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2022-01-18 18:50:41

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診療マル秘裏話  号外Vol.2066 令和3年3月19日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)胆のうガンの遺伝子解析で発ガン機構の一端解明
2)トレハロースを心臓に投与し、虚血後の心機能を改善

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 胆のうガンの遺伝子解析で発ガン機構の一端解明

 
 
 
 
 
 理化学研究所は2月22日、日
本人胆のうガンの全ゲノムシー
ケンス解析などを行い、胆のう
ガンの予後に関連する遺伝子や
その変異を同定し、その発ガン
機構の一端を解明したと発表し
ました。この研究は、同研究所
生命医科学研究センターガンゲ
ノム研究チームの中川英刀チー
ムリーダー、北海道大学大学院
医学研究院消化器外科学教室2
の江畑信孝大学院生(現ガンゲ
ノム研究チーム客員研究員)と
平野聡教授らの共同研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「Cancers」 オンライン版に掲
載されています。

 胆のうガンは、胆のうの上皮
細胞から発生した悪性腫瘍です。
一般的には、胆石症や慢性胆の
う炎が発生リスクとされていま
すが、発ガン機構の詳細はいま
だ不明です。世界的にみるとま
れなガンですが、アジアや南米
において高い頻度で発生し、日
本では1年間に約8,200人が発症
しています。転移や浸潤しやす
く、周囲に重要な血管が存在す
る複雑な部位に発生するため、
進行胆のうガンの根治的手術は
難しいとされています。切除で
きないことも多く、その場合は
5年生存率が3%しかありませ
ん。また、非切除例や再発例に
対する有効な治療法がないこと
から、全体での5年生存率は25
%と極めて難治性のガンです。

 ガンはゲノムに変異が蓄積す
ることで発生し、進行するゲノ
ムの病気です。胆のうガンにお
いても、これまでガン抑制遺伝
子TP53の変異など、さまざまな
遺伝子変異が同定されています。
しかし、病理学的にも遺伝学的
にも多様性に富んでおり、ゲノ
ムが関わる発ガン機構はまだ解
明されていません。また、ガン
のゲノム変異を標的とした分子
標的治療法や個別化治療のため
のゲノム変異マーカーの開発も
不十分です。そのため、胆のう
ガンサンプルを用いた全ゲノム
シーケンス解析により得られる
ゲノム異常情報と、臨床病理情
報との関連を検討することが求
められていました。

 研究グループは、北海道大学
病院で切除手術を行った36例の
胆のうガンの切除サンプルと正
常組織からDNA を抽出し、次世
代シーケンサーを用いて、全ゲ
ノムシーケンス解析またはエク
ソーム解析を行い、遺伝子変異
を探しました。また、同時にサ
ンプルからRNA を抽出し、非コ
ードRNA を含む網羅的RNA 発現
解析も行い、胆のうガンの分子
生物学的特性を調べました。そ
の結果、胆のうガンはAとB、2
つの群に分類できることが分か
りました。B群は、A群に比べて
極めて予後不良、再発傾向が強
く、間質に活性化した線維芽細
胞と免疫抑制機能を持つ免疫細
胞が多く観察されました。

 また、遺伝子発現のパスウェ
イ解析を行った所、B 群の胆の
うガンでは、免疫、TGF-βシグ
ナル、上皮間葉転換(ETM) に
関わるパスウェイが活性化して
いることが判明しました。さら
に、A群とB群との間で非コード
RNAの発現を比較した所、B群で
複数のマイクロRNA が高発現し
ていました。そこで、その一つ
「miR125B1」を胆のうガン細胞
株で欠失させた所、浸潤能の低
下、EMT活性、免疫関連機能、T
GF-β シグナルパスウェイの低
下が確認されました。

 遺伝子変異解析では、TP53遺
伝子、ELF3遺伝子、SMAD4 遺伝
子の変異が見出されましたが、
特にB 群の胆のうガンにおいて
は、TGF-βシグナル関連分子の
変異が多数検出されました。し
たがって、これら変異を介して、
TGF-βシグナルパスウェイが活
性化し、EMT への誘導、腫瘍微
小環境の形成、免疫抑制の誘導
が行われていると考えられまし
た。

 今後、同研究で得られた胆の
うガンのゲノム情報を用いるこ
とで、胆のうガンの詳細な分子
生物学的分類が進展し、その分
類に応じて治療方針を決定する
個別化医療(ガンゲノム医療)
が進むものと期待できます。

 「今回のゲノム解析により同
定した胆のうガンの悪性度や予
後に関わるさまざまな遺伝子変
異や発現異常、そして免疫的な
変化は、早期診断法や効果的な
治療法がない胆のうガンに対し
て、これらを標的とした新しい
治療法、特に複合免疫療法の開
発に貢献すると期待できる」と、
研究グループは述べています。

 胆のうガンについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 商才の詳細を明らかにして、
就職に有利に立ち回る。  笑

 上皮間葉転換EMTは,1980年代
にElizabeth Hay らによって提
唱された現象で、正常組織では
胚発生における原腸陥入や組織・
器官の形成および創傷治癒や組
織の線維化に関わり、生体の恒
常性維持に重要な役割を果たし
ています。一方、ガン細胞では、
EMT は浸潤・転移や薬剤抵抗性
の獲得に寄与していると考えら
れています。このEMT という現
象を分子レベルで解明するべく
様々な研究が行われてきました。

 いかなる生命も周囲の環境に
適応しなければならず、それは
体内環境においても、個々の細
胞においてすらも同様です。環
境中には刺激となる何らかの形
の生化学的情報(これを「生化
学的シグナル」、あるいは単に
「シグナル」という)があり、
これが別の刺激を誘導すること
で次々と伝達し、定まった経路
(「シグナル経路:シグナルパ
スウェイ」という)やシステム
を形成します。この情報伝達シ
ステムをシグナル伝達システム
といい、刺激を媒介する様々な
シグナル分子が担っています。
細胞の運命や行動はそれらへの
応答として決定されます。刺激
で生まれたシグナル伝達の結果
が生命個体にとって都合のよい
結果となることを、その生物に
とっての「環境適応」といいま
す。

 TP53遺伝子:p53 遺伝子とも
言われました。転写因子 p53の
遺伝情報をコードしており、こ
の転写因子は、細胞周期やDNA
修復、アポトーシスなどに関わ
る遺伝子を活性化することによ
り発ガンを抑制しています。ガ
ンにおいて最も高頻度に変異が
認められる遺伝子です。

 EARLY FLOWERING 3 (ELF3)は、
概日時計の中心振動子への光・
温度シグナルの入力を夕方に特
異的に調節する因子。

 ヒトSMAD4は、8種類のヒトSM
ADアイソフォームの一つで、TG
F-βR の下流で機能します。腫
瘍抑制遺伝子です。

 
 
 
 
 
 
 
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2】 トレハロースを心臓に投与し、虚血後の心機能を改善

 
 
 
 
 
 
 北海道大学は2月24日、天然
物質である二糖類の一種「トレ
ハロース」を心臓に投与するこ
とで、虚血後の心機能を改善さ
せることにはじめて成功したと
発表しました。この研究は、同
大大学院医学研究院博士課程の
安東悟央氏、同循環器・呼吸器
外科学教室の新宮康栄講師、若
狭哲教授ら、循環器・呼吸器外
科学教室の研究グループによる
ものです。研究成果は、「Bioc
hemical and Biophysical Rese
arch Communications」 にオン
ライン掲載されています。

 心筋梗塞や心臓手術後の心不
全は、心臓の虚血が主な原因で
す。さらに、虚血後の再灌流に
よっても心臓は大きなダメージ
を受けます。これらの障害を減
らすことが、心不全を予防する
ことにつながります。

 多様な生理機能をもつ天然物
質であるトレハロースは、他の
二糖類とは違う特殊な化学構造
をもっています。それゆえ、植
物では不凍液としての働きが、
動物では抗炎症作用や抗酸化作
用などが報告されています。さ
らには、2016年にノーベル生理
学・医学賞を受賞した大隅良典
博士の研究テーマで知られる「
オートファジー」を活性化させ
る作用も、トレハロースでは報
告されています。

 研究グループは、10週齢の雄
のラットの心臓を用いて、35分
間、トレハロースを2%の濃度
で含んだ酸素化した生理的な液
体で灌流し拍動させました。そ
の後心臓の灌流を止め、20分間、
完全に心臓を虚血状態にしまし
た。再灌流した後、60分間心臓
を拍動させ、虚血前の心臓の収
縮機能と比較しました。

 その結果、2%濃度のトレハ
ロースで灌流を行った群では、
トレハロースを使用しなかった
群と比較して有意に虚血後の心
臓の収縮力が増加したというこ
とです。

 今回研究グループは、はじめ
て心臓の虚血実験にトレハロー
スを応用し、心機能の改善に成
功しました。今後さらなるトレ
ハロースの効果メカニズムに関
する研究が必要ですが、トレハ
ロースは日々摂取する食材にも
含まれている比較的安全な物質
であることから、医療への応用
が大いに期待されます。「心臓
が一時的に虚血になる心筋梗塞
や心臓手術に応用できれば、心
不全などの合併症を予防できる
可能性も期待される」と、研究
グループは述べています。

 トレハロースの皮膚への効果

について解説している動画です。

 
 


 
 
 気体の体積の圧縮に期待する。


 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 理化学研究所が2月22日、日
本人胆のうガンの全ゲノムシー
ケンス解析などを行い、胆のう
ガンの予後に関連する遺伝子や
その変異を同定し、その発ガン
機構の一端を解明したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
全体での5年生存率は25%と極
めて難治性のガンであり、早期
診断法や効果的な治療法がない
ので、胆のうガンの悪性度や予
後に関わるさまざまな遺伝子変
異や発現異常、そして免疫的な
変化を標的にした新しい治療法、
特に複合免疫療法の開発に貢献
することを切に期待したいと思
います。
 北海道大学が2月24日、天然
物質である二糖類の一種「トレ
ハロース」を心臓に投与するこ
とで、虚血後の心機能を改善さ
せることにはじめて成功したと
発表したのは、素晴らしい業績
です。多様な生理機能をもつ天
然物質であるトレハロースは、
他の二糖類とは違う特殊な化学
構造をもっており、植物では不
凍液としての働きが、動物では
抗炎症作用や抗酸化作用などが
報告されているので、心機能の
改善に寄与しても、何の不思議
もないと思いました。

 新機能をもつ人工心臓で心機
能が改善した。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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