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2021-08-09 21:20:00

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診療マル秘裏話  号外Vol.1927 令和2年10月8日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)悪性リンパ腫の,ガン免疫への抵抗性獲得の仕組み
2)肺線維化の進行を間葉系幹細胞投与で抑制する

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 悪性リンパ腫の,ガン免疫への抵抗性獲得の仕組み

 
 
 
 
 
 筑波大学は9月14日、悪性リ
ンパ腫が、ガン免疫に対する抵
抗性を獲得する仕組みを明らか
にしたと発表しました。これは、
同大プレシジョン・メディスン
開発研究センターの杉原英志准
教授と、慶應義塾大学医学部
先端医科学研究所の佐谷秀行教
授らの共同研究によるものです。
研究成果は「Cancer Research」
誌に掲載されています。

 近年、ガンに対する新しい治
療法として開発された免疫チェ
ックポイント阻害剤による免疫
療法は、悪性黒色腫や肺ガンを
はじめ多くのガンで有効で、手
術療法、放射線療法、化学療法
に続く「第4の治療法」として
大きな期待を受けています。一
方、最近では、この免疫療法に
対して抵抗性を持つガンが存在
することも報告されています。

 免疫療法では、ガンの抗原を
認識する活性化したT細胞が、
さまざまな方法でガン細胞を攻
撃し、最終的に細胞を溶解した
り、アポトーシスを誘導したり
します。この攻撃方法のひとつ
が、細胞傷害性T細胞のFas リ
ガンドを介したFas 誘導アポト
ーシスです。ガン細胞に発現し
た細胞膜分子のFas は、Fas リ
ガンドと結合すると3量体を形
成してDISCと呼ばれる複合体を
作り、その後、システインプロ
テアーゼCaspase-3、Caspase-8
と活性化することで、アポトー
シスを誘導する。しかし、Fas
を発現したガン細胞が生体内で
ガン免疫の攻撃に対してどのよ
うに抵抗性を示すのか、その詳
細な仕組みはほとんど分かって
いませんでした。

 研究グループはこれまでに、
マウスのさまざまな臓器由来の
幹細胞や前駆細胞を一時的に生
体外で培養し、ガン関連遺伝子
を導入後に同種マウスへ移植す
ることで、骨肉腫、脳腫瘍、急
性白血病などさまざまな発ガン
マウスモデルを構築し、解析し
てきました。これらのマウスモ
デルは、正常な免疫システムを
もつマウスを用いているため、
ガンが発症・進展する過程でど
のように免疫細胞が働くのか、
さらに、ガン細胞がいかに免疫
システムに対して抵抗性を獲得
するのか、詳細な分子メカニズ
ムの解析が可能という特徴があ
ります。近年の薬剤開発により、
悪性リンパ腫の治療成績に改善
がみられるものの、一部の患者
さんでは治療抵抗性が報告され
ています。

 そこで今回の研究では、この
治療抵抗性が、ガン免疫抵抗性
に起因する可能性があると考え、
血液腫瘍の中で最も頻度が高い
リンパ腫のうち、バーキットリ
ンパ腫やびまん性大細胞型B細
胞リンパ腫といった、進行の速
い悪性リンパ腫について、ガン
免疫抵抗性を調べました。

 研究グループは、これまで開
発してきた発ガンマウスモデル
のシステムを応用し、高分化型
B細胞リンパ腫モデルの開発を
行いました。まず、生体外で脾
臓由来のリンパ腫の起源となる
B細胞を培養し、発ガン遺伝子
MYC を導入後、マウスの腹腔内
への移植を行いました。その結
果、ガン抑制遺伝子Cdkn2aが欠
損したマウス由来のB細胞から、
およそ60%の割合で、2か月間
でリンパ腫が形成することが分
かりました。また組織学的には、
ヒトバーキットリンパ腫に類似
した進行の速い高分化型B細胞
リンパ腫であることが分かりま
した。

 さらに、リンパ腫の細胞表面
分子を解析した所、移植前のB
細胞で高発現していたアポトー
シス誘導分子であるFas が、リ
ンパ腫では全く発現していない
ことを見出しました。そこで、
移植前のB細胞のFasをshRNAに
て発現抑制し、移植後にリンパ
腫形成における影響を観察しま
した。その結果、100%の割合で、
2か月よりも早期にリンパ腫が
形成することが分かりました。
形成したリンパ腫にFas を遺伝
子導入し発現を戻すと、Fas リ
ガンド処理によりアポトーシス
が誘導され、これを再び移植す
ると生存期間の延長がみられま
した。これらの結果から、Fas
の発現低下はリンパ腫の発症と
維持にきわめて重要であること
が示されました。

 次に、リンパ腫の発症過程で
Fas の発現が低下する仕組みを
調べた所、膜蛋白質分子CD40の
機能低下によるものであること
が分かりました。リンパ腫細胞
に対してCD40抗体またはCD40リ
ガンド処理によりCD40シグナル
を活性化させると、Fas 発現が
再度回復しました。また、ヒト
バーキットリンパ腫とびまん性
大細胞型B細胞リンパ腫の細胞
株におけるFas 発現について調
べると、マウスリンパ腫と同様
に、多くの細胞株でFas が低発
現であることが分かりました。

 さらに、CD40リガンドにより
CD40シグナルを活性化させた所、
全ての細胞株でFas 発現の回復
がみられたものの、半数の細胞
株はFas 誘導アポトーシスに抵
抗性を示すことが分かりました。
そこで、アポトーシスに抵抗性
を持つ分子群の蛋白質発現を解
析した結果、IAP(inhibitor o
f apoptosis protein )ファミ
リーの一つであるLivin 分子が、
Fas 誘導アポトーシスに抵抗性
を持つ細胞株に唯一共通して高
発現していることを見出しまし
た。NCBI(アメリカ国立生物工
学情報センター)に登録されて
いる公共データを使用して、遺
伝子発現プロファイル解析を実
施した所、ヒトバーキットリン
パ腫とびまん性大細胞型B細胞
リンパ腫患者さんにおいて、Li
vin 高発現は予後不良の患者さ
んと有意に相関していました。
またFasとLivin発現の相関につ
いても解析したところ、Livin
高発現とFas 低発現のリンパ腫
患者さんは、最も生存期間が短
く、予後不良示すことが分かり
ました。

 Livin の発現がどのように制
御されているのかを調べるため、
ガンで重要なシグナル伝達経路
の阻害剤などを用いて上流分子
の検討を実施しました。その結
果、転写を促進する機能をもつ
BET ファミリー蛋白質を阻害す
ると、Livin 発現が低下しまし
た。BET ファミリー蛋白質は、
ゲノム上のエンハンサーやプロ
モーター領域のアセチル化ヒス
トンと結合するエピジェネティ
クスに関わっています。このフ
ァミリー蛋白質として知られる
BRD4、BRD3、BRD2などのうち、
どの分子がLivin 発現に重要か
明らかにするため、shRNA によ
って各々の発現抑制実験を実施
したところ、BRD4とBRD2の発現
抑制によってLivin の発現が低
下する事が分かりました。更に
クロマチン免疫沈降法により、
実際に両分子がLivin のプロモ
ーター・エンハンサー領域と結
合していることも確認しました。
これらの結果から、LivinはBET
ファミリー蛋白質によって発現
が制御されており、悪性化の過
程でエピジェネティクスの変化
により発現することが示唆され
ました。

 次に、Livin の発現を抑制す
ることでFas 誘導アポトーシス
がリンパ腫細胞で起こるのか、
shRNAおよびLivin阻害剤BV6 を
用いて検討しました。その結果、
Livin の抑制によりCD40シグナ
ル活性化によるFas 誘導アポト
ーシスが有意に生じることが分
かりました。また、Livin を発
現したマウスリンパ腫細胞を移
植しBV6 を投与した所、BV6 の
隔日投与によりマウスの生存時
間が延長しました。つまり、生
体内でもLivinの抑制はFas誘導
アポトーシスの抵抗性を打破し、
リンパ腫を細胞死に導くことが
示されました。

 以上のことから、MYC の過剰
発現などの発ガンイベントに加
え、Fas の発現が低下したB細
胞がCD8陽性T細胞など細胞障害
性細胞によるFas 誘導アポトー
シスから逃れることで、リンパ
腫が発症することが分かりまし
た。また、エピジェネティクス
の変化によりBRD4およびBRD2が
Livin 発現を増加させることで、
リンパ腫細胞はさらにFas 誘導
アポトーシスの抵抗性を獲得し、
悪性リンパ腫の難治性を高めて
いることが分かりました。

 今回の研究により、予後不良
の悪性リンパ腫における免疫シ
ステムに対する抵抗性獲得の仕
組みが明らかになりました。Fa
s リガンドを介したFas 誘導ア
ポトーシスは、ガン免疫療法に
おいて、細胞障害性T細胞によ
るガン免疫の攻撃手段の一つで
あり、同成果は、免疫チェック
ポイント阻害剤への抵抗性をも
つ他臓器のガンにおいても重要
な知見となる可能性があります。

 「Livinの阻害剤やBETファミ
リー蛋白質の阻害剤は、現在臨
床試験が行われており、本研究
の結果を踏まえ、悪性リンパ腫
の免疫抵抗性への新たな治療手
段としての応用・展開が期待さ
れる」と、研究グループは述べ
ています。

悪性リンパ腫について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 天海和尚が忍者の隠密部隊を
展開した。        笑

 
 
 
 
 
 
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2】 肺線維化の進行を間葉系幹細胞投与で抑制する

 
 
 
 
 
 
 肺炎を起こしたマウスの鼻か
ら、「間葉系幹細胞」という細
胞を投与することで、肺が硬く
なり呼吸がしづらくなる「線維
化」の進行を抑えます。そんな
研究を順天堂大などのチームが
発表しました。武漢熱による肺
炎への効果は未確認ですが、チ
ームは後遺症として報告例があ
る肺の線維化に効果がある可能
性があるとしています。

 間葉系幹細胞はヒトなどの体
内にもともと存在し、骨や脂肪
などに変化したり、炎症を抑え
る物質を出したりします。この
物質は、武漢熱による肺炎の重
症化の原因となる免疫に関する
蛋白質の暴走を食い止める可能
性があるとして、国内外で治験
が進められています。チームは、
肺を線維化させたマウスを用意
しました。マウスの皮下脂肪か
ら採取した間葉系幹細胞を、肺
に直接行き届かせるために鼻か
ら投与しました。間葉系幹細胞
を投与しなかったマウスと比べ
ると、投与したマウスは肺の線
維化が見られませんでした。免
疫の暴走を抑制する蛋白質など
が増えていたということです。

 肺炎によって繊維化した肺を
治すことは難しく、薬などで進
行を食い止めるしかありません。
チームの順天堂大の赤澤智宏教
授は「いま武漢熱の後遺症が注
目されていて、治療法の開発が
重要になっている。線維化した
肺の治療に使える可能性がある」
と話しています。

英科学誌「サイエンティフィ
ック・リポーツ」に9月15日、
掲載されました。

武漢熱の肺線維化について解説

している動画です。

 
 


 
 
 房総半島で暴走族が暴れ回る。


 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 筑波大学が9月14日、悪性リ
ンパ腫が、ガン免疫に対する抵
抗性を獲得する仕組みを明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。Fas リガンドを
介したFas 誘導アポトーシスは、
ガン免疫療法において、細胞障
害性T細胞によるガン免疫の攻
撃手段の一つであり、同成果は、
免疫チェックポイント阻害剤へ
の抵抗性をもつ他臓器のガンに
おいても重要な知見となる可能
性があるということです。Livi
nの阻害剤やBETファミリー蛋白
質の阻害剤は、現在臨床試験が
行われており、本研究の結果を
踏まえ、悪性リンパ腫の免疫抵
抗性への新たな治療手段として
の応用・展開に期待したいと思
います。
 肺炎を起こしたマウスの鼻か
ら、「間葉系幹細胞」という細
胞を投与することで、肺が硬く
なり呼吸がしづらくなる「線維
化」の進行を抑えます。そんな
研究を順天堂大などのチームが
発表したのは、喜ばしいことで
す。肺の繊維化に対しては、薬
で抑える他ないとのことですが、
私は、強力な抗酸化物質である
パプラール(白金・パラジウム)
で治療して、症状の改善した例
を多数持っています。また、ベ
トナム人のバー先生が開発した
メタボジェニック療法のCOPD・
間質性肺炎に対するサプリメン
トでも少数ながら改善例を持っ
ています。オフェブなど新薬は、
副作用が酷いとおっしゃる患者
さんが多く、上記の副作用が、
ほとんどない治療で改善してい
ることは、薬だけに頼るのは、
危険ということを示唆している
と考えます。

 肝細胞の幹細胞を研究する。


 
 
 
 
 
 
 
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