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2021-08-01 19:28:35

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診療マル秘裏話  号外Vol.1920 令和2年9月29日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)膵ガンにおいて高発現する新規環状RNAを同定す
2)造血器悪性腫瘍患者の方が武漢熱重症度が高い

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 膵ガンにおいて高発現する新規環状RNAを同定す

 
 
 
 
 
 東京大学医学部附属病院は9
月3日、環状RNAに特異的なRNA
シークエンス解析を行い、膵ガ
ンにおいて高発現する環状RNA
を網羅的に探索した結果、既存
のデータベースにない新規環状
RNA を見出し、その全長配列を
同定したと発表しました。これ
は、同大学医学部附属病院 消
化器内科の清宮崇博大学院生、
大塚基之講師、小池和彦教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、「Journal of Hum
an Genetics 」のオンライン版
に掲載されています。膵ガンに
よる死亡者数は年々増加傾向に
あり、部位別でのガン死亡数は
肺ガン・大腸ガン・胃ガンに次
いで第4位となっています。膵
ガンは早期発見が難しく、診断
時にはほとんどの患者さんにお
いて高度に進行した状態で発見
されるため、外科的切除の適応
とならず、抗ガン剤治療の進歩
はあるものの、依然として5年
生存率は8.5%と極めて予後不良
であり、難治ガンの代表とされ
ています。そのため、膵ガンの
早期発見・早期治療を可能とす
る新しい膵ガンの診断マーカー
の開発が強く求められています。

 その一環として、ガン組織か
ら血液中に遊離する核酸 (DNA
やRNA )を検出してガンの診断
マーカーとして応用する、いわ
ゆるリキッドバイオプシーの研
究が進んでいます。膵ガンにお
いても、ガンに特異的なDNA 変
異の検出や、これまでに報告し
た反復配列RNA の定量など、数
々の手法が開発され診断マーカ
ーとしての応用が検討されてき
ました。近年、環状RNA と呼ば
れる特殊な形態を持つRNA が、
さまざまなガンで異常発現する
ことが明らかになりつつありま
す。さらに環状RNA はその構造
上の特徴から、通常のRNA (環
状ではなく線形)より血液中で
安定して存在することが知られ
ており、バイオマーカーとして
の応用が期待されてきました。

 今回、研究グループは、環状
RNA に特異的なRNA シークエン
ス解析を行い、既知の環状RNA
だけでなく既存のデータベース
にない新規環状RNA も網羅的に
探索し、新しい膵ガンのバイオ
マーカーとしての可能性を検討
しました。まず、正常な膵組織
および膵ガン組織由来のRNA を
エクソヌクレアーゼで処理した
のち、RNA シークエンス解析に
よって環状RNA を網羅的に探索
しました。その結果、膵ガン由
来のRNA から5万4,000種類、正
常由来のRNA からは1万4,000種
類の環状RNA を同定しました。
これらのうち、約4万種類が既
存のデータベースにない新規環
状RNA であることが明らかとな
りました。続いて、膵ガン組織
と正常膵組織における環状RNA
の発現量を比較し、12番染色体
から転写されている新規環状RN
A が膵ガンで高発現しているこ
とを見出し、さらにその全長配
列を同定しました。

 次に、膵ガン組織43例、正常
膵組織10例に対してこの新規環
状RNA と特異的に結合するプロ
ーブを用いてRNA in situ ハイ
ブリダイゼーションを行い、膵
ガン組織で新規環状RNA が有意
に高発現していることを確認し
ました。さらに、ガンの進行度
に対応して新規環状RNA が高発
現する傾向が認められました。

 研究グループは、膵組織を採
取するには侵襲の大きい処置が
必要となるため、バイオマーカ
ーとしての応用を考慮し、非侵
襲的に採取可能な血液から環状
RNA を検出できることが必要だ
と考えました。そこで、前増幅
とドロップレットデジタルPCR
法を組み合わせたところ、わず
か200 マイクロリットルの血液
から微量の新規環状RNA を検出
できることを見出しました。次
いで、この手法により、膵ガン
患者さん20人と健常者20人の血
清を用いて新規環状RNA を測定
した所、健常者と比較して膵ガ
ン患者さんで特異的に新規環状
RNA が検出されました(感度0.
45、特異度0.90)。更に、新規
環状RNA は膵ガンの前ガン病態
として知られる膵管内乳頭粘液
性腫瘍(Intraductal Papillar
y Mucinous Neoplasm:IPMN )
を持つ患者さん10人中6人の血
清からも検出され、膵ガンの早
期診断だけでなく、前ガン病態
の囲い込みにも有用である可能
性が示唆されました。今回の研
究成果は、新規環状RNA が膵ガ
ン及び前ガン病態の診断マーカ
ーとして応用できる可能性があ
ることを示しています。 また、
前ガン病態である膵管内乳頭粘
液性腫瘍患者さんの血清からも
検出されたこと、膵ガンの進行
度に対応して高発現する傾向が
認められたことから、膵ガンの
発ガン・進行に関与している可
能性が示唆されます。

 研究グループは、「今後は、
バイオマーカーとしての有効性
をより多くの症例で検証し臨床
応用の可能性を探りつつ、新規
環状RNA の異常発現が膵ガンの
病態にどのように関わるかを解
明し、膵ガンの克服を目指して
いきたいと考えている」と、述
べています。

膵臓ガンの早期発見の取り組み

について解説している動画です。

 
 


 
 
 
 症例報告を奨励する。笑

 
 
 
 
 
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2】 造血器悪性腫瘍患者の方が武漢熱重症度が高い

 
 
 
 
 
 
 英国で、ガン患者のガン腫と
患者背景が新型コロナウイルス
感染症(武漢熱)リスクと入院
中死亡率に及ぼす影響をコホー
ト研究で検討しました。2020年
3月18日から5月8日の間に英国
コロナウイルスガンモニタリン
グプロジェクト(UKCCMP)に登
録した武漢熱合併成人ガン患者
さん1044例を武漢熱に罹患して
いないガン患者さん(英国国家
統計局のガン並列対照集団)と
比較しました。

 その結果、UKCCMPコホートの
30.6%が死亡し、そのうち92.5
%の死因が武漢熱でした。ガン
患者さんの武漢熱罹患後の全死
因死亡率は、加齢に伴い上昇し、
40-49歳では0.10%、80歳以上で
は0.48%でした。固形ガン患者
さんと比較すると、造血器悪性
腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄
腫)患者さんの方が武漢熱の重
症度が高いという結果がでまし
た(オッズ比1.57、95%CI 1.1
5-2.15、P<0.0043 )。UKCCMP
コホートの生存患者さんと比較
すると、白血病患者さんは症例
死亡率が有意に高いと言う結果
でした(同2.25、1.13-4.57、P
=0.023)。 年齢と性別で補正
した後は、化学療法を受けて間
もない造血器悪性腫瘍患者さん
は、武漢熱入院中の死亡リスク
が高いと言う結果がでました(
同2.09、1.09-4.08、P=0.0-0.
028)。

造血器悪性腫瘍の武漢熱の重症

化リスクについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 
 皮革製品の出来を比較する。


 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京大学医学部附属病院が9
月3日、環状RNAに特異的なRNA
シークエンス解析を行い、膵ガ
ンにおいて高発現する環状RNA
を網羅的に探索した結果、既存
のデータベースにない新規環状
RNA を見出し、その全長配列を
同定したと発表したのは画期的
な業績だと思います。近年、環
状RNA と呼ばれる特殊な形態を
持つRNA が、さまざまなガンで
異常発現することが明らかにな
りつつあるというのは、それま
では、注目されていなかったと
いうことでしょう。ガン組織か
ら血液中に遊離する核酸 (DNA
やRNA )を検出してガンの診断
マーカーとして応用する、いわ
ゆるリキッドバイオプシーの研
究をもっと推進して頂きたいも
のです。
 英国で、ガン患者のガン腫と
患者背景が新型コロナウイルス
感染症(武漢熱)リスクと入院
中死亡率に及ぼす影響をコホー
ト研究で検討されたのは素晴ら
しい業績です。 固形ガン患者
さんと比較すると、造血器悪性
腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄
腫)患者さんの方が武漢熱の重
症度が高いという結果が出たこ
とと、UKCCMPコホートの生存患
者さんと比較すると、白血病患
者さんは症例死亡率が有意に高
いと言う結果がでたことと、年
齢と性別で補正した後は、化学
療法を受けて間もない造血器悪
性腫瘍患者さんは、武漢熱入院
中の死亡リスクが高いと言う結
果がでたことは、いずれも相関
しているものと思われます。白
血病患者さんは、武漢熱に弱い
と結論付けられます。

 工夫のない化学療法は、科学
的根拠に基づいていない。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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