最近の号外Vol.1810メルマガ

2021-03-27 23:11:38

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1810 令和2年5月24日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)前立腺ガンの新しいエクソソーム分泌機構解明
2)ガンと診断される数年前から,感染症リスクが高い

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 前立腺ガンの新しいエクソソーム分泌機構解明

 
 
 
 
 
 
 
 東京医科大学は4月30日、独
自に開発したスクリーニング法
を用いて、前立腺ガンにおける
新たなエクソソーム分泌機構を
解明したと発表しました。これ
は、同大医学総合研究所の落谷
孝広教授らと東京慈恵会医科大
学泌尿器科学講座の頴川晋教授、
占部文彦助教、および、テオリ
アサイエンス株式会社らの共同
研究グループによるものです。
研究成果は、「Science Advanc
es」電子版に掲載されています。
エクソソームは、さまざまな種
類の細胞が分泌する100nm ほど
の脂質二重膜で囲まれた小胞で、
細胞間相互作用に重要な役割を
担っていることが知られていま
す。特に、ガン細胞由来のエク
ソソームは、ガン細胞の周辺の
細胞を制御し、ガンの進展に関
わることが多数報告されていま
す。さらに、ガン細胞は正常細
胞よりもエクソソームの分泌量
が多い傾向にあるため、エクソ
ソームの分泌はガンのさまざま
な悪性段階に関わると考えられ
ています。

これまでにエクソソームの分泌
に関わる遺伝子として「Rab27」
「nSMase2」 などが報告されて
います。しかし、これらの遺伝
子は、ガン細胞特異的に高発現
している遺伝子ではないため、
ガン細胞のみを標的とすること
ができず、選択性に乏しいこと
から治療標的とすることが困難
でした。研究グループは、独自
に開発したエクソソームの超高
感度測定法である「ExoScreen
法」と、マイクロRNA ライブラ
リーを組み合わせた、ガン細胞
におけるエクソソーム分泌関連
遺伝子のスクリーニング法を新
たに開発しました。この方法を
用いて、前立腺ガン細胞株を対
象にスクリーニングを行った所、
「miR-26a」 とその制御遺伝子
である「SHC4」「PFDN4」「CHO
RDC1」がエクソソームの分泌を
制御していることが判明しまし
た。

次いで、これらの遺伝子の発現
を抑制した前立腺ガン細胞をマ
ウスに移植したところ、エクソ
ソームの分泌が低下し、担ガン
マウスにおける腫瘍の増大が抑
えられました。さらに、エクソ
ソームの分泌が低下した前立腺
ガン細胞移植時、移植部位へ前
立腺ガン細胞から分泌されるエ
クソソームを同時に注入すると、
腫瘍の増殖が回復することが確
認されました。

同定した3つの遺伝子は、これ
までにガンの悪性化に関わると
の報告がなく、前立腺ガンの治
療としてこれらの遺伝子を標的
とした薬剤の開発が期待されま
す。また、従来の治療法とは異
なる、エクソソーム治療という、
新たな治療法確立への道をひら
くことが期待されます。「さら
に、本研究で確立されたスクリ
ーニング技術は、他のガン種に
おいても利用可能であり、さま
ざまなガン種のエクソソーム分
泌機構の解明に役立つと考えら
れる」と、研究グループは述べ
ています。

エクソソームについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 分泌機構に関する講演を聞こ
う。           笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 ガンと診断される数年前から,感染症リスクが高い

 
 
 
 
 
 
 
 国内の7年間のレセプトデー
タベースを使用した症例対照研
究で、ガンと診断される数年も
前から感染症リスクが高くなる
可能性が示されました。京都大
学の井内田科子氏らがCancer I
mmunol Res(2020年4月17日オ
ンライン版)で発表しました。
新規にガンと診断された30歳以
上の患者さんでは、対照群に比
べてガン診断の1年前にインフ
ルエンザ、胃腸炎、肝炎または
肺炎の罹患率が最も高くなった
ということです。この知見はガ
ンの早期発見・予防に役立つ可
能性があるとして、前ガン状態
での臨床的炎症、感染および免
疫の関係を研究する必要性を指
摘しています。これまでの報告
から、リンパ腫、慢性リンパ性
白血病、骨髄腫などの非固形ガ
ン発症前には感染症が増加する
ことが示唆されています。しか
し、固形ガン発症前の感染症に
関する研究は少ないようです。

 井内田氏は「ガンは、感染症、
免疫不全、発ガン性化学物質へ
の曝露または慢性/遺伝的状態
による炎症環境下で発症しうる。
前ガン状態での免疫抑制が、感
染率の上昇として現れる可能性
がある」と指摘しています。

 そこで、7年間分のデータを
用いた症例対照研究で、前ガン
状態での免疫抑制の代替評価と
して新規ガン患者さん群と対照
群の感染症有病率を比較しまし
た。今回、レセプトデータベー
スを使用してベースライン(20
04~05年)から7年目(2010~
11年)に新規にガンと診断され
た30歳以上の患者群(2,354 例
;男性1,843例、女性511例)と、
2005~12年の8年間にガンと診
断されなかった対照群(4万8,3
95例 ;男性3万7,779例、女性1
万616 例)で、1~6年目の主要
な4種類の感染症(インフルエ
ンザ、胃腸炎、肝炎または肺炎)
の有病率を比較しました。

 平均年齢は患者群(45.1歳)
よりも対照群(43.9歳)でやや
低いという結果がでました。ガ
ンの部位は、消化器(胃を除く)
25%、頭頸部17%、胃15%、呼
吸器・胸部12%、生殖細胞12%、
泌尿器8%、肝臓4%、乳房(女性)
3%、血液/骨/骨髄2%、内分泌
1%などでした。

 ガン診断前6年間における4
種の感染症の年間有病率は、対
照群に比べ患者さん群で高く、
両群の年間有病率の差はガン診
断1年前(6年目)に最大にな
りました。同年の患者さん群で
の感染症有病率は、対照群に比
べてインフルエンザで17.6%、
胃腸炎で46.1%、肝炎で223.4%、
肺炎で135.9%高いという結果が
でました。ロジスティック回帰
分析を行った結果、全ガンの感
染症年齢調整オッズ比(OR)は
年々上昇していることが明らか
になりました。全ガン患者さん
が4種の感染症のいずれかに罹
患するリスクは、対照に比べて
1年目は16%(OR 1.16、95%C
I 1.04~1.29)上昇、2~5年目
は30%前後の上昇で推移し、6
年目に55%(同1.55、1.40~1.
70)上昇しました。全ガン患者
さんの肝炎リスクは6年目に最
大となり、対照群の3倍以上に
なりました(同3.38、2.12~5.
37)。

 特定の感染症と特定のガン種
との関連性も示唆されました。
ガン診断1年前のインフルエン
ザリスクは、他のガンと比べて
男性の生殖細胞ガンで最も高か
った(OR 2.01、95%CI 1.31~
3.09)ということです。さらに、
同時期の胃ガンにおける感染症
リスクは他の感染症と比べ肺炎
が3倍以上(同3.59、2.04~6.
30)でした。肝炎リスクは、血
液/骨/骨髄ガンで最も高く(
同 19.04、4.55~79.67 )、次
いで肝臓、乳房(女性)および
泌尿器ガンで高かった(それぞ
れのOR 11.60、10.57、6.32 )
以上の結果から、井内田氏らは
「全ガンにおいて診断の6~7年
前から、インフルエンザ、胃腸
炎、肝炎および肺炎の罹患率が
高くなることが示されました。
感染部位は同じ臓器のガンリス
クと必ずしも相関しないことも
分かりました。この4種の感染
症の年次評価が、成人の前ガン
状態の調査に役立つ可能性があ
ります。対照群の感染症罹患率
には変化がないことから、ガン
を発症した患者さんの感染症罹
患率上昇は免疫抑制によること
が示唆される」と述べました。

 研究の限界については、「環
境曝露、生活習慣、基礎疾患や
遺伝的素因に関する情報が欠如
しており、それらが感染症の増
加に寄与した可能性があります。
また、感染症有病率の情報はデ
ータベースに記録された診断の
みに基づいています。したがっ
て、臨床医によって診断にばら
つきがあり、一部の感染症は診
断または記録がされていない可
能性があります。まれなガンの
サンプルサイズが小さいことも
限界となる」と考察しています。

ピロリ菌と胃ガンの関係につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 玄界灘で、自分の能力の限界
を悟った。        笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 東京医科大学が4月30日、独
自に開発したスクリーニング法
を用いて、前立腺ガンにおける
新たなエクソソーム分泌機構を
解明したと発表したのは素晴ら
しい業績です。エクソソームは、
さまざまな種類の細胞が分泌す
る100nm ほどの脂質二重膜で囲
まれた小胞で、細胞間相互作用
に重要な役割を担っていること
が知られていて特に、ガン細胞
由来のエクソソームは、ガン細
胞の周辺の細胞を制御し、ガン
の進展に関わることが多数報告
されているのは周知の事実です。
前立腺ガンの治療として今回の
研究で得られた遺伝子を標的と
した薬剤の開発を大いに期待し
たいと思います。
 国内の7年間のレセプトデー
タベースを使用した症例対照研
究で、ガンと診断される数年も
前から感染症リスクが高くなる
可能性が示されたのは、偉大な
業績です。感染症リスクが上昇
するということは、免疫の力が
低下しているということに他な
りません。ただし、レセプトの
データ由来の結果なので、保険
病名などの有効でない病名が使
われる可能性があることも考慮
しなければならないと思います。
免疫の力が低下しているのは、
間違いないので、感染症を頻繁
に罹患している人にも注意すべ
きということでしょう。体重減
少、食欲不振、盗汗、全身倦怠
感などの全身症状にも気をつけ
る必要があります。

 匍匐前進をすることで、全身
倦怠感が出現した。    笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント