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2021-10-19 22:36:33

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診療マル秘裏話  号外Vol.1988 令和2年12月18日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)抗菌・抗真菌活性やガン細胞毒性を持つ化合物
2)武漢熱中和抗体治療薬をFDAが緊急使用許可

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 抗菌・抗真菌活性やガン細胞毒性を持つ化合物

 
 
 
 
 
 東京理科大学は11月24日、抗
菌・抗真菌活性やガン細胞に対
する細胞毒性などを有すること
が知られている天然化合物N-ア
ルキルフェナジノン類を容易に
調製できる新規合成法の開発に
成功し、細胞毒性試験の結果、
天然化合物よりもさらに高いガ
ン細胞選択性を示す誘導体を見
出したと発表しました。この研
究は、同大理工学部応用生物科
学科の倉持幸司教授らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、「ACS Omega」 に掲載さ
れています。

 フェナジンは、窒素原子を含
む複素環式化合物です。これま
で、100 種類以上のフェナジン
誘導体が天然化合物として同定
され、6,000 種を超えるフェナ
ジン類の化学合成が報告されて
います。その中で、N-アルキル
フェナジノンは天然化合物とし
ては11種しか知られておらず、
これまでPseudomonas属やStrep
tomyces 属などの細菌から単離
されてきました。

 例えば、緑膿菌(Pseudomona
s aeruginosa)からは、N-アル
キルフェナジノンで最も単純な
構造のピオシアニンが単離され、
Streptomyces属の放線菌からは
ラバンズシアニン(別名WS-965
9 A)やその2位の炭素原子にハ
ロゲン原子(塩素または臭素)
が結合した化合物であるWS-965
9 B、マリノシアニンA、また、
マリノシアニンA とは異なるア
ルキル基を有する化合物である
マリノシアニンB などが単離さ
れ、抗菌・抗真菌活性、ガン細
胞に対する細胞毒性、バイオフ
ィルム形成、クオラムセンシン
グ(自身と同種の菌の生息密度
の感知と物質産生制御)、免疫
反応抑制など、さまざまな生物
活性に関わっていることが明ら
かになっています。

 そのため、N-アルキルフェナ
ジノン類は医薬品としての応用
に関心が持たれていますが、こ
れまで簡便な合成法が確立され
ていませんでした。また、試料
として十分な量の入手が困難で
あり、化学構造と生物活性との
相関や作用機序などに関する知
見が十分には得られていません
でした。

 倉持教授らの研究グループは、
N-アルキルフェナジノンおよび
そのハロゲン化物の新規合成法
の開発を目指して研究を開始し、
2019年に、N-アルキルベンゼン
-1,2-ジアミンと,1,2,3-ベンゼ
ントリオールの酸化的カップリ
ング反応が酸素雰囲気下に置く
だけで進行してN-アルキルフェ
ナジノン(ピオシアニン、ラバ
ンズシアニン)が得られること
と、それにN-ブロモスクシンイ
ミド(NBS)を反応させると2位
の炭素原子に臭素原子が結合し
た誘導体(マリノシアニンA、B)
が得られることを報告。

 今回は、さらに簡便な合成法
の開発と共に、まだ得られてい
なかった塩化物の合成を試み、
さらには得られたそれぞれの化
合物の細胞毒性の評価を行いま
した。

 まず、N-アルキルフェナジノ
ンの合成と、それに続く2位の
炭素のハロゲン化の2段階合成
を用いて塩化物の合成を試しま
した。その結果、臭化物とは異
なり、4位の炭素に塩素が選択
的に結合した化合物が主成分と
して得られることが分かりまし
た。4位の炭素のすぐ近くには
比較的大きなN-アルキル基があ
り、立体障害によって臭素は4
位よりも2位の炭素と結合する
一方、塩素はファンデルワール
ス半径が臭素よりも小さいため、
4位と結合することが示唆され
ました。

 そのため、今回の研究では、
N-アルキルフェナジノンを合成
した後に塩素化を行うという2
段階合成ではなく、N-アルキル
ベンゼン-1,2-ジアミンと,もと
もと目的の位置が塩素化された
4-クロロ-1,2,3-ベンゼントリ
オールをワンステップで酸化的
カップリングさせることを試み
ました。

 酸化剤として酸素、1,4-ベン
ゾキノン、o-クロラニルをそれ
ぞれ試し、この場合でも酸素の
場合に最も高い収率が得られる
こと、添加物として塩基である
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸セシウムをそれぞれ添加し
た場合では炭酸セシウムの場合
に収率が最も高くなることを見
出しました。

 そこで、N-アルキルベンゼン
-1,2-ジアミンと4-クロロ-1,2,
3-ベンゼントリオール(または
4-ブロモ-1,2,3- ベンゼントリ
オール)を酸素雰囲気下、炭酸
セシウムを添加する条件で酸化
的カップリング反応をそれぞれ
行い、2位の炭素が塩素化また
は臭素化されたN-アルキルフェ
ナジノンを計6種、合成(塩化
物:収率17~21%、臭化物:収
率10~18%)。そのうち、ラバ
ンズシアニンの2位の炭素が塩
素化された天然化合物(WS-965
9 B) はこれまで天然由来のも
のしか報告されておらず、初め
ての化学合成例だということで
す。

 次に、2位の炭素がハロゲン
化されていない3種のN-アルキ
ルフェナジノンを含めて、今回
合成した計9種のN-アルキルフ
ェナジノンの細胞毒性とガン細
胞に対する選択性を評価しまし
た。9種それぞれを添加した条
件で、ヒト前骨髄性白血病細胞
(HL-60),ヒト肺腺ガン細胞(
A549)、正常なヒト肺線維芽細
胞(MRC-5) をそれぞれ培養し、
IC50(細胞生存率が50%になる
濃度:値が小さいほど細胞毒性
が高い)を測定しました。また、
MRC-5細胞に対するIC50 をA549
細胞に対するIC50で割った値(
SI)をそれぞれ算出し、ガン細
胞に対する選択性の指標としま
した(SIが2を超えるとガン細
胞に対する選択性があると言え
ます)。

 その結果、ラバンズシアニン
(WS-9659 A)、WS-9659 B、マ
リニシアニンA,マリノシアニン
B、マリノシアニンBの類縁体2
種(置換基なし、および2位炭
素を塩素化した化合物)の計6
種はそれぞれの細胞に対する細
胞毒性が高いものの、SI値が0.
49~1.79と低く、肺腺ガンにお
けるガン細胞選択性は低いこと
が分かりました。

 一方、構造のより単純なN-ア
ルキルフェナジノン類(アルキ
ル基はメチル基)の3種(ピオ
シアニン、2-クロロピオシアニ
ン、2-ブロモピオシアニン)は、
それらよりも細胞毒性は若干緩
やかであるものの、SI値が高く、
特にピオシアニンはSI=3.95、
2-クロロピオシアニン(非天然
化合物)はSI=5.80と顕著なガ
ン細胞選択性を示すことが明ら
かとなりました。

 今回の研究において、一連の
N-アルキルフェナジノン誘導体
の簡便な合成法の開発に成功し
たため、研究グループでは今後、
化学構造とガン細胞選択性の相
関や作用機序についてさらに研
究を進める予定だとしています。

 倉持教授は同研究の成果につ
いて、本論文で発見した化合物
は細胞レベルでしか効果を確か
めていないので、今後は動物レ
ベルでの抗ガン作用を検証し、
もし動物レベルで効果が検証で
きた場合には安全性試験や臨床
試験を進めていきたいと、述べ
ています。

同じく東京理科大学の研究で、

真菌由来の化合物を合成したと

いう業績についての動画です。

 
 


 
 
 簡便な合成法の開発に成功し
たため、既存の業者から簡便し
てと言われた。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 武漢熱中和抗体治療薬をFDAが緊急使用許可

 
 
 
 
 
 
 米国食品医薬品局(FDA)
は、米リジェネロン・ファーマ
シューティカルズが開発した武
漢熱治療薬に対し緊急使用許可
(EUA)を出しました。中和
抗体2種類を組み合わせた「カ
クテル療法」で、武漢熱に感染
したトランプ米大統領にも投与
された治療薬です。先ごろEU
A取得した米イーライリリーに
続き、米国で2つ目の抗体治療
薬になります。

 武漢熱ウイルスの感染を阻害
する2種類の抗体「カシリビマ
ブ」「イムデビマブ」を組み合
わせた治療薬です。12歳以上の
小児、高齢者を含む成人を対象
に、重症化リスクが高い軽症~
中等症の武漢熱に対する治療薬
として緊急使用が認められまし
た。両抗体を点滴静注で1回投
与して治療します。重症患者さ
んは適応外となっています。酸
素吸入が必要な重症例に投与す
ると、症状が悪化する可能性が
あるということです。

 まず月内に8万人分を出荷、
来年1月中には30万人分を用意
する予定です。製造にはスイス・
ロシュも協力します。米国外で
の開発はロシュ主導で進める予
定です。日本もロシュグループ
の中外製薬が国内導入を検討し
ています。

 米国では今月9日、イーライ
リリーの抗体医薬も軽症~中等
症のコロナ治療薬としてEUA
が出ています。

抗体カクテル療法について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
 軽症~中等症の武漢熱に警鐘
を鳴らす。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京理科大学が11月24日、抗
菌・抗真菌活性やガン細胞に対
する細胞毒性などを有すること
が知られている天然化合物N-ア
ルキルフェナジノン類を容易に
調製できる新規合成法の開発に
成功し、細胞毒性試験の結果、
天然化合物よりもさらに高いガ
ン細胞選択性を示す誘導体を見
出したと発表したのは、素晴ら
しい業績です。まだ、これから
臨床試験という高いハードルが
ありますが、この高いハードル
を超えて、素晴らしい薬剤にな
ってくれることを期待したいと
思います。特に、ガンに対する
効果を期待したいと思います。
 米国食品医薬品局(FDA)
が、米リジェネロン・ファーマ
シューティカルズが開発した武
漢熱治療薬に対し緊急使用許可
(EUA)を出したのは、喜ば
しいことです。トランプ米大統
領にも投与された治療薬という
ことで適応が、12歳以上の小児、
高齢者を含む成人を対象に、重
症化リスクが高い軽症~中等症
の武漢熱ということですので、
トランプ大統領は、この適応に
合致していたということになり
ます。ただ不思議なのは、トラ
ンプ大統領は、酸素吸入してい
たと記憶しています。大統領に
リスクを負わせてでも、投与を
決断したのは、誰でしょうか?

 12歳以上の小児に異常が現れ
た。           笑

 
 
 
 
 
 
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