最近の号外Vol.2072メルマガ

2022-01-25 20:50:52

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
 
診療マル秘裏話  号外Vol.2072 令和3年3月26日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)膵臓前ガン細胞が肝臓と肺に転移し隠れている
2)LIPUS,が血管神経新生を促進し脳梗塞治療効果

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 膵臓前ガン細胞が肝臓と肺に転移し隠れている

 
 
 
 
 名古屋大学は3月2日、膵臓の
前ガン細胞が肝臓と肺に転移し、
かつ、その臓器の細胞であるよ
うに装って隠れていることを明
らかとしたと発表しました。こ
の研究は、同大大学院医学系研
究科腫瘍外科学の江畑智希教授
と山口淳平病院講師らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、米国科学雑誌「Oncogene」
オンライン速報版で掲載されて
います。

 膵ガンは、日本の部位別ガン
死亡数の第4位(年間死亡者数
が約2万5,000人)であり、5年
生存率10%程度の悪性度の高い
腫瘍です(ガンの統計’17:ガ
ン研究振興財団)。膵ガンの予
後が悪い最大の理由は転移であ
り、転移した膵ガンに対する有
効な治療法の開発が望まれてい
ます。

 一般的に、ガンは進行ガンに
なってから転移すると思われが
ちですが、最近の研究では乳ガ
ンや膵ガンはもっと早い段階か
ら全身に転移することが明らか
になってきています。しかし、
全身に散らばったガン細胞がど
のように腫瘍になるのかなど、
未知の部分が多く残っています。
このような早期ガン細胞の生体
を明らかにすることは、転移性
膵ガンの治療法開発に寄与する
可能性が高く、重要な研究課題
となっています。

 今回の研究では、ガンの進行
度に応じたマウスモデルを使用
しました。膵臓では前ガン病変
PanIN から膵ガンが発生すると
考えられていますが、これまで
の研究グループの研究により、
蛋白質TFF1が欠損すると1段階
ガンに近くなることが判明して
います。

 そこで今回は、TFF1欠損マウ
スを使って前ガンマウスと膵ガ
ンマウスをそれぞれ、さらに前
期および後期に分類し、4種類
のマウスで比較(前期前ガンマ
ウス、後期前ガンマウス、前期
ガンマウス、後期ガンマウス)
しました。これらのマウスの膵
臓細胞を赤い蛍光色素tdTomato
で標識し、全身へ転移する経過
を追う、という手法を用いまし
た。

 まず、血液中の細胞を確認し
ました。血液の中にはtdTomato
陽性細胞が混入しており、膵臓
細胞の血液への侵入が確認され
ました。この細胞は前ガンマウ
スで最も多く認められ、膵臓前
ガン細胞(PanIN細胞) が循環
腫瘍細胞(CTC:circulating t
umor cells)となることが判明
しました。

 次に、肝臓を調査しました。
マウスはすべて生後3か月とい
う早い段階を調査対象としたの
で、明らかな肝転移はありませ
んでしたが、肝臓には多数のtd
Tomato陽性細胞が存在していま
した。これらの細胞は肉眼的に
も病理学的(顕微鏡的)にも肝
細胞であり、通常の検査では転
移細胞としては認識できないも
のでした。

 研究グループは、これを「隠
れ転移(stealth metastasis)」
と命名し、さらに検討しました。
その結果、隠れ転移はガンマウ
スではなく前ガンマウスに最も
多く認められたということです。

 隠れ転移は肝臓だけではなく、
肺でも確認されました。また、
肺の「隠れ転移」はその後腫瘍
(ガン)になることが明らかと
なりました。つまり、膵臓の細
胞はガンになる前に肝臓と肺に
転移し、転移とは認識できない
「隠れ転移」の状態で生存し、
その後にガンになった、という
ことになります。

 転移性膵ガンの治療は抗ガン
剤による化学療法しかありませ
んが、それも奏効率は低く、副
作用の頻度も高いため、有効な
治療法とは言い難いのが現状で
す。転移が腫瘍になる前の段階、
すなわち隠れ転移の段階で発見
することができた場合、ガンに
なる前にこれを切除する事やガ
ン化を予防するなど、究極の予
防的治療法確立の可能性がある
ということです。

 研究グループは、今回確立し
た隠れ転移マウスモデルを用い
て、隠れ転移を発見するための
特異的なマーカーの探索や、隠
れ転移ガン化予防の方法などを
模索していく予定だとしていま
す。

 膵臓ガンの最新治療について

解説している動画です。

 
 


 
 
 究極の予防法確立の確率を計
算する。         笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 LIPUS,が血管神経新生を促進し脳梗塞治療効果

 
 
 
 
 
 
 東北大学は3月3日、脳梗塞マ
ウスモデルにおいて、低出力パ
ルス波超音波(LIPUS) が血管
-神経新生を促進し、脳梗塞に
対して治療的効果を発揮するこ
とを明らかにしたと発表しまし
た。この研究は、同大大学院医
学系研究科循環器内科学分野の
下川宏明客員教授、安田聡教授、
進藤智彦助教、一條貞満医師ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、「Scientific Rep
orts」にオンライン掲載されて
います。

 近年、神経疾患に対する新し
い治療戦略として神経新生が注
目されています。一度死滅した
神経細胞は再生しないと長年考
えられてきましたが、成人した
後も新しい神経細胞が生まれ続
けており、脳梗塞やけいれんな
どを発症すると神経新生が活性
化し、障害部位の機能を補完し
ようとすることが分かってきま
した。

 神経新生には血管からの栄養
因子が重要であり、血管新生の
促進は神経新生の基盤となるこ
とが示唆されています。血管新
生促進物質の中でも、特に一酸
化窒素(NO)は重要な役割を果
たしています。これまでに、下
川客員教授らの研究グループは、
LIPUSがNO合成酵素の1つである
内皮型NO合成酵素(eNOS)の発
現や血管新生を誘導することを
明らかにしました。さらに、LI
PUS が認知症マウスモデルにお
いて認知機能低下を抑制するこ
とを見出し、現在、認知症患者
さんに対する医師主導治験を実
施しています。

 今回の研究では、脳梗塞マウ
スモデル(中大脳動脈閉塞モデ
ル)を用いて、LIPUS 治療が血
管-神経新生を促進することを
示しました。脳梗塞を作製した
手術の翌日からLIPUS 治療を受
けたマウスでは、主に運動機能
において神経機能の回復が認め
られました。さらに、LIPUS 治
療を受けたマウスにおいて、梗
塞領域周辺の障害を受けた虚血
組織における血管密度の増加、
新生された神経細胞数の増加が
認められました。

 経時的に治療経過を観察した
結果、血管新生に続いて神経新
生が生じており、血管内皮細胞
から産生される細胞遊走因子が
神経新生を促進している可能性
が示唆されました。また、障害
された脳半球の一部の領域(線
条体)においては血管新生を促
進する作用を持つ血管内皮増殖
因子VEGFやeNOS、新生神経細胞
を誘引する作用を持つ間質細胞
由来因子(SDF-1)やC-X-Cケモ
カイン受容体4(CXCR4)の分子
発現の亢進が認められました。
さらに、eNOS遺伝子欠損マウス
において同様の検討を行った所、
LIPUS 治療の効果が消失したこ
とから、LIPUS 治療の効果がeN
OSに依存するものであることが
確認されました。

 今回の一連の実験結果から、
LIPUS 治療は、eNOSの活性化を
介して血管-神経新生を促進し、
脳梗塞後の神経機能回復に寄与
する可能性が示唆されました。
「LIPUS 治療による神経新生の
促進作用は、パーキンソン病や
筋萎縮性側索硬化症など、治療
法が確立していない他の神経疾
患に対しても有効である可能性
があり、今後、LIPUS 治療の適
応拡大が期待される」と、研究
グループは述べています。

 超音波療法について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 LIPUS 治療の効果がeNOSに依
存するものであることに異存は、
ない。          笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 名古屋大学が3月2日、膵臓の
前ガン細胞が肝臓と肺に転移し、
かつ、その臓器の細胞であるよ
うに装って隠れていることを明
らかとしたと発表したのは、素
晴らしい業績です。前ガン細胞
の時から、転移を起こし、転移
先の肝臓と肺に潜伏していると
は、本当にガン細胞は、ずる賢
いと痛切に感じました。転移や
悪性化には、上皮間葉転換とい
う過程を経る必要がありますが、
この過程が前ガン細胞でも起こ
りうるということが証明された
と言えるでしょう。上皮間葉転
換には、TNF-αやTGF-βなどの
サイトカインが働くことが分か
っています。これらのサイトカ
インの働きを解析することが、
今後、重要な課題となる可能性
が高いと推察しています。
 東北大学が3月3日、脳梗塞マ
ウスモデルにおいて、低出力パ
ルス波超音波(LIPUS) が血管
-神経新生を促進し、脳梗塞に
対して治療的効果を発揮するこ
とを明らかにしたと発表したの
は素晴らしい業績です。超音波
で治療効果が得られるなどとは、
ほとんどの医師は、思いつかな
かったと推測されるので、これ
は、コロンブスの卵と言って良
いのではないかと思います。独
創的かつユニークな取り組みは、
はじめの内は、理解されないこ
とが多いと思います。LIPUS 治
療による神経新生の促進作用は、
パーキンソン病や筋萎縮性側索
硬化症など、治療法が確立して
いない他の神経疾患に対しても
有効である可能性を是非追究し
て頂きたいものです。

 神経再生を促進する薬剤を、
承認申請した。      笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント