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診療マル秘裏話  Vol.797 平成31年3月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)全身炎症で,ベンゾジアゼピン系睡眠薬効果が増強
2)世界初糖尿病で筋肉量が減少するメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 全身炎症で,ベンゾジアゼピン系睡眠薬効果が増強

 
 
 
 
 
 
 
 岡山大学は、2月21日、全身
炎症によりベンゾジアゼピン系
睡眠薬の効果が増強されること
を明らかにしたと発表しました。
この研究は、同大病院薬剤部の
北村佳久准教授、千堂年昭教授
の研究グループによるものです。
研究成果は、オランダの学術誌
「European Journal of Pharma
cology」に2018年11月2日付で
掲載されました。

 侵襲度の高い手術後に発症す
る術後せん妄は高頻度に認めら
れます。せん妄を発症した患者
さんでは、転倒や、転落などの
外傷を負う可能性が高まり疾病
回復の遅延、認知機能の低下と
いった長期的な問題を持つ場合
もあります。こうしたことから、
せん妄の発現は入院期間の延長
につながり、医療費の上昇、医
療者および家族の負担増加など
をもたらす結果となります。こ
れまでに研究グループは、肺が
んおよび食道ガンで手術を行っ
た患者さんを調査した結果、ベ
ンゾジアゼピン系睡眠薬を持参
している患者さんで、せん妄発
症率の有意な増加を報告してい
ます。一方で、侵襲度の高い手
術患者さんにおいて、なぜベン
ゾジアゼピン系睡眠薬を服用し
ている場合にせん妄を発症しや
すいのかについての病態像は、
不明でした。

 今回研究グループは、手術に
よる炎症がベンゾジアゼピン系
睡眠薬の効果を変化させるとの
仮説のもとに研究を展開しまし
た。まず、実験動物に全身炎症
を惹起させる化合物をマウスに
投与し、血中の炎症性サイトカ
イン類を増加させました。結果、
24時間後には血中の炎症状態は
正常化しましたが、この時点で
脳内では炎症状態が維持されて
いることが分かりました。次に、
その脳内の炎症状態が続いてい
る状況に、ベンゾジアゼピン受
容体に作用する薬剤を投与した
ところ、睡眠延長作用が増強す
ることが判明しました。 その
増強作用には、GABA-A受容体の
機能亢進が関与していること、
さらに、全身炎症を抑制するこ
とでGABA-A受容体の機能亢進状
態も抑制されることを明らかに
したということです。

 今回の研究により全身の炎症
でGABA-A受容体の機能が亢進す
ることが、ベンゾジアゼピン系
睡眠薬の効果を増強させると示
されました。この結果は、手術
後の患者にせん妄が発症する病
態機序の1つと考えられます。
今後、さらにせん妄発症の病態
機序の解明が進めば、予防策お
よび治療薬の開発につながり、
安全な周術期管理の実施が期待
されると研究グループは述べて
います。

せん妄について解説している

動画です。

 
 


 
 官吏が周術期管理の提案を行
う。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 世界初糖尿病で筋肉量が減少するメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 
 神戸大学は2月22日、糖尿病
で筋肉量が減少するメカニズム
を世界で初めて明らかにしたと
発表しました。この研究は、同
大大学院医学研究科糖尿病・内
分泌内科学部門の小川渉教授ら
の研究グループによるもの。研
究成果は、米科学雑誌「JCI In
sight 」にオンライン掲載され
ています。

高齢者では、筋肉の減少により
活動能力が低下すると、さまざ
まな病気にかかりやすくなり、
寿命の短縮にも繋がることが知
られています。加齢による筋肉
の減少と活動能力の低下は「サ
ルコペニア」と呼ばれ、高齢者
が増加し続ける日本で、大きな
問題となっている健康障害の一
つです。

糖尿病患者は高齢になると筋肉
が減少しやすく、サルコペニア
になりやすいことが知られてい
ますが、そのメカニズムは明ら
かにされていませんでした。一
方、インスリンには血糖値を整
えるだけでなく、細胞の増殖や
成長を促す作用があります。そ
のため、インスリンの作用が十
分でなくなると筋肉細胞の増殖
や成長が妨げられ、そのことが
筋肉の減少に繋がるという仮説
も提唱されています。研究グル
ープは、実験的に糖尿病にした
マウスにおいて、筋肉量の減少
に伴い、転写因子の「KLF15 」
という蛋白の量が筋肉で増加す
ることを発見しました。さらに、
筋肉だけでKLF15 を無くしたマ
ウスでは、糖尿病になっても筋
肉量が減らないことが分かりま
した。これは糖尿病でKLF15 の
量が増えることが、筋肉減少の
原因であることを示しています。
また、糖尿病でKLF15 が増える
メカニズムを検討した結果、血
糖値の上昇がKLF15 の分解を抑
制し、KLF15 が筋肉に蓄積する
ことが判明しました。さらに、
KLF15 の分解制御にWWP1という
蛋白が重要な働きをしているこ
とも突き止めました。

WWP1はユビキチンリガーゼと呼
ばれる蛋白の仲間のひとつです。
ユビキチンという小さな蛋白が
結合すると、ユビキチンが結合
した蛋白の分解が速まります。
通常の状態では、WWP1がKLF15
にユビキチンを結合させること
により分解を促し、KLF15 の量
を低く保っていますが、血糖値
が上昇すると、WWP1の量が少な
くなり、その結果、KLF15 のユ
ビキチンの結合が少なくなり、
KLF15 の分解が抑制されること
を発見しました。

今回の結果から、血糖値の上昇
がWWP1とKLF15という2つの蛋白
の量に影響をおよぼすことによ
り、筋肉を減少させるというメ
カニズムが初めて明らかとなり
ました。WWP1やKLF15 が糖尿病
の筋肉減少に関わることはもと
より、血糖値の上昇が筋肉の減
少を促すという現象も、今まで
全く想定されていなかった新し
い発見だということです。

筋肉は糖尿病だけでなく、加齢
や運動不足など、さまざまな原
因で減ります。今回の研究で、
その働きが明らかになったKLF1
5とWWPは、他の原因による筋肉
減少にも関わっている可能性が
あります。研究グループは、「
現在、筋肉減少に対する治療薬
はない。WWP1の働きを強めるよ
うな薬、あるいはKLF15 の働き
を弱めるような薬を開発できれ
ば、筋肉減少の画期的な治療薬
となる可能性がある」と、述べ
ています。

サルコペニアについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 筋肉減少の現象のメカニズム
を追った。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 全身炎症によりベンゾジアゼ
ピン系睡眠薬の効果が増強され
ることを明らかにしたと発表し
たのは、偉大な業績です。侵襲
度の高い手術後に発症する術後
せん妄は高頻度に認められる事
が知られています。 せん妄を
発症した患者さんでは、転倒や、
転落などの外傷を負う可能性が
高まり、疾病回復の遅延、認知
機能の低下といった、長期的な
問題を持つ場合もあることから、
せん妄の発現は入院期間の延長
につながり、医療費の上昇、医
療者および家族の負担増加など
をもたらす結果となり、良い事
は一つもありません。せん妄を
起こさないためには、まずその
原因を探ることが必要になりま
す。ベンゾジアゼピン系睡眠薬
を持参している患者さんで、せ
ん妄発症率の有意な増加を報告
していることに目を付けたのは、
慧眼と言えるでしょう。全身の
炎症で、GABA-A受容体の機能が
亢進することが、ベンゾジアゼ
ピン系睡眠薬の効果を増強させ
ると示され、その効果増強は、
結果的にせん妄が引き起こされ
る一助となることが推察されま
す。侵襲の多い手術の後の患者
さんでは、ベンゾジアゼピン系
の睡眠薬を使わないというのが
結論でしょう。
 神戸大学が2月22日、糖尿病
で筋肉量が減少するメカニズム
を世界で初めて明らかにしたと
発表したのは、素晴らしい業績
です。ただこのような機序の他
にも、糖尿病の患者さんでは、
食事に時間をかけず、流し込む
ように食事をすることでも筋肉
量が減少し、サルコペニアを起
こす可能性があります。食事を
良く噛まず、水分で流し込む様
にして食べていると、肝臓で、
インシュリン様のホルモンが出
ません。このインシュリン様の
ホルモンは、筋肉を作れという
指令を出すのです。したがって
このホルモンが分泌されないと
いくら運動しても、筋肉を作れ
という指令が伝達されず、筋肉
ができないだけではなく、ブド
ウ糖を筋肉を壊して作るという
事態(糖新生と言う)になり、
筋肉が分解され、そこに脂肪が
置き換わることでサルコペニア
となるということです。この様
に食事の仕方ひとつとって見て
も、サルコペニアになる要因が
糖尿病の人では、多いという事
を指摘させて頂きます。 この
上記の機序も仮説の一つに過ぎ
ません。つまり、色々な複合的
な要因が絡まってサルコペニア
が起こると考えるのが自然と言
えましょう。

 仮設住宅の中で仮説を考える。


 
 
 
 
 
 
 
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