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2021-09-03 20:48:26

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診療マル秘裏話  号外Vol.1948 令和2年11月1日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)腹膜播種惹起胃ガンの,アンチセンス核酸医薬創製発表
2)細胞との親和性が高く弾性に富む機能性蛋白質

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 腹膜播種惹起胃ガンの,アンチセンス核酸医薬創製発表

 
 
 
 
 
 医薬基盤・健康・栄養研究所
(NIBIOHN)は10月8日、腹膜播
種を起こす胃ガンで特徴的に高
発現する特徴的な分子であるsy
naptotagmin 13 (SYT13)を標
的にしたアンチセンス核酸医薬
を創製したと発表しました。こ
の研究は、NIBIOHN 創薬デザイ
ン研究センター人工核酸スクリ
ーニングプロジェクトの小比賀
聡招へいプロジェクトリーダー、
笠原勇矢サブプロジェクトリー
ダーが、名古屋大学大学院医学
系研究科消化器外科学の小寺泰
弘教授、神田光郎講師の研究グ
ループとの共同研究として行っ
たものです。研究成果は、「Mo
lecular Therapy- Nucleic Ac
ids」に掲載されています。

 胃ガンは日本で年間罹患数(
約13万人)、年間死亡者数(約
5万人)ともに第2位と頻度が
高いガンです。胃ガンの中でも
腹膜播種は、特に難治性で予後
不良な状態とされています。現
在の標準治療である抗ガン剤の
全身投与(点滴もしくは内服)
では、薬剤がガン細胞に十分に
届かないことが一因と考えられ、
抗ガン剤の腹腔内投与が試みら
れました。しかし、従来からあ
るパクリタキセルの腹腔内投与
では効果が限定的であり、より
効果の高い治療薬の開発が求め
られています。

 名古屋大学の研究グループで
は、胃ガンの転移に関する基礎
研究の成果として、SYT13 が腹
膜播種を生じる胃ガン組織で特
異的に高発現していることを発
見しました。今回、このSYT13
を阻害することで胃ガン腹膜播
種を治療するという創薬コンセ
プトのもと、独自性の高いアン
チセンス核酸の配列設計技術と、
特別なキャリアーを必要としな
いCa2+ enrichment of medium
法の技術を有するNIBIOHN 創薬
デザイン研究センターと共同研
究を実施しました。アンチセン
ス核酸医薬の全身投与は安全性
という点で高いハードルが想定
されますが、胃ガン腹膜播種の
治療における腹腔内投与は、有
害事象を回避し、かつ直接的に
ガン細胞を攻撃可能なアプロー
チです。アミド架橋型人工核酸
を搭載したアンチセンス核酸医
薬の分子量は、すでに腹腔内投
与が臨床使用されているパクリ
タキセルの約7倍です。そのた
め腹膜透過からの血中移行率が
低く、腹腔内に長く停滞し長時
間にわたってガン細胞に暴露さ
れることで薬効を発揮すること
が期待されます。

 研究グループはまず、実際の
胃ガン症例で切除した胃ガン組
織中のSYT13 発現を汎用性の高
い免疫染色法を用いて調べまし
た。すると、明瞭にSYT13 発現
の陽性・陰性が判定可能であり、
SYT13 発現陽性の胃ガンでは明
らかに腹膜播種発生率が高いこ
とが分かりました。そこで、SY
T13 のmRNA配列情報から高次構
造予測を行い、肝毒性を起こし
やすい配列やオフターゲット効
果の回避と、アンチセンス核酸
との結合性の良い配列を考慮し
ながら累計7種の候補アンチセ
ンス核酸を合成しました。これ
らを順次、SYT13 ノックダウン
効率、試験管内でのガン細胞増
殖能や浸潤能の阻害効果を比較
して、効果の高いアンチセンス
核酸配列を選抜しました。

 その結果、hSYT13-4378 とhSYT
13-4733 の2つを有望なアンチ
センス核酸として選定しました。
この2つのアンチセンス核酸を
胃ガン細胞に添加すると、細胞
死を引き起こすカスパーゼとい
う蛋白質の活性が増加するとと
もに腹膜播種の形成に重要なガ
ン幹細胞性が低下しました。さ
らに、アンチセンス核酸の濃度
に平行して、ガン細胞の遊走能
が低下しました。作用メカニズ
ムを明らかにするために実施し
たシグナル解析により、細胞膜
上に存在するSYT13 はCXCL12と
HB-EGFという遊離蛋白質の刺激
を受けて活性化し、ガンの悪性
度に強く関与するFAK シグナル
を調節していることが分かりま
した。

 次に研究グループは、マウス
を用いた動物実験でアンチセン
ス核酸による腹腔内治療の効果
を調べました。胃ガン細胞(MK
N1細胞)100 万個をマウスの腹
腔内に移植して腹膜播種を作製
し、これに対して、アンチセン
ス核酸を腹腔内投与して治療し
ました。その結果、同じく核酸
医薬であるsiRNA よりも強力に
腹膜播種の進行を抑制しました。
さらにアンチセンス核酸を投与
することで、マウスの生存期間
が延長するかどうかについて調
べました。胃ガン細胞(NUGC4
細胞)200 万個を腹腔内に移植
し、腹膜播種を作製したマウス
にアンチセンス核酸を腹腔内投
与した所、腹膜播種の進展が抑
制され、マウスの生存期間も有
意に延長しました。

 アンチセンス核酸が、標的で
あるSYT13 以外の遺伝子を阻害
してしまう(オフターゲット効
果)可能性についても調べた所、
特にhSYT13-4733 ではその危険
性が極めて低いことが分かりま
した。一般にアンチセンス核酸
医薬は高濃度投与によって肝毒
性が生じる可能性が報告されて
います。そこで、マウスにアン
チセンス核酸を投与して2週間
後と、そこから休薬した2週間
後に血液検査を行って調べまし
た。その結果、hSYT13-4378 で
は軽度の肝機能異常を認めまし
たが、2週間の休薬で正常値に
回復しました。hSYT13-4733 で
は、肝機能異常を認めませんで
した。

 これらの研究成果は、既に国
内特許に出願されています。胃
ガン腹膜播種に対するSYT13 を
標的としたアンチセンス核酸医
薬は、作用メカニズムが既存の
全ての分子標的治療薬と異なる
ため、完全に新しい治療薬とな
ります。これを病変のある腹腔
内に直接投与することによって、
全身投与よりも副作用を抑えつ
つ、効率的に腹膜播種を治療す
ることが期待されます。研究グ
ループは今後、第1相臨床試験
開始に向けて非臨床安全性試験
を進めていくとともに、将来的
には胃ガンのみならず、腹膜播
種が予後を大きく左右する膵ガ
ン、卵巣ガンなどの他のガンに
も応用していくことを目指して
いるということです。腹腔内治
療は腹腔投与用皮下ポートを留
置することで、外来通院で繰り
返し簡単に実施することが可能
となります。研究グループは、
腹膜播種の治療のみでなく、胃
ガンの切除後に再発の危険性の
高いケースで予防的に投与して
腹膜播種再発を防ぐという活用
法も検討しています。

核酸医薬品について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 
 簡単に実施できることに感嘆
した。          笑

 
 
 
 
 
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2】 細胞との親和性が高く弾性に富む機能性蛋白質

 
 
 
 
 
 三洋化成は次代の成長を牽引
する新たな技術や製品をはじめ、
事業の創出に力を注いでいます。
新規ビジネスを生み出すうえで
重点領域の一つに定めるのがバ
イオ・メディカル事業です。な
かでも大きな期待を寄せる医療
材料が、細胞との親和性が高く
弾性に富む機能性蛋白質「シル
クエラスチン」(開発品)で、
経営資源を積極的に投じて研究
開発を進めています。

 シルクエラスチンは、ヒト由
来のエラスチンと絹由来のシル
クフィブロインを部分的に組み
合わせ、遺伝子組み換え技術に
よって作製した人工蛋白質です。
エラスチンは皮膚などの弾性線
維を構成する蛋白質で生体適合
性があり、安全性も高いとされ
ています。

 体内に投与しても炎症が起き
にくく、皮膚にハリを与えるこ
とも期待できることから、三洋
化成では床ずれや糖尿病性皮膚
潰瘍などの難治性皮膚潰瘍をは
じめとする創傷の治癒材料への
展開を見据えています。通常の
治療では治癒が期待できない下
腿難治性皮膚潰瘍の患者さんを
対象に、スポンジ状のシルクエ
ラスチンを用いた新たな治療法
として開発に取り組みます。企
業治験を経て、2022年度の実用
化を目指す意向です。

 さまざまな治療への展開が見
込めるシルクエラスチンですが、
広島大学とは膝の半月板の損傷
を修復・再生する治療技術の研
究開発に励んでいます。このほ
ど日本医療研究開発機構(AM
ED)の産学連携医療イノベー
ション創出プログラム基本スキ
ーム(ACT-M)に採択され
ました。対象期間は2023年3月
までで研究開発費の支援を受け
ます。

 広島大学が行った動物実験で
は、半月板修復の足場(移植基
板)としてシルクエラスチンの
有効性が確認されています。今
後は臨床応用に向けてより具体
的な研究開発を進める方針です。
変形性膝関節症に悩む患者に低
侵襲で根本的な治療法を確立し、
2026年の実用化を目指していき
ます。

半月板損傷やその治療法につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 
 放心状態のため、治療方針が
決定できなかった。    笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 医薬基盤・健康・栄養研究所
(NIBIOHN)は10月8日、腹膜播
種を起こす胃ガンで特徴的に高
発現する特徴的な分子であるsy
naptotagmin 13 (SYT13)を標
的にしたアンチセンス核酸医薬
を創製したと発表したのは素晴
らしい業績です。一般にアンチ
センス核酸医薬は高濃度投与に
よって肝毒性が生じる可能性が
報告されているということなの
で、これを考慮した試験がされ
ていて、hSYT13-4733 では、肝
機能異常を認めなかったという
ことですから、比較的安全に投
与できる薬剤という印象を受け
ました。アンチセンス核酸が、
標的であるSYT13 以外の遺伝子
を阻害してしまう(オフターゲ
ット効果)可能性についても調
べた所、特にhSYT13-4733 では
その危険性が極めて低いことが
分かったので、この効果の可能
性もないということで安心です。
 シルクエラスチンは、ヒト由
来のエラスチンと絹由来のシル
クフィブロインを部分的に組み
合わせ、遺伝子組み換え技術に
よって作製した人工蛋白質です。
エラスチンは皮膚などの弾性線
維を構成する蛋白質で生体適合
性があり、安全性も高いとされ
ているので人工皮膚や人工軟骨
として使えるのではないかと思
われます。以前のメルマガで、
半月板修復の足場(移植基板)
としてシルクエラスチンの有効
性が確認されているということ
は紹介しました。体内に投与し
ても炎症が起きにくく、皮膚に
ハリを与えることも期待できる
ことから、三洋化成では床ずれ
や糖尿病性皮膚潰瘍などの難治
性皮膚潰瘍をはじめとする創傷
の治癒材料への展開を見据えて
いるということですから、人工
皮膚としても、将来的な展望が
得られたのではないかと考えて
います。

 天海和尚が隠密部隊を展開し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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