最近の号外Vol.1993メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1993メルマガ

2021-10-25 20:46:58

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.1993 令和2年12月24日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)大腸ガン進行が線維芽細胞の多様性により制御
2)ベルベリンがMITOL発現量増加し毛髪加齢変化抑制

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 大腸ガン進行が線維芽細胞の多様性により制御

 
 
 
 
 
 名古屋大学は11月19日、大腸
ガンの進行が線維芽細胞の多様
性により制御されていることを
明らかにしたと発表しました。
この研究は、同大大学院医学系
研究科の小林大貴大学院生(名
古屋大学・アデレード大学国際
連携総合医学専攻/ジョイント
ディグリープログラム)、榎本
篤教授、髙橋雅英名誉教授ら、
豪アデレード大学のSusan Wood
s博士,南オーストラリア健康医
学研究所のDaniel Worthley 博
士、藤田医科大学の浅井直也教
授らとの研究グループによるも
のです。研究成果は、米国消化
器病学会「Gastroenterology」
オンライン版に掲載されていま
す。
 ガンでは、その周囲部にガン
細胞以外の間質細胞が存在しま
す。間質細胞のうち、線維芽細
胞の増生が大腸ガンの進展に著
しい影響を与えていることが、
今までの研究から示されていま
す。ガン組織の中に存在する線
維芽細胞は、関連線維芽細胞(
Cancer-associated fibroblast
s:CAF)と呼ばれ、ガンを促進
する「ガン促進性線維芽細胞」
とガンを抑制する「ガン抑制性
線維芽細胞」の2種類あること
が、近年の研究から示唆されて
います。しかし、どのような分
子機構により、これらの機能的
な違いが決定されるのかは明ら
かではありません。このため、
特定のCAF を標的とする効果的
な治療法の開発は困難を極めて
います。

 大腸を含む多くの正常臓器に
おいて、間質細胞や上皮細胞が
分泌する骨形成因子(bone mor
phogenetic protein:BMP)は、
生理的状態の維持に重要である
ことが知られています。例えば、
正常大腸においては、間質細胞
が繊細に調節するBMP の濃度勾
配により、大腸上皮細胞の増殖・
分化が正常に保たれています。
一方、大腸ガンにおいては、BM
P がどのように間質細胞により
調節され、それがどのように大
腸ガン進展に影響を与えるのか
は明らかではありませんでした。

 今回、研究グループは、大腸
ガン組織中の異なるCAF に発現
するメフリン(別名:ISLR)と
グレムリン1が、大腸ガンのBM
P のシグナルを調節することに
より、それぞれ、ガンを抑制お
よび促進することを明らかにし
ました。

 まず、網羅的な遺伝子解析デ
ータを用いて、大腸ガンのCAF
での特異的なBMP 関連遺伝子と
して、メフリンとグレムリン1
を同定しました。研究グループ
の先行研究により、メフリンは
膵ガンにおける「ガン抑制性CA
F」 のマーカーであり、BMP シ
グナルを増強する役割を有する
ことが明らかになっています。

 研究グループのDaniel Worth
ley博士らは、BMPシグナルを抑
制する分子であるグレムリン1
の消化管における機能の研究を
専門としています。そこで、小
林大貴大学院生がアデレード大
学に派遣され、メフリン陽性お
よびグレムリン1陽性CAFが大腸
ガン進行に与える影響の研究が
行われました。

 病理組織検体を用いた遺伝子
発現解析により、メフリンを多
く発現する大腸ガン患者さんは
良好な予後を示し、グレムリン
1を多く発現する大腸ガン患者
さんは悪い予後を示したという
ことです。

 CAF の分化に重要な役割を果
たすTGF-βシグナル活性の違い
が、大腸ガン周囲でのメフリン
陽性CAF とグレムリン1陽性CAF
の分化を決定していることが明
らかになりました。

 また、グレムリン1の機能を
抑制、あるいは、メフリンを増
やすことで、BMP シグナルが増
強され、大腸ガンの増殖が抑え
られることが分かったというこ
とです。

 これらの結果から、今まで明
らかでなかった「ガン促進性CA
F」 および「ガン抑制性CAF」
は、それぞれグレムリン1およ
びメフリンにより規定され、CA
F の機能的な多様性の本態はBM
P 発現量の違いによるものであ
る可能性が示唆されました。

 手術や薬剤が進歩した現在で
も、ガンの肝臓転移は、ガンに
よる死亡の大きな原因の1つで
す。続いて研究グループは、特
殊なウイルスベクターを使って
正常マウスの肝臓細胞にメフリ
ンを分泌させることにより、大
腸ガン肝転移の進行が抑えられ
ることを発見しました。今まで
の所、遺伝性疾患の血友病にお
いては、特殊なウイルスベクタ
ーを用いて正常肝臓細胞に不足
している遺伝子を届けることで、
患者さんの症状が改善すること
が、臨床試験で示されています。

 同研究グループが知る限り、
今回の研究は肝臓細胞に特異性
の高いウイルスベクターを用い
てガンの肝転移進行が抑制でき
る可能性があることを示した最
初の研究成果であり、今後は肝
転移をおこしやすい他の消化器
系ガンでも検証していく必要が
あるとしています。

 約50年前に最初に同定された
BMP は、現在、消化管上皮の生
理的状態の維持やガン細胞自体
の増殖の調節に関わっているこ
とは知られていますが、ガン間
質のBMP シグナルがどのように
調節されているかは明らかでは
ありませんでした。今回の研究
で、大腸ガンにおける間質のBM
P シグナル調節には、CAF が分
泌するメフリンとグレムリン1
が貢献していることが明らかと
なりました。

 今まで理解が不十分であった
CAF の機能的な多様性は、メフ
リンとグレムリン1の発現のバ
ランスと、それによるBMP シグ
ナルの制御で説明できる可能性
があり、本研究は、今後のCAF
の多様性の研究の発展に大きく
寄与するものと推察されます。

 また、ガンに対する新規治療
法の開発において、間質細胞を
介した「ガン抑制性BMP シグナ
ル」の増強は、今後の重要な治
療標的となると考えられる、と
研究グループは述べています。

TGF-βシグナルについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 
 成魚の発育を制御する。 笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 ベルベリンがMITOL発現量増加し毛髪加齢変化抑制

 
 
 
 
 
 
 大正製薬は、生薬「オウレン」
「オウバク」から抽出したエキ
スの主成分「ベルベリン」にか
かわる新知見を得ました。学習
院大学理学部生命科学科の柳茂
教授との共同研究の成果です。
ベルベリンがミトコンドリアの
形態制御などを行う分子「MI
TOL」の表皮中発現量を増加
させること、加齢にともなう「
17型コラーゲン(COL17A
1)」の発現低下を抑制する可
能性を見いだしました。MIT
OL、COL17A1の発現低
下はともに、毛髪の加齢変化に
影響するため、知見を応用した
エイジングケア製品の開発が、
期待されます。

 両者はミトコンドリアの形態
制御、品質管理などにかかわる
MITOLに着目した共同研究
を進めています。MITOLの
発現低下が毛包や皮膚の機能低
下(脱毛、白髪)に関与するこ
と、オウレン、オウバクエキス
がMITOL発現を高めること
を見いだしてきました。MIT
OL賦活成分を活用したヘアケ
ア技術「マイトチャージ・テク
ノロジー」も開発しています。

 今回はオウレン、オウバクエ
キスに含まれるベルベリンに着
目しました。表皮中のMITO
L発現量を増加させることを突
き止めました。毛包幹細胞と色
素幹細胞が働きを維持するうえ
で重要なCOL17A1の加齢
による発現低下を抑制する可能
性があることも分かりました。

 成果は今秋、都内で開催され
た「第38回日本美容皮膚科学会
総会・学術大会」のなかで発表
しました。

最新の毛髪再生療法について

解説している動画です。

 
 


 
 
 鰈が華麗に加齢した。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 名古屋大学が11月19日、大腸
ガンの進行が線維芽細胞の多様
性により制御されていることを
明らかにしたと発表したのは、
素晴らしい業績です。今まで理
解が不十分であったCAF の機能
的な多様性は、メフリンとグレ
ムリン1の発現のバランスと、
それによるBMP シグナルの制御
で説明できる可能性があり、本
研究は、今後のCAF の多様性の
研究の発展に大きく寄与するも
のと推察されるということです
ので、CAF をターゲットにした
ガン治療薬の創生に期待したい
と思います。
 ベルベリンがミトコンドリア
の形態制御などを行う分子「M
ITOL」の表皮中発現量を増
加させること、加齢にともなう
「17型コラーゲン(COL17
A1)」の発現低下を抑制する
可能性を見いだしたこととMI
TOL、COL17A1の発現
低下はともに、毛髪の加齢変化
に影響するため、知見を応用し
たエイジングケア製品の開発が、
期待されるということですから、
脱毛症や白髪の患者さんにとっ
ては、希望の光が見えてきたと
言っても過言ではないでしょう。

 携帯電話の形態を説明する。


 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。