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2020-12-31 18:00:27

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診療マル秘裏話  号外Vol.1736 令和2年2月28日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)胃ガンの前ガン病変は特定の細胞群のマーカー発現
2)アスタキサンチンが,インスリン抵抗性,メタボリック症候群を改善

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 胃ガンの前ガン病変は特定の細胞群のマーカー発現

 
 
 
 
 
 
 
 東京大学医学部附属病院は、
2月5日、胃ガン発生のメカニズ
ム解明に向けた検証で、独自に
作成した新規のマウスモデルを
用い、主細胞は胃粘膜障害の過
程で脱分化せずに消失し、実際
には化生性細胞の起源とはなり
得ないことを証明したと発表し
ました。これは同大大学院医学
系研究科消化器内科の畑昌宏医
師(医学博士課程4年)、同木
下裕人助教(研究当時)、早河
翼助教、小池和彦教授らの研究
グループが岐阜大学・東京理科
大学・豪アデレード大学・米コ
ロンビア大学などの協力を得て
行ったものです。研究成果は、
「Gastroenterology」に掲載さ
れています。

これまで、ピロリ菌や薬剤性の
胃粘膜障害によって生じる前が
ん病変である「化生性細胞」は、
正常の胃粘膜に存在し消化酵素
などを分泌する「主細胞」と呼
ばれる特定の細胞群のマーカー
を発現していることから、化生
性細胞が主細胞から発生してい
る可能性が提唱されていました。
さらに、主細胞をタモキシフェ
ン依存的に標識できるマウスモ
デルによって行われた系譜追跡
実験により、主細胞が炎症刺激
によって脱分化し、新しい幹細
胞のような性質を帯びた細胞へ
と変化して化生性細胞の起源と
なることを示した報告が相次い
だため、主細胞が前ガン病変の
主たる起源であるという説が定
説となっていました。

しかし、主細胞がなぜ、どのよ
うにして化生性細胞やガンに変
化していくかについて、その詳
細な時間経過やメカニズムにつ
いては不明のままでした。また、
過去の系譜追跡実験で用いられ
た薬剤の「タモキシフェン」が
マウスの胃粘膜に高度の障害を
引き起こすことや、主細胞を選
択的に標識するとされていたマ
ウスが実際には主細胞以外の幹
細胞や前駆細胞も標識している
ことなどが分かり、これまでの
タモキシフェンを用いた実験系
が本当に正確な細胞動態を反映
しているのかについては疑問が
ありました。 研究グループは、
過去の実験系の弱点を克服する
ため、全く新しい独自のマウス
モデルを開発しました。まず、
網羅的遺伝子発現解析によって
主細胞のみに発現する遺伝子「
GPR30 」を同定しました。次に、
タモキシフェンを用いずに系譜
追跡実験が可能なドキシサイク
リン依存的マウスモデルを構築
しました。この新しいマウスモ
デルを用いて化生性細胞を生じ
させた所、これまでの予想に反
し、主細胞は胃粘膜障害の過程
で脱分化せずに消失し、化生性
細胞の起源とはならないことが
判明しました。この過程におい
て、消失した主細胞を補充しよ
うという生体反応によって、も
ともとの幹細胞や前駆細胞が盛
んに細胞増殖を行い、結果とし
て化生性細胞へと変化している
ことが分かりました。

興味深いことに、今回同定した
主細胞マーカーのGPR30 は、タ
モキシフェンの受容体でもあり
ます。GPR30 ノックアウトマウ
スで検証したところ、タモキシ
フェンによる胃粘膜障害や化生
性変化が抑制されたことから、
GPR30 受容体が主細胞の消失を
制御していることも分かりまし
た。具体的には、まずタモキシ
フェンをはじめとする化生変化
惹起刺激がGPR30 受容体を介し、
GPR30 陽性主細胞内のピルビン
酸脱水素酵素を活性化します。
これにより生じた上皮細胞間の
代謝状態の不均衡が、周囲の正
常細胞からの細胞競合を惹起し、
結果として主細胞が選択的に排
出・除去されるというメカニズ
ムが存在することが分かりまし
た。これまでのタモキシフェン
を用いた系譜追跡実験では、タ
モキシフェン投与自体がGPR30
受容体を介した細胞競合と主細
胞の消失を引き起こしていたた
め、正確な検討ができていなか
ったと考えられます。

「今回の新しい実験モデルと多
くの新しい知見は、当該研究領
域に極めて大きな影響を与え、
過去の多くの研究の解釈に見直
しが必要になると考えられます。
しかしながら、胃の前ガン病変
の真の起源とその発生メカニズ
ムが明らかになったことから、
今後の胃ガン研究のさらなる発
展と新規胃ガン治療の開発に結
び付くことが期待される」と、
研究グループは述べています。

胃ガンの症状について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 治験で得た知見を活用する。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 アスタキサンチンが,インスリン抵抗性,メタボリック症候群を改善

 
 
 
 
 
 
 
 富山大学は1月30日、肥満な
どで生じるインスリン抵抗性に
対し、海産物に含まれるカロテ
ノイド色素であるアスタキサン
チンが、骨格筋のAMPKと呼ばれ
る分子を介して、ミトコンドリ
ア機能の改善を促し、骨格筋を
脂質代謝により適した遅筋(赤
筋)に変化させることにより、
血糖値や脂質代謝異常を改善さ
せることを発見したと発表しま
した。これは、同大大学院医学
薬学研究部(医学)内科学講座
1の戸邉一之教授、アラー・ナ
ワズ研究員、西田康宏協力研究
員(富士化学工業株式会社)ら
の研究グループによるものです。
研究成果は「The Journal of C
achexia, Sarcopenia and Musc
le」に掲載されています。

 肥満は2型糖尿病や高血圧症、
脂質異常症など、メタボリック
症候群の基盤であり、将来の脳
卒中、心筋梗塞、悪性腫瘍や認
知症などの大きなリスクとなり
ます。また、インスリン抵抗性
などエネルギー代謝異常を示す
ことも知られており、肥満によ
るインスリン抵抗性の進行を予
防することは、生活習慣病を予
防し、国民の生活の質を大きく
向上させることが期待されます。
一般に肥満の予防に有効な手段
として、過食を避ける、運動で
エネルギーを消費する、基礎代
謝を高めてエネルギーを燃やす
などの方法があります。最初の
2つは個人の生活習慣改善によ
るものですが、現代人の多忙な
社会・生活環境では実践が困難
であることも少なくないという
のが現状です。エビ、カニなど
の甲殻類や鮭や鯛など魚類を含
む水産物に多く含まれるアスタ
キサンチンは強い抗酸化活性を
有し、現在、美容・アンチエイ
ジングの機能性食品として応用
されています。アスタキサンチ
ンは、これまでにも肥満モデル
マウスにおけるインスリン抵抗
性の改善作用を示すことが報告
されていましたが、その作用機
序は抗酸化活性による組織の酸
化ストレスによる機能障害から
の保護作用によるものと考えら
れてきました。

AMPKはAMP 活性化プロテインキ
ナーゼと呼ばれる蛋白質で、細
胞内のエネルギーセンサーの役
割を担っています。AMPKの活性
化による代謝改善効果は、糖尿
病治療薬として広く利用されて
いるビグアナイド系の医薬品で
あるメトホルミンで知られてい
ますが、その作用は肝臓が主た
る作用組織です。また、それら
は保険医薬品であり、一般的に
予防目的では使用されていませ
ん。AMPKの活性化は有酸素運動
による糖代謝改善のメカニズム
と類似しており、アスタキサン
チンは骨格筋においてAMPKを介
した運動模倣薬的な作用をして
いると推察されます。研究グル
ープは今回、同メカニズムを明
らかにすべく、検討を行いまし
た。その結果、アスタキサンチ
ンを摂取した肥満モデルマウス
では、後肢の腓腹筋において、
ミトコンドリアによるエネルギ
ー代謝に関わる表現型の遺伝子
発現が亢進しており、筋線維も
ミトコンドリアが多く、持久力
を持つ遅筋(赤筋)型の遺伝子
発現パターンに変化しているこ
とが分かりました。酸化ストレ
スにあまりさらされない条件に
ある非肥満マウスや骨培養骨格
筋細胞(C2C12 細胞)において
も、アスタキサンチンは、ミト
コンドリアにおけるエネルギー
代謝に関わる遺伝子発現が亢進
していました。これらのことか
ら、アスタキサンチンが抗酸化
活性に依らない何らかの作用で
ミトコンドリア代謝改善作用を
示していることが示唆されまし
た。

 さらに作用機序を探索した所、
ミトコンドリア関連の転写因子
に関連する分子(サーチュイン、
PGC-1α、PPAR-α、ERRα、γ)
の遺伝子発現が亢進していまし
た。この中でもPGC-1αの遺伝
子発現では、運動によるAMPK活
性化で発現が上昇するアイソフ
ォームの遺伝子発現が亢進して
いました。そのため、AMPKがア
スタキサンチンのミトコンドリ
ア代謝亢進作用に関与すると考
え、AMPKのサブユニットである
AMPKα1/2をsiRNAでノックダウ
ンしたC2C12 細胞を用いて評価
した所、AMPK活性化薬の1種で
あるAICAR(5-Aminoimidazole-
4-carboxamide ribonucleotide)
と同様に、添加により誘導され
るPGC-1αアイソフォームの遺
伝子発現誘導が低下したことか
ら、アスタキサンチンの標的と
してAMPKを介した経路を活性化
することにより、ミトコンドリ
ア代謝が亢進していることが判
明しました。通常食マウスにお
いてもミトコンドリア関連遺伝
子の発現亢進に伴い、血管新生
や骨格筋の遅筋線維の遺伝子発
現も亢進しており、骨格筋が肥
満時の脂質代謝により適した遅
筋化することが示唆されました。
同時に肥満モデルマウスでは、
脂肪組織での炎症性サイトカイ
ンに関連する遺伝子発現が減少
しており、この作用は、脂肪組
織での過酸化物質を示すTBARS
が低下していたことから、これ
まで考えられているように、酸
化ストレスを脂肪組織では低下
させることも作用機序の一端を
担っていると考えられました。

また、一般的に抗酸化物質はメ
タボリック症候群のような酸化
的環境下では有益な作用を示す
と考えられますが、近年では、
特定の抗酸化物質の過剰摂取に
より、日常的な運動トレーニン
グによる耐糖能改善作用を妨害
することが報告されています。
この作用は、骨格筋において活
性酸素による生理的な正の作用
であるAMPKの活性化を抗酸化物
質が妨害するためです。アスタ
キサンチンでは、培養骨格筋細
胞(C2C12 細胞)において、活
性酸素である過酸化水素による
AMPKの活性化(リン酸化)を代
表的な抗酸化剤であるN-アセチ
ルシステインとは異なり、阻害
せず、肥満モデルマウスにおい
てもトレッドミルによる運動ト
レーニング後の糖負荷試験で、
運動と相加的な作用を示しまし
た。これらの結果を総合すると、
アスタキサンチンは単純な抗酸
化物質としての作用だけではな
く、それとは独立した特徴的な
代謝改善作用を示すことが考え
られます。

今回の研究の成果から、アスタ
キサンチンの日常的な摂取によ
り、骨格筋においてインスリン
抵抗性が改善し、メタボリック
症候群や糖尿病の発症や進展を
予防することが期待されます。
研究グループは「アスタキサン
チンのAMPKの活性化に関する分
子作用機序は明らかでないため
その機序を解明し、作用機序に
基づいた新規で安全な骨格筋AM
PK活性薬の創薬につなげたい」
と、述べています。

アスタキサンチンについて解説

している動画です。

 
 


 
 
 過剰摂取したものを箇条書き
にした。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 東京大学医学部附属病院が、
2月5日、胃ガン発生のメカニズ
ム解明に向けた検証で、独自に
作成した新規のマウスモデルを
用い、主細胞は胃粘膜障害の過
程で脱分化せずに消失し、実際
には化生性細胞の起源とはなり
得ないことを証明したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
主細胞が前ガン病変の主たる起
源であるという説が定説となっ
ていたのにも拘らずこの定説を
覆すことは、本当に大変な苦労
があったと推察します。胃の前
ガン病変の真の起源とその発生
メカニズムが明らかになったこ
とから、今後の胃ガン研究のさ
らなる発展と新規胃ガン治療の
開発に結び付くことを期待した
いと思います。
 一般的に抗酸化物質はメタボ
リック症候群のような酸化的環
境下では有益な作用を示すと考
えられますが、近年では、特定
の抗酸化物質の過剰摂取により、
日常的な運動トレーニングによ
る耐糖能改善作用を妨害するこ
とが報告されているというのは、
初耳でした。アスタキサンチン
は単純な抗酸化物質としての作
用だけではなく、それとは独立
した特徴的な代謝改善作用を示
すというのも意外な感じを受け
ました。今回の研究の成果から、
アスタキサンチンの日常的な摂
取により、骨格筋においてイン
スリン抵抗性が改善し、メタボ
リック症候群や糖尿病の発症や
進展を予防することを期待した
いと思います。

 遺骸から意外な印象を受けた。


 
 
 
 
 
 
 
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