温
の日内リズムは、体内時計機能
が保たれた対照マウスとほとん
ど変わりがなく、通常食を与え
た時には体重も同等だったこと
が分かりました。しかし、BA-B
mal1 KOマウスでは,褐色脂肪組
織の温度が低く、対照マウスよ
りも行動量が多いうえに、骨格
筋のシバリングも大であること
が判明しました。すなわち、BA
-Bmal1 KOマウスでは,褐色脂肪
細胞の熱産生が低下しているた
めに、代償的に行動量の増加や
シバリングで体温を維持してい
ることが示唆されました。

 また、対照マウスの褐色脂肪
細胞では、脂肪の利用に関連し
た分子群の発現に概日リズムが
認められた一方、BA-Bmal1 KO
マウスではこのリズムが乱れて
おり、細胞内のアセチルCoA 量
やエネルギー量も低下していま
した。さらに、高脂肪食を与え
た場合には、BA-Bmal1 KO マウ
スは対照マウスよりも太りやす
いことが明らかになりました。

 この結果から、褐色脂肪細胞
の体内時計は脂肪のエネルギー
を熱に変換するリズムを制御し
ており、このリズムが障害され
た場合に高脂肪食を摂取すると、
より太りやすくなることが分か
りました。

 現代は24時間社会であり、体
に悪いとわかっていても不規則
な生活を送らざるを得ない人が
います。体内時計の中枢(中枢
時計)は視床下部にあり、その
時刻は光刺激でセットされます
が、中枢時計は睡眠・覚醒のリ
ズムも制御することから、その
ような人では中枢時計の乱れは
やむを得ません。「一方、褐色
脂肪細胞の体内時計であれば、
適切な食事習慣や薬物治療など
により整えることができる可能
性がある。研究成果は、新しい
肥満の予防・治療法の開発につ
ながることが期待される」と、
研究グループは述べています。

 体内時計のリセットと腹筋運

動について解説している動画で

す。因みに体内時計は、24時間

と数十分といわれていて25時間

ではありません。

 
 


 
 
 週刊誌で、適切な食事習慣を
公開する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 北海道大学が3月30日、ハイ
ドロゲルが24時間という極めて
短時間で、ガン細胞を先祖返り
させて、ガン幹細胞を誘導する
ことを発見したと発表したのは、
素晴らしい発見です。ガンの5
年生存率は約66%で根治には至
っていないという意見には、異
論があります。生存率というの
は、今まさに亡くならんとする
心臓だけ動いている患者さんも
入れてのものだということが、
知られています。ガンの人を実
際に診ている身としては、根治
には至っていないどころか、根
治など夢のまた夢という感じが、
してなりません。それ程、ガン
細胞は、狡猾ですので、その上
をいく治療法を確立しなければ、
ガン患者さんが病気に打ち勝つ
ことは、難しいのではないかと
私は考えています。ただ、その
事実は、ガン幹細胞の研究を妨
げるものではないので、即効性
のみを追求する付け焼刃の治療
ではなくガン幹細胞の基礎研究
に基づいた、確固とした治療法
を見い出して頂きたいものです。
 金沢大学が3月31日、褐色脂
肪細胞の体内時計が障害される
と太りやすくなることを明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。褐色脂肪細胞と
ベージュ脂肪細胞が、熱を産生
することが、分かっています。
今回は、褐色脂肪細胞について
だけの研究でしたが、ベージュ
脂肪細胞についても同様の研究
を行って頂きたいものです。太
りやすい要因を排除して、減量
に努めるというのは非常に賢明
なやり方ではないかと思います。
中枢時計は睡眠・覚醒のリズム
を制御することから、不規則な
生活を送る人には、中枢時計を
いじることでの肥満の解消は、
困難であると考えられます。し
かし、褐色脂肪細胞の体内時計
であれば、適切な食事習慣や薬
物治療などにより整えることが
できる可能性があるので、この
研究成果が、新しい肥満の予防・
治療法の開発につながることを
期待したいと思います。

 不安を解消することで、試合
に快勝した。       笑

 
 
 
 
 
 
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「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

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