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2021-04-10 22:50:03

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診療マル秘裏話  号外Vol.1822 令和2年6月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)2型糖尿病発症のリスクを高める遺伝子領域を同定
2)認知症の発症予防には、食事内容の評価が重要

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 2型糖尿病発症のリスクを高める遺伝子領域を同定

 
 
 
 
 
 
 
 東京大学医学部附属病院は5
月12日、東アジアなどの国々の
研究機関との研究を共催し(th
e Asian Genetic Epidemiology
Network(AGEN)consortium)、
40万人規模の東アジア人集団の
遺伝情報を用いたゲノムワイド
関連解析(GWAS)の大規模メタ
解析を行い、2型糖尿病発症の
リスクを高める遺伝子領域を新
たに61か所同定したと発表しま
した。これは、同大大学院医学
系研究科の門脇孝特任教授(研
究当時)、山内敏正教授、理化
学研究所 生命医科学研究セン
ターの堀越桃子チームリーダー
らの研究グループが、東アジア
などの研究機関と共同で行った
ものです。研究成果は、「Natu
re」のオンライン版に掲載され
ています。2型糖尿病は、慢性
的な高血糖により、さまざまな
疾患の危険性を高める重大な疾
患であり、日本国内で約1,000
万人、世界中で4億人以上が患
っていると推測されています。
2型糖尿病は民族集団により遺
伝要因や病態生理に異なる部分
がある可能性が示唆されており、
日本人集団を含む東アジア人集
団は、欧米人集団に比べ肥満が
なくても2型糖尿病を発症しや
すいなどの特徴が知られていま
す。

東京大学大学院医学系研究科や
理化学研究所生命医科学研究セ
ンターを含む日本の研究グルー
プはこれまで、日本人集団にお
ける2型糖尿病の遺伝的な要因
を明らかにするために、大規模
なゲノムワイド関連解析(GWAS)
を実施し2型糖尿病に関わる遺
伝子領域を数多く同定してきま
した。今回研究グループは、日
本におけるこれまでの取り組み
をさらに発展させ、東アジア地
域における国際的な研究を共同
で実施しました。東アジア人集
団の2型糖尿病の遺伝素因を解
明するために、東アジア人集団
における23の2型糖尿病のGWAS
の結果を統合し、メタ解析を行
いました(2型糖尿病7万7,418
例、対照群35万6,122 例。この
うち、日本人2型糖尿病3万6,6
14例、対照群15万5,150例 )。
さらに、肥満度による補正を加
えた解析や、男性、女性のみを
対象とした層別解析も行いまし
た。

これらの解析により、183 の遺
伝子領域が2型糖尿病と関連し
ており、うち61領域はこれまで
に報告のない新規領域であるこ
とが分かりました。同一の遺伝
子領域に存在する複数の独立し
た関連シグナルを同定するため
に条件付き分析を実施した所、
さらに118 のシグナルを同定し、
シグナルの総数は301 にのぼり
ました。既報のANK1/NKX6-3 領
域では、今回3つの独立した関
連シグナルが見つかりました。
このうち、シグナル1(rs33981
001 )は膵臓のランゲルハンス
島におけるNKX6-3の遺伝子発現
を調節するバリアントと隣接し
ていました。膵臓のランゲルハ
ンス島は血糖値を下げるホルモ
ンであるインスリンを分泌する
組織であり、NKX6-3はランゲル
ハンス島を構成する血糖調節に
関わるα細胞やβ細胞の発生に
関わる遺伝子です。rs33981001
の2型糖尿病発症のリスクを上
げるアリルはNKX6-3の遺伝子発
現低下と関連していました。一
方で、シグナル2(rs62508166)
は皮下脂肪組織や骨格筋におけ
るANK1の遺伝子発現を調節する
バリアントと隣接していました。
ANK1は骨格筋における糖の取り
込みに影響を与えることが知ら
れており、インスリン感受性に
関わることが示唆されています。
これらの結果から、同一の遺伝
子領域にある異なる2つのシグ
ナルが、異なる組織における異
なる遺伝子の発現を調節するこ
とで、2型糖尿病を発症する危
険性に影響を与えることが示唆
されました。

次に、各性別に特徴的な2型糖
尿病関連領域を探索するため、
男性のみ(2型糖尿病2万8,027
例、対照群8万9,312例)、女性
のみ(2型糖尿病2万7,370例、
対照群13万5,055 例)を対象と
した層別解析を実施しました。
その結果、各性別に特徴的な6
つの領域を新たに同定しました。
特に、これまでに心血管疾患や
血液中の低分子代謝物との関連
が男性に比べて女性で強いこと
が報告されていたCPS1領域(rs
1047891 )は、同研究において
女性を対象とする肥満度による
補正を含めた層別解析により、
2型糖尿病と有意な関連を示し
ました。今回同定された2型糖
尿病関連領域のうち、2型糖尿
病発症リスクに与える効果が男
女間で最も大きく異なる領域は
ALDH2領域(rs12231737 )でし
た。ALDH2 領域は男性では2型
糖尿病発症リスクと強い関連を
示しましたが、女性では全く関
連がありませんでした。ALDH2
領域は東アジア人集団における
適応進化の対象であることが報
告されています。また、ALDH2
はアルコール代謝に関連する酵
素の遺伝子であり、二日酔いの
原因物質とされるアセトアルデ
ヒドを酢酸に変換する経路に寄
与することが知られています。
2型糖尿病発症のリスクを上げ
るアリルはアルコールへの耐性
(強さ)、肥満度・血圧・血中
中性脂肪の上昇と関連する一方
で、LDL コレステロール(悪玉
コレステロール)や心血管疾患
の危険性の低下と関連していま
した。

別の2型糖尿病関連領域には、
膵臓のβ細胞で機能する一群の
マイクロRNA をコードする領域
が含まれていました。これらの
マイクロRNA は膵臓のβ細胞に
特異的に発現しており、その標
的遺伝子はβ細胞のアポトーシ
スを促進することが知られてい
ます。また、インスリン分泌や
膵β細胞の増殖を制御するMIR1
7HGというマイクロRNAをコード
する遺伝子領域も2型糖尿病関
連領域に含まれていました。さ
らに、MIR17HG の標的遺伝子で
あり、肝臓における糖分(グル
コース)の生成に関わるTRAF3
遺伝子近傍にも2型糖尿病関連
領域が存在しました。これらの
知見から、マイクロRNAが2型糖
尿病の発症リスクに影響を与え
ることが示唆されました。

今回の研究で得られた結果は、
東アジア人集団における2型糖
尿病の遺伝要因の理解を深める
とともに、将来的には2型糖尿
病の病態解明や治療薬開発に応
用されることが期待されます。

糖尿病について解説している動
画です。

 
 


 
 
 
当分は、糖分を摂らない。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 認知症の発症予防には、食事内容の評価が重要

 
 
 
 
 
 
 
 食事摂取と認知症との関連性
についてはさまざまな研究が行
われており、摂取量に関する検
討もその1つです。フランス・
University of BordeauxのCéci
lia Samieri 氏らは、食材の食
べ合わせと認知症の関連につい
て大規模コホートで症例対照研
究を実施しました。食べ合わせ
によっては認知症の発症リスク
が高まるとの研究結果を、Neur
ology (2020年4月22日オンラ
イン版)に報告しました。認知
症予防に有効な食事内容につい
ては、さまざまな研究が行われ
ています。例えば、健康的な食
事として知られる地中海食や、
高血圧の予防と管理が目的のDA
SH食と認知症予後のリスク低下
との関連が報告されています。

 Samieri 氏らは今回、フラン
スボルドー地方の3都市在住で
65歳以上の高齢者9,294 人(ブ
ルゴーニュ市2,104 人、ディジ
ョン市4,931人、モンペリエ市2
,259人)が対象の前向きコホー
ト研究3C studyのデータを用い、
症例対照研究を実施しました。
12年間の追跡期間中に認知症を
発症した症例群(209 人、平均
年齢78歳)と、年齢、性、教育
レベルをマッチさせた認知症を
発症していない対照群(418人)
を抽出し、食事内容と認知症発
症との関連を解析しました。

 なお食事内容は、3C study登
録後、食物摂取頻度調査票(FF
Q )と栄養士による対面調査を
行い、1日3食および間食時に摂
取する食事の量、食品・飲料・
アルコール飲料などの摂取頻度
を評価しました。主菜と副菜な
どの食べ合わせをネットワーク
化し、認知症発症との関連を両
群で比較しました。解析の結果、
摂取カロリーに両群で有意差は
ない(症例群1,550kcal vs. 1,
540kcal )ものの、食事内容は
大きく異なっていました。

 症例群の食品ネットワークは
ハム、ソーセージ、テリーヌな
どの食肉加工品を中心に、ジャ
ガイモ・澱粉質の食品、アルコ
ール飲料、菓子類などで形成さ
れていました。一方、対照群で
は野菜、果物、魚介類など多様
でより健康的な食品ネットワー
クが見られました。

 Samieri 氏らは、認知症の発
症予防には食事内容を評価する
ことも重要だとしています。

認知症のリスク因子について

解説している動画です。

 
 


 
 
 食事内容の中で栄養のあるも
のが無いよう。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 東京大学医学部附属病院が5
月12日、東アジアなどの国々の
研究機関との研究を共催し(th
e Asian Genetic Epidemiology
Network(AGEN)consortium)、
40万人規模の東アジア人集団の
遺伝情報を用いたゲノムワイド
関連解析(GWAS)の大規模メタ
解析を行い、2型糖尿病発症の
リスクを高める遺伝子領域を新
たに61か所同定したと発表した
のは素晴らしい業績です。東洋
人は、西洋人に較べてインシュリンの
分泌能が低いことが知られてい
ます。2型糖尿病は民族集団に
より遺伝要因や病態生理に異な
る部分がある可能性が示唆され
ており、日本人集団を含む東ア
ジア人集団は、欧米人集団に比
べ肥満がなくても2型糖尿病を
発症しやすいなどの特徴が知ら
れているとのことですが、欧米
人は、インシュリン分泌能が高いから
肥満となると考える方が自然だ
と思います。
 食事摂取と認知症との関連性
についてはさまざまな研究が行
われており、摂取量に関する検
討もその1つです。フランス・
University of BordeauxのCéci
lia Samieri 氏らは、食材の食
べ合わせと認知症の関連につい
て大規模コホートで症例対照研
究を実施し、食べ合わせによっ
ては認知症の発症リスクが高ま
るとの研究結果を、Neurology
(2020年4月22日オンライン版)
に報告していることも評価でき
ると考えています。認知症の症
例群の食品ネットワークはハム、
ソーセージ、テリーヌなどの食
肉加工品を中心に、ジャガイモ・
澱粉質の食品、アルコール飲料、
菓子類などで形成されていたと
いうことですが、この食事は、
一般的な西洋風の食事と言えま
しょう。一方、対照群では野菜、
果物、魚介類など多様でより健
康的な食品ネットワークが見ら
れたのは、和食や地中海式食事
に近い食事と言えるでしょう。

 忠臣を中心に据えた家臣団が
殿様に仕える。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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