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2021-10-15 19:39:58

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診療マル秘裏話  号外Vol.1984 令和2年12月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)アバスチンのバイオシミラーについて製造販売承認を申請
2)高親和性改変ACE2蛋白使うウイルス中和蛋白製剤

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 アバスチンのバイオシミラーについて製造販売承認を申請

 
 
 
 
 
 日医工は11月18日、抗悪性腫
瘍薬のベバシズマブ(遺伝子組
換え)製剤(先行バイオ医薬品:
アバスチン)のバイオシミラー
について、国内で製造販売承認
申請したと発表しました。

  Research, S.L.(
本社:スペイン)との間で締結
した国内独占販売契約によるも
のです。申請は、マブサイエン
ス社がグローバルで実施したフ
ェーズ3試験データなどに加え、
国内で実施した臨床薬物動態(
PK)試験データに基づいていま
す。

 バイオ後続品とは,日本で既
に新薬として承認された先行バ
イオ医薬品と同等/同質の品質,
安全性及び有効性を有する医薬
品として、異なる製造販売業者
により開発された医薬品のこと
です。バイオ後続品は先行バイ
オ医薬品の特許期間が失効し、
再審査期間が満了した後に発売
されます。また,バイオ後続品
は海外ではバイオシミラーとも
呼ばれています。

 後発医薬品(ジェネリック医
薬品)の有効成分は分子量が小
さく、構造が単純なため,先発
医薬品と有効成分が同一である
ことを示すことは容易です。先
発医薬品と生物学的同等性が証
明されれば、先発医薬品の安全
性、有効性に基づき承認されま
す。一方,バイオシミラーの有
効成分は分子量が大きく、構造
が複雑なため、同一性を示すこ
とは困難です。そのため、先行
バイオ医薬品と品質,安全性、
有効性において同等性/同質性
を示すことが必要です。つまり、
バイオシミラーの開発において
は、新薬と同様臨床試験等の多
くの試験が行われます。

アバスチンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 先行バイオ医薬品を選考する。


 
 
 
 
 
 
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2】 高親和性改変ACE2蛋白使うウイルス中和蛋白製剤

 
 
 
 
 
 
 大阪大学は11月18日、新型コ
ロナウイルスの受容体であるAC
E2蛋白質のウイルス結合力を10
0 倍以上高めることに成功し、
今後この高親和性改変ACE2蛋白
質を用いたウイルス中和蛋白質
製剤の創薬を行うと発表しまし
た。これは、京都府立医科大学
大循環器内科学の星野温助教、
大阪大学蛋白質研究所の高木淳
一教授、微生物病研究所岡本徹
の教授らの研究グループによる
ものです。研究成果は、プレプ
リントリポジトリ「bioRxiv」
に掲載されています。

 新型コロナウイルス(武漢熱
ウイルス)による感染症(武漢
熱)の感染者は全世界で5000万
人を超え、130 万人以上が死亡
しています。新型コロナウイル
スは粒子表面にあるスパイク蛋
白質がヒトの細胞表面にあるAC
E2蛋白質に結合することで感染
が起こります。そのため、治療
方法の一つとしてスパイク蛋白
質をブロックして中和する方法
があり、現在この中和製剤とし
て抗体製剤の開発が盛んに行わ
れています。

 しかし、抗体製剤ではウイル
スの遺伝子変異によりスパイク
の形状が変化して抗体が結合で
きなくなる「エスケープ変異」
が懸念されています。この問題
を克服するために、共同研究グ
ループは新型コロナウイルス受
容体であるACE2蛋白質に着目し、
ウイルスとの結合力を高めるこ
とで高い中和活性を持つ蛋白質
製剤の開発に取り組みました。

 研究グループは、「指向性進
化法」という、試験管内でACE2
蛋白質をウイルスに結合しやす
くなるように進化させる方法を
用いました。まず、ACE2遺伝子
をエラーが入りやすい条件で増
幅させることで、約10万種類の
ACE2変異体ライブラリを作製し
ました。次に、それぞれの変異
体を細胞表面に発現させてウイ
ルスのスパイク成分とよく結合
するものを回収します。

 回収されたACE2変異体にさら
に変異を導入し、同様の流れで
よりスパイク成分と結合するも
のを回収します。これを繰り返
すことで最終的にACE2のウイル
ススパイクとの結合力を100 倍
以上に高めることに成功しまし
た。結合力の指標である解離定
数(KD値)は、野生型41.4nMに
対し、改変ACE2で0.37nMと、抗
体製剤と同等以上の結合力を達
成しました。

 次に、この高親和性改変ACE2
に抗体のFc領域を結合させた蛋
白質製剤を合成し機能評価を行
いました。Fcを結合させること
で体内での薬物動態が安定化す
ることや、2量体になり中和活
性が向上することが期待できま
す。

 シュードウイルスに対する中
和実験では、各濃度のACE2-Fc
とウイルスを293T/ACE2 細胞と
1時間反応させ、48時間後にル
シフェラーゼアッセイ法により
感染率を評価しました。50%感
染阻害濃度(IC50)が野生型で
12.6µg/mL であるのに対し、改
変型は0.055µg/mLと約200 倍の
有効性を認めました。

 また、新型コロナウイルスに
対する中和実験では、各濃度の
ACE2-Fc とウイルスを Vero6/T
MPRSS2 細胞と2時間反応させ、
24時間後に培地中に分泌された
ウイルスコピー数をリアルタイ
ムPCR 法で評価しました。一般
的な抗体製剤の血中濃度領域に
おいて改変型ACE2-Fc で良好な
ウイルス中和活性が確認されま
した。
 今回開発された高親和性改変
ACE2蛋白質を用いて、高いウイ
ルス中和活性を持ち、かつウイ
ルスの遺伝子変異による薬剤耐
性が問題とならない、新たなモ
ダリティによる治療薬の開発に
取り組みます。創薬は、株式会
社生命科学インスティテュート
と共同で行います。「この製剤
を、安全にヒトへ投与し普及さ
せることができれば、世界を脅
かしている武漢熱に終止符を
打つことが期待される」と、研
究グループは述べています。

武漢熱のACE2受容体について

解説している動画です。

 
 


 
 
 薬剤耐性菌が大勢となる。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 日医工が11月18日、抗悪性腫
瘍薬のベバシズマブ(遺伝子組
換え)製剤(先行バイオ医薬品:
アバスチン)のバイオシミラー
について、国内で製造販売承認
申請したと発表したのは素晴ら
しいことです。アバスチンとい
う薬は、新生血管の阻害をする
ことで抗ガン効果を発揮します。
しかしながら、非常に副作用が
多く、重大な副作用もあるため、
非常に使いにくい薬となってお
り、緊急対応ができる病院でし
か使えない薬になっています。
一方、バイオシミラーは、多く
の臨床試験を経て、有効性安全
性が確認されています。バイオ
シミラーが有効性・安全性に先
行品であるアバスチンより優れ
ていることを期待したいと思い
ます。万が一アバスチンより優
れていれば、たくさんの医療機
関が、こぞって採用することと
なるでしょう。安全性がアバス
チンより各段に優れていれば、
私たち開業医も、使用すること
ができるのではないかと期待し
ています。
 大阪大学が11月18日、新型コ
ロナウイルスの受容体であるAC
E2蛋白質のウイルス結合力を10
0 倍以上高めることに成功し、
今後この高親和性改変ACE2蛋白
質を用いたウイルス中和蛋白質
製剤の創薬を行うと発表したの
は、素晴らしい業績です。今回
開発された高親和性改変ACE2蛋
白質を用いて、高いウイルス中
和活性を持ち、かつウイルスの
遺伝子変異による薬剤耐性が問
題とならない、新たなモダリテ
ィによる治療薬の開発に取り組
むという姿勢が特に素晴らしい
と思いました。現在、ワクチン
や中和抗体の開発が進められて
いますが、この遺伝子変異によ
る薬剤耐性が壁となって、いつ
効果がなくなるか非常に不安定
な効果と言わざるを得ない状態
になっているので、この治療薬
が世に出て、ワクチンや中和抗
体の欠点を補うものとなること
を期待したいと思います。

 気体の性質に期待する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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