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2022-01-09 18:15:29

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診療マル秘裏話  号外Vol.2058 令和3年3月9日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)今やガンは英国人糖尿病患者の主要死因となる
2)ステロイド薬にかわる新規の抗炎症薬の開発を加速

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 今やガンは英国人糖尿病患者の主要死因となる

 
 
 
 
 
 糖尿病患者さんの主な死因に
関して新たな知見が示されまし
た。英・Imperial College Lon
don(School of Public Health)
のJonathan Pearson-Stuttard
氏らは、同国のプライマリケア
データベースから約31万人に及
ぶ糖尿病患者さんのデータを抽
出して疫学的解析を実施しまし
た。2001~18年における糖尿病
患者さんの主な死因はガンであ
ったとLancet Diabetes Endocr
inol(2021年2月4日オンライン
版)で報告しました。これまで
糖尿病患者さんの主な死因は心
血管疾患とされてきましたが、
近年は様相が異なり、ガンが浮
上していることが示されました。

 解析では、プライマリケアデ
ータベースから抽出された2001
~18年における糖尿病患者さん
31万3,907 人分のデータと英国
国家統計局の死亡率データをリ
ンク付けし、糖尿病有病率と発
症率を算出するための母集団を
形成しました。

 またポアソン回帰モデルを使
用し、男性および女性の糖尿病
患者さん群における年間の全死
亡率と12項目の死亡原因(虚血
性心疾患、脳卒中、その他循環
器疾患、糖尿病関連ガン、その
他ガン、腎疾患、肝疾患、呼吸
器疾患、糖尿病、認知症、外傷、
その他)別の死亡率を推定しま
した。加えて、同じデータセッ
トから年齢と性を1:1 でマッチ
させた非糖尿病者の集団を同定
し、その死亡率を推計しました。

 解析の結果、2001年1月~18
年10月にかけて、糖尿病患者さ
ん群の全死亡率は男性で32%低
下(1,000人/年当たりの患者数
40.7人→27.8人)し、女性で31
%低下(同42.7人→29.5人) し
ていました。同期間に非糖尿病
者群の死亡率も低下していまし
た。死亡原因別に見ても、両群
とも認知症と肝疾患を除いて低
下していました。

 ただし、こうした死亡率の低
下傾向は疾患ごとに異なってい
ました。例えば、糖尿病患者さ
ん群における心血管疾患(虚血
性心疾患、脳卒中、その他循環
器疾患)の1,000人/年当たり死
亡者数は18.5人から7.5 人と大
幅に低下したものの、ガン(糖
尿病関連ガン、その他ガン)で
は10.5人から9.3 人とわずかな
低下にとどまり、両者の序列は
逆転していました。

 Pearson-Stuttard氏は「近年
の医学的介入により、喫煙率や
高血圧リスクなどが改善した影
響から心血管疾患による死亡率
は大幅に低下しており、その効
果は特に糖尿病患者で大きかっ
た」と説明しました。「対照的
に、ガンによる死亡率の低下は
非常に緩徐であり、特に糖尿病
患者ではその傾向が強い。今や
ガンは英国人、とりわけ糖尿病
患者の主要な死因になった」と
指摘しています。

 なお、糖尿病患者さん群と非
糖尿病者群を比較すると、死亡
率が高かったのは前者で認知症、
肝疾患、呼吸器疾患でした。特
に2018年時点の認知症による死
亡リスクは、糖尿病患者さん群
で非糖尿病者群の約2倍に上り
ました(1,000人/年当たりの死
亡者数はそれぞれ3.8人、1.8人)。

 この点について、同氏らは「
明確な関連性は示されていない
が、糖尿病と認知症には喫煙や
肥満、質の悪い食生活といった
共通の増悪リスクが存在してい
る」と補足しています。

 糖尿病とガンの関係について

解説している動画です。

 
 


 
 
 胸痛が共通の症状だった。笑

 
 
 
 
 
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2】 ステロイド薬にかわる新規の抗炎症薬の開発を加速

 
 
 
 
 
 
 大阪大学の岡本一起特任准教
授らは、ステロイド薬にかわる
新規抗炎症薬の開発を加速しま
す。人体に満遍なく存在する蛋
白質「MTI-II」を用いる
と、副作用を抑えつつ、ステロ
イドと同じ作用機序を発揮する
ことを動物実験で確認しました。
とくにMTI-2.中の40ア
ミノ酸残基(40A)や、その
中の6Aが抗炎症に大きく寄与
することも見いだしました。今
後は基礎化合物の創製、臨床試
験の準備、創薬で協力できる企
業を募り、早期実用化を目指し
ます。

 ステロイド薬は、細胞内のグ
ルココルチコイド受容体と結合
し、炎症原因蛋白質複合体「N
F-kB」の転写活性を直接阻
害します。しかし、グルココル
チコイド受容体が全身に存在す
るため、炎症部位以外にも作用
してしまうのが課題でした。

 また、受容体をすべて使って
しまうと、それ以上ステロイド
薬を投与しても効果が得られま
せん。自己免疫疾患などはステ
ロイド薬以外で炎症を抑えられ
ず、さまざまな副作用と依存症
に苦しむ患者さんも多いことが
分かっています。

 そこで研究グループは101
Aで構成され、ヒト全組織に普
遍的に存在するMTI-IIに
目をつけました。MTI-II
は受容体に依存せずにNF-k
Bの転写活性を阻害するため、
理論上、投与しただけ効果が得
られます。ステロイド抵抗性の
ある患者さんへの治療効果も期
待できます。現在、動物実験を
進めており、ステロイド薬と比
べて同程度の抗炎症作用と、副
作用の大幅な低減を示す結果を
得ました。

 さらにMTI-IIの中で作
用の中心となる40Aの酸性ア
ミノ酸領域も特定し、その中の
6Aがより強い阻害活性を持つ
ことも分かりました。作用する
アミノ酸領域が分かれば、その
部分だけを利用でき、安価に生
産できるようになります。40
AはMTI-IIとほとんど同
様の効果を発揮しました。6A
まで短くしても、近い活性が期
待できるということです。

 一方、MTI-IIは、その
ままでは細胞膜を透過できませ
ん。そのため、MTI-IIと、
MTI-IIの作用の中心であ
る40Aと6Aに、細胞透過性
ペプチドとして連打したアルギ
ニンを付加しました。細胞内部
への侵入を可能にし、抗炎症薬
としての性質を持たせました。

 2021年度中に非臨床試験を完
了する計画です。さらなる構造
最適化にも取り組み、より強力
な6Aペプチドを作成します。
性質、構造の似たシード化合物
の合成も急ぎ、ペプチド創薬だ
けでなく、低分子薬の開発にも
こぎつけたい考えです。

 抗炎症剤について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 耕三さんが耐久構造の建築物
を設計する。       笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 英・Imperial College Londo
n(School of Public Health)
のJonathan Pearson-Stuttard
氏らが、2001~18年における糖
尿病患者さんの主な死因はガン
であったとLancet Diabetes En
docrinol(2021年2月4日オンラ
イン版)で報告したのは偉大な
業績です。糖尿病の患者さんの
血管内には、ブドウ糖があふれ
ているにも関わらず、インシュ
リンの分泌量が少ない、あるい
は、インシュリンの効きが悪い
ために、正常細胞は、ブドウ糖
を利用することができません。
一方、ガン細胞は、新生血管と
言う、欠陥だらけの血管をVEGF
などを分泌することで作り出し、
血管内に、あふれたブドウ糖を
横取りして、効率の悪い解糖系
で、エネルギーを作りながら、
増殖します。それゆえに糖尿病
の主な死因がガンであったとい
うことになるのではないかと私
は、推測しています。
 大阪大学の岡本一起特任准教
授らが、ステロイド薬にかわる
新規抗炎症薬の開発を加速しま
す。人体に満遍なく存在する蛋
白質「MTI-II」を用いる
と、副作用を抑えつつ、ステロ
イドと同じ作用機序を発揮する
ことを動物実験で確認したのは、
素晴らしい業績です。MTI-
IIは受容体に依存せずにNF
-kBの転写活性を阻害するた
め、理論上、投与しただけ効果
が得られ、ステロイド抵抗性の
ある患者さんへの治療効果も期
待できるということですから、
凄い薬剤が開発されたものだと
感心しました。しかしながら、
まだ動物実験で成功したにすぎ
ないので、臨床試験で、重大な
副作用がでないとは限りません。
そのような副作用がでないこと
を祈りつつ、2021年度中に非臨
床試験を完了するとともにさら
なる構造最適化にも取り組み、
より強力な6Aペプチドを作成
して頂きたいものです。性質、
構造の似たシード化合物の合成
も急ぎ、ペプチド創薬だけでな
く、低分子薬の開発にもこぎつ
けられるともっと身近な薬剤に
なることが、予想されます。

 官僚が任務を完了する。 笑

 
 
 
 
 
 
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