最近の号外Vol.1884メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1884メルマガ

2021-06-21 22:42:10

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1884 令和2年8月18日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)TNBCでガン細胞が分泌のIL-34予後不良に寄与
2)コレシストキニンとレプチンが,細胞内情報伝達レベルで共益

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 TNBCでガン細胞が分泌のIL-34予後不良に寄与

 
 
 
 
 
 
 
 北海道大学は7月22日、予後
不良な乳ガンとして知られるト
リプルネガティブ乳ガン(TNBC)
において、ガン細胞が分泌する
インターロイキン-34(IL-34)
そのものが予後不良に寄与して
いることを明らかにしたと発表
しました。これは、同大遺伝子
病制御研究所病態研究部門免疫
生物分野の清野研一郎教授、大
塚亮助教、同大学院医学院修士
課程の梶原ナビール氏らの研究
グループによるもの。研究成果
は、「Breast Cancer 」オンラ
イン版に掲載されています。乳
ガンは、ガン細胞の表面に出て
いる受容体の種類によって大き
く4つのタイプに分かれます。
TNBCは、乳ガンの治療標的とな
る3つの受容体が欠如している
ことから、そのように名付けら
れており、全乳ガンの約20%を
占めています。他のタイプの乳
ガンと比較して、より高い再発
率、再発後の急速な進行を示し、
予後が不良です。TNBCに対する
薬剤治療としては、抗ガン剤を
用いた化学療法が一般的ですが、
多くの患者さんが化学療法への
抵抗性を獲得してしまうため、
化学療法に取って代わるような
効果的な治療法・治療薬の開発
が強く望まれています。

マクロファージは、免疫のさま
ざまな側面で重要な役割を担っ
ている一方、腫瘍に浸潤してい
るマクロファージの多くは免疫
抑制性に偏っています。腫瘍に
おけるマクロファージによる免
疫抑制を解除することが、ガン
治療法の1つとして注目を浴び
ており、世界中で数多くの研究
が行われています。マクロファ
ージを免疫抑制性に変える因子
として、「IL-34」が報告され
ています。研究グループはこれ
までに、さまざまなガン種の腫
瘍組織においてIL-34の発現を
確認しており、ガン細胞から産
生されるIL-34が、ガンの悪性
度に関わることや、ガンの進行
を促進することを明らかにして
きました。しかし、TNBCにおけ
るIL-34の役割についての報告
は未だありません。そこで今回
の研究では、TNBCの腫瘍組織に
おけるIL-34の発現と、TNBCの
病因と予後におけるIL-34の役
割、さらに、IL-34がTNBCにお
いて治療標的となり得るかを検
討しました。まず、1,083 人の
乳ガン患者さんの臨床情報をも
とに、全乳ガン患者を4つのタ
イプ別(TNBC、HER2+、Luminal
A、Luminal B)に分類し、各タ
イプの乳ガン組織におけるIL-
34の遺伝子発現を比較しました。
また、その発現が各タイプの乳
ガン患者さんの予後に影響する
かを調べました。次に、IL-34
を発現するマウスTNBC細胞株で
ある4T1 細胞を用いて、IL-34
のTNBCにおける役割について検
討しました。IL-34を欠損させ
た4T1 細胞を樹立し、IL-34の
有無で細胞の増殖能に差がある
のかを調べました。さらに、IL
-34の免疫系への作用を評価す
るため、IL-34を発現する細胞
と欠損させた細胞を実験用マウ
スの皮下に注入し、生体内での
腫瘍形成能と免疫細胞への影響
を評価しました。最後に、マウ
ス生体内で増殖した各腫瘍内に
浸潤している免疫細胞の種類や
量を解析することで、ガン細胞
から産生されるIL-34がTNBCの
腫瘍環境にどのような影響を与
えるのかを検証しました。

各タイプの乳ガンにおけるIL-
34の遺伝子発現を解析した所、
TNBC患者さんの腫瘍組織でのみ
IL-34が高発現していることが
判明しました。また、TNBC患者
さん171 人のうちIL-34高発現
患者さんと低発現患者さんに分
けて生存率を解析した所、IL-
34高発現患者さんの生存率が、
低発現患者さんに比べ有意に低
くなることが確認されました。
さらに、IL-34そのものが独立
した予後不良因子であることを
突きとめました。つまり、IL-
34の発現は、他のタイプの乳ガ
ンよりもTNBCで高く、IL-34の
高発現が単独でTNBC患者さんの
予後不良因子となることを明ら
かにしました。また、マウスTN
BC細胞株を用いた実験により、
IL-34を発現する4T1 細胞とIL
-34を欠損させた4T1 細胞の増
殖能は、試験管内では差が無か
ったのに対し、実験用マウスの
生体内では、IL-34を欠損させ
た4T1 細胞の増殖速度が、IL-
34を発現する4T1 細胞と比較し
て、有意に遅くなることが分か
りました。この結果を踏まえ、
研究グループはそのメカニズム
を検討しました。IL-34には免
疫を抑制する機能が知られてい
るため、IL-34を発現する4T1
細胞でできた腫瘍と、IL-34を
欠損させた4T1 細胞でできた腫
瘍に浸潤している免疫細胞の種
類や量を解析しました。その結
果、免疫細胞の種類や、各免疫
細胞の浸潤率に差は認められま
せんでした。一方、腫瘍環境に
おける炎症がIL-34を欠損させ
た4T1 細胞でできた腫瘍内で強
まっていることが分かりました。
さらに、それらの炎症を引き起
こしているのはマクロファージ
から産生された炎症性サイトカ
インであると判明しました。マ
クロファージ由来の炎症性サイ
トカインは、活性マクロファー
ジで増加し、免疫抑制性マクロ
ファージで減少することが知ら
れています。このことから、TN
BC細胞が産生するIL-34がマク
ロファージの性質を免疫抑制性
に変えることで、腫瘍内に免疫
抑制環境を構築し、腫瘍の成長
を促進していると考えられます。

今回の研究により、TNBCにおい
てIL-34が独立した予後不良因
子であることが示されました。
IL-34を標的とした治療は、TN
BC患者さんの予後を改善する可
能性があります。「研究開発の
推進により、TNBC局所における
IL-34の発現診断→IL-34阻害
薬の投与、という新しいガン個
別化治療のパラダイムが生まれ
る可能性がある。今後IL-34阻
害薬の開発が進み、臨床応用さ
れることが期待される」と、研
究グループは述べています。

サイトカインについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 班名が判明した。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 コレシストキニンとレプチンが,細胞内情報伝達レベルで共益

 
 
 
 
 
 
 
 富山大学は7月17日、摂食抑
制ペプチドとして知られるコレ
シストキニンとレプチンが、視
床下部ニューロンの細胞内情報
伝達レベルにおいて、共役的な
関係にあることを初めて明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大池田真行理事・副学
長および同大学術研究部理学系
望月貴年教授、森岡絵里助教ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、英国の電子ジャー
ナル「Scientific Reports」に
掲載されています。肥満は、糖
尿病、高血圧、脂質異常、動脈
硬化などの生活習慣病の発症に
深く関与すると考えられており、
その治療法の開発が期待されて
います。十分に食べると体内で
は摂食抑制ペプチドが分泌され、
これにより過度の摂食を抑制す
るための「満腹」情報が伝達さ
れることが知られています。主
に胃腸管から分泌されるコレシ
ストキニンと、白色脂肪細胞か
ら分泌されるレプチンは、共に
ペプチドホルモンとして満腹・
食欲制御に働きます。末梢神経
系での作用についての研究が進
む中、これらの中枢作用や相互
作用については不明な点が多く
ありました。コレシストキニン
とレプチンは共に摂食抑制ペプ
チドとして知られているため、
これらは相加的あるいは相乗的
に、摂食制御ニューロンを調節
すると考えられてきました。コ
レシストキニン受容体は刺激に
対して細胞内Ca2+濃度を上昇さ
せることで情報伝達を行うのに
対し、レプチン受容体は刺激に
対して主に転写因子(STAT3 )
等のリン酸化を促進し情報伝達
を行うことが知られています。

同研究では受容体を強制発現さ
せたモデル細胞、視床下部腹内
側核(VMN )ニューロン活動記
録およびラットを用いた動物実
験により、コレシストキニンと
レプチンの細胞内情報伝達レベ
ルにおける共役について解析を
行いました。その結果、レプチ
ン刺激を行った後にコレシスト
キニン刺激を行うと、細胞内Ca
2+応答や神経興奮が増大するこ
とや、コレシストキニン刺激を
行った後にレプチン刺激を行う
と、核内STAT3 凝集が抑制され
ることが分かりました。つまり、
細胞内情報伝達レベルにおける
方向性をもった共役関係が明ら
かとなったとしています。

レプチンやコレシストキニンは
ペプチドであり、そのものを経
口投与しても分解されやすいこ
とが分かっています。一方で、
これらの働きを真似る小分子は、
分解を免れて摂食抑制作用が期
待できるために、抗肥満薬とし
ての開発が進められています。

今回の研究では、レプチンはコ
レシストキニンの作用を増大し、
コレシストキニンはレプチンの
作用を抑制することを示しまし
た。これは、こうした薬(開発
中)を乱用しても、相加的・相
乗的な効果が得られにくいこと
を示唆しているということです。
一般に、短期の満腹応答にはコ
レシストキニンが、長期の満腹
応答にはレプチンが関与すると
考えられており、そうしたタイ
ミングを考慮した投薬戦略が求
められるとし、候補薬のヒトで
の体内動態の解析が重要となっ
てくると思われる、と研究グル
ープは述べています。

食欲を抑制する方法について

解説している動画です。

 
 


 
 
 桜桃を贈答品として送り応答
した。          笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 北海道大学が7月22日、予後
不良な乳ガンとして知られるト
リプルネガティブ乳ガン(TNBC)
において、ガン細胞が分泌する
インターロイキン-34(IL-34)
そのものが予後不良に寄与して
いることを明らかにしたと発表
したのは、素晴らしい業績です。
IL-34を標的とした治療は、TN
BC患者さんの予後を改善する可
能性があるということなので、
今後の研究で、臨床応用可能に
なる所まで、追求して頂きたい
と切に望む次第です。
 富山大学が7月17日、摂食抑
制ペプチドとして知られるコレ
シストキニンとレプチンが、視
床下部ニューロンの細胞内情報
伝達レベルにおいて、共役的な
関係にあることを初めて明らか
にしたと発表したのは、偉大な
業績です。一般に、短期の満腹
応答にはコレシストキニンが、
長期の満腹応答にはレプチンが
関与すると考えられており、そ
うしたタイミングを考慮した投
薬戦略が求められることが分か
ったのは、喜ばしいことです。
候補薬のヒトでの体内動態の解
析を行って頂きたいものです。

 師匠の視床下部の機能を調べ
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。