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2021-11-01 20:46:47

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診療マル秘裏話  号外Vol.1999 令和2年12月31日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)肝ガン新規バイオマーカーST6GAL1の同定に成功と発表
2)原発性腋窩多汗症の初の保険適用有する外用薬

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 肝ガン新規バイオマーカーST6GAL1の同定に成功と発表

 
 
 
 
 
 大阪大学は12月8日、肝ガン
では患者さんごとに異なるさま
ざまなガン遺伝子の異常が発症
に関与している(腫瘍間不均一
性)ことから、これらガン遺伝
子の違いがガンの悪性度や薬物
療法の治療効果に影響を与えて
いると仮説を立て、新たなマウ
スモデルを樹立することで、新
規バイオマーカーST6GAL1 の同
定に成功したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学系
研究科の明神悠太医員、小玉尚
宏助教、竹原徹郎教授(消化器
内科学)らの研究グループによ
るものです。研究成果は、「Cl
inical Cancer Research」に掲
載されています。

 C型肝炎、B型肝炎、並びに近
年増加傾向にある非アルコール
性脂肪肝炎(NASH)などの慢性
肝疾患の患者さんは病気の進行
に伴い肝ガンを併発することが
知られており、その発症は生命
予後に大きな影響を与えます。
肝ガンは、現在日本においてガ
ンによる死亡原因のうち第5位
となっている極めて予後不良な
疾患です。特に悪性度の高い肝
ガンは早期発見が極めて重要で
すが、現在用いられている腫瘍
マーカーの感度は十分ではなく、
悪性度の高い肝ガンを同定出来
る有用なバイオマーカーはあり
ませんでした。また、進行肝ガ
ンに対してはこれまでマルチチ
ロシンキナーゼ阻害薬(TKI)
であるソラフェニブとレンバチ
ニブが標準治療として使用され
てきました。現在異なる作用機
序を有する新たな治療薬も開発
されていますが、この2剤のTKI
は肝ガン治療において重要な役
割を担っています。一方で、2
剤の治療効果は同程度であり薬
剤選択の指標となる有用なバイ
オマーカーはありませんでした。

 ガンは遺伝子の変異による病
気であるという考え方に基づき、
近年多数例の肝ガンを対象とし
たガンゲノムシークエンス解析
が世界的なプロジェクトとして
行われてきました。その結果、
肝ガンにおいては病態進展に関
わるガン遺伝子の異常が非常に
多様で、患者さんごとに異なる
ことから、極めてガン遺伝子の
腫瘍間不均一性が高いことが明
らかとなりました。一方で、こ
の腫瘍間不均一性が薬物療法の
治療効果に与える影響はよく分
かっていませんでした。

 今回、研究グループは、ガン
遺伝子の違いによる腫瘍間不均
一性が、ガンの悪性度や薬物療
法の治療効果に影響を与えてい
ると仮説を立て研究を開始しま
した。まず複数のガン遺伝子を
一度に肝細胞に導入する手法を
確立し、これによりガン遺伝子
がランダムに活性化した腫瘍間
不均一性の高い肝ガンを発症す
る新規のマウスモデルを作製す
ることに成功しました。

 そこで、このモデルに対して
レンバチニブ治療を行った所、
FGF19 遺伝子を発現した腫瘍の
割合が無治療群と比べて有意に
減少し、FGF19 高発現肝ガンが
レンバチニブに対して高感受性
であることを見出しました。次
に肝ガン細胞株を用いたプロテ
オーム解析により、FGF19 の発
現制御を受ける分泌蛋白質ST6G
AL1 を同定しました。

 また肝ガン外科切除例の検討
から、血清ST6GAL1 により予後
不良なFGF19 高発現肝ガンを選
別できることを見出しました。
さらに、血清ST6GAL1 濃度に基
づいて患者さんを層別化すると、
ST6GAL1 高値群ではレンバチニ
ブ治療群の予後がソラフェニブ
治療群より有意に延長している
ことを見出しました。以上より、
血清ST6GAL1 濃度が高悪性度肝
ガンの同定や肝ガン薬物療法に
おける最適な薬剤選択のバイオ
マーカーとして有用である可能
性が明らかとなりました。

 研究グループは、「バイオマ
ーカーST6GAL1 の臨床応用が進
むことで、慢性肝疾患患者にお
ける高悪性度肝ガンの発見や、
進行肝ガン患者における薬物療
法のより最適・最良な薬剤選択
が可能となり、生命予後の改善
に寄与することが期待される」
と、述べています。

肝細胞ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 高悪性度肝ガンの研究をガン
ガン行った。       笑

 
 
 
 
 
 
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2】 原発性腋窩多汗症の初の保険適用有する外用薬

 
 
 
 
 
 
 温熱や精神的負荷の有無にか
かわらず、汗腺が密集している
頭部・顔面、手掌、足底、腋窩
に大量の発汗を生じる多汗症と
言われる病気があります。国民
の7人に1人が悩みを抱えており、
精神的な苦痛を伴う場合も多い
ということです。このうち「原
発性腋窩多汗症」に対する初の
保険適用を有する外用薬として、
ソフピロニウム(商品名エクロ
ック)が11月26日に発売されま
した。それに先立ち、科研製薬
が11月20日に開催したオンライ
ンプレスセミナーで、東京医科
歯科大学大学院皮膚科分野教授
の横関博雄氏が講演し、「ソフ
ピロニウムは簡便に使用でき、
副作用が少ない薬剤」と解説し
ました。「皮膚科だけでなく、
内科などでも処方可能な薬剤。
今後は、患者を治療できる診療
科が増える可能性がある」と期
待感を示しました。

 多汗症は体温調節の役割を担
うエクリン汗腺の機能亢進によ
り、全身性あるいは局所性に過
剰に発汗を生じる疾患です。エ
クリン汗腺は交感神経により調
節されており、アセチルコリン
がエクリン汗腺のムスカリン受
容体サブタイプ3(M3)を刺激、
発汗を誘発すると考えられてい
ます。全身の発汗が増加する「
全身性多汗症」と体の一部のみ
発汗量が増加する「局所多汗症」
に大別され、基礎疾患がないの
に過剰に発汗する「原発性多汗
症」と他の疾患が原因で過剰に
汗が出る「続発性多汗症」に分
けられます。

 患者さんの平均年齢は37歳と
いう報告があり、働き世代の罹
患率が高く、日常生活にも多大
な影響を及ぼすということです。

 このうち、原発性局所多汗症
は、局所的に過剰な発汗の明ら
かな原因がないまま、手掌、腋
窩、頭、顔面に過去6カ月の間
認められ、以下の6項目中2項目
以上満たすものを言います。1.
両側性で左右対称性2.毎日の生
活に支障を来す 3.1週間に最
低1回の大量の発汗発作がある
4.最初に症状が現れるのが25歳
以下5.家族歴がある6.睡眠中は
局所多汗を認めない

 発汗部位によって、幾つかの
タイプがあり、脇の下に大量の
汗をかく「腋窩多汗症」、手掌
に多汗症が見られる「手掌多汗
症」、足底に見られる「足底多
汗症」などがあります。厚生労
働省の研究班の調査によると、
有病率はそれぞれ人口の5.7%、
5.3%、2.7%との報告がありま
す。

 多汗症は生活にさまざまな影
響を及ぼし、QOL が著しく低下
します。横関氏によると患者か
ら「授業中や試験中に手掌から
汗が止まらず常にタオルを持参
しているが、テストの際には学
校の許可が必要なため受験の際
には不安」「手がつなげない、
握手できない。子どもに嫌がら
れる」「携帯電話やパソコンが
錆びたり、壊れたりする」とい
った悩みが聞かれるということ
です。仕事や勉強への悪影響、
対人関係への支障から登校拒否
や進学を断念するケースもあり、
うつ病などの精神疾患を合併す
ることもあります。

 原発性腋窩多汗症の場合、シ
ャツに汗染みができて人目が気
になったり、衣服の選択が制限
されるケースもあります。また
頻繁な衣服の交換やシャワーが
必要になります。

 治療の第一選択薬は、汗腺を
塞いで発汗を抑える効果を有す
る塩化アルミニウム溶液ですが、
保険適用がなく院内製剤として
処方されており、医療現場から
は新たな外用薬が望まれていま
した。

 横関氏は従来の治療法の課題
について「塩化アルミニウム溶
液を調剤薬局で製剤調整して処
方されて外用療法を行っている
患者は、かなり少ない」と説明
しました。さらに「塩化アルミ
ニウム溶液で治療すると高率で
接触皮膚炎が起こるため、ステ
ロイド外用薬による治療が必要
になる」と述べました。

 外用薬の効果が不十分な場合
や副作用により継続が困難な場
合には、ボツリヌス療法(注射)
が第二選択薬と位置付けられて
います。しかし、侵襲性があり、
施行できるのは講習を受けた医
師に限定されています。また、
抗コリン薬やベンゾジアゼピン
系薬剤による内服療法も行われ
ますが、エビデンスレベルが低
いといった問題があります。

 そうした背景の下、登場した
のがソフピロニウムです。同薬
の有効性と安全性を検証した国
内第3相比較試験において、発
汗重量および自覚症状の指標と
した多汗症疾患重症度評価尺度
(HDSS)を検証した所、ソフピ
ロニウム群は基剤群と比べ有意
な改善を示しました。安全面で
は、塗布部位で皮膚炎などが見
られたものの、発現頻度は6.4%
と低く、多くは軽度で適切な処
置によって継続可能でした。

 試験結果で見られた皮膚炎な
どの副作用について、横関氏は
「臨床使用で問題となる事象で
はないと考えられる」とコメン
トしました。一方、全身性の抗
コリン作用に関連する副作用も
出現しますが、口喝が1.4%、散
瞳が0.7%と頻度は少なく、「適
正に使用することで臨床応用で
の問題は少ないと考えられる」
と述べました。

 これらを踏まえ、横関氏はソ
フピロニウムの利点として「保
険適用のある外用薬という点が
大きな強みになる。また、現在
使われている塩化アルミニウム
外用薬ではほぼ全例にかぶれな
どの副作用が生じるが、ソフピ
ロニウムは皮膚炎が生じる頻度
は極めて少ない。また、抗コリ
ン作用による全身への副作用が
出現しにくく、使いやすい薬剤
だ」と評価しました。

 ソフピロニウムの用法用量は
1日1回、適量を腋窩に塗布しま
す。ボツリヌス療法のような侵
襲性はなく、抗コリン薬で懸念
される全身性の副作用のリスク
も少ないとされています。使用
方法は、アプリケーター(塗布
具)にゲル状の薬液を載せて腋
窩に塗布するため、薬液に手を
触れずに使用でき、簡便かつ利
便性の高い治療法として期待さ
れています。

 現在、原発性局所多汗症治療
の大半は皮膚科で行われている
のが現状ですが、同氏はソフピ
ロニウムが使用できる施設につ
いて、原発性局所多汗症の診断
ができ、重症度の高い患者さん
を診断可能な医師であれば「十
分処方できる」との見方を提示
しました。「皮膚科だけでなく、
内科などの先生方でも処方可能
な薬剤ではないか。そうした点
からも原発性腋窩多汗症の診療
ができる科が増える可能性があ
り、非常によいこと」と述べま
した。

 さらに、ソフピロニウムの登
場が医療現場にもたらすインパ
クトにも言及しました。「一部
の診療科では原発性腋窩多汗症
は治療しなくても治るという医
師や、病気ではないという誤っ
た認識を持つ医師もいる」と苦
言を呈した上で、多汗症患者さ
んの受診率は6.0%にすぎない点
に触れ、「第一選択肢として保
険適用の外用薬が使えるように
なれば、疾患への認知が広まり、
治療を行う患者が増えるのでは
ないか」と受診率の向上に期待
を寄せました。

多汗症について解説している動

画です。ソフピロニウムは商品

名:エクロック®ゲル5%です。

 
 


 
 
 化膿した可能性が高い。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 大阪大学が12月8日、肝ガン
では患者さんごとに異なるさま
ざまなガン遺伝子の異常が発症
に関与している(腫瘍間不均一
性)ことから、これらガン遺伝
子の違いがガンの悪性度や薬物
療法の治療効果に影響を与えて
いると仮説を立て、新たなマウ
スモデルを樹立することで、新
規バイオマーカーST6GAL1 の同
定に成功したと発表したのは素
晴らしい業績です。血清ST6GAL
1 濃度が高悪性度肝ガンの同定
や肝ガン薬物療法における最適
な薬剤選択のバイオマーカーと
して有用である可能性が明らか
となったのは喜ばしいことです。
バイオマーカーST6GAL1 の臨床
応用が進むことで、慢性肝疾患
患者さんにおける高悪性度肝ガ
ンの発見や、進行肝ガン患者さ
んにおける薬物療法のより最適・
最良な薬剤選択が可能となり、
生命予後の改善に寄与すること
を期待したいと思います。ただ、
進行肝ガン患者さんにおける薬
物療法は、工夫が認められない
ことが多く、副作用の問題が多
くあり、たとえ最良な薬剤選択
が可能になったとしても、薬が
効かない耐性の問題があること
を申し述べておきます。
 温熱や精神的負荷の有無にか
かわらず、汗腺が密集している
頭部・顔面、手掌、足底、腋窩
に大量の発汗を生じる多汗症と
言われる病気があるのは以前か
ら知っていました。特に手掌の
多汗症については、漢方薬の荊
芥連翹湯という薬剤を使って治
療して来ました。塩化アルミニ
ウム溶液は、保険適用がなく院
内製剤として処方されていたと
言うことは知りませんでした。
しかし、アルミニウムは重金属
であるため、イオン化しやすく、
接触性皮膚炎を起こす可能性が
高いので、知っていたとしても、
使わなかったと思います。ソフ
ピロニウムの用法用量は1日1回、
適量を腋窩に塗布し、ボツリヌ
ス療法のような侵襲性はなく、
抗コリン薬で懸念される全身性
の副作用のリスクも少ないとさ
れているので、使いやすい外用
薬であるという印象を持ちまし
た。

 信州で侵襲のある治療を受け
た。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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