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2021-11-06 20:00:27

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診療マル秘裏話  号外Vol.2003 令和3年1月4日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)ビタミンD摂取は、既存ガン治療法より低毒性低コスト
2)食物アレルギーPTS法で,質量分析測定を効率化した

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ビタミンD摂取は、既存ガン治療法より低毒性低コスト

 
 
 
 
 
 近年、ビタミンD摂取とガン
の関連性についての検討が幾つ
か報告されていますが、一般人
を対象とした大規模な検討はあ
まりありません。米・Harvard
Medical SchoolのPaulette D.
Chandler氏らは、米国の一般人
2万8,571人を対象に高用量のビ
タミンD3、ω-3脂肪酸摂取によ
る全てのタイプの浸潤性ガン、
および主要心血管疾患の予防効
果を検証した大規模ランダム化
比較試験VITAL の二次解析結果
をJAMA Netw Open(2020; 3: e
2025850)に報告しました。 ビ
タミンD取により進行性ガンの
リスクが低下する可能性を示し
ました。

 VITAL 試験では、ガン(非メ
ラノーマ皮膚ガンを除く)や心
血管疾患の既往がない米国の一
般集団2万8,571人を登録(男性
50歳以上、女性55歳以上)しま
した。ビタミン D3 (コレカル
シフェロール、2,000IU/日)を
摂取するビタミンD群(1万2,9
27人)とプラセボ群(1万2,944
人)に1:1でランダムに割り付
けました。さらに各群を魚油由
来のω-3脂肪酸またはそのプラ
セボを摂取する群に1:1でラン
ダムに割り付ける2×2ファクト
リアルデザインを用い、最終的
に1.ビタミンD+ω-3 脂肪酸集
団(6,463人) 2.ビタミンD+
プラセボ集団(6,464 人)3.プ
ラセボ+ω-3脂肪酸集団(6,47
0人) 4.プラセボ+プラセボ集
団(6,474人)-の4集団に割り
付けました。

 なお、登録は2011年11月~14
年3月に行い、試験レジメン以
外のビタミンD摂取(マルチビ
タミン剤を含む)は800IU/日を
上限として許可しましたが、魚
油由来のサプリメントの摂取は
禁止しました。

 主解析では、主要評価項目を
全てのタイプの浸潤性ガン、お
よび主要心血管イベント(心筋
梗塞、脳卒中、心血管死の複合)
の発生率とし、中央値5.3 年の
追跡期間におけるビタミンD摂
取(N Engl J Med 2019; 380:
33-44)とω-3脂肪酸摂取(N E
ngl J Med 2019; 380: 23-32)
の有無別に比較した結果、いず
れも有意差を認めなかったこと
を報告しています。

 ビタミンD群とプラセボ群の
ベースライン時における主な患
者背景は同等で、ともに女性51
%、平均年齢67.1歳、非ヒスパ
ニック系白人71%、黒人20%、
非黒人系ヒスパニック4%、BM
I 25未満/25~30未満/30以上
が31%/40%/29%、喫煙者7
%、800IU/日以下のビタミンD
服用歴43%でした。マンモグラ
フィや乳ガンバイオプシーなど
のガンスクリーニング受診歴、
25-ヒドロキシビタミンD,飲酒
状況、糖尿病の既往などについ
ても、両群で同様でした。

 前述の主解析では、2万5,871
人中1.617 人が浸潤性ガンを発
症し、プラセボ群に対するビタ
ミンD群の浸潤性ガン発症リス
ク〔ハザード比(HR)0.96、95
%CI 0.88~1.06、P=0.47〕、ガ
ンによる死亡リスク(同0.83、
0.67~1.02、P=0.08)に有意差
ありませんでした。

 そこで、同氏らが17種のガン
種ごとに発症リスクを比較した
所、子宮ガンでのみ有意差を認
めました(ビタミンD群0.3% vs.
プラセボ群0.2%、HR 1.75、95
%CI 1.01~3.03、P =0 .046) 。
更に、進行性ガン(転移性また
は致死性)の発症率を比較する
と、プラセボ群の2.1%に対しビ
タミンD群では1.7%と有意にリ
スクが低下し、2年目以降に差
が開いていました(同0.83、0.
69~0.99、P=0.04、図)。

 進行性ガンによる死亡はビタ
ミンD 群が16人/1万2,927人、
プラセボ群が,24人/1万2,944人
でした。

 ω-3脂肪酸投与の有無別に見
た解析では、進行性ガンの発症
率にω-3脂肪酸群とプラセボ群
で有意差およびω-3脂肪酸摂取
による交互作用はありませんで
した。さらに、ベースライン時
のBMI ごとにビタミンD摂取に
よる進行性ガンの発症リスクを
比較した所、BMI 25未満の非肥
満集団ではプラセボ群と比べて
ビタミンD摂取群で有意にリス
クが低下したしたものの(HR 0
.62、95%CI 0.45~0.86),過体
重や肥満に分類されるBMI 25~
30未満(同0.89、0.68~1.17)
や、BMI 30以上(同1.05、0.74
~1.49)の集団では有意差はあ
りませんでした。

 今回の結果を踏まえ、Chandl
er氏は「最も発症が多かった前
立腺ガンを除外した解析でも、
進行性ガンの発症リスクはプラ
セボ群と比べてビタミンD摂取
群で低いという結果がでました。
この傾向は、BMI が正常の集団
において最も顕著であった」と
し、「たとえ、ガン発症抑制に
及ぼすビタミンD摂取の影響が
さほど大きくなくても、VITAL
試験におけるビタミンD摂取は
多くの既存のガン治療法よりも
毒性が低く、低コストである」
と指摘しました。

ビタミンDとガンの関係につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 細胞の性状が正常であった。


 
 
 
 
 
 
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2】 食物アレルギーPTS法で,質量分析測定を効率化した

 
 
 
 
 
 
 千葉大学は、12月7日、食物
アレルギーの唯一の治療法であ
りながら、その機序についてい
まだ不明点が多かった経口免疫
療法の治療メカニズムの一端を
解明したと発表しました。これ
は、同大大学院医学研究院・倉
島洋介准教授、東京大学医科学
研究所・清野宏教授、高里良宏
医師の研究グループと、慶應大
学、順天堂大学、日本大学、カ
リフォルニア大学を含む多施設
との共同研究によるものです。
研究成果は、「Mucosal Immuno
logy」オンライン版に掲載され
ています。

 食物アレルギーは、白血球の
一種であるマスト細胞がアレル
ゲンを受容し、ヒスタミンなど
のアレルギー物質を放出するこ
とで発症する疾患です。日本で
約120 万人の患者さんがいると
されており、かゆみやじんまし
ん、おう吐、下痢のほか、最悪
の場合、ショックを起こして死
に至るケースもあります。

 研究グループは今回、食物ア
レルギーの有望な治療法である
経口免疫療法に着目しました。
しかし、同治療法は研究段階で
あり、どのような作用機序でア
レルギーの根治につながってい
るのかについての情報は多くあ
りませんでした。また、治療中
の副反応や成功率の低さも課題
となっています。これまで、経
口免疫療法を行うことで、ヒス
タミンを産生しアレルギーを発
症させるマスト細胞の低応答化
とアレルギーの抑制細胞である
制御性T細胞が増えるという2
つの現象は知られていましたが、
治療の中でマスト細胞の低応答
化と制御性T細胞の増加がどの
ように関連しているのかは不明
でした。

 研究グループは、独自に食物
アレルギーの経口免疫治療モデ
ルマウスを作製し、実験を行い
ました。その結果、経口免疫療
法を行いアレルギー症状が軽減
された群では、マスト細胞は低
応答の状態になるだけでなく、
アレルギーを抑制する制御性T
細胞を増やす蛋白質(IL-2)や、
アレルギー症状を抑える蛋白質
(IL-10) を産生し、アレルギ
ーを起こす悪玉細胞からアレル
ギー反応を抑える善玉細胞へと
その性質が変化していることを
発見しました。また、食物アレ
ルギーの経口免疫治療の途中に
マスト細胞をマウスの体から除
去した所、制御性T細胞が減少
すると同時に制御性T細胞のア
レルギーを抑える性質も低下し
ていることも明らかになりまし
た。

 さらに、経口免疫療法を試験
管内で模倣した所、アレルギー
の抑制物質を放出するように変
化した善玉マスト細胞の作製に
成功しました。つまり、経口免
疫療法によるアレルギー治療の
成功には、アレルギーを起こす
マスト細胞がアレルギー物質を
放出させないように低応答化す
るだけではなく、マスト細胞自
身がアレルギーを抑える細胞へ
と機能を転換させるメカニズム
が重要であることが判明しまし
た。

 今回の研究成果により、不明
点が多かった経口免疫療法を成
功させる鍵の一つが明らかとな
りました。今後は、アレルギー
の悪玉細胞を善玉細胞へと効率
的に切り替えるスイッチ機構が
明らかになれば、それを応用し
た切り替え促進薬の開発が期待
されます。「スイッチ機構を制
御し悪玉細胞から善玉細胞への
切り替えを安定して行えるよう
にすることで、食物アレルギー
治療の精度向上に貢献できると
考える」と、研究グループは述
べています。

食物アレルギーについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 スイッチ機構についての講義
を聴こう。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 米・Harvard Medical School
のPaulette D. Chandler氏らが、
米国の一般人2万8,571人を対象
に高用量のビタミンD3、ω-3脂
肪酸摂取による全てのタイプの
浸潤性ガン、および主要心血管
疾患の予防効果を検証した大規
模ランダム化比較試験VITAL の
二次解析結果をJAMA Netw Open
(2020; 3: e2025850) に報告
したのは、素晴らしい業績です。
最も発症が多かった前立腺ガン
を除外した解析でも、進行性ガ
ンの発症リスクはプラセボ群と
比べてビタミンD摂取群で低い
という結果が出たわけですから、
進行性ガンの発症リスクを抑え
る効果は、確かであり、VITAL
試験におけるビタミンD摂取は
多くの既存のガン治療法よりも
毒性が低く、低コストであると
言うことから、誰でもできる、
リスク回避であると言えましょ
う。ただ摂取過剰症があること
は、忘れてはなりません。
 千葉大学が、12月7日、食物
アレルギーの唯一の治療法であ
りながら、その機序についてい
まだ不明点が多かった経口免疫
療法の治療メカニズムの一端を
解明したと発表したのは、素晴
らしい業績です。経口免疫療法
によるアレルギー治療の成功に
は、アレルギーを起こすマスト
細胞がアレルギー物質を放出さ
せないように低応答化するだけ
ではなく、マスト細胞自身がア
レルギーを抑える細胞へと機能
を転換させるメカニズムが重要
であることが判明したというこ
となので、これは不明点が多か
った経口免疫療法を成功させる
鍵の一つと言えましょう。今後
は、アレルギーの悪玉細胞を善
玉細胞へと効率的に切り替える
スイッチ機構が明らかになるこ
とで、それを応用した切り替え
促進薬の開発に大いに期待した
いと思います。

 公立高校に効率よく入学でき
た。           笑

 
 
 
 
 
 
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