診療マル秘裏話　 号外Vol.1709　令和2年1月27日作成

作者　医療法人社団　永徳会　藤田　亨

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目次

1)ガンｹﾞﾉﾑ診療保険適応で指定医療機関で受診可
2)何らかの原因で髄液が減るのが脳脊髄液減少症

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　医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

1】 ガンｹﾞﾉﾑ診療保険適応で指定医療機関で受診可

　「ガンゲノム診療」では、が
ん患者ごとに遺伝子を調べ、一
人一人に合った薬や最適な治療
法を探ります。高額な自由診療
でしたが、国は昨年６月に公的
医療保険の適用対象とし、指定
を受けた医療機関では従来の数
分の１の費用で受診できるよう
になりました。県内では唯一、
三重大学医学部付属病院（津市）
が指定され、昨年12月から保険
診療が始まりました。

　ガンは遺伝子が傷つき、変異
することで起きます。同じ臓器
のガンでも、どの遺伝子が変異
したのかは個人によって様々で
す。

　ゲノム診療では、ガン組織を
「ガン遺伝子パネル検査」で調
べます。一度の検査で１００以
上の遺伝子の変異を解析し、が
んの原因となる遺伝子を特定し
ました。担当分野を横断する複
数の専門医や技師のチーム「エ
キスパートパネル」が分析し、
その遺伝子にあった薬の投与な
ど最適な治療法を提案するオー
ダーメイド型医療と呼ばれてい
ます。

　三重大病院は2017年、東海地
方で初めてパネル検査を採用し
ています。以後、二十数件の診
断実績があることや、全国でも
数少ない小児ガンの拠点病院で
ある実績から、昨年９月にガン
ゲノム診療の拠点病院に指定さ
れ、保険診療が可能になりまし
た。４０万円以上かかった自己
負担は、高額医療補助制度で１
０万円前後に抑えられる見込み
です。外来も受け入れ、週３～
４人程度の診療を目指していま
す。ただ、ゲノム診療が万全と
いうわけではありません。あく
までも標準的な治療の効果が出
ない患者さんや、希少ガンの患
者さんを想定しており、対象と
なる患者さんは全体の１％ほど
にとどまります。

　パネル検査を通じて原因が特
定されても、治療に移行できる
可能性は「十数％」と決して高
くなく、さらに治療の効果が見
込めるのはその半分ともされて
います。それでも同病院ゲノム
診療科長の中谷中（かなめ）教
授は「それまでゼロだった可能
性から救える命も出てきた。治
療を諦めていた患者に広く選択
肢を提示したい」と意義を話し
ています。

　患者さんのゲノム情報は、ゲ
ノム診療を行う全国の医療機関
を結ぶ「ガンゲノム情報管理セ
ンター」で共有し、研究に役立
てます。創薬活動が活発になり、
新たな治療法や薬剤が開発され
る可能性があるといい、伊佐地
秀司病院長は「県内でゲノム診
療を推進し、患者を救いたい」
と話しています。

　今後は同病院だけでなく、市
立四日市と鈴鹿中央総合、松阪
中央総合、伊勢赤十字の各病院
でも保険診療ができる体制を整
えるために、人材育成で連携す
る方針です。

　情報管理を官吏が行う。笑

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2】 何らかの原因で髄液が減るのが脳脊髄液減少症

　横になった姿勢から起き上が
ると、強い頭痛に襲われる。そ
んな症状が表れたら脳脊髄液減
少症の可能性があります。頭痛
やめまいなどのありふれた症状
が多いため、周囲から理解され
にくいことが往々にしてありま
す。「仮病なのではないか」と
疑われて孤立し、離婚、退職、
不登校、自殺に追い込まれる人
もいます。医師の間でも認知度
が低いため、適切な治療がなさ
れずに時間が経過し、重い合併
症を引き起こすこともあります。
脳脊髄液は、脳や脊髄（背骨の
中にある太い神経の束）とそれ
らを包む膜（硬膜）との間にあ
る空間（髄液腔）を満たしてい
る無色透明な液体のことです。
髄液とも呼ばれ、脳や脊髄を保
護する役割を果たしています。
何らかの原因で髄液が減るのが
脳脊髄液減少症です。

　これまで原因としては、交通
事故、スポーツなどの外傷によ
って硬膜が傷つき、そこから髄
液が漏れるためと推測されてき
ました。しかし、順和会山王病
院（東京都港区）脳神経外科の
高橋浩一部長は「髄液は毎日脳
内で一定量が作られ、脳の周り
や脊髄の表面を通りながら、リ
ンパや静脈などに吸収されると
いう一連の流れを繰り返してい
ます。このシステムに異常が起
こり、髄液の吸収が過剰になる
という説が近年出てきており、
これが正しいようです」と話し
ています。髄液吸収の促進には、
自律神経系の異常との関連が指
摘されています。髄液が減少す
ると、脳や脊髄の位置が沈んで
神経などを圧迫し、さまざまな
症状が表れます。特徴的なのは、
寝ている姿勢から立位や座位に
変わった後に起こる起立性頭痛
です。横になると痛みは消えま
す。首の痛み、めまい、耳鳴り、
視野がぼやけるなどの症状が表
れることもあります。進行する
と、頭蓋骨と脳の隙間に血がた
まる硬膜下血腫という合併症を
起こし、片麻痺（歩行障害、手
足の脱力）になる例や、命に関
わるケースもあるということで
す。

　治療は、硬膜外自家血注入療
法、別名「ブラッドパッチ」が
有効です。患者さん本人から採
取した血液を硬膜の外側に注入
すると、髄液が漏れているとこ
ろで凝固し、漏れる穴をふさぎ
ます。高橋部長らは、これまで
2000人以上にブラッドパッチに
よる治療を行っており、全体で
75％、小児の90％に有効だった
ということです。

　高橋部長は「誰もが訴える一
般的な症状が多いため、患者自
身も病気を見逃しがちです。起
立性頭痛が表れたら、専門施設
で早く診断、治療を受けてくだ
さい」とアドバイスしています。

　歩行障害の人が、補講を受け
る。　　　　　　　　　　　笑

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編集後記

　「ガンゲノム診療」では、が
ん患者ごとに遺伝子を調べ、一
人一人に合った薬や最適な治療
法を探ります。高額な自由診療
でしたが、国は昨年６月に公的
医療保険の適用対象とし、指定
を受けた医療機関では従来の数
分の１の費用で受診できるよう
になったというのは、喜ばしい
ことですが、適応が、あくまで
も標準的な治療の効果が出ない
患者さんや、希少ガンの患者さ
んを想定しているというのがい
ただけません。対象となる患者
さんは全体の１％ほどにとどま
るならば、あまり良い治療では
ないと言えるでしょう。標準的
な治療では、非常に成績が悪い
訳ですから、意図的に体の負担
の多い治療を先行させて、苦痛
を与える結果になるならば問題
だと思います。
　横になった姿勢から起き上が
ると、強い頭痛に襲われる。そ
んな症状が表れたら脳脊髄液減
少症の可能性があるというのは、
いつも心に留め置いています。
頭痛やめまいなどのありふれた
症状が多いため、周囲から理解
されにくいことが往々にしてあ
るということで、治療にたどり
着くには、苦労することが多い
と言えましょう。治療は、硬膜
外自家血注入療法、別名「ブラ
ッドパッチ」が有効なのは、知
っていました。全体で75％、小
児の90％に有効だったというこ
となので、MRI などの画像検査
で診断が付けば、兎にも角にも
ブラッドパッチ療法を試すのが
よろしいかと存じます。　私は、
山王病院に交通事故で治療して
いた患者さんを送ってブラッド
パッチ療法を行ってもらいまし
た。その結果、頭痛が消失した
患者さんを知っています。

　交通事故に合ったのは、自己
責任だと言われた。　　　　笑

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