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2021-05-27 22:01:47

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診療マル秘裏話  号外Vol.1862 令和2年7月24日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)下垂体副作用発生と生存率改善との関連を解明
2)CAR-T細胞療法の標的発見とCP阻害剤との併用

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 下垂体副作用発生と生存率改善との関連を解明

 
 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は7月1日、ガンの
免疫チェックポイント阻害薬治
療による副作用に関する前向き
研究を実施し、下垂体副作用の
発生と生存率の改善との関連を
明らかにしたと発表しました。
これは、同大医学部附属病院糖
尿病・内分泌内科の小林朋子病
院助教、岩間信太郎講師、同大
医学系研究科の有馬寛教授らの
研究グループによるものです。
研究成果は、「Journal for Im
muno Therapy of Cancer」に掲
載されています。

免疫チェックポイント阻害薬は、
ガンに対する免疫反応を高める
ことで抗ガン作用を示すガン免
疫治療薬です。日本では悪性黒
色腫、肺ガン、腎ガン、頭頸部
ガン、ホジキンリンパ腫、胃ガ
ン、尿路上皮ガン、乳ガンなど
で近年保険が適用され、使用が
拡大しています。一方、免疫反
応の活性化が自己の臓器で発生
した際の副作用(irAEs )が問
題となっています。irAEs は肺、
消化管、皮膚、神経・筋、内分
泌器官など全身のさまざまな部
位で認められ、内分泌障害の頻
度は高いと考えられていました
が、その詳細は明らかではあり
ません。また、免疫チェックポ
イント阻害薬による下垂体副作
用が発症した場合、ACTH分泌低
下症に対して生理量のステロイ
ド投与が推奨されていますが、
その場合の生命予後については
不明のままです。

そこで、研究グループは、免疫
チェックポイント阻害薬による
下垂体副作用の特徴および生命
予後を明らかにするため、名古
屋大学医学部附属病院で2015年
11月2日以降に免疫チェックポ
イント阻害薬を使用した悪性黒
色腫および非小細胞肺ガン患者
さんを対象に、副作用および全
生存率を解析しました。対象は
免疫チェックポイント阻害薬を
用いた治療を受けた患者さん17
4 人(悪性黒色腫66人、非小細
胞肺ガン108 人)。内分泌障害
の評価のため6週毎に下垂体、
甲状腺および副腎関連検査と血
糖値を24週間測定し、その後実
臨床データを解析した結果、悪
性黒色腫66例中12例(18.2%)、
非小細胞肺ガン108例中4例(3.
7%)で下垂体副作用(下垂体機
能低下症)が発生しました。薬
剤別では、抗CTLA-4抗体療法で
24.0%、抗PD-1抗体療法で6.0%
の頻度で下垂体副作用が認めら
れ、既報の治験や後ろ向き研究
よりも高頻度であることが分か
りました。

認められた下垂体の副作用のう
ち、抗CTLA-4抗体イピリムマブ
(製品名:ヤーボイ)投与中の
症例では、下垂体腫大と複数の
下垂体ホルモン分泌低下を伴う
「下垂体炎」と、下垂体腫大は
認められずACTHの分泌のみ低下
する「ACTH単独欠損症」の2つ
の異なる病態を呈することが明
らかとなりました。一方、抗PD
-1抗体ニボルマブ(製品名:オ
プジーボ)、ペムブロリズマブ
(製品名:キイトルーダ)投与
中の症例では、ACTH単独欠損症
の病態のみが認められたことか
ら、下垂体副作用には発症メカ
ニズムの異なる2種類の病態が
存在することが示唆されました。
下垂体副作用を発症した全ての
症例は、ACTH分泌低下症に対し
て生理量のステロイドホルモン
による治療が行われました。ま
た、下垂体副作用を発症した患
者さんは、発症しなかった患者
さんに比べ、全生存率の有意な
延長が認められました。非小細
胞肺ガンでは、発症群not reac
hed (生存率100%で、生存率50
%に達しない)に対し、非発症
群441 日(生存率50%に達した
日数)、悪性黒色腫では、発症
群885 日(生存率50%に達した
日数)vs非発症群298 日(生存
率50%に達した日数)でした。
この結果から、下垂体副作用は
適切に治療した場合、治療効果
の予測因子となる可能性が示唆
されました。

下垂体副作用は、ACTH分泌低下
症が必発であるため、対処が遅
れれば致死的となり得る重篤な
有害事象であり、免疫チェック
ポイント阻害薬使用時にはその
病態や対処法を十分理解するこ
とが重要です。 今回の研究で、
下垂体副作用に関する臨床的特
徴を明らかになり、適切に診断
し治療すれば全生存率が延長し、
治療効果の予測因子となる可能
性が示唆されました。 「今後、
この下垂体副作用の発症を治療
前から予測することができる指
標を解明することで、免疫チェ
ックポイント阻害薬の安全使用
法の確立に寄与したい」と、研
究グループは述べています。

免疫チェックポイント阻害剤の

副作用について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
 園長が保育時間を延長した。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 CAR-T細胞療法の標的発見とCP阻害剤との併用

 
 
 
 
 
 
 
 慶応義塾大学の河上裕特任教
授の研究チームは、高知大学の
仲哲治教授らとともに、固形ガ
ンへのキメラ抗原受容体細胞(
CAR-T)細胞療法では細胞
表面の分子「グリピカン1(G
PC1)」が標的として有効な
ことを見いだしました。また、
免疫チェックポイント(CP)
阻害剤との併用で高い効果が得
られることも突き止めました。
固形ガンへのCAR-T療法の
展開に結び付きそうです。

 新たなガン治療の一つとして、
ガンを攻撃するT細胞を体外で
人工的に作製し、投与するとい
うCAR-T療法があります。
日本でもすでに臨床現場での実
用化が進んでいますが、白血病
をはじめとした血液系のガンが
もっぱら適応となっています。
固形ガンの場合、CAR-Tの
良いターゲットが明らかになっ
ていないという課題があります。

 そこでチームは、扁平上皮ガ
ンなどのガン細胞表面で発現す
るGPC1に着目しました。G
PC1についての抗体情報に基
づき、それを標的とするキメラ
抗原受容体遺伝子を作製しまし
た。その後、Tリンパ球に遺伝
子導入したCAR-Tを、ヒト
ガン細胞を移植したマウスに投
与しました。

 効果を検証した結果、副作用
なく治療につながっていること
が分かりました。正常な細胞に
対して影響も及ぼしておらず、
高い治療効果をもたらしました。
正常なマウスで検証したところ、
投与したCAR-Tが腫瘍内の
環境を変えることで、新しくガ
ン細胞を攻撃するT細胞を誘導
するという間接的な作用の寄与
も判明しました。

 一方、免疫CP剤との併用も
行うと、例えば、抗PD-1抗
体が効きにくい固形ガンでも有
効性を示しました。抗PD-1
抗体単独では効果が弱いケース
でも、今回のCAR-Tと併用
することで、相乗効果を発揮し
ました。治療に対して良い結果
を得ることができました。

ガン免疫療法の進歩について

解説している動画です。

 
 


 
 
 八機の戦闘機が、戦果を得る
武力を発揮した。     笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 名古屋大学が7月1日、ガンの
免疫チェックポイント阻害薬治
療による副作用に関する前向き
研究を実施し、下垂体副作用の
発生と生存率の改善との関連を
明らかにしたと発表したのは、
素晴らしい業績です。下垂体副
作用は、ACTH分泌低下症が必発
であるため、対処が遅れれば致
死的となり得る重篤な有害事象
であり、免疫チェックポイント
阻害薬使用時にはその病態や対
処法を十分理解することが重要
ということですが、要は下垂体
副腎系の副作用が出て、それを
適切な生理的な量の副腎皮質ス
テロイドホルモンで、治療した
場合、予後が良かったという事
のようです。いかにストレスに
効く、副腎皮質ステロイドホル
モンの系が大事であるか示され
たものと理解しています。
 慶応義塾大学の河上裕特任教
授の研究チームが、高知大学の
仲哲治教授らとともに、固形ガ
ンへのキメラ抗原受容体細胞(
CAR-T)細胞療法では細胞
表面の分子「グリピカン1(G
PC1)」が標的として有効な
ことを見いだし、免疫チェック
ポイント(CP)阻害剤との併
用で高い効果が得られることも
突き止めたのは素晴らしい業績
です。 CAR-T細胞療法と
免疫チェックポイント(CP)
阻害剤の併用は、固形ガンに対
して高い効果を得るということ
は、意外でした。どちらも免疫
の機構を利用してガン細胞を叩
く治療ですから、相乗効果が得
られるのは、当然の帰結と言え
るかも知れません。

 理容店を利用する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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