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2021-08-30 20:50:14

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診療マル秘裏話  号外Vol.1945 令和2年10月29日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)AMLで,KRAS遺伝子変異を持つ症例は、予後不良
2)酸性環境にガン細胞が自ら最適化する現象解明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 AMLで,KRAS遺伝子変異を持つ症例は、予後不良

 
 
 
 
 
 京都大学は10月2日、MLL(KM
T2A )再構成の急性骨髄性白血
病(AML )において、KRAS遺伝
子変異を持つ症例は予後不良で
あることを明らかにしたと発表
しました。これは、同大大学院
医学研究科の松尾英将助教、吉
田健一助教(研究当時、現:We
llcome Sanger Institute 研究
員)、小川誠司教授、足立壯一
教授らの研究グループによるも
のです。研究成果は、「Blood
Advances」に掲載されています。

 AMLは,白血病細胞にみられる
染色体異常の種類等に応じてリ
スク分類され、リスクに応じた
治療が行われます。例えば、造
血幹細胞移植などの強力な治療
は感染症や晩期合併症といった
リスクも大きいため、全てのAM
L 患者さんに行うことは好まし
くなく、高リスクと考えられる
患者さんに限定して行われます。
しかし、低〜中間リスクとされ
た患者さんでも再発・死亡例が
相当数みられるなど、現在のリ
スク分類は決して満足できるも
のではありません。このことか
ら、患者さんの予後をより正確
に予測できる新しいマーカーの
同定が必要とされています。特
に乳児から小児で頻度が高い病
型であるMLL(KMT2A)再構成の
AML では、MLL 再構成のパター
ンによって予後が異なることは
知られていますが、共存する遺
伝子変異の予後への影響はほと
んど分かっていません。

 研究グループはまず、JCCG(
日本小児ガン研究グループ)に
よる臨床試験(AML-05)に登録
された56例の小児MLL再構成AML
症例の検体を用いて、次世代シ
ークエンサーを用いた網羅的遺
伝子解析を行いました。さらに、
104例の海外の小児AML患者さん
のデータセットを統合して解析
することで、MLL 再構成パター
ンごとの遺伝子変異の分布を明
らかにしました。

 次に、小児MLL再構成AMLにお
いて検出された各遺伝子変異の
予後への影響を調べた所、KRAS
遺伝子の変異が予後不良に関与
していることが判明しました。
さらに、ドイツのグループとの
共同研究により、81例の成人ML
L再構成AMLについても解析した
所、KRAS遺伝子変異を有する群
は予後不良だったことが明らか
になりました。一方、581例のM
LL再構成症例以外のAML 症例に
ついても解析を行いましたが、
KRAS遺伝子変異の予後との関連
はみられませんでした。

 最後に、高リスク(予後不良)
とされているMLL 再構成パター
ン(MLL-MLLT10、MLL-MLLT4、M
LL-MLLT1)を持つ症例と、それ
以外のMLL 再構成パターンを持
つ症例に分けて、KRAS遺伝子変
異の頻度と予後への影響を調べ
ました。その結果、KRAS遺伝子
変異は高リスクのMLL 再構成パ
ターンを持つ症例において約43
%と頻度が高く、それ以外の症
例では16%と頻度が低いこと、
さらにいずれの患者群において
もKRAS遺伝子変異が予後不良と
関連していることが明らかにな
りました。

 特定のMLL再構成パターン(M
LL-MLLT10、MLL-MLLT4、MLL-ML
LT1 )を持つ患者さんが高リス
クである理由の少なくとも一部
は、高頻度のKRAS遺伝子変異に
より説明される可能性があるこ
と、MLL 再構成パターンに基づ
くリスク分類にかかわらず、KR
AS遺伝子変異は予後不良に関与
することが示されました。

 MLL再構成AMLと診断された際
に、白血病細胞にKRAS遺伝子変
異がみられるか調べることで、
より正確なリスク分類が可能に
なり、リスクに応じた適切な治
療の選択につながる可能性が考
えられます。「今後は、さらに
多数の検体を用いてKRAS遺伝子
変異の予後因子としての意義を
より詳細に明らかにすること、
また今回予後不良であることが
判明した、KRAS遺伝子を伴うML
L再構成AMLに対する新規治療法
の開発を行うことを予定してい
る」と、研究グループは述べて
います。

急性骨髄性白血病について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 藩命を受けた義士が首謀者と
判明した。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 酸性環境にガン細胞が自ら最適化する現象解明

 
 
 
 
 
 大阪大学は2020年9月12日、
ガン組織内の酸性環境にガン細
胞が自らを最適化する現象「ac
id addiction(酸中毒)」を発
見し、その適応機構を解明した
と発表しました。同大学微生物
病研究所 教授の三木 裕明氏ら
の研究グループによる成果です。

 研究チームは、悪性ヒトガン
細胞で高発現するPRL 分子によ
り、細胞の増殖しやすい環境pH
が通常の7.4 前後からガン組織
でみられるpH6.5 前後(酸性側)
にシフトすることを発見しまし
た。ガン組織内の酸性環境では
増殖できますが、通常細胞にと
って最適なpH7.4 前後ではほと
んど増殖できなくなる現象を見
出し、これをacid addictionと
名付けました。

また、関連遺伝子の網羅的な
スクリーニングにより、酸性環
境下への適応機構を明らかにし
ました。具体的には、PRL の働
きにより、リソソームが細胞辺
縁部に移動して細胞膜と融合し、
リソソーム内にある高濃度のプ
ロトンを細胞外へと放出する現
象「lysosomal exocytosis」が
生じます。これによりガン細胞
は、酸性環境下でも細胞内のプ
ロトンを一定レベルに保ち、盛
んに増殖できます。

 従来の研究で、ガン組織内の
酸性化は明らかにされています
が、ガン細胞が酸性環境下で増
殖し続けられる仕組みは不明で
した。今回の研究により、酸性
環境への適応機構が明らかにな
ったことで、これをターゲット
とした新たなガン治療法開発へ
の応用が期待できるとしていま
す。

ガンの増殖の仕組みについて

解説している漫画動画です。

 
 


 
 
 
 酸性環境をアルカリ性環境に
変えることで、エネルギー産生
を増大させる。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 京都大学が10月2日、MLL(KM
T2A )再構成の急性骨髄性白血
病(AML )において、KRAS遺伝
子変異を持つ症例は予後不良で
あることを明らかにしたと発表
したのは、素晴らしい業績です。
今後は、さらに多数の検体を用
いてKRAS遺伝子変異の予後因子
としての意義をより詳細に明ら
かにすること、また今回予後不
良であることが判明した、KRAS
遺伝子を伴うMLL再構成AMLに対
する新規治療法の開発を行うこ
とにぜひ邁進して頂きたいと思
います。
 大阪大学が2020年9月12日、
ガン組織内の酸性環境にガン細
胞が自らを最適化する現象「ac
id addiction(酸中毒)」を発
見し、その適応機構を解明した
と発表したのは素晴らしい業績
です。今回の研究により、酸性
環境への適応機構が明らかにな
ったことで、これをターゲット
とした新たなガン治療法開発へ
の応用を推進して頂きたいと思
います。昔から分かっているの
は、MCT (モノカルボン酸トラ
ンスポーターを介した、乳酸の
細胞外排出やV-ATPaseを介した
プロトンの細胞外排出です。

 適応機構について専門家に、
聞こう。         笑

 
 
 
 
 
 
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