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2021-08-12 21:29:12

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診療マル秘裏話  号外Vol.1929 令和2年10月10日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)分子標的薬曝露の肺ガン細胞生き延びるメカニズム
2)偽キナーゼの一種を分解すると,免疫が強化促進す

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 分子標的薬曝露の肺ガン細胞生き延びるメカニズム

 
 
 
 
 
 金沢大ガン進展制御研究所/
ナノ生命科学研究所の矢野聖二
教授らの研究グループは9月17
日、ガン細胞の増殖に関わる分
子を狙い撃つ「分子標的薬」に
さらされた肺ガン細胞が、特定
の蛋白質を増やして生き延びる
メカニズムを解明したと発表し
ました。ガン細胞をほぼ死滅さ
せるのに有効な薬の使用法も突
き止めており、今後、肺ガンの
根治につながると期待されてい
ます。

 研究グループは、日本人に多
い「EGFR遺伝子」に変異が
生じる肺ガンを調べました。分
子標的薬「オシメルチニブ」を
使うと腫瘍は小さくなりますが、
一部のガン細胞が生き残り、薬
への耐性を持って再発すること
が問題となっています。

 グループは昨年、ガン細胞が
「AXL(アクセル)」という
蛋白質を活性化させて生き残る
ケースを突き止めています。今
回は、AXLの発現が少ないガ
ン細胞を分析しました。AXL
が少ないと分子標的薬が効きや
すいのですが、「IGF―1R」
と呼ばれる別の蛋白質を増やす
ことで生き延びることが分かり
ました。

 昨年までの研究で、オシメル
チニブとAXLを阻害する薬を
併用すると、ガン細胞はほぼ死
滅することが分かっており、今
回もオシメルチニブとIGF―
1R阻害薬との併用により同様
の結果を得ることができました。
マウスを使った実験では、40日
間の治療のうち初めの10日間で
併用すると腫瘍が消失し、治療
をやめてもほぼ再発しないこと
が判明したということです。

 金沢大角間キャンパスで同研
究所/新学術創成研究機構の鈴
木健之教授と会見した矢野教授
は、IGF―1Rの阻害薬は、
体内のインスリンの働きを抑制
することから、長期の使用は困
難と指摘しました。その上で「
10日間という短期併用の治療法
を提唱できたことは大きな成果
だ」と述べました。

 今後、治療法の確立や副作用
の少ない阻害薬の開発を目指し
ます。研究成果は英国の科学誌
「ネイチャー・コミュニケーシ
ョンズ」のオンライン版に掲載
されました。

肺ガンに対する治療薬の開発に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 治療法を確立する確率を予想
する。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 偽キナーゼの一種を分解すると,免疫が強化促進す

 
 
 
 
 
 
 武田薬品工業発ベンチャーの
ファイメクス(神奈川県藤沢市)
は、早ければ2021年末にも自社
品第1号の臨床試験(治験)を
始めます。既存薬剤では狙えな
かった偽キナーゼ「IRAK-
M」を、蛋白質分解薬(TPD)
で分解してガン治療につなげま
す。今年5月に資金調達した5.
5 億円を元手に、まず免疫チェ
ックポイント阻害剤との併用か
ら始め、呼吸器などガン以外の
領域にも乗り出します。

 ファイメクスは武田が研究し
ていたTPD創薬を引き継いで
2018年に発足しました。TPD
は、疾患原因蛋白質を丸ごと分
解する新しい低分子医薬品です。
従来型の低分子薬や抗体医薬で
は攻撃できない蛋白質も新たに
標的になり得ます。

 新標的の典型例が偽キナーゼ
です。偽キナーゼはキナーゼに
似た構造にもかかわらず活性が
ありません。代表的な低分子薬
であるキナーゼ阻害剤は、活性
を遮断して効果を発揮するため
偽キナーゼには向きません。し
かし、TPDなら活性の有無に
関係なく分解できます。

 IRAK-Mは偽キナーゼの
一種で、マクロファージや樹状
細胞など自然免疫にかかわる細
胞の働きを抑制します。TPD
でIRAK-Mを分解すれば、
逆に免疫が促進され、ガン細胞
への攻撃能力が高まる可能性が
あります。

 最初の治験で検討しているの
は、免疫チェックポイント阻害
剤が効きにくい「冷たいガン」
を、効きやすい「熱いガン」に
する手法です。この領域は自然
免疫系への働きかけが有望視さ
れており、IRAK-M分解も
こうした潮流に合致します。

 また研究論文では、IRAK
-Mは喘息や肺線維症とのかか
わりも指摘されています。ガン
免疫分野の開発が進展すれば呼
吸器分野への拡大もあり得ます。

 前立腺ガン向けで治験入りし
た米アルビナスなど、TPD創
薬は海外が先行しています。フ
ァイメクスの強みは「RaPP
IDS」と呼ぶ技術で、TPD
に必要な「標的蛋白質」「ユビ
キチンリガーゼ(E3リガーゼ)」、
これらをつなぐ「リンカー」の
最適な組み合わせを効率よく探
索します。

 TPDによるIRAK-M分
解は武田が研究していましたが、
研究体制の再編でお蔵入りにな
りかけました。「このまま消え
ていくのは惜しいとの声が社内
で多かった」(ファイメクスの
冨成祐介社長)ことから、有志
を募り発足しました。創業と同
時に武田やコスモバイオから2.
6 億円を、今年5月にはベンチ
ャーキャピタルから5.5 億円を
調達しました。

 今回の資金の主な使い道は、
IRAK-M以外の偽キナーゼ
「TRIB1」「ILK」を対
象としたパイプライン進展と、
RaPPIDSの改良しました。
TRIB1は血液ガン、ILK
は固形ガンとの関連が示唆され
ています。

 「TPDのコンセプトは共通
しているが、アプローチは各社
各様。詳細は非開示のところも
多い」(ファイメクスの冨成祐
介社長)。IRAK-M分解薬
候補は9カ月でリード化合物の
同定に成功したといい、RaP
PIDSがさらに洗練されれば
先頭集団の一画に食い込めそう
です。

蛋白分解薬について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 一角獣の先頭集団の一画に食
い込んだ。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 金沢大ガン進展制御研究所/
ナノ生命科学研究所の矢野聖二
教授らの研究グループが9月17
日、ガン細胞の増殖に関わる分
子を狙い撃つ「分子標的薬」に
さらされた肺ガン細胞が、特定
の蛋白質を増やして生き延びる
メカニズムを解明したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
昨年までの研究で、オシメルチ
ニブと、AXLを阻害する薬を
併用すると、ガン細胞はほぼ死
滅することが分かっており、今
回もオシメルチニブとIGF―
1R阻害薬との併用により同様
の結果を得ることができたと言
うことですから、短期間の併用
で結果が出せれば、ガン治療に
非常に有用と言えるでしょう。
 武田薬品工業発ベンチャーの
ファイメクス(神奈川県藤沢市)
が、早ければ2021年末にも自社
品第1号の臨床試験(治験)を
始めることは、喜ばしいことで
す。既存薬剤では狙えなかった
偽キナーゼ「IRAK-M」を、
蛋白質分解薬(TPD)で分解
してガン治療につなげるという、
画期的な手法での臨床試験にな
るようです。IRAK-Mは偽
キナーゼの一種で、マクロファ
ージや樹状細胞など自然免疫に
かかわる細胞の働きを抑制する
とされています。TPDでIR
AK-Mを分解すれば、逆に免
疫が促進され、ガン細胞への攻
撃能力が高まる可能性があると
いうのは、ロマンのある研究と
言えましょう。

 分会で、毒を分解する講演を
行う。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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