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2022-01-22 19:06:01

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診療マル秘裏話  号外Vol.2069 令和3年3月22日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)蛋白質分解誘導剤新メカニズムと作用促進酵素発見
2)閉経前女性の多量飲酒で,乳ガンリスクが1.7倍上昇

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 蛋白質分解誘導剤新メカニズムと作用促進酵素発見

 
 
 
 
 東京都医学総合研究所は2月
10日、ガンなどの疾患の原因と
なる蛋白質を細胞内から取り除
く薬剤「分解誘導剤」の新たな
作用メカニズムを解明し、作用
を促進する酵素を世界で初めて
発見したと発表しました。この
研究は、同研究所の田中啓二理
事長、佐伯泰参事研究員、遠藤
彬則主任研究員、星薬科大学生
命科学研究所の大竹史明特任准
教授(責任著者)、相馬愛特任
助教、東京大学の内藤幹彦特任
教授、国立医薬品食品衛生研究
所の出水庸介部長らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、米国科学誌「Molecular Ce
ll」オンライン版に掲載されて
います。

 細胞内には疾患の原因となる
蛋白質が数多く存在しますが、
いわゆる阻害薬など既存の薬剤
の標的となっている蛋白質はほ
んの一握りで、それ以外の多く
の蛋白質は薬剤によって阻害で
きません。これに対して、疾患
原因蛋白質を細胞内で分解して
除去する「標的蛋白質分解誘導
剤」が、創薬ターゲットの範囲
を大幅に広げる革新的な創薬コ
ンセプトとして脚光を浴びてい
ます。

 標的蛋白質分解の原理は、細
胞内にもともと備わっているユ
ビキチン・プロテアソーム系と
いう機構を利用するものです。
細胞内で不要になった蛋白質は、
「ユビキチン」と呼ばれるタグ
(目印)を付加されます。タグ
付けされた蛋白質は蛋白質分解
酵素「プロテアソーム」によっ
て分解されます。そこで、疾患
原因蛋白質に結合する薬剤と、
ユビキチン化酵素(タグ付加酵
素:CRL) に結合する薬剤とを
連結させたハイブリッド型の化
合物を用いれば、疾患原因蛋白
質とユビキチン化酵素とを近接
させ、強制的にユビキチン化を
引きおこして分解を誘導するこ
とができます。

 このような開発の経緯から、
標的蛋白質分解のメカニズムは、
ユビキチン・プロテアソーム系
の「ハイジャック」であると考
えられてきました。しかし、そ
の詳細なメカニズムは未解明で
あり、分解誘導剤のさらなる高
効率化・高精度化のために、分
子メカニズムの解明が望まれて
います。

 研究グループは、細胞を分解
誘導剤で処理した時に標的蛋白
質に結合してくる蛋白質を探索
した所、CRL とは別のユビキチ
ン付加酵素であるTRIP12を同定
しました。TRIP12は、CRL が標
的蛋白質にユビキチンを付加し
た後で結合してくることが分か
りました。

 次に、分解誘導剤の作用にお
けるTRIP12の役割を明らかにす
るために、TRIP12を持たないガ
ン細胞を作製しました。すると、
TRIP12を持たないガン細胞では、
分解誘導剤で処理した際の標的
蛋白質の分解が遅れ、さらに、
この分解が引き起こすガン細胞
の細胞死も抑制されていたとい
うことです。

 そこで、TRIP12が分解誘導剤
の作用を促進する分子メカニズ
ムを検討しました。CRL とTRIP
12はともにユビキチンを付加す
る酵素ですが、蛋白質分解の目
印であるユビキチン鎖を合成す
る際の鎖の形状が異なっており、
CRL とTRIP12が協同作業するこ
とで、特殊な形状の鎖を合成す
ることが分かりました。つまり、
TRIP12は蛋白質分解に適した形
状のユビキチン鎖の合成を手助
けする酵素であることが分かり
ました。

 近年、分解誘導剤の開発が世
界的な潮流になっており、米国
で臨床試験が開始されるなど、
開発競争が進んでいます。しか
し、蛋白質分解の視点からの詳
細な分子メカニズムの解明は遅
れていました。

 今回の研究では標的蛋白質分
解を特異的に促進する酵素を発
見し、この酵素が特殊な形状の
「分解タグ」を合成することを
突き止めました。すなわち、分
解誘導剤の作用メカニズムは単
純な「ハイジャック」ではない
ことが初めて明らかになりまし
た。したがって、分解誘導剤の
効果を高めるためには、分解誘
導剤の作用メカニズムをさらに
解析し、薬の作用を促進したり
抑制したりする因子群を明らか
にすることが大事だと考えられ
るということです。

 例えば、TRIP12を活性化する
薬剤が見つかれば、ガン治療薬
の効果をさらに高めることがで
きる可能性があります。「逆に、
誘導剤の作用を抑制する因子が
わかれば、その因子を阻害する
ことで誘導剤の作用増強も期待
できる」と研究グループは述べ
ています。

 標的蛋白質の選択的分解につ

いて解説している動画です。

 
 


 
 
 共生を強制された動物。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 閉経前女性の多量飲酒で,乳ガンリスクが1.7倍上昇

 
 
 
 
 
 
 女性が多量飲酒の習慣を続け
ると閉経前に乳ガンにかかるリ
スクが1.7 倍になるとする調査
結果を愛知県ガンセンターがま
とめました。過度の飲酒がガン
の発症リスクを高めることは知
られていましたが、約16万人の
日本人女性を対象にした初の大
規模調査分析データとして注目
されます。

 愛知県ガンセンターガン予防
研究分野(松尾恵太郎分野長)
と国立ガン研究センターの研究
グループは、これまでデータが
なかった日本人女性の飲酒習慣
と乳ガンリスクの関係を明らか
にすることを目的に、全国の30
~60代の健康な女性約16万人を
対象に平均14年間追跡した8つ
の大規模調査(コホート研究)
のデータを分析しました。

 その結果、約2200人が乳ガン
になっており、乳ガンになった
グループの飲酒率は79%、喫煙
率は61%といずれも高いという
結果がでました。研究グループ
は飲酒習慣との関係をさらに詳
しく調べました。飲酒の頻度に
ついては「飲まない」「機会が
あれば(週1日以下)」「時々
(週1日以上4日以下)」「ほと
んど毎日(週5日以上)」の4
つに、また1日の飲酒量につい
ては、酒に含まれるエタノール
に換算して「0グラム」「0~11
.5グラム」「11.5~23グラム」
「23グラム以上」の4つを、そ
れぞれグループに分類して比較
検討しました。23グラムは日本
酒で約1合、ビール約500ミリリ
ットル相当とされています。

 調査の結果、閉経前の女性で
は、23グラム以上のグループは
0グラムと比べて,乳ガンになる
リスクが1.74倍になっていまし
た。飲酒の頻度では週5日以上
飲む人は、飲酒習慣のない人よ
り1.37倍リスクが高いという結
果がでました。飲酒の頻度、量
ともに増えるほど乳ガンになる
リスクが高くなる傾向がみられ
ました。一方、閉経後の女性に
ついては飲酒の頻度、量ともに
乳ガンリスクとの有意な関連は
示されなかったということです。

 国立ガン研究センターの2017
年の統計によると、乳ガンは女
性の部位別罹患数の1位を占め、
10万人当たり141 人が罹患、生
涯の罹患率は約11%。患者さん
の進行度や悪性度などにより手
術や薬物療法、放射線療法を組
み合わせた治療法の進歩により
10年生存率(20年公表、03~06
年に診断された人調査)は約86
%と高いとされています。それ
でも19年に約1万4800人が死亡
しています。

 厚生労働省は、世界保健機関
(WHO) の調査などを引用して
飲酒と食道、肝臓、大腸などの
ガンと乳ガンとの関連を指摘し
ています。しかし研究グループ
によると、日本人女性は欧米女
性より一般的に飲酒習慣が異な
る(飲酒量が少ない)ことなど
から、日本人女性を対象にした
大規模研究はなかったというこ
とです。同グループは「乳ガン
を予防するためには若いころか
ら飲酒は控えめにすることが重
要」としています。

 アルコールと乳ガン発症リス

クについて解説している動画で

す。

 
 


 
 
 飲用したドリンクの成分表示
から引用した。      笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京都医学総合研究所が2月
10日、ガンなどの疾患の原因と
なる蛋白質を細胞内から取り除
く薬剤「分解誘導剤」の新たな
作用メカニズムを解明し、作用
を促進する酵素を世界で初めて
発見したと発表したのは、素晴
らしい業績です。ユビキチン・
プロテアソーム系という機構を
利用するというユニークな創薬
ターゲットの範囲を大幅に広げ
る革新的な創薬コンセプトを使
って蛋白分解誘導剤を作った手
法は、エレガントなものだと言
えるでしょう。分解誘導剤の効
果を高めるために、分解誘導剤
の作用メカニズムをさらに解析
し、薬の作用を促進したり抑制
したりする因子群を明らかに、
これからして頂きたいものです。
 女性が多量飲酒の習慣を続け
ると閉経前に乳ガンにかかるリ
スクが1.7 倍になるとする調査
結果を愛知県ガンセンターがま
とめたのは、素晴らしい業績で
す。女性が多量飲酒の習慣を続
けることは、肝臓のアルコール
の処理能力を考えれば、非常に
危険と言えるでしょう。あくま
で、一般的な話ですが、女性は、
男性に較べて、肝臓のアルコー
ル処理能力が半分であると言わ
れています。アルコール処理能
力が劣れば、それだけアルデヒ
ドが体内に貯留する時間が長く
なります。アルデヒドは、ガン
抑制遺伝子を傷つけて、発ガン
作用があることが分かっている
ので、乳ガンになりやすいので
はないかと私は、考えています。

 試合続行は、危険と判断して、
棄権した。        笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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