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2021-02-25 22:18:03

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診療マル秘裏話  号外Vol.1784 令和2年4月24日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)黄色ブドウ球菌が,作る病原因子の立体構造解明
2)ドイツ政府がインフルエンザ治療薬のアビガンを大量購入

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 黄色ブドウ球菌が,作る病原因子の立体構造解明

 
 
 
 
 
 
 
 京都大学は3月31日、黄色ブ
ドウ球菌が産生する病原因子の
1つである「リパーゼ(SAL )」
の立体構造をX線構造解析の方
法を用いて、世界で初めて解明
したと発表しました。この研究
は、同大医学研究科の奥野友紀
子特定講師、京都工芸繊維大学
の北所健悟准教授、大阪府立大
学の神谷重樹教授、理化学研究
所の引間孝明研究員と山本雅貴
部門長らの研究グループによる
ものです。研究成果は、「Scie
ntific Reports」のオンライン
版に掲載されています。世界中
の病院において、既存の抗菌薬
が効かない細菌である「スーパ
ーバグ」が確認され、その流行
が危惧されています。MRSA(Me
thicillin-resistant Staphylo
coccus aureus)は,スーパーバ
グの代表例で、各種の抗菌薬に
抵抗性を示すため、MRSA感染症
という院内感染が問題となって
います。黄色ブドウ球菌(Stap
hylococcus aureus; 以下、SA
菌)は、化膿した傷口や皮膚表
面に存在する常在菌で、けがの
傷口から体内に侵入し、多くの
病原因子を産生して種々の病気
を引き起こします。多種多様な
細菌が存在する皮膚表面でSA菌
が異常に増えると、アトピー性
皮膚炎が発症することが分かっ
ています。

SA菌が産生する病原因子の1つ
である「リパーゼ(SAL )」は
SA菌の増殖と相関があり、免疫
応答由来の殺菌効果を持つ脂質
を分解し、菌の生存率を向上さ
せて生体防御を破壊することが
分かっています。このことから
SAL 阻害薬は抗MRSA薬の標的の
みならずアトピー性皮膚炎の薬
として注目されています。そこ
で今回、研究グループは、より
高い効果を持つ副作用の少ない
新しい薬の探索・設計に貢献す
るため、これまで大型放射光施
設「SPring-8」の強い放射光を
用いたX線構造解析の経験を生
かし、SAL の立体構造の解明を
試みました。研究開始当初、SA
L の立体構造についての情報は
全くありませんでした。またSA
L に対する阻害剤も活性の強い
有効なものはありませんでした。
そこで研究グループは、まずSA
L の阻害剤を探索しました。そ
の結果、抗肥満薬として海外で
既に認可されているオルリスタ
ットという薬がSAL に対して、
50%阻害濃度(IC50値)2.4 µM
で阻害することを発見しました。
オルリスタットの阻害活性は今
までに知られていたSAL 阻害剤
のファルネソールより200 倍以
上強いことが分かりました。

このオルリスタット分子がSAL
に結合した複合体の立体構造を、
X線結晶構造解析の手法を用い
て原子レベルで解明するため、
研究グループはまず大腸菌での
SAL の大量生産系を構築しまし
た。純度の高いSAL を精製し、
SAL 単体の結晶とオルリスタッ
トを共結晶化した結晶を作成し
ました。X線回折実験およびデ
ータ収集は、大型放射光施設「
SPring-8」のビームラインBL41
XUならびにBL44XUで行ったとい
うことです。

解析の結果、SAL の立体構造は
既存の他の細菌由来のリパーゼ
とよく似た3次元構造をとり、
活性部位にフタをする役目を持
ったLid ドメインが開いた状態
のオープン型コンフォメーショ
ンを取っていることが判明しま
した。オルリスタット分子はSA
L の活性部位である「鍵穴」に
対して、「鍵」分子としてぴっ
たりはまり込んでいることが分
かりました。またオルリスタッ
トは比較的大きな分子で、SAL
の触媒残基である116 番目のセ
リン残基の酸素原子と共有結合
していました。そのほかの2つ
の部分はSAL の比較的広い大き
な活性部位のポケットに疎水性
相互作用する形で存在している
ことが分かりました。これらの
結合様式によって、オルリスタ
ットはSAL に対して高い選択的
親和性を示すことが示唆されま
した。今回発見された、オルリ
スタットとSAL の相互作用から、
薬のデザインのための構造基盤
が構築されました。MRSAはほと
んどの抗菌薬に耐性があり、新
生児や老人などの免疫力の弱い
患者さんを死に至らしめること
が分かっています。MRSAに対す
る抗菌薬以外の薬の探求は重要
で、SAL の阻害剤は、MRSA感染
症への新規な作用機序の薬とし
て期待されます。研究グループ
は、「本研究の結果は、SAL を
標的としてMRSAや皮膚病などの
疾患に対して、その構造情報を
基にした創薬(Structure base
d drug design )も可能にする
と期待される。またオルリスタ
ットは海外で既に認可されてい
る薬であることから、ドラッグ
リポジショニングとして、感染
症への薬の適応の幅が広がるこ
とが期待できる」と、述べてい
ます。

MRSAについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 新規な作用機序を求めて心機
一転必死の努力をする。  笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 ドイツ政府がインフルエンザ治療薬のアビガンを大量購入

 
 
 
 
 
 
 
 ドイツ政府は、富士フイルム
のグループ会社が開発した抗イ
ンフルエンザ薬「アビガン」を、
新型コロナウイルス感染者への
治療効果が期待されるとして、
大量に購入する方針を決めまし
た。4月2日付のフランクフルタ
ー・アルゲマイネ紙が報じまし
た。購入規模は、数百万セット
に上る可能性があるということ
です。
 アビガンについては、中国政
府が治療効果を臨床試験で確認
したとしており、同国企業が後
発医薬品(ジェネリック)の生
産を進める方針です。ドイツの
新型ウイルス研究第一人者であ
るシャリテー大学病院ウイルス
学研究所のドロステン所長は同
紙に、アビガンについて「有望
だ。効果を示す初期段階のエビ
デンス(根拠)がある」と述べ
ました。

アビガンの危険性と副作用につ

いて解説している動画です。

 
 


 
 
 暑気払いの初期段階に書記が
出席する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 京都大学が3月31日、黄色ブ
ドウ球菌が産生する病原因子の
1つである「リパーゼ(SAL )」
の立体構造をX線構造解析の方
法を用いて、世界で初めて解明
したと発表したのは、素晴らし
い業績です。黄色ブドウ球菌の
内、MRSAは、多剤耐性の菌とし
て有名で、効果があるとされる、
バンコマイシンやハベカシンの
使い方が難しく、臨床医が手を
焼く、細菌であることは、良く
知られています。ドラッグリポ
ジショニングで、効果的な薬剤
を見つけて来るなんて、コロン
ブスの卵と言う他ありません。
 ドイツ政府は、富士フイルム
のグループ会社が開発した抗イ
ンフルエンザ薬「アビガン」を、
新型コロナウイルス感染者への
治療効果が期待されるとして、
大量に購入する方針を決めたの
は、喜ばしいことです。日本発
の薬剤が、中国をはじめとする
他国で、その効能を認められて
いるのに、国家備蓄として眠ら
せておくのは、もったいないと
思います。日本でも臨床試験が
始まっているようなので今後の
推移を見守りたいと思います。
臨床試験で結果が出れば、早く
国家備蓄を取り崩して、一般の
医療機関で使えるようにして頂
きたいものです。

 水位の推移を観察する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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