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2021-02-16 20:49:52

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診療マル秘裏話  号外Vol.1777 令和2年4月16日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)PTSD患者における記憶バイアスに,BDNF遺伝子関与
2)自分が運動している本人という感覚を、定量化

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 PTSD患者における記憶バイアスに,BDNF遺伝子関与

 
 
 
 
 
 
 
 国立精神・神経医療研究セン
ター(NCNP)は3月19日、心的
外傷後ストレス障害(PTSD)患
者さんにおける記憶バイアスに
BDNF遺伝子が関与することを明
らかにしたと発表しました。こ
の研究は、同センター精神保健
研究所の金吉晴所長、行動医学
研究部の堀弘明室長らの研究グ
ループが、同センター神経研究
所疾病研究第三部、名古屋市立
大学大学院医学研究科精神医学
教室、若松町こころとひふのク
リニック、金沢大学国際基幹教
育院臨床認知科学研究室と共同
で行ったものです。研究成果は、
「Scientific Reports」にオン
ライン掲載されています。TSD
はトラウマ体験を契機として発
症する疾患ですが、一方で、そ
のような体験をした人全員がPT
SDを発症するわけではないこと
も分かっています。例えば、日
本の複数の地域において一般人
口を対象とした調査では、およ
そ60%の者が、トラウマ体験を
経験していたのに対し、そのな
かでPTSDを発症した者は1.6%で
あったと報告されています。し
たがって発症には、各個人のPT
SDへのなりやすさが関係し、こ
のなりやすさには遺伝要因が関
与していると考えられています。
PTSDの推定遺伝率(疾患の原因
のうち遺伝によって説明される
割合)は30~45%程度であるこ
とが示されており、これはうつ
病や不安障害と同様の割合です。
しかし、どの遺伝子がPTSDの発
症リスクを高めるかについては
十分にわかっていません。BDNF
遺伝子のVal66Met多型の関与を
示唆する研究報告が複数存在す
るものの、この遺伝子(多型)
がPTSDの記憶症状にどのような
影響を与えているのかは明らか
になっていません。

これまでに研究グループは、PT
SDの女性患者さんでは健常対照
女性と比較して、単語記憶課題
によって測定したネガティブな
記憶バイアスが有意に強いこと、
また、この傾向は記憶力の低い
患者さんにおいてより顕著であ
ることを見出しました。この結
果から、単語記憶課題によって
測定したネガティブ記憶バイア
スは、PTSDの記憶障害を客観的・
定量的に捉える上で有用な指標
となる可能性が示唆されました。
そこで今回の研究では、PTSD患
者さんにおいて、BDNF遺伝子の
Val66Met多型が、このネガティ
ブ記憶バイアスにどのように関
連するのかを調べました。研究
は、NCNPが主幹研究機関となり、
共同研究機関とともに実施して
いるゲノム・バイオマーカー・
心理臨床指標を包含したPTSD研
究プロジェクトにおいて収集中
のデータおよびサンプルの一部
を用いて実施されました。今回
の研究対象は、50名のPTSD女性
患者さんおよび70名の健常対照
女性です。記憶バイアスは単語
記憶課題によって測定され、BD
NF遺伝子Val66Met多型はPCR に
より解析されました。

解析の結果、PTSD患者群では、
BDNF遺伝子Val66Met多型のMet
対立遺伝子を多く有するほどネ
ガティブ記憶バイアスが有意に
強くなることが示されました。
他方、健常対照群では遺伝子多
型と記憶バイアスの間に有意な
関連はみられませんでした。さ
らに、ペアごとの比較により、
PTSD患者の中でMet 対立遺伝子
を有する群(Val/Met群およびM
et/Met群)のみが健常対照群に
比べてネガティブ記憶バイアス
が有意に強いことが見出されま
した。

今回の研究により、PTSDの中核
症状である記憶の障害に関与す
る遺伝子が見出されました。研
究グループは、「BDNF遺伝子の
Val66Met多型がPTSDの記憶バイ
アスに影響することを示した本
研究結果は、PTSDの病因解明や
早期発見・治療法開発に寄与す
る可能性が考えられ、今後、よ
り大きなサンプルでの検討や男
性例での検討が進むことが期待
される」と、述べています。

PTSDについて解説している動画

です。

 
 


 
 
 
 効能が有意に強いことで優位
に立つ。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 自分が運動している本人という感覚を、定量化

 
 
 
 
 
 
 
 東京大学は3月19日、機能的
磁気共鳴画像法(functional m
agnetic resonance imaging、
以下fMRI)を用いた実験におい
て、「自分が運動を行っている
本人である」という感覚を定量
化することに成功したと発表し
ました。これは、同大大学院人
文社会系研究科の大畑龍研究員、
ATR 認知機構研究所の浅井智久
研究員、東京大学大学院人文社
会系研究科の今水寛教授(東京
大学大学院工学系研究科人工物
工学研究センター/ATR認知機構
研究所)らの研究によるもので
す。研究成果は、「Cerebral C
ortex 」オンライン版に掲載さ
れています。
私たちが体を動かす時、「まさ
に自分が運動している」「運動
を引き起こしている主体は自分」
という運動主体感を得ることが
できます。この感覚は、普段は
とりたてて意識しないものです
が、統合失調症などの精神疾患
により運動主体感が失われると、
自分で運動しているにもかかわ
らず、誰か他の人に操られてい
るような体験をする場合があり
ます。また、運動主体感は、脳
卒中や脳変性疾患による運動ま
ひ、あるいは加齢に伴う身体機
能の低下などにより、感じにく
くなってしまう場合があります。
懸命なリハビリにより、身体機
能はある程度回復したとしても、
自分が運動したという意識的な
部分までは回復に至る保証はあ
りません。

また、自動車やスマートフォン
などの操作において、ユーザー
が「まさに自分が操作している」
と感じることは、自然で使いや
すい機器であるために欠かせま
せん。スマート社会の進行によ
り、自動運転など身の回りのさ
まざまな機器が自動化され、そ
の主体が機器に委ねられること
が多くなっています。しかし、
依然として、危険回避などの重
要な操作において、人間が主体
的に行う場面が多く残されてい
ます。自動化しつつも、いかに
ユーザーに運動主体感を感じさ
せるかという点は、機器の自動
化が進む昨今、注目されている
重要な観点です。

運動主体感に関わる脳の領域を
調べた研究はこれまでも行われ
てきましたが、その多くは、「
ボタンを押すような一瞬の運動」
において調べられてきました。
これらは、人が運動主体感を感
じられるようになるまでの過程
を分析するには運動時間が短く、
その脳内の過程は明らかではあ
りませんでした。特に、運動主
体感に重要とされる、運動をコ
ントロールする働きと、自分が
主体であるという感覚を感じと
る働きが脳内でどのように役割
分担されているかは未解明のま
までした。研究グループは、18
人の実験参加者(20~42歳:平
均年齢25.9歳、男性12人、女性
6人)に、fMRI装置の中でジョ
イスティックを操作する運動を
課しました。ジョイスティック
を操作して画面上のカーソルを
動かし、10秒かけて5山の波線
をなるべく正確になぞることを
参加者に求めました。このカー
ソルの動きは、課題実施中のジ
ョイスティックの動きと、事前
に記録された他人のジョイステ
ィックの動きが、ある一定の割
合で混ぜ合わされていました。
このカーソルを操作すると、参
加者は最初、自分の動きかどう
かわからない状態から運動をス
タートすることになりますが、
運動を進めていくに従い、どの
程度自分の動きであるかが明確
になってくるように設計されま
した。各課題実施の直後に、カ
ーソルの動きがどの程度自分の
動きらしいと感じたかを9段階
で参加者に回答してもらいまし
た。評価は1=完全に他者←→9
=完全に自分、です。

この課題を行っている時にfMRI
装置で計測した脳活動データを、
脳情報の解読技術で解析し、参
加者の9段階の回答を予測しま
した。その結果、運動野や頭頂
葉、島皮質、高次視覚領域(中
側頭回など)の活動から参加者
の回答を予測することができま
した。次に、ジョイスティック
の動きのデータから、「参加者
が予測したカーソルの位置」と
「実際に画面上に表示されたカ
ーソルの位置」のずれの大きさ
を調べました。すると、このず
れが参加者の回答を説明する重
要な指標であることが分かりま
した。このずれの大きさも脳情
報の解読技術を使って脳活動か
ら予測し、回答の予測精度と比
較しました。その結果、左右の
運動野や、左の頭頂葉は、ずれ
の大きさに対する予測精度が高
いことが分かりました。一方、
右の縁上回(頭頂葉の一部)は、
回答に対する予測精度の方が高
いという結果でした。

今回の研究で用いた手法は、普
段は漠然と感じている運動主体
感を、脳活動のモニタリングで
定量化することを可能にします。
これにより、運動機能と同時に
運動主体感も回復するような最
適なリハビリ手法の提案も期待
されます。さらに、今回の手法
を応用することで、自動走行時
のドライバーの運動主体感を定
量的に評価することができるよ
うになります。「どんな運転方
法であれば自動運転でも運動主
体感を感じ続けられるのかを探
ることで、十分な運動主体感を
感じながら運転できる楽しく安
全な自動運転技術の開発につな
げられると考えている」と研究
グループは述べています。

fMRIについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 昨日の運動機能を見せて欲し
い。           笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 国立精神・神経医療研究セン
ター(NCNP)は3月19日、心的
外傷後ストレス障害(PTSD)患
者さんにおける記憶バイアスに
BDNF遺伝子が関与することを明
らかにしたと発表したの発表し
たのは、素晴らしい業績です。
今回の研究により、PTSDの中核
症状である記憶の障害に関与す
る遺伝子が見出されたのは喜ば
しいことです。研究グループが、
「BDNF遺伝子のVal66Met多型が
PTSDの記憶バイアスに影響する
ことを示した本研究結果は、PT
SDの病因解明や早期発見・治療
法開発に寄与する可能性が考え
られ、今後、より大きなサンプ
ルでの検討や男性例での検討が
進むことが期待される」と述べ
ているとおり、前途有望な研究
であると私は、考えます。
 東京大学が3月19日、機能的
磁気共鳴画像法(functional m
agnetic resonance imaging、
以下fMRI)を用いた実験におい
て、「自分が運動を行っている
本人である」という感覚を定量
化することに成功したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
今回の研究で用いた手法は、普
段は漠然と感じている運動主体
感を、脳活動のモニタリングで
定量化することを可能にします。
これにより、運動機能と同時に
運動主体感も回復するような最
適なリハビリ手法の提案も期待
されるということです。さらに、
今回の手法を応用することで、
自動走行時のドライバーの運動
主体感を定量的に評価すること
ができるようになるとのことな
ので、楽しく、安全な自動運転
技術の開発につなげられること
を期待したいと思います。

 氷菓を、美味しいと評価する。


 
 
 
 
 
 
 
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