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2020-12-22 22:24:14

カテゴリー:ブログ



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診療マル秘裏話  号外Vol.1729 令和2年2月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)新乳ガン誘導系で,エストロゲンの発ガンメカニズム解明
2)新遺伝子治療の方法で網膜変性マウスで,視力回復

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 新乳ガン誘導系で,エストロゲンの発ガンメカニズム解明

 
 
 
 
 
 
 
 神戸医療産業都市推進機構(
KBIC)は1月23日、モデルマウ
スを用いた実験から、新しい乳
ガン誘導系でエストロゲンによ
る発ガンメカニズムの一端を解
明したと発表しました。この研
究は、同機構先端医療研究セン
ター・老化機構研究部の伊東潤
二研究員(兼:京都大学大学院医
学研究科客員研究員 )、京都大
学大学院医学研究科・医学部の
戸井雅和教授らの研究グループ
によるものです。研究成果は、
国際学術誌「iScience」にオン
ライン掲載されています。

乳ガンの罹患数は多く社会問題
になっています。しかし、乳が
んの発ガンメカニズムが分から
ないため、効果的な予防法が開
発できていません。乳ガンは正
常の乳腺に発生し、その乳管は、
内側の乳腺上皮細胞の層と外側
の筋上皮細胞の層とによる二相
性が保たれています。そのさら
に外側を基底膜が覆います。一
方、異形成では、二相性が乱れ、
また、乳腺上皮細胞の増殖がみ
られます。筋上皮細胞層と基底
膜が壊れ、乳腺上皮細胞が外側
に浸潤することもあります。異
形成は悪性のガンに進行すると
いわれています。しかし、乳腺
の異形成、つまり発ガンが起こ
るメカニズムには、不明な点が
多いとされています。

エストロゲンは女性ホルモンの
1つで、乳ガンの発ガンに関わ
るといわれています。エストロ
ゲンは細胞内でエストロゲン受
容体に結合し、下流の遺伝子の
発現を制御します。エストロゲ
ン受容体が発現を活性化させる
遺伝子に、ガンに関わるMyc 遺
伝子が含まれています。また、
エストロゲン受容体が遺伝子発
現を制御する時に、DNA の二重
鎖切断が観察されています。そ
こで研究グループは、エストロ
ゲンとDNA 二重鎖切断が異形成
に関わるのか、また、そのメカ
ニズムはどうなっているのかを
調べました。はじめに、scidマ
ウスと野生型マウスにエストロ
ゲンを投与しました。scidマウ
スは、「DNA-PKcs」と呼ばれる
DNA 二重鎖切断の修復に関わる
蛋白質が遺伝的に欠失していま
す。両マウスで投与後のエスト
ロゲン血中濃度に差はなく、乳
腺上皮細胞でDNA 二重鎖切断が
確認されました。しかし、scid
マウスでは、DNA 二重鎖切断の
修復の遅延が観察されました。
続いて、異形成が生じるかどう
かを調べるために、scidマウス
にエストロゲンを30日間連続投
与しました。結果、約20%の乳
管で二相性の乱れを観察し、約
6%の乳管で乳腺上皮細胞の浸潤
が確認しました。一方、生理食
塩水を投与した対照scidマウス
では、乳管の異常はありません
でした。これらの結果から、エ
ストロゲンとDNA 修復能の低下
が異形成を引き起こすことが分
かりました。

続いて、上記実験系を用いて細
胞増殖の指標とされている蛋白
質の発現を調査しました。する
と、乳腺上皮細胞の増殖が活発
になっていることが分かりまし
た。また、乳腺上皮細胞の増殖
を反映する乳管の小さな分岐が
観察されました。これに似た現
象が、Myc の過剰発現マウスで
観察されたことが、他のグルー
プから報告されています。一方、
本研究では、DNA 修復能を低下
させた培養細胞で、エストロゲ
ンによるMyc の発現誘導が強ま
ることを観察しました。詳しく
調べたところ、scidマウスでエ
ストロゲン投与によりMyc の発
現が高まることが分かりました。
さらにMyc 阻害剤をエストロゲ
ンと同時に投与することで乳腺
上皮細胞の増殖を抑制し、異形
成も抑えることもできました。
これらの結果から、「エストロ
ゲンとDNA 修復能の低下→Myc
の高発現→乳腺上皮細胞の増殖
→異形成」という発ガンメカニ
ズムを明らかになりました。も
う1つの女性ホルモン「プロゲ
ステロン」によるエストロゲン
受容体の機能阻害がこれまでに
報告されています。プロゲステ
ロンが異形成を抑えている可能
性を調べるため、scidマウスに
エストロゲンとプロゲステロン
を同時投与し観察しました。す
ると、プロゲステロンによるMy
c の発現抑制が観察され、また
異形成も抑えられていたことが
分かりました。

今回確立した実験系を応用する
と、発ガンメカニズムの詳細を
研究できるようになります。特
別な装置や手技を必要としない
ため、世界中のどこでもこの技
術を取り入れることができます。
「本研究により乳ガンの発ガン
メカニズムの研究が活発になり、
乳ガンの予防法が確立されるこ
とが期待される」と、研究グル
ープは述べています。

乳ガンについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 化膿する可能性が出てきた。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 新遺伝子治療の方法で網膜変性マウスで,視力回復

 
 
 
 
 
 
 
 東北大学は1月27日、新しい
遺伝子治療の方法を開発し、全
盲の網膜変性マウスにおいて正
常の6割程度の視力回復を実現
したと発表しました。この研究
は、同大大学院医学系研究科の
視覚先端医療学の西口康二准教
授、眼科学分野の中澤徹教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、「Nature Communi
cations 」(電子版)に掲載さ
れています。国の指定難病であ
る網膜色素変性は、有効な治療
法がない遺伝性疾患で、国内の
失明原因の第2位の疾患です。
近年、重症型の網膜色素変性の
治療として、アデノ随伴ウイル
ス(AAV )を使って正常な遺伝
子全体を病気の細胞に補充する
遺伝子治療(遺伝子補充療法)
が有効であると示されました。
しかし、一度に導入できる遺伝
子の大きさには制約があるため、
一部の網膜色素変性患者さんに
対してのみ効果がある治療法で
した。

一方、ゲノム編集を用いた遺伝
子治療(ゲノム編集遺伝子治療)
では、病気の原因となる変異部
分だけを「正常化」することが
でき、多くの網膜色素変性患者
さんを治療できる可能性があり
ます。しかし、従来のゲノム編
集遺伝子治療は、病気の細胞に
対して、複数のウイルスを用い
て異なる遺伝子を同時に導入す
る必要があるため、遺伝子改変
の効率が悪く、実用化の目途は
立っていませんでした。 今回、
研究グループは、これまで複数
のAAV で行われていたゲノム編
集を、1つのAAVで行うことがで
きる革新的な遺伝子治療技術を
確立しました。この遺伝子治療
技術をゲノム編集が難しいとさ
れる神経疾患のモデルマウスに
適用した結果、ゲノム編集効率
の大幅な改善と、高い治療効果
を実現しました。この新規の遺
伝子治療技術では、ゲノム編集
に必要な構成要素の小型化を行
うことで、これまでの2つのAAV
に分けていたゲノム編集に必要
な構成要素を1つのAAVにまとめ
ることができました。

特に、正常配列を挿入するゲノ
ム修復機構にマイクロホモロジ
ー媒介末端結合(MMEJ)を利用
したことで、正常配列を含む最
小限のDNA で正確にゲノムを修
復することができました。この
AAV を成体の全盲網膜変性のマ
ウスに投与したところ、病因変
異の約10%が正常化され、光感
度が1万倍改善し、視力が正常
の約6割にまで回復しました。
さらに、従来の遺伝子補充療法
と同等の治療効果を示したこと
から、新規治療法の実用性も実
証されました。研究グループは、
今回の成果について、「これま
で治療の対象にならなかった網
膜色素変性だけでなく、多くの
遺伝病性疾患に対する遺伝子治
療の開発への道を開くものだ」
と、述べています。

網膜色素変性症について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 心機一転新規治療法を開発す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
 神戸医療産業都市推進機構(
KBIC)が1月23日、モデルマウ
スを用いた実験から、新しい乳
ガン誘導系でエストロゲンによ
る発ガンメカニズムの一端を解
明したと発表したのは、偉大な
業績です。乳腺の異形成、つま
り発ガンが起こるメカニズムに
は、不明な点が多いとされてい
た中、一端であっても新しい乳
ガン誘導系でエストロゲンによ
る発ガンメカニズムを解明した
というのは凄いことだと思いま
す。エストロゲン(E )は卵胞
の発育と共に産生されるため、
「卵胞ホルモン」ともいいます。
エストロゲンには、エストロン
(E1)、エストラジオール(E2)、
エストリオール(E3)の3種類
がありますが、性成熟期に働く
主なエストロゲンはエストラジ
オールです。エストラジオール
はエストロゲンの中で最も活性
が強く、通常、検査で測定され
る血中エストロゲンの主成分と
なることが知られています。
 東北大学が1月27日、新しい
遺伝子治療の方法を開発し、全
盲の網膜変性マウスにおいて正
常の6割程度の視力回復を実現
したと発表したのは素晴らしい
業績です。近年、重症型の網膜
色素変性の治療として、アデノ
随伴ウイルス(AAV )を使って
正常な遺伝子全体を病気の細胞
に補充する遺伝子治療(遺伝子
補充療法)が有効であると示さ
れたものの、一度に導入できる
遺伝子の大きさには制約がある
ため、一部の網膜色素変性患者
さんに対してのみ効果がある治
療法とされていたのを、ゲノム
編集という手法を用いて巧みに
ブレイクスルーしたのは凄いと
しか言いようがありません。こ
れまで治療の対象にならなかっ
た網膜色素変性だけでなく、多
くの遺伝病性疾患に対する遺伝
子治療の開発への道を開くもの
にして頂きたいものです。

 お店の大将が治療の対象にな
った。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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(イジニイワト)

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