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2022-02-23 17:29:34

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診療マル秘裏話  Vol.852 令和2年4月8日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)乳酸がILC2機能を弱める事でガン細胞増殖補助
2)子供の脳発達と知能が予測できる可能性を提示

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 乳酸がILC2機能を弱める事でガン細胞増殖補助

 
 
 
 
 
 理化学研究所は3月13日、が
ん細胞が産生した乳酸が2型自
然リンパ球(ILC2)の機能を弱
めることで、ガン細胞の増殖を
助けていることを発見したと発
表しました。この研究は、同研
究所生命医科学研究センター免
疫細胞システム研究チームの小
安重夫チームリーダーら、ベル
ゲン大学生命医科学部ワーグナ
ーマレック研究員らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、オンライン科学雑誌「Cell
Reports 」に掲載されています。
ILC2は、2010年に理研の茂呂和
世チームリーダー、小安重夫チ
ームリーダーらによって発見さ
れた新しいリンパ球で、寄生虫
の感染やアレルギーといった2
型免疫と呼ばれる免疫反応を司
ります。皮膚や粘膜など、体と
外界とのバリアを形成する上皮
細胞が、外界から危険シグナル
を受け取ると、体内への警鐘と
してサイトカインのインターロ
イキン-33(IL-33)が放出され
ます。その結果、ILC2がIL-33
に反応して大量の2型サイトカ
イン(IL-4、IL-5、IL-13など)
を産生し、IL-5が好酸球による
炎症反応を誘導することが明ら
かになっています。

近年、さまざまな自己免疫疾患
や炎症性疾患において、ILC2が
重要な役割を果たすことが報告
されており、これまで未解明だ
った疾患発症機構を明らかにす
る新たな免疫機構として注目さ
れています。しかし、ガンにお
いて、ILC2がどのように機能す
るかについては、よく分かって
いません。

研究グループは、上皮細胞系の
固形ガンの患者さんにおいて、
好酸球増多が認められることか
ら、ILC2がガン免疫に関与して
いるのではないかと考えました。
ガン細胞は、さまざまな方法で
免疫の監視を免れて体内で増殖
することが分かってきています。
これまでに知られていない、IL
C2の免疫監視を逃れるようなガ
ン細胞増殖の仕組みが存在する
のではと研究グループは仮定、
皮膚ガンの一種である悪性黒色
腫に着目し、ガン周囲の環境と
ILC2との関係を調べました。ま
ず、ILC2の抗腫瘍活性を検討す
るために、悪性黒色腫を植えた
マウスに3日ごとにIL-33 を投
与することで、ILC2を継続的に
刺激しながら、ガン細胞の増殖
を観察しました。その結果、が
ん組織の中へ多数の好酸球が浸
潤し、ガン細胞の増殖を劇的に
抑制することが分かりました。
このことは、ILC2が悪性黒色腫
に対して抗腫瘍活性を持つこと
を意味しています。

一方、悪性黒色腫周囲の皮膚や
脂肪組織を調べたところ、ガン
組織の周囲でILC2が減少してい
ること、悪性度の高いガンであ
るほどILC2の減少が著しいこと
が判明しました。また、ガン細
胞をILC2と一緒に培養すると、
ガン細胞の塊の周囲でILC2の増
殖や活性が低下したことから、
ガン細胞によってILC2の生存や
機能が抑制される可能性が示さ
れました。

さらに、研究グループは、ILC2
の活性低下がガン組織の産生す
る物質によって起こるのではな
いかと考え、ガン細胞の代謝に
注目しました。ガン細胞では活
発な細胞増殖に伴って、糖代謝
に関わる糖輸送体や乳酸産生に
必須な酵素が多く発現します。
また、ワールブルグ効果として
知られるように、ガン細胞では
糖代謝においてグルコースが解
糖系から乳酸へ代謝され、ガン
の周囲には乳酸が蓄積して、が
んの微小環境が酸性に傾くこと
が報告されています。

体内でガン細胞が産生する乳酸
の影響を調べるため、RNA 干渉
法を用いて、乳酸の産生に必須
な酵素の発現を低下させた悪性
黒色腫の細胞(乳酸低下型ガン
細胞)を作製しました。この乳
酸低下型ガン細胞と通常のガン
細胞をマウスの体内で比較した
ところ、乳酸低下型ガン細胞で
は、ILC2や好酸球が大量にガン
組織内へ浸潤し、ガン細胞の増
殖が著しく抑制されることが明
らかになりました。一方で、乳
酸産生を上昇させると、ガン細
胞の増殖が強まることも分かっ
たということです。

 自然リンパ球について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 
 酵素の発現について発言する。


 
 
 
 
 
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2】 子供の脳発達と知能が予測できる可能性を提示

 
 
 
 
 
 金沢大学は2月26日、産学官
連携のプロジェクトで開発した
「幼児用脳磁計(MEG )」を活
用し、脳の大脳生理学的反応か
ら、子どもの典型的な発達にお
ける脳発達と知能が予測できる
可能性を示したと発表しました。
この研究は、同大子どものここ
ろの発達研究センターのアンキ
ョンミン特任助教、人間社会研
究域学校教育系の吉村優子准教
授、医薬保健研究域医学系精神
行動科学の菊知充教授らの研究
グループによるものです。研究
成果は、米国科学誌「Human Br
ain Mapping 」のオンライン版
に掲載されています。近年の脳
科学分野においては、子どもの
脳発達と知能の研究が注目され
ています。知能に関しては、歴
史的にさまざまな議論がされて
おり、人間の知能を究明するた
めの仮説が立てられてきました。
知能の研究に大きな影響を与え
た初期の心理学者であるGalton
とSpearmanは、感覚処理と知能
は共通の神経処理を共有するた
め、互いに緊密な関係があると
主張しました。しかし、このよ
うな仮説は行動的観察研究から
は証明されていましたが、脳科
学的にはほとんど明らかにされ
ていませんでした。また、さま
ざまな感覚処理の中でも、脳の
聴覚領域は他の脳領域と比べて
遅く成熟し、特に音声刺激に対
して脳の可塑性が大きいと報告
されてきました。

研究グループは今回、子どもの
脳発達と知能が大脳生理学的反
応から予測できることを明らか
にするため、幼児用MEG を用い
て、音声刺激に対する大脳生理
学的反応を調べました。

今回の研究で用いた幼児用MEG
は、超伝導センサー技術を用い
て、体に全く害のない方法で、
頭皮上から脳の微弱磁場を計測
する装置です。超伝導センサー
を幼児の頭のサイズに合わせ、
頭全体をカバーするように配置
することにより、神経の活動を
高感度で記録することが可能で
す。MEG は、神経の電気的な活
動を直接捉えることが可能であ
り、その優れた時間分解能と高
い空間分解能から、脳の機能を
評価する方法として期待されて
います。さらに、放射線を用い
らず、狭い空間に入る必要がな
いことから、幼児期の脳機能検
査として存在意義が高まってい
ます。研究グループは3~8歳の
健常児49人に対し、MEG を用い
て「ね」という音声刺激を聞い
ている時の大脳生理学的反応を
調べ、脳反応と子どもの月齢や
標準化された知能検査(カウフ
マンアセスメントバッテリー:
K-ABC )によって測定された知
的能力の関係を分析しました。
その結果、音声に対する左脳の
脳反応は子どもの月齢と高い相
関があり、右脳の脳反応は、子
どもの流動性知能と高い相関が
あることが明らかになりました。

今回の研究成果により、子ども
の脳神経および認知的な発達を、
行動的反応からだけでなく、6
分程度の脳磁計測によって、大
脳生理学的反応から予測できる
可能性が示されました。幼児期
はさまざまな学習が進む時期で
あり、脳神経や認知発達の程度
や速度は子どもによって異なり
ます。同手法を用いることで、
子どもの発達の程度や特徴につ
いて客観的に捉えることが可能
となり、子どもの発達および認
知的な程度に合わせた学習支援
や教育に、より早くつながるこ
とが期待されます。

 脳の発達や病気に影響を与え

る食事について解説している動

画です。

 
 


 
 
 
 楊枝を買う用事を幼児に押し
つけてはなりません。   笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 理化学研究所が3月13日、が
ん細胞が産生した乳酸が2型自
然リンパ球(ILC2)の機能を弱
めることで、ガン細胞の増殖を
助けていることを発見したと発
表したのは素晴らしい業績です。
ガンの微小環境を解き明かす事
で、ガン細胞が免疫細胞から、
逃避していることは、明らかで
す。 その新しい機序が解き明
かされるのは、素晴らしいこと
です。その機序を利用してガン
細胞を苦しめることが可能にな
るからです。
 金沢大学が2月26日、産学官
連携のプロジェクトで開発した
「幼児用脳磁計(MEG )」を活
用し、脳の大脳生理学的反応か
ら、子どもの典型的な発達にお
ける脳発達と知能が予測できる
可能性を示したと発表したのは、
素晴らしい業績です。今回の研
究で用いた幼児用MEG は、超伝
導センサー技術を用いて、体に
全く害のない方法で、頭皮上か
ら脳の微弱磁場を計測する装置
なので、子どもの脳に影響を与
えない形で研究が進んだのは、
非常にエレガントな手法である
と感じました。

 主峰を制覇する手法に長けた
冒険家。         笑

 
 
 
 
 
 
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