最近の号外Vol.1926メルマガ

2021-08-08 20:30:24

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.1926 令和2年10月6日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)大学生活で、メンタル不調に陥りやすい学生の特性
2)移植拒絶反応に免疫抑制薬無効のメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 大学生活で、メンタル不調に陥りやすい学生の特性

 
 
 
 
 
 金沢大学は9月10日、大学生
活でメンタル不調に陥りやすい
学生の特性を明らかにしたと発
表しました。この研究は、同大
保健管理センターの吉川弘明教
授、足立由美准教授らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、米国科学誌「PLOS ONE」
に掲載されています。青年期に
おけるメンタルヘルスは、非常
に重要です。メンタル不調に陥
ると、最悪の場合、自殺という
結果になることもあります。大
学ではメンタルヘルスの課題に
対応する場所として、学生相談
室などの窓口を設置し、公認心
理師が学生の心の問題に対応し、
必要があればメンタルクリニッ
クなどの外部医療機関や公的支
援機関につなげ、学生の学業の
成功を支援しています。

 最近は社会のグローバル化に
伴い、さらに高度な能力を持っ
た人材の育成が求められるため、
大学も組織や取り組みを変革し
て対応を急いでいます。学生は
英語での授業を受け、アクティ
ブラーニング形式の授業に参加
し、海外留学の機会も持つよう
になりました。一方で、そのよ
うな変革に適応できない学生も
増加しています。

 大学生活に適応できず、学生
相談室などの窓口を訪れる学生
の特性を詳細に調査した研究は、
これまで多くありませんでした。
今回の研究では、大学生活でメ
ンタル不調を抱える学生の特性
を科学的に評価することを目的
に、学生相談室や外部のメンタ
ルクリニックなどの医療機関を
利用したことがない学生を対照
群にして比較研究を実施しまし
た。研究は、医学倫理審査委員
会の審査・承認後、希望した被
験者への説明と同意を得て、個
人情報の漏洩が無いよう十分に
配慮して行われました。

 公認心理師とカウンセリング
の機会を持った学生は、37人(
女性11人、男性26人)、対照群
は68人(女性41人、男性27人)
でした。十分な説明と同意のも
と、心理検査として、ウェクス
ラー成人知能検査第3版(WAIS-
3)、自閉症スペクトラム指数
(AQ)、S-H 式レジリエンス検
査、新版STAI 状態-特性不安検
査、健康関連QOL尺度(SF-12)
を実施しました。また、自律神
経機能評価のため、指尖脈波の
心拍変動スペクトル解析を実施
して、交感神経機能と副交感神
経機能を評価しました。さらに、
バイオマーカーとして、血液中
の抗グルタミン脱炭酸酵素(GA
D )抗体を測定しました。抗GA
D 抗体は、抗神経抗体の一つで、
ある種の神経疾患の原因となる
ことが推察されている自己抗体
です。以上により心と体の両面
からメンタル不調に陥る特性を
科学的に明らかにすることに取
り組みました。研究の結果、メ
ンタル不調により公認心理師と
カウンセリングの機会を持った
学生群について、「WAIS-3の点
数は正常範囲ですが、対照群の
学生よりもワーキングメモリー
の指標において、低得点」「特
に男性において、自閉スペクト
ラム障害の傾向が強い」「レジ
リエンスが弱い」「性格的に不
安特性が高い」「男女ともに、
社会生活におけるクオリティー
オブライフ(QOL )の満足度が
低い」「男性においては、メン
タルヘルスにおけるQOL の得点
が低い」「自律神経機能では交
感神経の緊張が常に高いという
ことに加え、男性と女性では、
特性が異なる」ことが明らかに
なりました。

 一方、血液中抗GAD 抗体は、
以前、自閉スペクトラム障害で
は高値になるという報告があり
ましたが、高い値を示す者はほ
とんどいませんでした。以上の
結果は、メンタル不調を抱える
学生の特性を、初めて科学的に
明らかにしたものだということ
です。今回の研究結果について、
研究グループは、メンタルヘル
ス不調に陥りやすい学生に、ど
のような教育指導をすればよい
かの参考になるものだとしてい
ます。

 吉川教授と足立准教授は、同
大が平成19年度文部科学省選定
事業として採択され4年間にわ
たって実施した「新たな社会的
ニーズに対応した学生支援プロ
グラム(学生支援GP)」の推進
に関わり、プログラム終了後も
同大の正課教育「共通教育科目
自由履修科目」や正課外教育「
学生支援プログラム」の中に、
その実践から生まれた教育パッ
ケージを導入してきました。「
共通教育科目自由履修科目」や
「学生支援プログラム」は、メ
ンタルヘルス不調に陥りやすい
学生の学習意欲を向上させるた
めの教養教育の在り方の一つで
す。

 また、学生はいずれ卒業して、
社会に出ていきますが、その時
点で特性が大きく変わっている
わけではありません。ほとんど
のメンタル不調は青年期に始ま
るとされた報告もあり、企業や
社会の中に、この研究が示した
特性を持つ人は、一定の割合で
存在しています。少子高齢化は
日本だけではなく、世界的な課
題ですが、今回の研究で明らか
となった特性を持つ人も生き生
きと過ごせるように、職場環境
や社会環境、人間関係に配慮し
なければならないとしています。

 「今回の研究結果は、一人一
人の特性に配慮しつつ、社会の
繁栄を図るための重要な手掛か
りを与えると思われる」と研究
グループは述べています。

気持ちの切り替えについて解説

している動画です。

 
 


 
 
 少子高齢化を防ぐ恒例行事を
行う。          笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 移植拒絶反応に免疫抑制薬無効のメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 広島大学は9月11日、血液型
不適合移植における難治性拒絶
反応および異種移植の拒絶反応
に既存の免疫抑制薬が効かない
メカニズムを、遺伝子改変マウ
スの移植モデルを用いて解明し
たと発表しました。この研究は、
同大大学院医系科学研究科の大
段秀樹教授らの研究グループに
よるものです。研究成果は、「
American Journal of Transpla
ntation 」のオンライン速報版
に掲載されています。臓器移植
におけるドナー不足の本質的な
解決策として、再生医療と異種
移植の研究が進められています。
再生医療では、iPS 細胞から成
熟した正常細胞や組織の誘導が
可能になりましたが、臨床応用
可能な臓器の再生にはいまだ方
策がありません。一方、動物か
らの異種移植は、ゲノム編集な
どの新技術によってヒト型の遺
伝子導入や動物由来のウイルス
の排除が可能となり、現実味を
帯びてきました。しかし、従来
の免疫抑制薬が効かない難治性
の拒絶反応を乗り越えることは
できていません。

 血液型不適合移植は、移植臓
器の血管内皮に表出する血液型
糖鎖に抗体が結合して血流が障
害され、臓器機能が廃絶されま
す。免疫抑制薬(カルシニュー
リン阻害薬)は、拒絶の原因と
なる抗体の産生を効率よく抑制
するため、その使用によって不
適合臓器移植の臨床成績は良好
となりました。しかし、予期せ
ずして激しい拒絶反応を発症す
る場合もあり、その機序は明ら
ではありませんでした。研究グ
ループは今回、糖鎖抗原に反応
するB細胞で発現するToll-like
receptor(TLR)に刺激が加わ
ると、カルシニューリン阻害薬
の効果が消失することを発見し
ました。つまり、ABO 不適合移
植後に感染症を発症した場合、
病原体がTLR を刺激し、免疫抑
制薬の効果が失われて拒絶反応
が惹起されるということです。

 また、異種移植では、異種抗
原がB細胞受容体と共にTLRを刺
激してしまうため、カルシニュ
ーリン阻害薬の効果が得られな
いことも明らかとなりました。
異種ドナーの細胞上の抗原(α
Gal)がB細胞受容体(BCR )と
接触するのと同時に、異種抗原
がTLR 接触すると、MyD88 シグ
ナルが伝達されてB 細胞が活性
化し、抗αGa抗体が産生されて
拒絶反応が起こります。MyD88
シグナルは、カルシニューリン
活性の下流で機能する因子であ
るNFATc1を活性化するため、カ
ルシニューリン阻害薬が効かな
いと判明しました。さらに、本
来、抗ガン剤として開発された
BTK 阻害薬(ブルトン型チロシ
ンキナーゼ阻害薬)やHDAC阻害
薬(ヒストン脱アセチル化酵素
阻害薬)が、B 細胞受容体とTL
R からの細胞刺激を同時に抑制
し、異種移植の拒絶反応を完全
に予防できることを証明しまし
た。

 これらの薬剤は、すでにヒト
での安全性や体内動態が確認さ
れており、ドラッグリポジショ
ニングとしての臨床応用に期待
が高まっています。研究グルー
プは、「異種移植が実用化され
れば、時間的制限のある脳死移
植や健康な家族が犠牲になる生
体移植から解放され、臓器不全
に苦しむ患者さんを救命するこ
とが可能になる」と、述べてい
ます。

免疫系に作用する機序について

解説している動画です。

 
 


 
 
 救命手段に誤りはなかったか
と究明した。       笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 金沢大学が9月10日、大学生
活でメンタル不調に陥りやすい
学生の特性を明らかにしたと発
表したのは素晴らしい業績です。
メンタル不調に陥るのは、そも
そも受験戦争を戦い抜いて、次
のストレスが降りかかることに
よって起こるものと私は、考え
ます。すなわち、大学生活が始
まって人間関係のストレスが増
えたり、受験戦争で燃え尽き症
候群となり、新しい勉学生活に
馴染めないというストレスなど
が起こることで、副腎疲労を起
こし、メンタル不調をきたし、
酷い場合は、そこで精神疾患に
罹患してしまうというものです。
副腎疲労を治療して、ストレス
を跳ねのけるメンタルを培うこ
とが何よりも大切だと考えます。
副腎疲労の治療法については、
ここでは、割愛させて頂きます
が、ストレスが絡むとすぐに、
副腎疲労を思いつかないと自殺
など悲惨な結果を産むことだけ
は、心に留め置いて頂きたいも
のです。タバコの火を消し止め
るのは、容易でも、山火事にな
ってしまうと消火活動は困難を
極めると肝に銘じるべきでしょ
う。
 広島大学が9月11日、血液型
不適合移植における難治性拒絶
反応および異種移植の拒絶反応
に既存の免疫抑制薬が効かない
メカニズムを、遺伝子改変マウ
スの移植モデルを用いて解明し
たと発表したというのは本当に
驚天動地の業績です。従来の免
疫抑制薬が効かない難治性の拒
絶反応を乗り越えることはでき
ていない中、ドナー不足に悩む
現場が多いと推察致します。し
かし、逆に言うと難治性の拒絶
反応や異種移植による拒絶反応
さえ、抑制することができれば、
ドナー不足に悩むことはなくな
ると言うことだと思います。し
かしながら、まだ動物実験で、
BTK 阻害薬(ブルトン型チロシ
ンキナーゼ阻害薬)やHDAC阻害
薬(ヒストン脱アセチル化酵素
阻害薬)が、B 細胞受容体とTL
R からの細胞刺激を同時に抑制
し、異種移植の拒絶反応を完全
に予防できることを証明したに
過ぎないので、ドラッグリポジ
ショニングで、人間への安全性
も担保されているというものの
まだ乗り越えなければならない
多くの高い壁が存在すると言え
ましょう。

 ドナー不足で不測の事態に陥
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント