最近の号外Vol.1873メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1873メルマガ

2021-06-08 22:52:35

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.1873 令和2年8月6日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
 
目次

1)iPS細胞由来のHPV抗原特異的キラーT細胞作製成功
2)抗ガン作用持つ化合物FE399を人工的合成に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 iPS細胞由来のHPV抗原特異的キラーT細胞作製成功

 
 
 
 
 
 
 
 
 順天堂大学は7月10日、従来
の方法より安全な方法で子宮頸
ガンに対して腫瘍増殖抑制効果
があるiPS 細胞由来のヒトパピ
ローマウイルス(HPV )抗原特
異的キラーT細胞の作製に成功
したと発表しました。この研究
は、同大大学院医学研究科血液
内科学の安藤美樹准教授、安藤
純先任准教授、小松則夫教授、
産婦人科学講座の増田彩子助教、
寺尾泰久教授、ときわバイオ株
式会社取締役(産業技術総合研
究所・名誉リサーチャー)の中
西真人氏、東京大学医科学研究
所幹細胞治療部門の中内啓光特
任教授らの共同研究グループに
よるものです。研究成果は、米
国遺伝子細胞治療学会雑誌「Mo
lecular Therapy 」に先行公開
されています。

子宮頸ガンの多くはHPV 感染が
原因で発症します。HPV ワクチ
ンはHPV 感染予防には有効です
が、子宮頸ガンを発症した場合
は効果がありません。現在、日
本ではワクチン接種率は1%以
下まで低下しています。そのた
め、20代から30代の子育て世代
の罹患率が上昇しており、子宮
頸ガンはマザーキラーと呼ばれ
深刻な問題となっています。子
宮頸ガンは再発進行すると化学
療法、放射線療法が効きにくく、
新たな治療法の開発が望まれて
います。

研究グループは2013年に末梢血
由来のiPS 細胞から、機能的に
若返ったウイルス抗原特異的キ
ラーT細胞を作製することに成
功し、難治性腫瘍に対する新規
治療開発を目指して研究を続け
てきました。今回の研究は、研
究グループが開発を進めてきた
「iPS 細胞由来ウイルス抗原特
異的キラーT細胞」が、子宮頸
ガンの新規治療法となり得るか
を明らかにする目的で行われま
した。研究グループは、子宮頸
ガン患者さんと健常人ドナーよ
りiPS 細胞由来HPV 抗原特異的
キラーT細胞を作製し、子宮頸
ガンに対する抗腫瘍効果を確か
めました。まず、子宮頸ガン患
者さんの末梢血よりHPV 特異的
キラーT細胞の作製を試みまし
たが、抗ガン剤や放射線、ステ
ロイドの影響でT細胞は疲弊に
より減少していたため、作製で
きませんでした。そこで、健常
人ドナーの末梢血より作製を試
みた所、非常に少ない頻度です
がHPV 特異的キラーT細胞を作
製できました。次に、HPV 抗原
特異的キラーT細胞からiPS 細
胞の作製を試みました。しかし、
山中4因子(Oct3/4、Sox2、Kl
f4、c-Myc )の遺伝子を導入す
るだけではキラーT細胞からiP
S 細胞を作製できませんでした。
また、従来法では、ウイルス成
分のSV40 largeT抗原を同時に
遺伝子導入する必要があります
が、これは遺伝子を傷つけるリ
スクを伴います。そこで研究グ
ループは、効率改善と安全化を
図る試みとして、SV40 largeT
抗原を使用せず他の2つの因子
(LIN28とNANOG)を追加しまし
た。その結果、健常人ドナーの
末梢血を使用して、HPV 特異的
キラーT細胞からiPS 細胞を作
製することに成功しました。こ
の6因子を導入したiPS 細胞か
ら再びT細胞へ分化誘導して若
返りキラーT細胞を作製しまし
た。このiPS 細胞由来若返りHP
V 抗原特異的キラーT細胞は、
子宮頸ガン細胞株に対し持続的
で強力な細胞傷害活性を示しま
した。

研究グループは次に、iPS 細胞
由来HPV 抗原特異的キラーT細
胞が生体内でどれぐらいの抗腫
瘍効果を発揮するか調べました。
免疫不全マウスに子宮頸ガン細
胞株を腹腔内注射し、3日後に
「末梢血由来HPV 抗原特異的キ
ラーT細胞」もしくは「iPS 細
胞由来HPV 抗原特異的キラーT
細胞」を注射しました。3週間
後の腫瘍の量を測定した結果、
「iPS 細胞由来HPV 抗原特異的
キラーT細胞」で治療したマウ
スグループでは有意な腫瘍抑制
効果を認めました。さらに、よ
り長期における生存率の比較に
おいても、「iPS 細胞由来HPV
抗原特異的キラーT細胞」は「
末梢血由来HPV 抗原特異的キラ
ーT細胞」に比較して有意な生
存期間延長効果を認めました。
以上の結果より、「iPS 細胞由
来HPV 抗原特異的キラーT細胞」
は試験管内だけでなく、マウス
生体内でも子宮頸ガンに抗腫瘍
効果を持つことが分かりました。
つまり、末梢血由来のHPV 抗原
特異的キラーT細胞からiPS 細
胞を作製し、そのiPS 細胞から
作製した増殖力の強い元気なHP
V 抗原特異的キラーT細胞を作
製し、子宮頸ガンに対する免疫
細胞療法として用いることで、
マザーキラーと呼ばれる難治性
の子宮頸ガンの新たな治療法と
なる可能性を示すことができま
した。

今回の成果は、「子宮頸ガンに
対する新規免疫細胞療法」の臨
床研究の実現に向けた加速が期
待されるものです。今回の研究
により、臨床現場での利用を目
指してより安全な方法で作製し
たiPS 細胞から、子宮頸ガンに
効果のある若返りキラーT細胞
を無限に作製することが可能と
なりました。このiPS 細胞由来
HPV 抗原特異的キラーT細胞を
用いた治療は難治性子宮頸ガン
の強力な新規治療法となる可能
性があります。キラーT細胞を
用いた治療では、免疫拒絶が起
きないようにドナーと患者のHL
A 遺伝子型を一致させる必要が
あります。研究グループは今後、
HLA 遺伝子をゲノム編集するこ
とで免疫拒絶を回避し、1つの
iPS 細胞から多くの患者さんに
適用できる治療開発に発展させ
るべく、準備を進めています。

子宮頸ガンとパピローマウイル

スについて解説している動画で

す。

 
 


 
 
 
 巨舌を持つ人とのキスを拒絶
する。          笑

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
 
2】 抗ガン作用持つ化合物FE399を人工的合成に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
 庭木としてよく見かける常緑
低木「キャラボク(伽羅木)」
に共生するカビから得られる化
合物「FE399 」を、新たな手法
で人工的に合成することに成功
した、と東京理科大学の研究グ
ループが発表しました。FE399
は大腸ガンなどの細胞の増殖を
抑えることで知られており、こ
の物質や手法を手がかりに、新
たな抗ガン剤の開発が期待され
るということです。

細胞では通常、ガン抑制遺伝子
が異常な細胞に自死(アポトー
シス)を促すことで、ガンを抑
えています。この遺伝子が変異
して正常に働かないと、ガン細
胞が死を回避して増殖を繰り返
します。大腸ガンなどは、ガン
抑制遺伝子の一種の「p53 遺伝
子」が変異することで起こるこ
とが分かっています。

FE399は、このp53の変異によっ
てできるガン細胞にアポトーシ
スを促して増殖を抑える化合物
です。庭木や垣根などに広く使
われるキャラボクの葉に共生す
るカビの1種の培養物から得ら
れますが、詳しい性質や立体構
造が分からないことが壁となり、
抗ガン剤として活用するための
研究は進んでいませんでした。

そこでグループは独自に開発し
た試薬 「MNBA(2-メチル-6-ニ
トロ安息香酸無水物)」を用い
ました。窒素を活性化する「マ
クロラクタム化」と呼ばれる反
応を利用することで、FE399 を
人工合成できました。

従来広く使われてきた試薬を用
いた手法だと、反応の過程で分
子の構造が一部反転してしまう
などの問題がありました。MNBA
を使うことでこの問題を回避し、
FE399の 構造を解明しました。
MNBAによる窒素の活性化を利用
し、天然物を全合成したのは世
界初ということです。p53 遺伝
子は大腸ガンや食道ガン、一部
の乳ガンの細胞で増殖を抑制す
ることが知られています。グル
ープは今後、他のさまざまなガ
ンでFE399 がどの程度効くのか
などを調べていきます。

グループの同大理学部の椎名勇
教授(有機合成化学)は「今回
のFE399 がリード役となって今
後、さまざまな類縁の化合物が
合成されることが期待される。
それを通じ、新たな抗ガン剤の
開発の可能性がある。優れた試
薬としてMNBAが活用できること
を示したのも大きい」と述べて
います。

グループは椎名氏のほか同大研
究推進機構総合研究院の殿井貴
之研究員らで構成されています。
成果は欧州の化学誌「ヨーロピ
アン・ジャーナル・オブ・オー
ガニック・ケミストリー」の電
子版に6月8日に掲載され、理科
大が同12日に発表しました。

キャラボクの特徴と剪定につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 伽羅の香りを身に纏うキャラ。


 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 
 順天堂大学が7月10日、従来
の方法より安全な方法で子宮頸
ガンに対して腫瘍増殖抑制効果
があるiPS 細胞由来のヒトパピ
ローマウイルス(HPV )抗原特
異的キラーT細胞の作製に成功
したと発表したのは偉大な業績
です。現在、日本ではワクチン
接種率は1%以下まで低下して
います。それは、ワクチンの副
作用を懸念してのことですが、
外国では、接種率が高く、子宮
頸ガン自体、罹患率が下がって
います。日本ではその恩恵を受
けることができないので、20代
から30代の子育て世代の罹患率
が上昇しており、子宮頸ガンは
マザーキラーと呼ばれ深刻な問
題となっています。末梢血由来
のHPV 抗原特異的キラーT細胞
からiPS 細胞を作製し、そのiP
S 細胞から作製した増殖力の強
い元気なHPV 抗原特異的キラー
T細胞を作製し、子宮頸ガンに
対する免疫細胞療法として用い
ることで、マザーキラーと呼ば
れる難治性の子宮頸ガンの新た
な治療法となる可能性を示すこ
とができたのは、喜ばしいこと
です。
 庭木としてよく見かける常緑
低木「キャラボク(伽羅木)」
に共生するカビから得られる化
合物「FE399 」を、新たな手法
で人工的に合成することに成功
した、と東京理科大学の研究グ
ループが発表したのは、素晴ら
しい業績です。細胞では通常、
ガン抑制遺伝子が異常な細胞に
自死(アポトーシス)を促すこ
とで、ガンを抑えています。こ
の遺伝子が変異して正常に働か
ないと、ガン細胞が死を回避し
て増殖を繰り返します。大腸ガ
ンなどは、ガン抑制遺伝子の一
種の「p53 遺伝子」が変異する
ことで起こることが分かってい
ます。FE399 は、このp53 の変
異によってできるガン細胞にア
ポトーシスを促して増殖を抑え
る化合物ということで、新規抗
ガン剤として、使えるのではな
いかということが話題になって
いるのです。p53 遺伝子は大腸
ガンや食道ガン、一部の乳ガン
の細胞で増殖を抑制することが
知られているので、グループは
今後、他のさまざまなガンでFE
399 がどの程度効くのかなどを
早急に調べて頂きたいものです。

 心機一転、新規抗ガン剤の開
発を目指す。       笑

 
 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。