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2021-05-12 21:21:25

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診療マル秘裏話  Vol.811 令和1年6月26日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)リゾチーム・キトサンオリゴ糖複合体が難治耐性菌に有効
2)ヒノキチオールが,低毒性で病原細菌に抗菌作用を発揮

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】リゾチーム・キトサンオリゴ糖複合体が難治耐性菌に有効

 
 
 
 
 
 
 
 東京医科歯科大学は5月29日、
鶏卵白由来のリゾチームという
蛋白質とカニ甲羅由来のキトサ
ンオリゴ糖を、メイラード反応
を介して生成した、リゾチーム・
キトサンオリゴ糖複合体(LYZO
X(R)、リゾックス)が、メチシ
リン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
や耐性菌で問題となる緑膿菌、
アシネトバクターに有効である
ことを明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同大学院医
歯学総合研究科・統合呼吸器病
学分野の齋藤弘明大学院生、宮
崎泰成教授らと、九州大学病院
耳鼻咽喉・頭頸部外科の村上大
輔講師、和興フィルタテクノロ
ジー株式会社との共同研究によ
るものです。研究成果は、国際
科学誌「PLOS ONE」にオンライ
ン掲載されています。

 抗生剤の不適切な使用が細菌
の耐性化を導き、緑膿菌、アシ
ネトバクター・バウマニ、MRSA
を含む薬剤耐性菌が院内感染や
易感染者において問題のひとつ
となっています。これらの対策
を立てない限り、2050年には薬
剤耐性菌による死亡者数は世界
で1000万人にも及ぶと推計され
ており、不適切な抗生剤使用を
防ぐと同時に、新たな抗生剤の
開発が強く望まれています。

 リゾチームは鶏卵白から得ら
れる安全性の高い蛋白質ですが、
熱に弱く、抗菌作用も限定的で
す。一方、キトサンは主に甲殻
類の殻から得られる多糖類で、
さまざまな細菌に抗菌作用を持
っていますが、酸の溶液でない
とよく溶けないという特性があ
ります。触媒などの薬品が不要
なメイラード反応は、蛋白質と
糖類を結合させて複合体を作り、
複合体の乳化作用、熱安定性、
溶解性、抗菌作用を高めること
が確認されています。

 今回研究グループは、メイラ
ード反応により得たリゾックス
が、MRSAや薬剤耐性で問題とな
る緑膿菌、アシネトバクターに
有効であるかを調査しました。
それぞれの細菌において、生理
食塩水に溶かしたリゾックスは、
その構成成分(リゾチームとキ
トサンオリゴ糖)や、LGC(リゾ
チーム・ガラクトマンナン複合
体) より強い抗菌作用を示し、
液体培地に溶かしたリゾックス
は、その構成成分やLGC より細
菌の増殖を有意に抑制しました。
これらの結果から、メイラード
反応により抗菌作用が高められ
たこと、リゾチームのメイラー
ド反応のパートナーはガラクト
マンナンより、キトサンオリゴ
糖の方が良い事が分かりました。

 次に、抗菌作用の機序を調べ
るため、細胞膜完全性試験、NP
N アッセイ、ONPGアッセイを行
い、共焦点レーザー走査型顕微
鏡を施行しました。これらの結
果は、リゾックスはグラム陰性
菌(緑膿菌、アシネトバクター)
では細胞外膜と細胞内膜を障害
し、グラム陽性菌(MRSA)では、
原形質膜を障害することで抗菌
作用を示すことを示唆し、共焦
点レーザー走査型顕微鏡でも障
害された細菌の細胞膜が確認さ
れました。細胞膜がどのように
障害されているかを形態的に見
るため、電子顕微鏡検査を施行
したところ、いずれの細菌にお
いても、リゾックスに反応させ
るとリゾチーム単独による細菌
の形態変化とキトサンオリゴ糖
単独による形態変化の両方の特
徴を併せ持っており、リゾック
スはリゾチームとキトサンオリ
ゴ糖の抗菌作用を併せ持ち、そ
れらが相乗的に働くと推察され
ました。

 さらに、継代培養による耐性
獲得試験を行った所、リゾック
スは10継代の時点では、いずれ
の細菌からも耐性獲得をされま
せんでした。リゾックスの特性
についても調べましたが、4時
間、80℃で熱しても、抗菌性を
失わないこと、溶血毒性はない
ことが確認できたという事です。

 今回の研究成果により、リゾ
ックスは、MRSAと薬剤耐性化で
問題となる緑膿菌、アシネトバ
クターに対して抗菌活性を認め、
耐性獲得されづらいことから、
これらの細菌の更なる薬剤耐性
を抑えつつ、感染症の予防や治
療に応用できる可能性が見出さ
れました。

 また、耐性菌に対する抗生剤
は高額なものが多いのですが、
リゾチームとキトサンオリゴ糖
は、天然素材より比較的安価に
精製できるため、リゾックスは
感染症治療に関する医療費の削
減にも貢献する可能性があると
いうことです。新規の抗生剤開
発が停滞している昨今、新たな
治療薬としての応用が期待され
ます。

オリゴ糖について解説している

動画です。

 
 


 
キチン・キトサンについて解説

している動画です。

 
 


リゾチーム塩酸塩について解説

している動画です。

 
 


 
 
 安価な行火を購入する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 ヒノキチオールが,低毒性で病原細菌に抗菌作用を発揮

 
 
 
 
 
 
 
 新潟大学は、5月30日、植物
由来成分であるヒノキチオール
が、肺炎の原因菌である肺炎球
菌を殺菌することを明らかにし
たと発表しました。この研究は、
同大大学院医歯学総合研究科の
土門久哲准教授と寺尾豊教授ら
の研究チームが、大阪大学の川
端重忠教授研究室、長崎大学の
柳原克紀教授研究室、新潟市西
区しおかぜ医院の木村征医師、
ならびに小林製薬株式会社中央
研究所の國友栄治博士らと共同
で行ったものです。研究成果は、
国際学術誌「Microbiology and
Immunology 」に掲載されてい
ます。

 肺炎は日本人の死因の第3位
であり、年間約12万人が亡くな
っています。特に65歳以上の高
齢者では肺炎が重症化しやすく、
死亡のリスクも高いと報告され
ています。主な肺炎の原因菌は
肺炎球菌ですが抗生物質の頻用
が一因となり、抗生物質が効き
にくい耐性菌が年々増加しまし
た。結果として、耐性菌が肺炎
の治療における大きな障害とな
っています。

 研究チームは、肺炎の重症化
メカニズム、およびその予防・
治療法について研究しており、
今回の研究ではヒバなどの植物
から採取される成分であるヒノ
キチオールが肺炎球菌を殺菌す
るかについて解析しました。

 研究チームはまず、複数の肺
炎球菌株に、さまざまな濃度の
ヒノキチオールを24時間作用さ
せ、菌の増殖に及ぼす作用につ
いて解析しました。 その結果、
既存の抗生物質が効く肺炎球菌
だけでなく、抗菌薬の効きにく
い肺炎球菌に対しても、ヒノキ
チオールは増殖抑制作用を示し
ました。また、肺炎球菌以外に
も、う蝕(むし歯)や歯周病の
原因菌、およびメチシリン耐性
黄色ブドウ球菌などに対しても、
ヒノキチオールは殺菌効果を示
しました。一方で、ヒトの細胞
に対しては傷害作用を示さなか
ったということです。これらの
結果からヒノキチオールが耐性
菌を含むさまざまな病原細菌に
対して抗菌作用を発揮すること、
そして、ヒト細胞に対しては低
毒性であることが明らかとなり
ました。

 近年、既存の抗菌薬の不適切
な使用により、世界的にも薬剤
耐性菌による感染症が増加して
います。その一方で、新たな抗
菌薬の開発は減少しており、国
際社会において大きな課題とな
っています。

 研究グループは、「ヒノキチ
オールは優れた抗菌作用を有し
ているため、さまざまな感染症
の治療に利用できる可能性があ
ります。今後は、肺炎を誘発し
たマウスにヒノキチオールを投
与した際の治療効果を解析する
ことにより、創薬研究につなげ
ていきたいと考えている」と、
述べています。

ヒノキチオールについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 公金で抗菌物質を開発する。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 東京医科歯科大学は5月29日、
鶏卵白由来のリゾチームという
蛋白質とカニ甲羅由来のキトサ
ンオリゴ糖を、メイラード反応
を介して生成した、リゾチーム・
キトサンオリゴ糖複合体(LYZO
X(R)、リゾックス)が、メチシ
リン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
や耐性菌で問題となる緑膿菌、
アシネトバクターに有効である
ことを明らかにしたと発表した
のは素晴らしい業績です。誰も
糖化反応であるメイラード反応
でリゾチームとキトサンオリゴ糖が
相乗的に抗菌力をアップするな
んて考えつかなかったと思いま
す。これこそコロンブスの卵で
しょう。多剤耐性菌の治療は、
困難を極めています。多剤耐性
菌に作用し、普通の細菌に耐性
化を起こしにくくするのが本当
なら世紀の大発見と言っても、
過言ではありません。
 新潟大学は、5月30日、植物
由来成分であるヒノキチオール
が、肺炎の原因菌である肺炎球
菌を殺菌することを明らかにし
たと発表したのは、素晴らしい
業績です。 天然由来の成分で、
多剤耐性菌にも効果があるとさ
れているのは、本当に嬉しい限
りです。蝕(むし歯)や歯周病
の原因菌、及びメチシリン耐性
黄色ブドウ球菌などに対しても、
ヒノキチオールは殺菌効果を示
しましたが、その一方で、ヒト
の細胞に対しては傷害作用を示
さなかったということ、即ち低
毒性であることも人にとって使
いやすい抗菌成分と言えるでし
ょう。ヒノキチオールは優れた
抗菌作用を有しているため、さ
まざまな感染症の治療に利用で
きる可能性があるという事も、
抗菌成分として理想的なもので
あることを示唆しています。

 化膿の可能性が出てきた。笑

 
 
 
 
 
 
 
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(イジニイワト)

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