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2021-05-10 22:14:14

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診療マル秘裏話  号外Vol.1848 令和2年7月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)難治性急性リンパ性白血病に対する新たな治療法
2)丹毒は真皮細菌感染症で、起因菌はA群溶連菌

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 難治性急性リンパ性白血病に対する新たな治療法

 
 
 
 
 
 
 
 愛知医科大学は6月12日、難
治性急性リンパ性白血病に対す
る新たな治療法を発見したと発
表しました。これは、同大医学
部生化学講座の都築忍特任教授、
名古屋医療センターの安田貴彦
室長、名古屋大学医学部の早川
文彦教授らの研究グループによ
るものです。研究成果は、「Bl
ood Cancer Discovery」オンラ
イン版に掲載されています。近
年、次世代シークエンサー解析
により、従来不明だった遺伝子
異常が、多くのガンで明らかに
なってきています。研究グルー
プは、急性リンパ性白血病の次
世代シークエンス解析に参加し、
従来不明であった遺伝子異常を
見出し、2016年に論文発表しま
した。その中で、「MEF2D 」と
いう転写因子が、他の遺伝子と
融合する形で発現する「融合型
MEF2D 転写因子」を有する白血
病が、比較的高頻度で存在する
ことが分かりました。ほどなく
して、名古屋大学医学部小児科
のグループから、融合型MEF2D
転写因子を有する白血病が予後
不良であることが発表され、そ
の治療法の開発が望まれていま
す。

ガン細胞にも正常細胞にもいろ
いろな種類があり、それらの細
胞の性質は、細胞の種類に特有
の転写因子ネットワーク(core
regulatory circuitry ;以下
コア・サーキット)によって決
定されているという考え方があ
ります。研究グループは今回、
このコア・サーキットを同定し、
コア・サーキットを壊すような
薬剤が見つかれば、難治性白血
病でも治療できるのではないか
と考え研究を行いました。研究
グループは、融合型MEF2D 転写
因子を有する白血病細胞株を、
ゲノム編集技術を用いて解析し
やすいように改変しました。こ
の細胞を用いて、融合型MEF2D
転写因子がゲノムDNA 上のどこ
に結合するのかを、クロマチン
免疫沈降法と次世代シークエン
ス技術を組み合わせた方法(Ch
IP-seq)により同定しました。
さらに、この白血病細胞のコア・
サーキット転写因子群が結合す
るスーパーエンハンサーの同定、
融合型MEF2D 転写因子の発現を
抑制した場合に起きる遺伝子発
現変化の解析、多数臨床検体の
遺伝子発現データの解析、白血
病のマウスモデル作製、ヒト白
血病細胞株のマウスへの移植お
よび治療実験などを行いました。

その結果、融合型MEF2D 転写因
子は、SREBF1などの他の転写因
子と共同して、コア・サーキッ
トを形成しています。このコア・
サーキットは、プレB 細胞受容
体の発現を誘導しますが、プレ
B 細胞受容体が発するシグナル
は、コア・サーキットの維持に
必要、というメカニズムが明ら
かになりました。これは、コア・
サーキット→プレB 細胞受容体
発現→プレB 細胞受容体が発す
るシグナル→コア・サーキット
という「いつまでも活性化し続
ける回路」が形成されることを
意味しています。つまり、白血
病の性質を決めるコア・サーキ
ットの遺伝子が安定的に発現し、
プレB 細胞シグナルにより白血
病細胞の増殖が刺激され続ける
ことが、白血病の状態を維持し
ていると考えられます。この回
路のどこかを遮断すればコア・
サーキットを破壊することがで
き、白血病の治療につながると
推測されました。この戦略の利
点は、白血病の直接の原因遺伝
子(融合型MEF2D 転写因子)を
標的にする薬剤が開発できなく
ても、この回路のどこかを標的
にする薬剤を開発すれば、薬剤
開発の選択肢が広がることです。
そこで、この回路を遮断できる
薬剤を探索しました。その結果、
プレB 細胞受容体シグナルを遮
断する薬剤に、この白血病に対
する治療効果があることが確認
されました。この薬剤はすでに
他の疾患で使用されており、こ
の白血病への応用も期待されま
す。また、SREBF1は脂質代謝に
関係する転写因子であり、その
阻害剤が抗メタボ薬として開発
中ですが、この薬剤にも、コア・
サーキットを破壊し、白血病に
対する治療効果があることを見
出しました。

「今回の研究で、難治性の融合
型MEF2D 転写因子を有する白血
病に対して有効な薬剤の候補を
同定しました。今後、より多数
の臨床検体によって本研究結果
が検証されれば、臨床応用が期
待できる」と、研究グループは
述べています。

急性リンパ性白血病の患者さん

のインタビュー動画です。

 
 


 
 
 懸賞金の行方を検証する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 丹毒は真皮細菌感染症で、起因菌はA群溶連菌

 
 
 
 
 
 
 
 高熱、悪寒(おかん)などの
全身症状に伴って、顔や下肢に
正常な皮膚と境目がはっきりし
た赤い腫れが現れ、急速に周囲
に広がった場合、丹毒(たんど
く)の可能性があります。皮膚
の細菌感染症で、腫れた部位は
熱っぽく、光沢があるのが特徴
です。中には再発を繰り返す人
がいるため、しっかり薬で治療
することが大切だということで
す。東京慈恵会医科大学(東京
都港区)皮膚科学講座の石地尚
興教授によると、丹毒は主に、
表皮の内側にある真皮(しんぴ)
で起こる細菌感染症です。原因
菌は、A群溶血性レンサ球菌(
A群溶連菌)であることが多い
とされています。A群溶連菌は
咽頭炎、中耳炎、副鼻腔(びく
う)炎などを引き起こすありふ
れた細菌です。急速に赤く盛り
上がって広がる腫れは、触れる
と強い痛みを伴い、圧迫すると
痛みが増強します。

 発症の詳しいメカニズムは分
かっていませんが、顔や下肢の
傷、虫刺され痕などから菌が侵
入して感染を起こす可能性が考
えられています。比較的暖かい
季節に発症することが多く、が
んの治療で免疫力が低下した人
や、ガンの手術でリンパ節を切
除した人、糖尿病患者などで起
こりやすいということです。

 丹毒と症状の似た皮膚感染症
に、蜂窩織炎(ほうかしきえん)
があります。主に黄色ブドウ球
菌という細菌が原因になります。
真皮より深い皮下脂肪組織で炎
症が起こるため、丹毒とは異な
り、正常部位との境界がはっき
りしない例が多いとされていま
す。

 「ただし、皮膚の症状だけで
丹毒と蜂窩織炎を区別するのが
難しい場合もあります」と石地
教授は言っています。そこで丹
毒かどうかは、血液検査を行っ
て、A群溶連菌が産生する毒素
に対する抗体(ASOやASK)
が血液中で増加しているかどう
かで判断します。

 治療には、溶連菌感染症に有
効なペニシリン系またはセフェ
ム系抗生物質を内服します。発
熱や痛みなどの全身症状が強い
場合は、入院して抗生物質の点
滴を行うこともあります。

 石地教授は「軽症であれば、
通常1週間程度の内服治療で治
癒します。ただし、溶連菌が腎
臓に感染して腎機能を低下させ
るなど、重い合併症を引き起こ
したり、同じ部位に繰り返し生
じたりするケースがあります」
と説明しています。そのため、
医師の指示通りに完治するまで
服薬を続けることが大切です。
予防として「顔や足の傷はきち
んと治療し、菌が入り込まない
ようにしましょう」とアドバイ
スしています。

 溶連菌にはα溶血とβ溶血を
する2種類があり、人に感染症
を起こす性質があるのはβ溶血
の中でもA 群・B 群・C 群・G
群等です。溶連菌感染症の9割
以上は、β溶血 A群によるもの
です。また、一般的に溶連菌感
染症として知られているのは、
A 群β溶連菌が原因の感染症で
す。近年はG 群溶連菌の頻度も
高くなってきており、また B群
の報告もあるとのことです。

丹毒について解説している動画

です。

 
 


 
 
 正室の性質が悪かった。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 愛知医科大学が6月12日、難
治性急性リンパ性白血病に対す
る新たな治療法を発見したと発
表したのは素晴らしい業績です。
今回の研究で、難治性の融合型
MEF2D 転写因子を有する白血病
に対して、有効な薬剤の候補を
同定し、今後、より多数の臨床
検体によって本研究結果が検証
されれば、臨床応用が期待でき
るということですので、今後の
研究、および臨床試験に期待し
たいと思います。ドラッグリポ
ジショニングの手法も適応拡大
だけで、薬を使うことができる
と推測されるので、エレガント
な手法であると思いました。
 高熱、悪寒(おかん)などの
全身症状に伴って、顔や下肢に
正常な皮膚と境目がはっきりし
た赤い腫れが現れ、急速に周囲
に広がった場合、丹毒(たんど
く)の可能性があるということ
ですが、普通の連鎖球菌の感染
ではなく、劇症型の連鎖球菌の
感染であると、通常1週間程度
の内服治療で治癒するという事
は言えなくなります。しっかり
点滴治療を行わないと、劇症型
連鎖球菌に侵された皮膚の部分
を広範囲に切除しなければなら
なくなります。そのことは十分
考慮して、おかしいと思ったら
遠慮なく大学病院の皮膚科を受
診しましょう。

 丹毒は、単独の細菌感染症で
は、無い場合もあります。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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