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2021-02-15 21:12:09

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診療マル秘裏話  号外Vol.1776 令和2年4月14日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)グルタミン由来窒素を利用するDNA 合成代謝系亢進
2)プリオン病の原因蛋白質構造変化抑制するRNA分子

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 グルタミン由来窒素を利用するDNA 合成代謝系亢進

 
 
 
 
 
 
 
 九州大学は3月18日、次世代
プロテオミクス技術である「iM
PAQTシステム」を駆使したガン
代謝解析から、悪性のガンでは
グルタミン由来の窒素をDNA の
合成に利用するための代謝系が
亢進していること(窒素シフト)
を明らかにしたと発表しました。
これは、同大生体防御医学研究
所の中山敬一主幹教授、医学系
学府博士課程4年の小玉学大学
院生と新潟大学大学院医歯学総
合研究科の松本雅記教授らの研
究グループによるものです。研
究成果は、英国科学雑誌「Natu
re Communications 」で公開さ
れています。炭素と窒素は、生
体の主要な構成要素です。細胞
は炭素源としてグルコースを、
窒素源としてグルタミンを必須
の栄養素として取り込んでいま
す。特にガン細胞では、炭素源
であるグルコースの嫌気性代謝
に対し強い依存性を示すことが
約100 年も前から知られており、
この現象は発見者の名前に因ん
で「ワールブルグ効果」(炭素
シフト)と呼ばれてきました。
一方で、ガン細胞は窒素源とし
てのグルタミンにも非常に強い
依存性を示しますが、ガン細胞
がグルタミンの窒素をどのよう
に代謝し利用しているのかは長
い間不明でした。

研究グループが独自で開発した
「iMPAQT (in vitro proteome-
assisted MRM for Protein Abs
olute QuanTification )システ
ム」は、ヒト細胞に発現する約
1万8,000種類の蛋白質の絶対定
量を可能とした質量分析システ
ムです。これにより、ガン細胞
に発現する約1,200 種の全代謝
酵素の定量ができます。研究グ
ループは、同システムを用いて
ガン悪性化におけるグルタミン
窒素代謝機構の解明するため、
発ガン初期段階の前ガン細胞と、
悪性化したガン細胞における代
謝酵素の発現量比較解析を行い
ました。その結果、悪性化した
ガン細胞では、解糖系代謝酵素
の発現上昇が確認され、ワール
ブルグ効果が亢進していること
が分かりました。それに加え、
悪性化したガン細胞では、DNA
を合成する代謝酵素群の発現が
上昇しており、その中でも、グ
ルタミンの窒素を核酸前駆体に
転移させる「ホスホリボシルピ
ロフォスファテートアミドトラ
ンスフェラーゼ」(以下、PPAT)
という代謝酵素の発現量が著明
に増加していました。逆に、グ
ルタミンの窒素をアンモニアに
して体外に排出する作用を持つ
「グルタミナーゼ」(以下、GL
S1)という代謝酵素の発現量は、
著明に低下していることが分か
りました。これらの結果から、
悪性化したガン細胞では、増殖
に必須なDNA を効率的に合成す
るため、PPATによりグルタミン
窒素をDNA 前駆体に転移させる
反応を亢進させる一方で、グル
タミンの窒素を利用せずに体外
に排出するGLS1の反応を抑える
という、大きな窒素代謝シフト
が生じていることが判明しまし
た。

次に、この悪性化したガン細胞
におけるグルタミンの窒素代謝
シフトが、実際のガン患者さん
の予後にも反映される普遍的な
現象であるか証明するため、公
共データベースに登録されてい
る1万1,000人のガン患者さんの
データを統合解析するメタアナ
リシスを実施しました。その結
果、PPATが約1,200 種の代謝酵
素の中でも、最もガン患者さん
の死亡リスクを高める因子であ
ることが明らかになりました。
反対に、GLS1を介したグルタミ
ン代謝経路に属する代謝酵素の
全てが死亡リスクを低める因子
であることも分かりました。こ
の結果から、グルタミンの窒素
代謝シフトが、ガンの悪性化に
必須であり、かつ普遍的な現象
であることが明確になりました。
この傾向は、難治性であり効果
的治療法が確立されていない「
小細胞肺ガン」において、最も
顕著に認められました。小細胞
肺ガン患者では、正常組織より
もガン部位でPPATの発現量が著
明に上昇していること、また、
ガン部位のPPAT発現量が高いほ
ど、死亡リスクが高くなること
も確認されました。動物モデル
を用いて、小細胞肺ガンをはじ
めとした多くのガン種のPPAT発
現量を人工的に低下させた実験
を行った所、グルタミンの窒素
代謝シフトが阻害され、それら
ガン細胞の増殖能や腫瘍形成能
を著明に抑制できることが明ら
かとなりました。

現在、本研究グループは、大規
模なPPAT阻害剤の探索を行って
います。「今後PPAT阻害剤が開
発されることにより、小細胞肺
ガンを代表とした難治性ガンに
対する新規治療法の確立が期待
される」と、研究グループは述
べています。

GLS1が、老化細胞を除去に関係

しているという動画です。

 
 


 
 
 治療法確立の確率を推測する。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 プリオン病の原因蛋白質構造変化抑制するRNA分子

 
 
 
 
 
 
 
 京都大学は3月19日、プリオ
ン病につながる蛋白質の構造変
化を抑制するRNA分子(RNAアプ
タマー)の開発に成功したと発
表しました。この研究は、同大
エネルギー理工学研究所の片平
正人教授、真嶋司同助教らと、
岐阜大学などの研究グループに
よるものです。研究成果は、国
際学術誌「Scientific Reports」
オンライン版に掲載されていま
す。プリオン病は重篤な神経変
性障害で、この一種である海綿
状脳症(通称、狂牛病)にかか
ったウシは、ふらふらとして、
立っていられずに倒れてしまう
などの症状が現れます。ヒトに
おいても、ウシと似たような症
状が現れるクロイツフェルトヤ
コブ病というプリオン病の一種
があります。プリオン病は、哺
乳類が有するプリオン蛋白質が
正常型から異常型へ構造変化す
ることで生じます。そこで、プ
リオン病の治療薬を開発する為
に、この構造変化を抑制する効
果がある物質(低分子化合物、
抗体、ナノボディ、アプタマー)
を見出す研究が行われてきた。
今回、研究グループは、正常型
のプリオン蛋白質に強く結合す
るRNA分子(RNAアプタマー)を
探索、デザインし、取得しまし
た。得られたRNA アプタマーは
正常型に強く結合して、これを
安定化することで異常型への構
造変化を抑制することが期待で
きます。そこで、まずこのRNA
アプタマーの抗プリオン効果を、
細胞実験によって検証しました。
次に、RNA アプタマーの立体構
造を決定することで、高い結合
能効果や高い抗プリオン効果を
発揮するメカニズムを解明しま
した。

まず、プリオン蛋白質に強く結
合するRNA アプタマーを探索・
デザインした結果、24残基およ
び25残基からなる、2つのRNAア
プタマー(R24:r(GGAGGAGGAG
GAGGAGGAGGAGGA)およびR12-A-
R12:r(GGAGGAGGAGGAAGGAGGAG
GAGGA)) を得ました。異常型
のプリオン蛋白質を定常的に産
生する細胞に、これらのRNA ア
プタマーを添加した結果、異常
型プリオン蛋白質の生成量が劇
的に抑制されたということです。
すなわち、これらのRNA アプタ
マーが高い抗プリオン活性を有
することが、細胞レベルの実験
で証明されました。抑制活性の
強さの指標であるIC50(50%阻
害濃度:異常型プリオン蛋白質
の生成量を半分まで抑制するの
に必要なRNA アプタマーの濃度)
の値は100nM (ナノモーラー:
1リットルあたり10億分の1モル
の濃度を表す)でした。これは、
ある種の抗体を除けば、これま
でに知られている抗プリオン物
質の中で最も低い値であり、非
常に高い抑制活性を有すること
が分かりました。

次に、RNA アプタマーの立体構
造を、核磁気共鳴(NMR )法に
よって決定しました。分子内に
形成された2つの4重鎖が積み重
なった特異な構造であることが
判明しました。得られた立体構
造に基づいたモデルビルディン
グの結果、積み重なった4重鎖
の両端がプリオン蛋白質中の2
箇所と同時に結合することで、
プリオン蛋白質への高い結合能、
高い抗プリオン活性がもたらさ
れていることが合理的に説明さ
れたとしています。

今回、同RNA アプタマーが、異
常型プリオン蛋白質の生成を抑
制する高い活性を有することが
細胞実験で示されたことで、こ
の分子をベースとした抗プリオ
ン病治療薬の開発が期待される
ということです。プリオン蛋白
質は、アルツハイマー病に関連
するアミロイドβ蛋白質の受容
体として、病因性シグナルの神
経細胞内への伝達に関与してい
ます。RNA アプタマーはプリオ
ン蛋白質に強く結合することで
プリオン蛋白質の受容体能を不
活性化し、病因性シグナルの神
経細胞内への伝達をブロックで
きる可能性があるとし、同RNA
アプタマーはアルツハイマー病
治療薬への応用も期待される、
と研究グループは述べています。

プリオン病について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 生成過程で有益化合物を精製
した。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 九州大学が3月18日、次世代
プロテオミクス技術である「iM
PAQTシステム」を駆使したガン
代謝解析から、悪性のガンでは
グルタミン由来の窒素をDNA の
合成に利用するための代謝系が
亢進していること(窒素シフト)
を明らかにしたと発表したのは、
素晴らしい業績です。悪性のが
んの特効薬ができる可能性がで
てきました。特に、難治性であ
り効果的治療法が確立されてい
ない「小細胞肺ガン」において、
最も顕著に認められたという事
ですから、小細胞肺ガンの治療
薬が見つかる可能性が大きくな
ったと言えましょう。
 京都大学が3月19日、プリオ
ン病につながる蛋白質の構造変
化を抑制するRNA分子(RNAアプ
タマー)の開発に成功したと発
表したのは、偉大な業績です。
現在に至るまで、プリオン病の
治療薬は、見つかっておらず、
臨床では、プリオン病だけは、
お手上げという状態が続いてい
ました。その上、プリオン蛋白
質は、アルツハイマー病に関連
するアミロイドβ蛋白質の受容
体として、病因性シグナルの神
経細胞内への伝達に関与してい
るとのことで、同RNA アプタマ
ーはアルツハイマー病治療薬へ
の応用も期待されると言うこと
なので、本当に凄い発見と言わ
ざるを得ません。

 機体の改善が期待される。笑

 
 
 
 
 
 
 
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