最近の号外Vol.1857メルマガ

2021-05-21 22:15:22

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1857 令和2年7月18日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)膵臓ガンリスクは,GP2遺伝子多型が関連すると判明
2)パーキンソン病患者腸内細菌叢メタ解析で,増減した菌

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 膵臓ガンリスクは,GP2遺伝子多型が関連すると判明

 
 
 
 
 
 
 
 愛知県ガンセンターは6月24
日、膵臓ガンリスクと関連する
遺伝子を検討する大規模国際共
同研究を実施し、「GP2 遺伝子」
の多型が、日本人を含むアジア
人の膵臓ガンのなりやすさに関
連することを新たに発見したと
発表しました。これは、愛知医
科大学公衆衛生学教室の菊地正
悟教授、林櫻松教授(特任)、
名古屋大学大学院医学系研究科
実社会情報健康医療学講座の中
杤昌弘准教授、同センター研究
所ガン予防研究分野の松尾恵太
郎分野長らの研究グループが、
国内外の研究機関との共同で行
った研究によるものです。研究
成果は、「Nature Communicati
ons 」に掲載されています。膵
臓ガンは、昨今の治療法の進歩
にもかかわらず、非常に予後の
悪い難治性のガンです。膵臓ガ
ンの対策では予防が重要ですが、
現在膵臓ガンを早期に見つける
ためのガン検診で有効なものは
ありますが、まだ試験段階で大
々的に実用化されている訳では
ありません。膵臓ガンになりや
すくする因子を明らかにし、そ
の上で避けられるものを避ける
という一次予防が重要です。膵
臓ガンのリスク要因としては喫
煙、肥満、糖尿病などが知られ
ています。また、遺伝要因に関
しては、一部の膵臓ガンが遺伝
性であることが知られています
が、遺伝子多型に関してはほと
んど明らかになっていません。

欧米では、膵臓ガンリスクと関
連する遺伝子を探索する大規模
な全ゲノム関連解析研究が共同
研究ベースで実施されています
が、アジアにおいては十分な検
討が行われていません。そこで、
愛知医科大学、名古屋大学、愛
知県ガンセンターの3者で設立
した日本膵臓ガン研究コンソー
シアム(Japan Pancreatic Can
cer Research(JaPAN)consort
ium)が主体となり、東京大学、
理化学研究所、国立ガン研究セ
ンター、名古屋大学、東北大学、
岩手医科大学、京都大学、大阪
大学、米国イェール大学、南カ
リフォルニア大学等の研究機関
と共同で、膵臓ガン患者さん約
4,000 人と非ガンの約41,500人
を対象に全ゲノム関連解析研究
を実施しました。その結果、16
番染色体短腕に位置する「GP2 」
(glycoprotein2 )に存在する
遺伝子多型rs78193826が、膵臓
ガンリスクと関連することが世
界で初めて明らかになりました。
この遺伝子多型は、塩基配列が
CからTに置き換わることで、ア
ミノ酸配列が異なるGP2 蛋白質
ができる結果、GP2 蛋白質の働
きが変化することで、膵臓ガン
リスクが上昇する可能性が考え
られます。また、興味深いこと
に、この遺伝子多型は日本人を
含む東アジア人では認められま
すが、西洋人ではほとんど存在
せず、東アジアにおける膵臓ガ
ンリスクと関連することが示唆
されました。

さらに、同センター研究所ガン
標的治療TR分野の細野祥之ユニ
ット長らが実施した細胞株を用
いた実験により、膵臓ガン組織
で高頻度に認められるK-ras 遺
伝子変異の際に発現が下がる遺
伝子群が、GP2 遺伝子多型を導
入した場合にも同様に発現が下
がることが示され、GP2 遺伝子
多型はK-ras 遺伝子変異と同様
のメカニズムで膵臓ガンのなり
やすさに関連している可能性が
示唆されました。

「研究の結果は、東アジア人に
おける膵臓ガン発ガンの、これ
まで明らかにされていなかった
メカニズムの解明と、その知見
に基づく膵臓ガンの予防法開発
につながることが期待される」
と、研究グループは述べていま
す。

膵臓ガンのリスク因子について

解説している動画です。

 
 


 
 
 遺伝子発現について発言した。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 パーキンソン病患者腸内細菌叢メタ解析で,増減した菌

 
 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は6月24日、日本・
米国・フィンランド・ロシア・
ドイツのパーキンソン病患者さ
んの腸内細菌叢のメタ解析を行
い、ムチン分解菌であるAkkerm
ansia が共通して増加し、短鎖
脂肪酸産生菌であるFaecalibac
teriumと,Roseburiaが減少して
いることを明らかにしたと発表
しました。これは同大大学院医
学系研究科神経遺伝情報学の大
野欽司教授、医学系研究科医療
技術学専攻病態解析学の平山正
昭准教授、神経内科学の勝野雅
央教授、西脇寛博士課程大学院
生、岩手医科大学脳神経内科・
老年科の前田哲也教授、岡山脳
神経内科クリニックの柏原健一
院長、福岡大学医学部脳神経内
科の坪井義夫教授らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は「Movement Disorderse 」に
掲載されています。パーキンソ
ン病は、中脳の黒質にあるドパ
ミン産生細胞にレビー小体と呼
ばれるα-シヌクレイン凝集体
が異常凝集することによって惹
起されます。α-シヌクレイン
凝集体は、腸管神経叢から始ま
り中脳黒質まで上行する可能性
が示されてきました。α-シヌ
クレイン凝集体はプリオンのよ
うに正常のα-シヌクレインを
異常凝集させて異常を伝播させ
ることが明らかにされています。

パーキンソン病患者さんではα
-シヌクレイン凝集体が迷走神
経背側核から中脳黒質に向かっ
て上行することが示されてきま
した。また、便秘、レム睡眠行
動障害、うつがパーキンソン病
の運動症状が始まるそれぞれ20
年、10年、5年前から起こるこ
とが知られており、これはα-
シヌクレイン凝集体が迷走神経
背側核から青斑核に向かって上
行する現象と一致しています。
加えて、パーキンソン病患者さ
んの腸管神経叢には高い頻度で
α-シヌクレイン凝集体が蓄積
していることが知られています。
また、パーキンソン病患者さん
では腸管透過性が上昇すること
を同研究グループとドイツのグ
ループが以前に報告していまし
た。

今までに17報のパーキンソン病
患者さんの腸内細菌叢研究が報
告されてきました。しかし健常
者においても国による腸内細菌
叢の違いが大きく、国を超えて
パーキンソン病患者さんで共通
で変わる菌を特定する事は困難
でした。そこで研究グループは、
過去最多のパーキンソン病患者
さんの協力を得て、腸内細菌叢
解析を行いました。次に、国を
超えて腸内細菌叢を統合解析す
るメタ解析手法を構築し、過去
に報告された米国・フィンラン
ド・ロシア・ドイツの4か国の
パーキンソン病患者さんの腸内
細菌叢と合わせてメタ解析を行
いました。腸内細菌叢に影響を
与える因子(BMI 、便秘、性別、
年齢、薬剤)の影響を排除した
ところ、5か国のパーキンソン
病患者さんの腸内細菌叢で共通
してAkkermansia、Catabacter
が増加し、Roseburia、Faecali
bacterium、Lachnospiraceae N
D3007 グループが減少している
ことを明らかにしました。メタ
解析に含めることができなかっ
た12報の研究結果を調べた所、
Akkermansiaの増加、Roseburia、
Faecalibacteriumの減少が多く
の研究で認められました。また、
腸内細菌叢の代謝パスウェイを
解析するKOSEA(KEGG ortholog
y set enrichment analysis )
法を開発し、パスウェイ解析を
行った所、腸内細菌叢による短
鎖脂肪酸代謝がパーキンソン病
で変化していることが分かりま
した。これらの解析により、ム
チン分解菌であるAkkermansia
の増加と短鎖脂肪酸産生菌であ
るRoseburiaとFaecalibacteriu
m の減少がパーキンソン病患者
さんにおいて国を超えて認めら
れることを明らかにしました。

Akkermansia の増加によってム
チン層が分解され、腸管の透過
性が上昇することによって腸管
神経叢にα-シヌクレインが異
常凝集し、中脳黒質まで異常凝
集したα-シヌクレインが上行
する可能性が示されました。加
えて、短鎖脂肪酸産生菌の減少
によって中枢神経の炎症を制御
しにくくなる可能性も示されま
した。

研究グループは、「今回開発し
た腸内細菌叢の代謝パスウェイ
を解析するKOSEA 法は、今後広
く腸内細菌叢の代謝パスウェイ
を解析に役立つことが期待され
ます。今回明らかにした腸内細
菌叢の変化のパーキンソン病へ
の関与を、今後さらにモデル動
物などを用いてパーキンソン病
の病態分子機構の解明につなげ
る」と、述べています。

パーキンソン病の治療に腸が、

大きな役割を果たしていると説

明している動画です。

 
 


 
 
 病態分子機構についての講義
を聞こう。        笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 愛知県ガンセンターが6月24
日、膵臓ガンリスクと関連する
遺伝子を検討する大規模国際共
同研究を実施し、「GP2 遺伝子」
の多型が、日本人を含むアジア
人の膵臓ガンのなりやすさに関
連することを新たに発見したと
発表したのは偉大な業績です。
この研究の結果を、東アジア人
における膵臓ガン発ガンの、こ
れまで明らかにされていなかっ
たメカニズムの解明とその知見
に基づく膵臓ガンの予防法開発
に是非繋げて頂きたいものです。
このような遺伝子多型に人種差
があることは意外でした。欧米
人(白人)は、インシュリンの
分泌能が東洋人より強いことが
知られていますが、このことと
何らかの関連があるのか、興味
は尽きません。
 名古屋大学が6月24日、日本・
米国・フィンランド・ロシア・
ドイツのパーキンソン病患者さ
んの腸内細菌叢のメタ解析を行
い、ムチン分解菌であるAkkerm
ansia が共通して増加し、短鎖
脂肪酸産生菌であるFaecalibac
teriumと,Roseburiaが減少して
いることを明らかにしたと発表
したのは素晴らしい業績です。
腸は、免疫のセンターであり、
腸内細菌叢が乱れることによっ
て、たくさんの病気が発症して
くることが分かっています。そ
れゆえ、腸内細菌に影響を与え
る食事の内容が重要になってく
るのです。そこで、小麦製品・
乳製品・砂糖製品を避け、GI値
の低い食品を食べ、食物繊維に
よる急激な血糖値の上昇を抑制
する食事療法を自信を持ってお
すすめしたいと思います。

 町内の人の腸内細菌を調査す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント