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2021-10-09 21:17:34

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診療マル秘裏話  号外Vol.1979 令和2年12月7日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)胞巣状軟部肉腫に対する新薬医師主導治験開始
2)炎症性腸疾患患者の静脈血栓症の遺伝的リスク

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 胞巣状軟部肉腫に対する新薬医師主導治験開始

 
 
 
 
 
 全国での年間発症数が10人程
度と極めて少ないガン「胞巣状
軟部肉腫」に対する新薬の医師
主導治験が、国立ガン研究セン
ター中央病院などで始まりまし
た。治験は成人患者さんを対象
に行われるのが一般的ですが、
このガンはAYA 世代と呼ばれる
若年者に多いことから、16歳以
上を対象に行われます。

 薬は、肺ガンの一部などに対
して承認されている免疫チェッ
クポイント阻害薬「アテゾリズ
マブ」(商品名テセントリク)
で、肉腫では初めてとなる免疫
チェックポイント阻害薬の国内
承認を目指します。治験の主体
となる同センターでは、患者数
の少ない希少ガンやAYA 世代の
ガンでの治療薬開発の新たなモ
デルを構築し、加速させたいと
しています。

 同センターによると、軟部肉
腫とは、筋肉などの軟部組織か
ら発生した悪性腫瘍のことで、
手足をはじめ、体のいろいろな
部位に発症します。胞巣状軟部
肉腫は四肢や太もも、尻などに
でき、軟部肉腫の中でも約1%
と少なく、国内では年間10例(
2013年)と超希少なガンです。

 既存のガン治療薬で効果が期
待されている薬はあるものの、
国内では軟部肉腫に対して承認
されていません。このため、切
除不能な胞巣状軟部肉腫には、
基本的に緩和治療のみが実施さ
れているということです。

 今回、治験が行われるアテゾ
リズマブは、ニボルマブ(商品
名オプジーボ)などで知られる
新しいタイプのガン治療薬「免
疫チェックポイント阻害薬」で、
ガン細胞の免疫機能に対するブ
レーキを解除し、ガン細胞を攻
撃する力を高める働きがありま
す。アテゾリズマブは、国内で
も切除不能な進行・再発の非小
細胞肺ガンなどに対して承認さ
れています。

 米国で行われた臨床試験で、
胞巣状軟部肉腫の患者さん31人
のうち10人に腫瘍が縮小すると
いう効果が認められました。こ
の結果を受けて、日本でも医師
主導の臨床試験が計画されまし
た。

 AYA 世代とは、思春期から若
い成人の世代(主に15~39歳)
のことで、「Adolescent & You
ng Adult」の頭文字をとってこ
う呼ばれます。肉腫をはじめ、
成人のガンとは、かかることの
多いガン種が異なるのが特徴で
す。薬の治験は成人を対象に行
われるのが一般的ですが、この
病気がAYA 世代に多いことから、
今回の治験では対象を16歳以上
としています。

 公開されている臨床研究・治
験計画情報や同病院臨床研究支
援室によると、2020年5月に第1
例目が登録され、2023年11月ま
で実施されます。予定人数は20
人です。全員にアテゾリズマブ
が投与される単一グループの非
盲検試験です。薬を3週間ごと
に点滴し、画像検査を定期的(
8~12週ごと)に行って腫瘍が
縮小しているかどうかを調べる
としています。

 治験は、国立ガン研究センタ
ー中央病院のほか、東北大学病
院、国立病院機構大阪医療セン
ター、九州大学病院の4施設で
実施されます。

胞巣状軟部肉腫の症状と治療に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 実子に予防接種を実施する。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 炎症性腸疾患患者の静脈血栓症の遺伝的リスク

 
 
 
 
 
 
 東北大学は11月12日、炎症性
腸疾患患者の静脈血栓症の遺伝
的リスクの有病率とその影響の
大きさを明らかにしたと発表し
ました。これは、同大大学院医
学系研究科消化器病態学分野の
内藤健夫医師、正宗淳教授らの
研究グループと、米国シーダー
スサイナイのDermont P, McGov
ern, MD, PhDらが共同で行った
ものです。研究成果は、「Gast
roentelorogy」誌(電子版)に
掲載されています。

 日本における炎症性腸疾患の
罹患率は増加の一途をたどって
おり、患者数は21万人を超えて
います。患者さんに発生する合
併症の中には時として致命的に
なる疾患があり、静脈血栓症は
合併症による死因の中で最も頻
度が高い疾患です。炎症性腸疾
患患者さんは静脈血栓症発症の
リスクが健常者と比較して3倍
以上であることが報告されてい
るだけでなく、近年承認された
炎症性腸疾患に対する治療薬「
ヤヌスキナーゼ阻害薬」の副作
用に重篤な血栓症があることが
知られています。

 これらのことから、炎症性腸
疾患患者さんに対する静脈血栓
症リスクの層別化法の確立が求
められてきました。事前に高リ
スク患者さんを同定することが
できれば、予防的抗血栓治療を
行なったり、ヤヌスキナーゼ阻
害薬の使用を避けたりするなど、
適切な処置をとることが可能と
なります。これまでも、血栓症
発症に関わる数個の遺伝子変異
を調べることで、高リスク群の
同定が試みられてきました。し
かし、血栓症に関わる遺伝子は
多数存在するため、正確な遺伝
的リスクの同定は困難でした。

 今回、研究グループは、約80
0 人の炎症性腸疾患患者の遺伝
データを用いて、静脈血栓症に
対する遺伝的リスクの頻度と影
響の大きさを世界で初めて報告
しました。

 同研究では、全エクソームシ
ークエンシングと全ゲノムジェ
ノタイピングの網羅的解析を行
い、頻度は低いのですが影響が
大きい遺伝子変異(レアバリア
ント)と、一つひとつの影響は
小さいのですが、頻度が高い遺
伝子変異(コモンバリアント)
の情報を統合して解析した所、
約15%の炎症性腸疾患患者さん
が遺伝的に静脈血栓症リスクの
高い状態にあり、この患者さん
群は、遺伝リスクが無い患者さ
ん群と比較して、約2.5 倍静脈
血栓症発症リスクが高いことを
発見しました。また、遺伝的リ
スクを有する患者さん群では、
複数の部位に静脈血栓症を発症
する傾向があることも示された
ということです。

 さらに、対象患者さん群を遺
伝的リスクが無い患者さん群(
低リスク群)、レアバリアント
かコモンバリアントリスクのど
ちらか一方のみを有する群(中
リスク群)、どちらも有する群
(高リスク)に層別化した所、
高リスク群では低リスク群と比
較して8倍以上の静脈血栓症発
症リスクがあることを示しまし
た。これらの遺伝リスクが与え
る影響は、その他の血栓症発症
に関わる因子(疾患の活動性や
疾患に対する治療薬)の影響と
は無関係でした。

 今回の研究により、時として
重篤になりうる静脈血栓症のリ
スクを、従来の方法よりも正確
に同定する方法が明らかになり
ました。「近年、全エクソーム
シークエンシングを始めとした
遺伝データを得るためのコスト
は劇的に低下しており、本研究
のような遺伝データに基づいた
個別化医療の本格的な臨床応用
が期待される」と、研究グルー
プは述べています。

炎症性腸疾患について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 定価を劇的に低下させる。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 全国での年間発症数が10人程
度と極めて少ないガン「胞巣状
軟部肉腫」に対する新薬の医師
主導治験が、国立ガン研究セン
ター中央病院などで始まったの
は喜ばしいことです。切除不能
な胞巣状軟部肉腫には、基本的
に緩和治療のみが実施されてい
るという悲惨な状態を何とかし
ようとするものだと思います。
緩和治療のみというのは本当に
AYA 世代の患者さんにとっては
まさに絶望的と取られても致し
方ないと思われます。そんな中
で、全員にアテゾリズマブが投
与される単一グループの非盲検
試験としたのは評価できます。
工夫のない抗ガン剤の治療を併
用しなかったのは、ほぼ効果が
認められないということが分か
っているからだと思います。
 東北大学が11月12日、炎症性
腸疾患患者の静脈血栓症の遺伝
的リスクの有病率とその影響の
大きさを明らかにしたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
日本における、炎症性腸疾患の
罹患率は増加の一途をたどって
おり、患者数は21万人を超えて
いるということは、本当に残念
なことです。患者さんに発生す
る合併症の中には時として致命
的になる疾患があり、静脈血栓
症は合併症による死因の中で最
も頻度が高い疾患とういことで
すから、そのリスクを評価する
のは、至極当然なことと言えま
しょう。 近年、全エクソーム
シークエンシングを始めとした
遺伝データを得るためのコスト
は劇的に低下しており、本研究
のような遺伝データに基づいた
個別化医療の本格的な臨床応用
に期待したいと思います。

 至極当然のことのように後輩
をシゴく。        笑

 
 
 
 
 
 
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