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2021-05-25 21:37:45

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診療マル秘裏話  号外Vol.1861 令和2年7月23日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1)放射性治療薬を使う小児神経芽腫の放射線治療
2)東大が高齢者高血圧の発症メカニズムを解明と発表

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 放射性治療薬を使う小児神経芽腫の放射線治療

 
 
 
 
 
 
 
 
 金沢大学は6月30日、131I標
識3-ヨードベンジルグアニジン
(131I-MIBG )と呼ばれる放射
性治療薬を用いた小児神経芽腫
に対する放射線治療の効果を検
証した結果を発表しました。こ
れは、同大附属病院核医学診療
科の萱野大樹講師と医薬保健研
究域医学系の絹谷清剛教授らの
研究グループによるものです。
研究成果は、「Annals of Nucl
ear Medicine」のオンライン版
に掲載されています。神経芽腫
は、主に5歳以下の小児の発症
率が高く、小児悪性腫瘍の中で
は白血病に次いで多いとされて
います。ガンの悪性度が比較的
低いケースでは標準的な手術や
化学療法で対応できる場合が多
い一方、悪性度が高い患児に対
しては体により負担の掛かる化
学療法や幹細胞移植、放射線治
療を行う必要があります。しか
し、これらの治療法を用いても
期待される効果が得られるとは
限りません。そのため、小児神
経芽腫の効果的な治療法の確立
が重要な課題とされています。
今回、研究グループは、悪性度
が高い難治性神経芽腫を患う20
人の患児を対象に、131I-MIBG
を投与した場合の効果を検証し
ました。131I-MIBG は、降圧剤
であるグアニジンをヒントに開
発されたノルアドレナリンに類
似した物質の3-ヨードベンジル
グアニジンを、放射線の一種で
あるβ線を放出する131Iで標識
したものです。神経芽腫や褐色
細胞腫などの腫瘍細胞に取り込
まれる性質を有しています。

検証の結果、通常、難治性神経
芽腫を発症した患児の5年生存
率は20%以下であるところ、13
1I-MIBG 投与を加えた治療を施
した患児では5年生存率が40%
以上となることが確認されまし
た。また、化学療法や外部から
全身に放射線を照射する全身照
射などの治療法では、重篤な吐
き気や嘔吐、腎障害、ホルモン
異常などの副作用がありますが、
131I-MIBG を用いた放射線治療
では、そのような副作用はほと
んど確認されませんでした。

今回の成果は、131I-MIBG を用
いた放射線治療の有用性および
安全性を示すものです。研究グ
ループは、「今後、臨床研究を
さらに積み重ねることにより、
131I-MIBG と化学療法や幹細胞
治療とを組み合わせたより効果
的な治療法が確立され、日本の
公的医療保険適用の対象となる
治療につながることが期待され
る」と、述べています。

131I-MIBGを褐色細胞腫などで

使うと説明している動画です。

 
 


 
 
 
 大将がくじ引きの対象になっ
た。           笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 東大が高齢者高血圧の発症メカニズムを解明と発表

 
 
 
 
 
 
 
 
 東京大学は6月30日、高齢者
高血圧の発症メカニズムを解明
したと発表しました。この研究
は、同大先端科学技術研究セン
ター臨床エピジェネティクス寄
付研究部門の藤田敏郎名誉教授、
河原崎和歌子特任助教らの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Journal of Clinica
l Investigation 」に掲載され
ています。

高血圧は日本で4300万人が罹患
していると推定され、国民の3
人に1人が抱えているとされて
います。高血圧に起因する死亡
は年間約10万人で、心血管病や
脳卒中といった命に関わる重篤
な疾患の原因となりますが、自
覚症状がないために、その約半
数が未治療のままとなっていま
す。

高血圧は加齢とともに増加する
ことが知られており、40〜70歳
の高血圧有病率は、男性で60%、
女性では40%、75歳以上では、
男女共に70%以上となります。
高齢者高血圧は治療に難渋する
ことが多く、また有効な予防法
や有用な予知マーカーはありま
せん。

疫学調査から、食塩をほぼ摂取
しない文化(ヤノマモインディ
アン)では加齢に伴う高血圧発
症が認められないことや、加齢
とともに食塩摂取時の血圧の上
がりやすさ(血圧の食塩感受性)
が増加することが分かっていま
した。しかし、なぜ加齢ととも
に高血圧罹患率が増加するのか、
また食塩感受性が高くなるのか
は分かっていませんでした。

加齢に伴い、アルツハイマー病
や骨粗鬆症が発症しやすくなり
ますが、それには加齢関連因子
が関与していることが知られて
います。加齢関連因子には種々
の加齢促進因子と抗加齢因子が
ありますが、研究グループは、
抗加齢因子のKlotho(クロトー)
の減少が加齢に伴う高血圧の発
症の原因となる可能性に着目し
ました。若年マウスに比べて血
中Klothoが有意に低下している
高齢マウス(1歳3~6か月齢、
マウスの寿命は約2年で人間の
高齢者に当たる)に高食塩食を
摂取させると、血圧が上昇し食
塩感受性高血圧を示し、マウス
にKlotho蛋白を補充しておくと
食塩による血圧上昇反応が抑制
されました。

また、血中のKlotho蛋白量が減
少しているKlothoヘテロ欠損マ
ウスでは、若年期においてすで
に食塩感受性高血圧がみられ、
Klotho補充により正常化したこ
とから、高齢マウスは血中Klot
hoの減少が原因で食塩感受性高
血圧を発症することが判明しま
した。そのしくみを調べたとこ
ろ、これらの血中Klothoが低下
したマウスでは、食塩摂取時に
Wnt 蛋白により血管収縮経路が
活性化して血管収縮能が増強す
るため血圧が上昇しており、Kl
otho補充や血管収縮経路の阻害
薬(Wnt 阻害薬)の投与を行な
うと、食塩感受性高血圧の発症
が抑制されることも明らかにな
りました。血圧調節には血管性
(血管収縮)と腎性(腎臓ナト
リウム排泄)の2つの要素が関
わり、腎臓は中心的な役割を担
うと考えられています。 また、
腎臓へと血液を送る腎動脈の血
流量(腎血流量)は腎臓からの
ナトリウム排泄の調節にとても
重要です。

そこで、腎血流量を調べた結果、
高食塩食を摂取した高齢マウス
や若年Klothoヘテロ欠損マウス
の腎動脈では、Wnt が関わる血
管収縮経路の増強により、腎動
脈が収縮し、腎血流が減って、
血圧が上昇していました。Klot
hoを補充すると、食塩摂取時の
血圧上昇や腎血流量の低下反応
は消失しました。これらの結果
により、Klothoの減少が原因で
食塩負荷時に腎血流が低下して
食塩感受性高血圧を生じること
が示されました。高齢者の高血
圧治療にかかわらず、高齢者特
有の病態に応じた治療法は未だ
確立されていません。今回の研
究により、血中Klotho蛋白が豊
富にある若い時はWnt による血
管収縮経路を抑制することで、
高血圧の発症を抑えていること
が分かりました。しかし、高齢
になり高食塩摂取に対する生体
の防御機構が破綻すると、高血
圧の発症につながります。血中
のKlothoはホルモンとして働き、
Wnt 経路に拮抗して老化現象を
抑制することから、現在、老化
抑制と高血圧発症予防法として
Klotho補充やWnt 抑制薬開発の
研究を進めているということで
す。

高血圧は予防が大切ですが、従
来は高血圧の発見には健診時の
血圧測定に頼っていました。血
中Klothoの測定は、高血圧とそ
の合併症の心血管疾患の発症を
予知する、新規予知マーカーと
して有用であると期待されると
いうことです。さらに、糖尿病
や慢性腎臓病では加齢によるKl
otho低下に拍車をかけることか
ら、健康寿命の延伸のために高
血圧予防に対する生活習慣の改
善が推奨されます。胎児・乳幼
児期から高齢者に至る全ライフ
コースにおいて減塩の重要性が
再確認された、と研究グループ
は述べています。

高血圧の原因と症状、予防策に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 遠心分離機の寿命の延伸を図
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
 金沢大学が6月30日、131I標
識3-ヨードベンジルグアニジン
(131I-MIBG )と呼ばれる放射
性治療薬を用いた小児神経芽腫
に対する放射線治療の効果を検
証した結果を発表したのは、素
晴らしい業績です。化学療法や
外部から全身に放射線を照射す
る全身照射などの治療法では、
重篤な吐き気や嘔吐、腎障害、
ホルモン異常などの副作用があ
りますが、131I-MIBG を用いた
放射線治療では、そのような副
作用はほとんど確認されなかっ
たという所が、この業績の一番
評価される所ではないかと考え
ています。
 東京大学が6月30日、高齢者
高血圧の発症メカニズムを解明
したと発表したのは偉大な業績
です。今まで高齢者の高血圧の
発症メカニズムは、皆目、見当
もつきませんでした。研究グル
ープは、抗加齢因子のKlotho(
クロトー)の減少が加齢に伴う
高血圧の発症の原因となる可能
性に着目したとありますが、こ
のKlothoはギリシャ神話の運命
の三女神の一柱の名前から名付
けられたそうです。人間の寿命
の糸を紡ぐものという意味だそ
うです。血中のKlothoはホルモ
ンとして働き、Wnt 経路に拮抗
して老化現象を抑制することか
ら、現在、老化抑制と高血圧発
症予防法としてKlotho補充やWn
t 抑制薬開発の研究を更に進め
て頂きたいものです。

 鰈が華麗に加齢した。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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