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2021-04-03 21:22:36

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診療マル秘裏話  号外Vol.1816 令和2年5月31日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)ALDH2遺伝子多型と飲酒/喫煙が胃ガン複合要因
2)ジペプチド摂取が認知症モデルマウスの記憶障害改善

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 ALDH2遺伝子多型と飲酒/喫煙が胃ガン複合要因

 
 
 
 
 
 
 
 日本医療研究開発機構は5月7
日、大規模な人種横断的胃ガン
ゲノム解析により、アジア人特
有のALDH2 遺伝子多型と飲酒・
喫煙習慣との組み合わせによる
胃ガンの発症を解明したと発表
しました。この研究は同大先端
科学技術研究センターゲノムサ
イエンス部門の鈴木章浩指導委
託大学院生(研究当時)、油谷
浩幸教授および同大大学院医学
系研究科衛生学分野の加藤洋人
准教授、石川俊平教授らの研究
グループが、同人体病理学・病
理診断学分野の牛久哲男教授、
深山正久教授(研究当時)、同
消化管外科学の瀬戸泰之教授、
横浜市立大学外科治療学の利野
靖診療教授、肝胆膵消化器病学
の中島淳教授、国立ガン研究セ
ンターの柴田龍弘ガンゲノミク
ス分野長らのグループと共同で
行ったものです。研究成果は、
「Science Advances」で公開さ
れています。胃ガンは、日本を
はじめ東アジアで最も頻度の高
い悪性腫瘍です。ガンゲノムシ
ーケンスの進歩によって、胃ガ
ンのドライバーとなる体細胞ゲ
ノム変異についてはその全体像
が明らかになってきました。胃
ガン発生リスクについてはピロ
リ菌がよく知られていますが、
ヒト側の遺伝的素因やそれらと
環境因子との関わりについて、
その全体像は明らかになってい
ませんでした。今回、研究グル
ープは、243 人の日本人胃ガン
症例およびTCGAデータベースに
ある288 人の胃ガン症例に対す
る全エクソームシーケンスデー
タを統合し、アジア人319 症例
と非アジア人212 症例、合計53
1 症例の人種横断的胃ガンゲノ
ム解析を実施しました。変異シ
グネチャと呼ばれる体細胞ゲノ
ム変異のパターンによってこの
531 例を分類したところ、アル
コール摂取によって起こると報
告されている変異シグネチャ「
シグネチャ16」が優位に認めら
れるクラスターが存在すること
を発見しました。またこのクラ
スター中の症例の多くがアジア
人であり、さらにALDH2 (アル
デヒド分解酵素)遺伝子多型の
うちアルコールを分解できない
タイプのアレル(rs671-AA or
AG)を保有していることが分か
りました。

生活習慣と胃ガンゲノムとの関
連について詳細な解析を行うた
め、日本人胃ガン症例に限った
解析を行ったところ、シグネチ
ャ16が優位なクラスターは胃ガ
ン症例全体の6.6%(16/243)
を占めていました。その多くは
不活性型ALDH2 アレルを持ち、
かつ飲酒および喫煙の習慣があ
る症例でした。不活性型ALDH2
アレル(rs671-AA or AG)は日
本・韓国や中国東部など東アジ
アに特有に見られる多型で、こ
の遺伝子多型と飲酒習慣との掛
け合わせでシグネチャ16が優位
なガンが発症することは東アジ
ア人に特有の現象と考えられる
ということです。不活性型ALDH
2 アレルを持つ症例は、飲酒習
慣のみ、あるいは喫煙習慣のみ
の症例に比較して、飲酒・喫煙
両方の習慣を持つ症例で相乗的
にシグネチャ16のゲノム変異が
蓄積していました。このいわゆ
るアルコール・喫煙関連胃ガン
は、全体的に体細胞変異の数が
少なくB 細胞の浸潤が多いなど
の生物学的特性を有していまし
た。日本人において飲酒が胃が
んのリスクを上げることは疫学
的に報告されていますが、喫煙
習慣との掛け合わせによってシ
グネチャ16パターンのゲノム変
異密度が相乗的に上昇すること
は、今回の研究によって初めて
明らかにされました。近年、臨
床的に問題となるような中程度
以上のガン発症リスクを示す遺
伝的素因の探索にゲノムシーケ
ンスによるレアバリアントの探
索が用いられ、欧米における胃
ガンについてはPALB2, BRCA1/
2, RAD51等の二重鎖切断の相同
組み換え修復に関わる遺伝子の
病的胚細胞バリアントが報告さ
れています。243 の日本人胃ガ
ン症例について、非腫瘍部の全
エクソーム配列からさまざまな
人種で頻度が1%未満でかつ病的
意義が予測されるレアバリアン
トの解析を行ったところ、624
種類のガン関連遺伝子のなかでE
-カドへリン遺伝子が最もバリア
ント密度が高いと判明しました。
E-カドへリンは細胞間接着分子
であり、遺伝性びまん型胃ガン
の原因遺伝子として知られてい
ます。243 の胃ガン症例のうち
18症例(7.4%)でE-カドへリン
遺伝子にアミノ酸置換を伴うバ
リアントがみられました。重要
な所見として、これらのバリア
ントを持つ18症例のうち大部分
の14症例がびまん型胃ガン(低
分化型胃ガン)であり、解析し
た243 症例中のびまん型胃ガン
の割合(43.2%)と比較して大
きく偏っています。この結果は
非アジア人で見つかったバリア
ントと対照的であり、びまん型
胃ガンがE-カドへリンの機能喪
失によって起こることを考える
と、これらのレアバリアントが
病的胚細胞バリアントとしてび
まん型胃ガンの発症に関与して
いることを強く示しています。
E-カドへリン遺伝子の病的胚細
胞バリアントは日本人のびまん
型胃ガン症例中13.3%(14/10
5)に認められました。

今回見つかったE-カドへリン遺
伝子の病的胚細胞バリアントは
5か所に集中しており、日本人
集団中では1%以下ではあるも
のの一定の頻度で存在し、非ア
ジア人症例には全く認められま
せんでした。その一方で日本人
と韓国人には共通してみられる
ことから、少なくとも東アジア
一帯に広く分布するアレルであ
り、この一帯が胃ガンの高頻度
地域になっている原因の一つで
ある可能性も考えられました。
見つかったレアバリアントのな
かにはV832M やG62Vなど過去に
遺伝性びまん型胃ガン家系で報
告されたバリアントもありまし
たが、今回解析したバリアント
保有患者さんは、家族歴がない
患者さんあるいは弱い家族歴を
持つ患者さんでした。このこと
より、E-カドへリンの病的胚細
胞バリアントの浸透率は、ピロ
リ菌の感染様式や食生活の影響
などを受け時代とともに変化し
ている可能性が推測されました。
家族歴が明確ではなく臨床的に
孤発例だと考えられていたびま
ん型胃ガン症例のなかに、E-カ
ドへリン遺伝子の病的胚細胞バ
リアントを有する症例が1割以
上の高い頻度で含まれているこ
とは、重要な知見と考えられま
す。

胃ガンゲノム研究によって明ら
かにされました、遺伝的素因や
環境因子との相互作用による日
本人の胃ガンリスクの解明は、
臨床的・社会的に重要な意義を
持つと考えられます。今回の結
果ではびまん型胃ガン症例の約
5分の1(22/105、21.0%)が、
不活性型ALDH2 とアルコール摂
取・喫煙習慣の組み合わせ、ま
たはE-カドへリンの病的胚細胞
バリアントに関連していました。
研究グループは今回の成果につ
いて、「胃ガンのハイリスク群
を遺伝的素因によって絞り込み、
飲酒・喫煙といった生活習慣を
改善することによる予防や、血
縁者を含めた綿密な内視鏡スク
リーニング等による早期発見な
どの効果的介入を行うための重
要な知見と考えられる」と、述
べています。

胃ガンにならないためにできる

ことについて解説している動画

です。

 
 


 
 
 
 治験の知見について解説を加
えた。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 ジペプチド摂取が認知症モデルマウスの記憶障害改善

 
 
 
 
 
 
 
 九州大学は5月1日、血液脳関
門を透過し脳組織へと到達する
ジペプチドの摂取が、急性アル
ツハイマー病モデルマウスでの
記憶障害を改善することを明ら
かにしたと発表しました。これ
は同大大学院農学研究院/五感
応用デバイス研究開発センター
の田中充助教、松井利郎教授ら
の研究グループと、福岡大学薬
学部道具伸也准教授らとの共同
研究によるものです。研究成果
は、英科学誌「Nature Partner
Journals Science of Food 」
にオンライン掲載されています。
超高齢化社会において深刻な問
題となりつつある認知症に対し、
未だ的確な治療薬が開発されて
いないことから、発症前段階で
予防策を講じることが重要と認
識されています。松井教授らの
研究グループはこれまでに、ア
ミノ酸が2つ(Tyr-Pro)つなが
ったジペプチドが、血液脳関門
を通過し、海馬、視床下部や小
脳といった脳器官周辺に蓄積す
ることを明らかにしています。
ジペプチドが海馬や視床下部な
どの脳器官に蓄積することは、
行動や記憶機能に何らかの効果
を示すのではと期待されていま
した。今回の研究で、アミロイ
ドβペプチド25-35 を脳内に投
与することにより、急性的に誘
導したアルツハイマー病モデル
マウスを用いて、Tyr-Proを2週
間毎日経口摂取させることによ
り、Y迷路試験での短期記憶障
害を改善する作用、ならびに受
動回避試験での長期記憶障害を
改善する作用が確認されました。
この結果は、ジペプチドの摂取
が記憶障害の改善に有効である
ことを動物レベルで実証したも
のであり、食品摂取による認知
症予防の可能性を示すというこ
とです。

今後研究グループは、老化促進
マウスを用いて、未病段階での
改善作用を明らかにし、食(ジ
ペプチド)による認知予防効果
を明らかにするとともに、より
効果の高いペプチドを明らかに
し、認知症改善作用のメカニズ
ムについても追究していく予定
です。「これらの成果によって、
脳の健全性維持や脳疾患予防に
貢献できる機能性食品の登場が
大いに期待される」と、研究グ
ループは述べています。

めまいの治療薬(メリスロン)

に記憶回復の効果を発見したと

いう動画です。

 
 


 
 
 
 左様な認知症改善作用がある
とは、知りませんでした。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 日本医療研究開発機構が5月7
日、大規模な人種横断的胃ガン
ゲノム解析により、アジア人特
有のALDH2 遺伝子多型と飲酒・
喫煙習慣との組み合わせによる
胃ガンを明らかにしたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
今回の結果ではびまん型胃ガン
症例の約5分の1(22/105、21.
0%)が、不活性型ALDH2 とアル
コール摂取・喫煙習慣の組み合
わせ、またはE-カドへリンの病
的胚細胞バリアントに関連して
いたということですから胃ガン
のハイリスク群を遺伝的素因に
よって絞り込み、飲酒・喫煙と
いった生活習慣を改善すること
による予防や、血縁者を含めた
綿密な内視鏡スクリーニング等
による早期発見などの効果的介
入を行うための重要な知見です。
 九州大学が5月1日、血液脳関
門を透過し脳組織へと到達する
ジペプチドの摂取が、急性アル
ツハイマー病モデルマウスでの
記憶障害を改善することを明ら
かにしたと発表したのは偉大な
業績です。超高齢化社会におい
て深刻な問題となりつつある認
知症に対し、未だ的確な根本的
治療薬が開発されていないこと
から、発症前段階で予防策を講
じることが重要と認識されてい
ます。今回の研究で、アミロイ
ドβペプチド25-35 を脳内に投
与することにより、急性的に誘
導したアルツハイマー病モデル
マウスを用いて、Tyr-Proを2週
間毎日経口摂取させることによ
り、Y迷路試験での短期記憶障
害を改善する作用、ならびに受
動回避試験での長期記憶障害を
改善する作用が確認されたと言
うことですから脳の健全性維持
や脳疾患予防に貢献できる機能
性食品の登場を期待したいと思
います。

 東條さんが搭乗ゲートに登場
した。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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