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2021-02-20 21:53:45

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診療マル秘裏話  号外Vol.1780 令和2年4月19日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)活性化好中球が腎ガン肺転移成立に重要な働き
2)テロメラーゼに,細胞ガン化に深く関わる別の新機能

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 活性化好中球が腎ガン肺転移成立に重要な働き

 
 
 
 
 
 
 
 東京大学は3月24日、腎ガン
肺転移の分子メカニズムについ
て、活性化された好中球が肺転
移の成立に重要な働きをしてい
ること、また、マウス実験から
BET 阻害剤により肺転移を抑制
できることが分かったと発表し
ました。これは、同大大学院医
学系研究科の西田純特任研究員
(研究当時)、江帾正悟准教授、
宮園浩平教授らの研究グループ
によるものです。本研究成果は
「Nature Cell Biology 」オン
ライン版に掲載されています。
腎ガンは、世界において成人の
罹患するガンのうち2~3%を占
めています。無症候で進展する
ガンとしても知られていて、診
断時に転移性腫瘍を有する症例
は30%以上に上ります。主な組
織型は淡明細胞型腎細胞ガンで
あり、肺、骨、脳あるいはリン
パ節に転移します。早期腎ガン
症例は内視鏡下手術もしくは開
放手術による根治的腎摘除術が
奏功し、良好な治療成績が得ら
れています。一方、転移を有す
る進行腎ガンの症例に対しては、
分子標的治療薬も使用されてい
ます。

進行腎ガンの症例に対する分子
標的治療薬としては、血管新生
阻害剤やチロシンキナーゼ阻害
剤などが挙げられます。また一
部の腎ガンでは分子標的治療薬
の登場以前よりサイトカイン療
法が奏功することが知られ、近
年でも免疫チェックポイント阻
害剤が著効を示す場合があるこ
とが明らかになっています。こ
ういった事実から、腎ガンでは
ガン微小環境に存在する血管内
皮細胞や免疫細胞などが、ガン
の進展に密接に関わることが想
定され、これらの細胞とガン細
胞との関連性を理解することで、
腎ガンの新しい治療法の創出に
つながることが期待されていま
す。研究では、ヒト腎ガン細胞
(親株)をマウスの腎臓に移植
する腎同所性移植法を用いて、
ガン微小環境に十分曝露された
新しい腎ガン細胞(亜株)を樹
立し、その形質を解析すること
で新しい治療標的の探索を行い
ました。樹立した亜株を改めて
マウスに移植すると、親株より
早く腎臓のガンをつくり、さら
に肺に転移したことから、この
亜株は進行腎ガンのモデル細胞
となることが確認されました。
興味深いことに、亜株で形成さ
れた原発腫瘍や肺転移の組織を
観察すると、白血球の中でも好
中球が多く浸潤していたことか
ら、亜株は腫瘍内在性炎症を誘
発する形質を有していることが
分かりました。

次に、この腫瘍内在性炎症が腎
ガンの進展の鍵を握ると予想し、
好中球数を減少させる抗体を用
いた実験を行いました。 その
結果、亜株は好中球に依存して
肺に転移することが分かりまし
た。またそのメカニズムとして、
腫瘍内在性炎症によって活性化
した好中球が、新しく血管をつ
くる作用、ガン細胞の肺への生
着を促進させる作用など、転移
の成立に重要なプロセスに深く
関与していることも分かりまし
た。一方で、この腫瘍内在性炎
症を誘発する形質は亜株に特有
のものであり、親株では認めら
れなかったことから、この形質
の獲得にあたって、ガン微小環
境が重要な役割を担っているこ
とが確認されました。

続いて、亜株と親株の遺伝子発
現を比較し、腫瘍内在性炎症を
誘発している制御因子を探索し
ました。次世代シーケンサーを
用いた解析から、亜株ではCXCL
1、CXCL2、CXCL5、CXCL8といっ
た好中球の動態を制御する複数
のケモカインの発現が同時に上
昇していることが分かりました。
また、これらの遺伝子のゲノム
領域近傍には、スーパーエンハ
ンサーとよばれる特徴的な遺伝
子制御領域が形成されているこ
とが観察されました。こうした
エピゲノム制御機構が亜株によ
る腫瘍内在性炎症の誘発に重要
であると予想されたことから、
実際の臨床症例を調べました。
すると、上記の複数のケモカイ
ンが同時に高発現している症例
が、低発現症例や単一発現症例
と比較して予後不良であること
が分かりました。

上記のスーパーエンハンサー領
域には、、アセチル化ヒストン
のリーダー蛋白であるブロモド
メイン蛋白質の高度な結合が見
られました。そこで、この蛋白
質を標的とするBET 阻害剤を用
いて治療効果を検証しました。
亜株にBET阻害剤JQ1を加えたと
ころ、CXCL1、CXCL2、CXCL5、C
XCL8の遺伝子発現が一様に低下
することが分かりました。さら
に、亜株を移植したマウスに対
して、BET 阻害剤による治療を
試みたところ、原発腫瘍中に存
在する好中球および新生血管が
減少し、さらに肺転移が抑制さ
れることが確認されました。

「本研究で新たな腎ガンの治療
標的分子が同定された。BET 阻
害剤を免疫チェックポイント阻
害剤など他の分子標的治療薬と
併用することで、相加相乗的な
治療効果も期待される」と、研
究グループは述べています。

腎ガンの薬物治療の最新情報に

ついての講演動画です。

 
 
 


 
 
 
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2】 テロメラーゼに,細胞ガン化に深く関わる別の新機能

 
 
 
 
 
 
 
 日本医療研究開発機構(AMED)
は3月25日、細胞不死化酵素と
して知られているテロメラーゼ
に、細胞のガン化に深く関わる
別の新しい機能があることを明
らかにしたと発表しました。こ
の研究は、国立ガン研究センタ
ー研究所ガン幹細胞研究分野の
増富健吉分野長、金沢大学附属
病院総合診療部の山下太郎准教
授および医薬保健研究域医学系
の金子周一教授、東北大学大学
院医学系研究科抗体創薬研究分
野の加藤幸成教授らの共同研究
グループによるものです。研究
成果は、「Nature Communicati
ons 」に掲載されています。が
ん細胞には不死化能があるのに
対して、正常細胞には不死化能
がありません。約30年にわたり
多くの研究者によって、ガン細
胞はどのようにして細胞不死化
能を獲得するのかという研究が
行われ、1997年に細胞不死化酵
素としてテロメラーゼが発見さ
れました。その後、世界中のが
ん研究者によって、テロメラー
ゼ阻害薬の開発が進められてき
ましたが、ガン治療として十分
に効果がある薬剤は開発できま
せんでした。

近年、国際共同研究「ガン全ゲ
ノム解読」によりテロメラーゼ
が大変重要であることが改めて
証明されました。例えば、C型
肝炎関連肝臓ガンなどでは、患
者さんの検体を用いた大規模ゲ
ノム解析で、約7割の症例でテ
ロメラーゼが発ガン過程におけ
る最も重要な分子であることが
報告されています。また、これ
までは、テロメラーゼの役割は
唯一、「細胞に不死化能を付与
する」ものと理解されてきまし
たが、「テロメラーゼの細胞不
死化能を阻害する」という考え
方に基づくと、ガン治療薬の開
発が順調に進展しなかったこと
などから、テロメラーゼには別
の働き(新たな機能)があるの
ではないかと考える研究者らが
出てきました。このような背景
の下、研究グループは,1)新た
なテロメラーゼの分子機序の探
索、2)テロメラーゼ の新たな
機能が、ガン細胞で活発に作用
しているのか,3)どのようにし
てテロメラーゼの新たな機能の
スイッチが入るのか、に関して
研究を進めてきました。今回、
研究グループは、テロメラーゼ
との関連が示されている肝臓が
んと膵臓ガン患者からの手術検
体等を用いた解析を実施しまし
た。その結果、テロメラーゼの
新たなガン化機能が肝臓ガンや
膵臓ガンのうちでも悪性度が高
いものほど活発であり、この機
能の作用が強いほど予後が悪い
ことが明らかとなりました。

そこで、このテロメラーゼの新
たな機能のスイッチがどのよう
に制御されるのかについて調べ
たところ、CDK1という分子がテ
ロメラーゼをリン酸化すること
でスイッチを入れていることが
判明しました。CDK1の機能を阻
害してみると、細胞不死化酵素
としての機能には何の影響も及
ぼさない一方、テロメラーゼの
新たな機能は完全に阻害される
ことが確認されました。これら
のことから、このスイッチは、
テロメラーゼの新たな機能のオ
ン、オフをコントロールしてい
ると分かりました。

これまでは、テロメラーゼは、
細胞不死化酵素としてガン細胞
のガン細胞たる特徴を制御して
いると考えられていましたが、
今回の発見から、テロメラーゼ
の新たな機能が細胞のガン化に
何らかの影響を及ぼしている可
能性が出てきたため、研究グル
ープは、その可能性に対する答
えを探すために研究を継続しま
した。遺伝子編集技術を用いて、
テロメラーゼの新たな機能のみ
が働かなくなった細胞を作製し、
解析をしました。その結果、こ
の細胞では、正常な細胞と同じ
ようにマウスで腫瘍を作らなく
なりました。これらの結果を総
合的に判断すると、「テロメラ
ーゼの新たな機能」だけを働か
なくするだけで、もはやガン細
胞としての特徴を持たなくなっ
てしまうという結論が導き出さ
れました。

今回の研究により、テロメラー
ゼの新たな機能が、これまで想
定していなかった分子群の関与
により制御され、細胞のガン化
に深く関与していることが発見
されました。研究グループは、
今回の発見について、「テロメ
ラーゼの新たな機能は広くガン
種横断的に関わる可能性が考え
られることから、肝臓ガンや膵
臓ガンのみならず、多くのガン
種に効果を発揮する新たな薬剤
の開発につながる可能性が期待
される」と、述べています。

テロメアとテロメラーゼについ

て解説している動画です。

 
 


 
 
 
 高価な硬貨が経済効果を発揮
する。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 東京大学が3月24日、腎ガン
肺転移の分子メカニズムについ
て、活性化された好中球が肺転
移の成立に重要な働きをしてい
ること、また、マウス実験から
BET 阻害剤により肺転移を抑制
できることが分かったと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
スーパーエンハンサー領域には、
アセチル化ヒストンのリーダー
蛋白であるブロモドメイン蛋白
質の高度な結合が見られました。
そこで、この蛋白質を標的とす
るBET 阻害剤を用いて治療効果
を検証した所、CXCL1、CXCL2、
CXCL5、CXCL8の遺伝子発現が一
様に低下することが分かり、更
に、亜株を移植したマウスに対
して、BET 阻害剤による治療を
試みたところ、原発腫瘍中に存
在する好中球および新生血管が
減少し、さらに肺転移が抑制さ
れることが確認されたという事
で、BET 阻害剤の臨床試験が待
ち望まれる所です。
 日本医療研究開発機構(AMED)
が3月25日、細胞不死化酵素と
して知られているテロメラーゼ
に、細胞のガン化に深く関わる
別の新しい機能があることを明
らかにしたと発表したのは、素
晴らしい業績です。このテロメ
ラーゼの新たな機能のスイッチ
がどのように制御されるのかに
ついて調べたところ、CDK1とい
う分子がテロメラーゼをリン酸
化することでスイッチを入れて
いることが判明し、CDK1の機能
を阻害してみると、細胞不死化
酵素としての機能には何の影響
も及ぼさない一方、テロメラー
ゼの新たな機能は完全に阻害さ
れることが確認されたようです。
これらのことから、このスイッ
チはテロメラーゼの新たな機能
のオン、オフをコントロールし
ていると分かり、オフにする、
即ち、「テロメラーゼの新たな
機能」だけを働かなくするだけ
で、もはやガン細胞としての特
徴を持たなくなってしまうとい
う結論が導き出されたのは凄い
発見だと思いました。

 成魚の成長を制御する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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