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2021-06-11 22:36:08

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診療マル秘裏話  号外Vol.1875 令和2年8月8日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)St18がVEGFの発現を転写因子Sp1 の抑制で抑制
2)高齢者の認知症発症を予測する方法を開発した

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 St18がVEGFの発現を転写因子Sp1 の抑制で抑制
 
 
 
 
 
 
 
 生理学研究所は7月15日、マ
クロファージで強く発現するZi
nc finger protein の遺伝子St
18をマクロファージでのみ欠損
するマウスを用いて、St18が血
管内皮増殖因子(VEGF)の発現
を転写因子Sp1 の抑制で抑えて
いることを発見したと発表しま
した。この研究は、同研究所生
体機能調節研究領域特別協力研
究員の丸山健太医師らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は、米科学誌「Cell Reports」
に掲載されています。

近年、Zinc finger protein の
遺伝子St18が肝臓ガンにおいて
炎症を促進させることが報告さ
れました。St18の発現を抑制さ
せた肝臓ガンの細胞では炎症性
サイトカイン遺伝子の発現が低
下することから、St18がガンの
新たな治療標的となるのではな
いかと期待されています。研究
グループは、St18がガン細胞よ
りも免疫細胞のマクロファージ
で非常に強く発現していること
を見出しました。一方で、St18
が敗血症や腸炎といった免疫現
象の絡む病態において、どのよ
うな役割を果たしているのかは
不明でした。

VEGFはマクロファージや腫瘍細
胞で発現し、血管透過性と血管
新生の促進作用を有します。VE
GFは全身炎症に伴う血圧の低下
やガンの増殖といったさまざま
な病態において重要な役割を果
たしていることが知られており、
VEGFの中和抗体は、進行大腸ガ
ンの治療薬として広く使用され
ています。しかしVEGFの発現を
抑制する分子があるかどうかは
明らかになっていませんでした。
今回研究グループは、マクロフ
ァージで特異的にSt18を欠損さ
せたマウスを作製し、表現型解
析を実施しました。その結果、
同マウスは炎症性サイトカイン
遺伝子の発現が正常であるにも
かかわらず、敗血症や薬剤性腸
炎ですぐに死亡することが分か
りました。

敗血症や薬剤性腸炎では血管透
過性が上昇することで血圧が低
下し、このことが原因で個体は
死に至ります。そこで、エバン
スブルーという色素を静脈に注
射し、一定時間後に様々な臓器
をとりだして当該色素の濃度を
測定しました。その結果、マク
ロファージで特異的にSt18を欠
損させたマウスでは野生型マウ
スよりも濃度が高くなっている
ことが明らかになりました。こ
の結果は、マクロファージにお
けるSt18の欠損が全身の血管透
過性を高めていることを意味し
ます。また、網膜や腸に分布す
る血管の数はマクロファージで
特異的にSt18を欠損させたマウ
スで有意に増加していたことか
ら、マクロファージにおけるSt
18の欠損は個体全体の血管透過
性の亢進のみならず、血管新生
の増大をもたらすことが判明し
ました。
次に、こうした表現型の発現す
る分子メカニズムを明らかにす
る目的で、遺伝子発現解析を実
施しました。その結果、血管透
過性と血管新生の促進作用を持
つVEGFの発現がSt18を欠損する
マクロファージで上昇している
ことが明らかとなりました。そ
こで、マクロファージで特異的
にSt18を欠損させたマウスにVE
GFのシグナルを抑制する薬剤ア
キシチニブを投与したところ、
敗血症と薬剤性腸炎に対する死
亡率は野生型と同程度となりま
した。このことから、マクロフ
ァージで特異的にSt18を欠損さ
せたマウスの表現型は、VEGFの
過剰な産生に起因していること
が明らかとなりました。

続いて、St18が欠損するとなぜ
VEGFの発現が上昇するのかを明
らかにする目的で、VEGFのプロ
モーターの解析を実施しました。
その結果、VEGFのプロモーター
には転写因子Sp1 の結合する配
列が存在することが判明しまし
た。そこで、マクロファージの
培養細胞にSp1 を過剰発現させ
たところ、VEGFのプロモーター
が活性化することでVEGFの発現
が誘導されることが分かりまし
た。この結果は、Sp1 がVEGFの
発現を誘導する転写因子である
ことを意味しているということ
です。実際に、St18を欠損する
マクロファージでは野生型より
もたくさんのSp1 がVEGFのプロ
モーターに結合しており、St18
を欠損するマクロファージから
産生されるVEGFの量はSp1 阻害
剤をふりかけることで正常化し
ました。

最後に、生化学的解析を駆使し
てSt18とSp1 の関係性を調べた
結果、St18はSp1 と直接結合す
ることで、Sp1 のVEGFのプロモ
ーターへの結合を阻害している
ことが明らかになったとしてい
ます。今回の研究結果によって、
マクロファージにおけるSt18の
発現レベルを調節することで、
敗血症や腸炎、ガンといったVE
GFとかかわる疾患の治療法開発
が期待されます。

研究グループは、マクロファー
ジのSt18がVEGFを強力に抑制す
ることが明らかになり、今後、
マクロファージのSt18を誘導す
ることのできる化合物を探索す
ることで、VEGFのかかわるさま
ざまな疾患の新しい治療につな
げたい、と述べています。

ガン分子標的薬について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 発現レベルについて発言する。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 高齢者の認知症発症を予測する方法を開発した

 
 
 
 
 
 
 
 追手門学院大学は7月13日、
AIを用いた脳のMRI 画像解析か
ら、高齢者がいつどの程度の確
率でアルツハイマー病を発症す
るかを予測する方法を開発した
と発表しました。これは同大の
小野田慶一教授(研究当時:島
根大学)と島根大学医学部神経
内科の長井篤教授および株式会
社ERISA (島根県松江市)の共
同研究グループによるものです。
研究成果は、「Brain Communic
ations」に掲載されています。
研究グループは、健康な人と、
アルツハイマー病に関する公開
データベースおよび島根大学医
学部神経内科の外来患者を合わ
せた計2,142 例を対象に調査を
行いました。ベースライン時に
脳のMRI 構造画像を測定し、一
定期間ごとにアルツハイマー病
に進行したかどうかのフォロー
アップデータを取得しました。

アルツハイマー病は、脳の萎縮
を1つの特徴としています。従
来のクラス分類に基づく手法で
は、「2年以内に発症するかど
うか」といった、2分法による
推定しか行われていませんでし
た。そこで今回、脳MRI 画像か
ら領域ごとの灰白質容積を算出、
これを特徴量とし、深層生存分
析という機械学習の手法を用い
て、経過年ごとの発症確率を推
定する方法を開発し、解析を行
いました。「Concordance inde
x」 という指標でモデルのパフ
ォーマンスを評価した所、開発
した手法のConcordance index
は最大で0.835でした。 これは、
高齢者をランダムに2人選んで
きたときに83.5%の確率で、ど
ちらが先にアルツハイマー病に
なるかを正答できるという値に
相当します。

また、どの脳領域がアルツハイ
マー病発症予測に重要かを調べ
た所、従来からアルツハイマー
病との関連が示唆されるデフォ
ルトモードネットワークだけで
なく、前帯状回や島皮質といっ
た顕著性ネットワークも重要な
情報源であることが示されまし
た。

アルツハイマー病を発症しやす
いタイプか、発症しやすくない
タイプかの研究はこれまでにあ
りましたが、今回のように個人
の発症確率を経過年数ごとに予
測する手法を確立したのは画期
的です。小野田教授は、「個人
レベルでアルツハイマー病の発
症リスクを将来の経過年数ごと
に評価できるようになった。今
後は研究成果の医療等への応用
も考えられる」と、述べていま
す。

MRIで認知症を予防する方法に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 
 画期的な手法で、活気がでる。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 生理学研究所が7月15日、マ
クロファージで強く発現するZi
nc finger protein の遺伝子St
18をマクロファージでのみ欠損
するマウスを用いて、St18が血
管内皮増殖因子(VEGF)の発現
を転写因子Sp1 の抑制で抑えて
いることを発見したと発表した
のは、素晴らしい業績です。VE
GFは全身炎症に伴う血圧の低下
やガンの増殖といったさまざま
な病態において重要な役割を果
たしていることが知られており、
VEGFの中和抗体は、進行大腸ガ
ンの治療薬として広く使用され
ていることからVEGFを抑制する
ことができれば、ガンの治療薬
となることが推測されます。マ
クロファージのSt18がVEGFを強
力に抑制することが明らかにな
り、今後、マクロファージのSt
18を誘導することのできる化合
物を探索することで、VEGFのか
かわるさまざまな疾患の新しい
治療に是非繋げて頂きたいもの
です。
 追手門学院大学が7月13日、
AIを用いた脳のMRI 画像解析か
ら、高齢者がいつどの程度の確
率でアルツハイマー病を発症す
るかを予測する方法を開発した
と発表したのは、画期的な方法
が見いだされたものだと思いま
した。アルツハイマー病の発症
は、本人が症状を自覚し始めて
から、アルツハイマー病である
ことを何とか隠そうとすること
から始まるため、いつどの程度
の確率で、アルツハイマー病を
発症するか分からないことが多
いのです。ご家族の人の「最近、
物忘れがひどい」という訴えを
聞いて初めて、認知症ではない
かと疑う場合がほとんどです。
当クリニックでは、認知症かど
うかを確かめるには、時計の文
字盤や立方体(サイコロ)を書
いてもらうということを行って
もらいます。長谷川式スケール
も有用だと思いますが、手っ取
り早く判定するには上記の確か
め方をする方が良いのではない
かと考えています。

 もじもじして時計の文字盤を
描く。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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