最近の号外Vol.1994メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1994メルマガ

2021-10-26 21:07:05

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.1994 令和2年12月25日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)前立腺特異的膜抗原が標的の診断・治療の検討
2)オランザピン惹起の非典型的な糖尿病発症のメカニズム

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 前立腺特異的膜抗原が標的の診断・治療の検討

 
 
 
 
 
 前立腺ガンの細胞表面に高発
現する蛋白質である前立腺特異
的膜抗原(PSMA)を標的とした
診断・治療の検討が進められて
います。米食品医薬品局(FDA)
は12月1日、ガリウム68(68Ga)
で標識したPSMAリガンドを用い
たPET 製剤である68Ga-PSMA-11
を、前立腺ガン転移および去勢
抵抗性前立腺ガン(CRPC)が疑
われる症例に対して初めて承認
しました。

 68Ga-PSMA-11は、静注投与に
より前立腺ガン細胞に高発現す
るPSMAに結合し陽電子を放出す
るため、PET により前立腺ガン
病変を可視化できます。68Ga-P
SMA-11の安全性と有効性は2件
の臨床試験で評価されました。

 1件目は、根治的前立腺全摘
除術または放射線療法の適応と
なる転移高リスク前立腺ガン患
者さん325 例を対象とした試験
です。FDA によると、68Ga-PSM
A-11を用いたPET/CTあるいはP
ET/MRI で骨盤リンパ節転移が
陽性であった患者さんでは転移
を有する割合が高く、術前に、
これらの情報を得ることは不要
な手術を回避できるなど治療に
重要な影響を及ぼすということ
です。

 もう1件は、前立腺全摘後に
生化学的再発を来した前立腺ガ
ン患者さん635 例を対象とした
試験で、骨、前立腺床、骨盤リ
ンパ節、骨盤外軟部組織などに
おける68Ga-PSMA-11 PET/CTの
陽性率は74%でした。また68Ga
-PSMA-11 PET/CT陽性のうち、
前立腺特異的抗原(PSA) 値の
データを有する症例の91%で局
所再発もしくは転移が認められ
たことから、68Ga-PSMA-11 PET
/CT は局所再発・転移部位の特
定により治療に貢献できるとい
うことです。

 なお、68Ga-PSMA-11静注によ
る重篤な副作用は報告されてお
らず、主な副作用として悪心、
下痢、めまいが認められたとい
うことです。

PSA検査の重要性について解説

している動画です。

 
 


 
 
 会費を回避しないで頂きたい。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 オランザピン惹起の非典型的な糖尿病発症のメカニズム

 
 
 
 
 
 
 京都大学は12月2日、第二世
代抗精神病薬オランザピン(商
品名:ジプレキサ)が引き起こ
す、非典型的な糖尿病発症の分
子メカニズムを明らかにしたと
発表しました。この研究は、同
大大学院理学研究科の森和俊教
授、蜷川暁同特定助教らの研究
グループによるものです。研究
成果は、米国際学術誌「eLife」
にオンライン掲載されています。

 オランザピンは、統合失調症
の症状を抑えるために使用され
ますが、副作用として糖尿病を
引き起こす場合もあり、日本で
は糖尿病患者への投与は禁忌と
されています。

 これまで、オランザピン誘発
性の糖尿病は、肥満やインスリ
ン抵抗性によって専ら説明され
てきましたが、通常の糖尿病症
例では説明できない特殊な症例
もありました。例えば、インス
リン抵抗性などで糖尿病になる
場合には、発症まで通常数年か
かりますが、オランザピン誘発
性糖尿病の場合では、半年以内
に発症する場合もあります。

 今回の研究では、オランザピ
ン誘発性糖尿病発症メカニズム
の解析を、インスリン分子の品
質管理の観点から実施しました。
インスリン分泌のためには、そ
の前駆体プロインスリンが小胞
体で成熟型となることが必須で
す。マウス膵β細胞由来のMIN6
細胞株にオランザピンを投与し
た所、インスリンの分泌抑制が
観察されました。

 インスリンそのものの存在場
所に変化はありませんでしたが、
通常状態ではインスリン分泌顆
粒に主に存在しているプロイン
スリンが、オランザピン処理後
には小胞体に存在していました。
オランザピンによって小胞体に
留められたプロインスリンには
顕著な構造異常が認められ、細
胞質に逆行輸送され、プロテア
ソームによって分解されていた
ということです。

 また、ヒトへの投与量を換算
した量のオランザピンをマウス
に内服させ、数週間後に膵島を
単離して解析しました。その結
果、プロインスリンの構造異常
とその存在量低下が認められま
した。

 今回明らかになった、新たな
オランザピン作用機序の分子基
盤は、オランザピンが直接膵β
細胞へ毒性を発揮し、プロイン
スリンの成熟(適切な構造形成)
を妨げ、その結果、インスリン
分泌を阻害していることを示し
ています。このことは、オラン
ザピン内服者のうち、肥満やイ
ンスリン抵抗性を介さずに糖尿
病を発症する患者さんが現れる
病因の説明となるとしています。

 「同研究成果は、オランザピ
ン処方時や内服時に今後考慮さ
れるべきであると考える」と研
究グループは述べています。

オランザピンについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 病院で病因の説明を受けた。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 米食品医薬品局(FDA) が12
月1日、ガリウム68 (68Ga)で
標識したPSMAリガンドを用いた
PET 製剤である68Ga-PSMA-11を、
前立腺ガン転移および去勢抵抗
性前立腺ガン(CRPC)が疑われ
る症例に対して初めて承認した
のは、画期的な試みだと思いま
す。前立腺ガンの細胞表面に高
発現する蛋白質である前立腺特
異的膜抗原(PSMA)を標的とし
た診断・治療の検討が進められ
ているということですから、喜
ばしいことです。68Ga-PSMA-11
静注による重篤な副作用は報告
されておらず、主な副作用とし
て悪心、下痢、めまいが認めら
れたということですから副作用
を深刻に考えなくても良いとい
う検査だと言えるでしょう。
 京都大学が12月2日、第二世
代抗精神病薬オランザピン(商
品名:ジプレキサ)が引き起こ
す、非典型的な糖尿病発症の分
子メカニズムを明らかにしたと
発表したのは、素晴らしい業績
です。今回明らかになった、新
たなオランザピン作用機序の分
子基盤は、オランザピンが直接
膵β細胞へ毒性を発揮し、プロ
インスリンの成熟(適切な構造
形成)を妨げ、その結果、イン
スリン分泌を阻害していること
を示しているということですか
ら、全く新しい機序の糖尿病の
発症ということになると思いま
す。このことは、オランザピン
内服者のうち、肥満やインスリ
ン抵抗性を介さずに糖尿病を発
症する患者さんが現れる病因の
説明となるので、謎が一つ解明
されたということでしょう。

 警世の言葉を発して、世論を
形成する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。