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2021-09-27 20:43:56

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診療マル秘裏話  号外Vol.1969 令和2年11月26日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)NRF2の過活性化がガン球状集合体の形成に必須
2)IgA腎症の患者に患者脂肪組織由来のMSCを投与

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 NRF2の過活性化がガン球状集合体の形成に必須

 
 
 
 
 
 京都大学は11月2日、酸化ス
トレス誘導型転写因子NRF2の過
活性化が3次元ガンスフェロイ
ド(球状集合体)の形成に必須
であることを発見したと発表し
ました。これは、同大白眉セン
ター高橋重成特定准教授、ハー
バード大学医学大学院 Joan S.
Brugge 教授(ハーバードラド
ウィグガンセンター総責任者兼
務)らの研究グループによるも
のです。研究成果は、「Molecu
lar Cell」のオンライン版に掲
載されています。

 ガン細胞は、正常細胞が本来
存在している場所(ニッチ)を
逸脱して生存・増殖することが
知られていますが、近年の研究
により、このようなニッチの逸
脱は高いレベルの酸化ストレス
にさらされることになり、抗酸
化を含めた強固な酸化ストレス
防御機能の獲得がガン化および
ガンの成長過程において必須で
あることが分かってきました。
実際、放射線治療や一部のガン
化学療法は酸化ストレスを亢進
させることでガン細胞を攻撃す
ることが知られており、ガン細
胞は正常細胞に比べて酸化スト
レスに対して脆弱であると言え
ます。

 このように、ガンと酸化スト
レスとの間には密接な関連性が
ありますが、ガン細胞がどのよ
うなメカニズムで酸化ストレス
に対して適応しているのかは、
詳細が不明でした。

 今回の研究では、東北大学大
学院医学系研究科の山本雅之教
授らによって同定されました、
生体内抗酸化物質のマスターレ
ギュレーターとして機能するNR
F2に注目し、その効果を一連の
肺ガン細胞株において大規模に
調査しました。NRF2は、肺ガン
をはじめとしたさまざまな腫瘍
で過活性が認められ、NRF2活性
とガンの悪性化・予後悪化との
間には強い相関があることが知
られています。

 解析の結果、標準的な培養方
法である2次元(平面)培養に
おいては、NRF2の過活性が細胞
の増殖に影響を及ぼすことはあ
りませんでしたが、一方、生体
内の状態により近い、マトリゲ
ルを用いた3次元培養系では、
NRF2の過活性が細胞の生存・増
殖に必須であることが判明しま
した。また、世界初となる、3
次元培養下におけるCRISPR-Cas
9 技術を用いた大規模スクリー
ニングを行うことで、NRF2の過
活性化はGPX4(脂質過酸化を消
去する酵素)とともに、スフェ
ロイド内部細胞で生じるフェロ
トーシス(脂質過酸化に伴う細
胞死)を抑制していることが明
らかになりました。

 さらに、質量分析を用いた網
羅的蛋白質発現量の比較を行っ
た結果、NRF2の発現をノックダ
ウンさせると、GPX4を含む大部
分のセレノシステイン含有蛋白
質(セレノプロテイン)の発現
が劇的に増大することが分かり
ました。詳細なメカニズムは未
解明ですが、NRF2は細胞内セレ
ニウム濃度を制御している可能
性が考えられたということです。
そこで、NRF2とGPX4の両者を阻
害した結果、より効率的にガン
細胞を死滅させることが明らか
になりました。

 今回の研究成果は、3次元培
養を用いた研究のさらなる重要
性を示すと同時に、NRF2のガン
に対する新規創薬標的としての
応用が期待されます。さらに、
ガン予防の観点において、抗酸
化サプリメントは負の側面を持
つ可能性を再認識させる結果と
なりました。

 研究グループは、「本研究に
より、ガン化の過程においても
進化と同様の選択圧が生じ、NR
F2の過活性など、強固な酸化ス
トレス防御機構を有するガン細
胞のみが腫瘍形成できることが
示唆された。活性酸素種が織り
なす生物応答は未だ多くが謎に
包まれている。好気性生物にと
って、根幹を成す生命現象を解
明するべく、今後も活性酸素種
を切り口とした研究にまい進し
ていきたい」と述べています。

幹細胞スフェロイドの形成技術

について解説している動画です。

 
 


 
 
 
 京子さんが強固な意思を示す。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 IgA腎症の患者に患者脂肪組織由来のMSCを投与

 
 
 
 
 
 名古屋大は11月2日、指定難
病の慢性腎炎「IgA腎症」の
患者さんに対して、脂肪から採
取して培養した間葉系幹細胞(
MSC)を患者さんに投与する
治験を開始したと発表しました。
同大によると脂肪から採取した
MSCは肝硬変や重症の新型コ
ロナウイルス患者さんなどへの
治験が既に開始されていますが、
慢性腎炎患者への投与は世界初
です。治験がうまくいけば、他
の慢性腎臓病にも応用できる可
能性があります。
 同大医学部付属病院腎臓内科
の丸山彰一教授によると、治験
には脂肪から培養したロート製
薬(大阪市)社製のMSCを使
用しました。2021年9月ごろま
でに、最大で12人に計2回ずつ
点滴で投与し、安全性や有効性
を確認します。1例目として10
月に春日井市民病院(愛知県)
で、40代男性患者さんに投与を
始めました。

IgA腎症について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 
 点滴が天敵の患者さん。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 京都大学が11月2日、酸化ス
トレス誘導型転写因子NRF2の過
活性化が3次元ガンスフェロイ
ド(球状集合体)の形成に必須
であることを発見したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
しかしながら、ガン予防の観点
において、抗酸化サプリメント
は負の側面を持つ可能性を再認
識させる結果となったというこ
とは、このようなin vitroの実
験からは、言えないと思います。
あと、ガン細胞は、確かに酸化
ストレスに弱いですが正常細胞
に較べて、酸化ストレスに対抗
する優れた対策を持っています。
in vivo では、こうした対策を
もっていない免疫細胞の方が、
酸化ストレスでおかしくなるこ
との方が多いことを記しておき
ます。
 名古屋大が11月2日、指定難
病の慢性腎炎「IgA腎症」の
患者さんに対して、脂肪から採
取して培養した間葉系幹細胞(
MSC)を患者さんに投与する
治験を開始したと発表したと言
うのは、素晴らしい試みだと思
います。脂肪から採取したMS
Cは肝硬変や重症の新型コロナ
ウイルス患者さんなどへの治験
が既に開始されていますが、慢
性腎炎患者への投与は世界初と
いうことなので、脂肪幹細胞に
よる再生医療が色々取り組まれ
ている中で、腎臓病に対する取
り組みが遅れているのは残念で
す。他の慢性腎臓病にも応用で
きる可能性があるということな
ので、一番多いとされている糖
尿病性腎症に対しても臨床試験
を行うことが喫近の課題と言え
るでしょう。

 会誌を発行して、会議開始の
合図とする。       笑

 
 
 
 
 
 
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