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2021-09-21 21:18:18

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診療マル秘裏話  号外Vol.1964 令和2年11月20日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)放射線耐性ガン細胞リソソーム輸送機能で浸潤能促進
2)潰瘍ピロリ菌感染,NSAID,抗血栓薬副作用で発症

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 放射線耐性ガン細胞リソソーム輸送機能で浸潤能促進

 
 
 
 
 
 北海道大学は10月28日、放射
線治療に耐えて生き延びたガン
細胞が、リソソームの輸送機能
を用いて浸潤能を促進すること
と、その調節に関与する新たな
分子メカニズムを明らかにした
と発表しました。これは同大大
学院医学研究院医理工学グロー
バルセンターの呉秉修研究員、
小野寺康仁講師、南ジンミン講
師(同大学院医理工学院分子・
細胞動態計測分野担当)らと、
米スタンフォード大学Quynh-Th
u Le教授、Amato Giaccia 教授
との共同研究によるものです。
研究成果は、「Communications
Biology」にオンライン掲載さ
れています。

 ガン細胞の浸潤は、転移の引
き金となるため、ガン患者さん
の予後を決定する要因の一つと
考えられています。放射線など
の治療後、細胞死を回避して生
き延びたガン細胞が、何らかの
仕組みで浸潤能を強化する場合
があり、そのメカニズムの解明
は予後の改善に必要不可欠です。
研究グループは、ガン細胞内で
リソソームが輸送機構によって
細胞膜へと移動し、内容物が放
出されることに着目し、放射線
照射後に浸潤能を亢進するメカ
ニズムを解析しました。

 研究では乳ガン細胞株を用い、
蛋白質レベルの発現解析、蛍光
色素によるリソソームのラベル
および分布の顕微鏡観察、蛍光
物質を用いたリソソームのエキ
ソサイトーシスの定量、細胞の
免疫染色と共焦点レーザー顕微
鏡による細胞内分子の観察、蛋
白質の結合実験、腫瘍移植およ
びin vivo イメージング等を実
施しました。放射線照射後の浸
潤能亢進におけるリソソームの
エキソサイトーシスの関与とそ
のメカニズムを検証しました。

 その結果、放射線照射後に生
き残ったガン細胞は、リソソー
ムの輸送調節に関与する蛋白質
「Arl8b 」の活性化が進むこと
により、リソソームのエキソサ
イトーシスが促進され、浸潤能
と細胞外マトリックス分解能を
亢進することが分かりました。
また、リソソームにおけるArl8
b の蓄積とそのエフェクター分
子であるSKIPとの結合が増加す
ることが確認されました。これ
を踏まえ、Arlb8 の発現を抑制
した所、放射線照射したガン細
胞におけるリソソームのエキソ
サイトーシスと浸潤能、細胞外
マトリックス分解能の亢進が阻
害されました。

 さらに、乳ガン患者さんの遺
伝子発現プロファイルを解析し
た結果、Arl8b を活性化するBO
RC複合体とArl8b のそれぞれの
遺伝子の共発現が、乳ガン患者
さんの予後不良と相関すること
が判明しました。そこで、BORC
複合体の分子であるBLOS2 また
は,Myrlysin の発現を抑制させ
たところ、Arl8b とSKIPの結合
が減少し、それに伴い、放射線
照射後のリソソームのエキソサ
イトーシスと浸潤能が抑制され
ました。併せて、放射線照射後
のBLOS2 とMyrlysin遺伝子の発
現調節は、DNA 損傷応答分子で
あるATM によって活性化される
転写因子Sp1 によって行われる
ことも確認されました。

 放射線後に生き残ったガン細
胞を移植したマウスモデルでは、
Arl8b の発現抑制によって、腫
瘍増殖と遠隔転移の両方が抑制
されました。以上の研究結果か
ら、Arl8b と関連分子を介した
リソソームの輸送は、放射線治
療後に生き残ったガン細胞の浸
潤能を促進することが明らかと
なりました。

 これまでの放射線生物学研究
においては、ガン細胞のDNA 二
重鎖切断や細胞死の解析が中心
的であり、リソソームなど細胞
内小器官の機能や輸送への影響
についてはあまり注目されてい
ませんでした。「今回の研究で、
放射線によるリソソームの輸送
過程への影響と、それによるガ
ン細胞の浸潤能制御が明らかと
なり、放射線生物学研究の新た
な領域を切り開く契機となる可
能性がある。また、リソソーム
の輸送と放射線照射後のガン細
胞の浸潤能促進とを連携する分
子経路をより詳細に研究するこ
とにより、治療後の悪性化を抑
えるためのさらなる知見につな
がることが期待される」と、研
究グループは述べています。

リソソームの特徴と働きについ

て解説している動画です。

 
 


 
 
 
 昇進を契機として、ケーキを
食べて、景気が良くなる。 笑

 
 
 
 
 
 
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2】 瘍ピロリ菌感染,NSAID,抗血栓薬副作用で発症

 
 
 
 
 
 消化性潰瘍は、主にヘリコバ
クター・ピロリ菌(以下、ピロ
リ菌)の感染、非ステロイド性
抗炎症薬(NSAIDs)や抗
血栓薬の副作用によって発症し
ます。胃や十二指腸などの粘膜
に炎症を起こしたり、胃粘膜の
表面を守っている粘液が減った
りすることで食物を分解する胃
酸によって粘膜が傷つきやすく
なるためです。しかし、ピロリ
菌の感染がない、またはピロリ
菌の除菌後やこれらの薬を服用
していなくても胃や十二指腸に
潰瘍が生じる原因不明の「特発
性潰瘍」があります。杏林大学
医学部総合医療学講座(東京都
三鷹市)の徳永健吾准教授に聞
きました。

 特発性潰瘍の原因は不明で
すが、(1)高齢者で高血圧、
糖尿病、脂質異常症などの基礎
疾患がある(2)多種類の薬を
服用している(3)強いストレ
スがある―といったことが発症
のリスクを高めると考えられて
います。高齢者は特発性潰瘍の
主な症状である胃痛を感じにく
く、下血や吐血を機に発見され
ることもあります。

 徳永准教授によると、ピロリ
菌の感染率低下や除菌療法の普
及によって消化性潰瘍自体が減
った一方で、特発性潰瘍の割合
は増えています。消化性潰瘍の
12%程度が特発性潰瘍とする報
告もあります。

 一般の消化性潰瘍と同じ治療
法が選択され、胃酸の分泌を抑
えるプロトンポンプ阻害薬(P
PI)を服用します。一般の消
化性潰瘍では薬の服用開始から
1~2カ月程度で改善しますが、
特発性潰瘍は治りにくく再発し
やすいため、しばらく経過を見
ることになります。

 また近年、特発性潰瘍の患者
さんからピロリ菌と似た形状の
ヘリコバクター・スイス菌が検
出され、特発性潰瘍との関連を
探る研究が進められています。
徳永准教授は、「特発性潰瘍の
原因がヘリコバクター・スイス
菌であることを突き止められれ
ば、将来的に除菌療法も治療の
一つになる可能性があります」
ということです。

 予防法は、ピロリ菌があれば
胃や十二指腸の粘膜が傷つかな
いように除菌し、NSAIDs
や抗血栓薬の長期服用を避けま
す。ただし、ピロリ菌の除菌療
法に使用する抗菌薬やPPIに
より腸内細菌のバランスが乱れ、
クロストリジウム・ディフィシ
ル菌という細菌に感染して重症
化することが報告されていると
いうことです。「除菌後に下痢
が続くようなら注意が必要です。
また、NSAIDsは市販の痛
み止めにも含まれているので、
服用前に医師や薬剤師に相談す
るといいでしょう」と徳永准教
授は言っています。

ピロリ菌について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
 医師の固い意思は、変わらな
かった。         笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 北海道大学が10月28日、放射
線治療に耐えて生き延びたガン
細胞が、リソソームの輸送機能
を用いて浸潤能を促進すること
と、その調節に関与する新たな
分子メカニズムを明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。これまでの放射線生物学
研究においては、ガン細胞のDN
A 二重鎖切断や細胞死の解析が
中心的であり、リソソームなど
細胞内小器官の機能や輸送への
影響についてはあまり注目され
ていなかったということで盲点
を突いたエレガントな研究と言
えるのではないでしょうか。リ
ソソームの輸送と放射線照射後
のガン細胞の浸潤能促進とを連
携する分子経路をより詳細に研
究することにより、治療後の悪
性化を抑えるためのさらなる知
見につなげて頂きたいものです。
 ピロリ菌の感染がない、また
はピロリ菌の除菌後やこれらの
薬を服用していなくても胃や十
二指腸に潰瘍が生じる原因不明
の「特発性潰瘍」という病気が
あり、ピロリ菌の感染率低下や
除菌療法の普及によって消化性
潰瘍自体が減った一方で、特発
性潰瘍の割合は増えていると言
うのは残念なことです。消化性
潰瘍の12%程度が特発性潰瘍と
する報告もあるというのは特に
意外でした。近年、特発性潰瘍
の患者さんからピロリ菌と似た
形状のヘリコバクター・スイス
菌が検出され、特発性潰瘍との
関連を探る研究が進められてい
るのは、注目すべきことだと思
います。ピロリが終わったと思
うとスイスが出てくるなどいた
ちごっこの感は否めません。

 スイスでもヘリコバクタース
イスが検出された。    笑

 
 
 
 
 
 
 
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