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2020-10-12 23:38:47

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診療マル秘裏話  号外Vol.1668 令和1年12月10日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)歯周病原因菌投与したマウス肝臓に,アミロイドβ産生
2)進行性固形ガンを対象とする抗ガン剤治験開始

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】歯周病原因菌投与したマウス肝臓に,アミロイドβ産生

 
 
 
 
 
 
 
 九州大学は11月14日、ヒトの
歯周組織および歯周病原因菌と
される「ジンジバリス菌」(Pg
菌)を全身に慢性投与したマウ
スの肝臓において、脳内老人斑
成分であるアミロイドβが産生
されていることを初めて発見し
たと発表しました。これは同大
大学院歯学研究院の武 洲准教
授と倪 軍軍(ニイ ジュンジュ
ン)助教の研究グループが中国
の吉林大学口腔医学院の周延民
(シュウ エンミン)教授、同
大の聂 然(ニー ラン)大学院
生らとの共同研究によるもので
す。国際学術誌のオンラインジ
ャーナル「Journal of Alzheim
er’s Disease 」に掲載されて
います。認知症の7割を占める
アルツハイマー型認知症には根
本的な治療法がなく、社会や財
政にとって大きな負担となって
います。アルツハイマー型認知
症の脳内病態は、ミクログリア
活性化に伴う脳内炎症と、蓄積
したアミロイドβ(以下、Aβ)
老人斑との相互作用で脳神経細
胞が傷害され、認知機能が低下
すると考えられています。一方、
慢性全身炎症は、年齢依存した
脳内炎症を誘発し、認知機能低
下を促進することが示されてい
ます。欧米での臨床研究により、
歯周病の罹患と認知機能低下と
の正相関、Pg菌成分のアルツハ
イマー型認知症患者の脳での検
出が報告され、アルツハイマー
型認知症への歯周病の関与メカ
ニズム解明が注目を集めていま
す。

研究グループは2年前に、Pg菌
成分LPS を全身投与した中年マ
ウスが、カテプシンB 依存した
脳内炎症、Aβ 産生・蓄積なら
びに学習・記憶能低下というア
ルツハイマー型認知症様脳内病
態を引き起こすことを突き止め
ています。歯周病は口腔慢性炎
症として糖尿病などの全身炎症
を引き起こすため、歯周病によ
り惹起された全身炎症が、脳内
病態のAβ 蓄積にも寄与するの
ではないかと推察しました。ま
た、肝臓は代謝をはじめとした
生命を維持する上で必須の機能
を数多く担う体内最大の臓器で
あり、脳内で産生されたAβ は
脳血液脳関門を介して血液に運
搬され肝臓で代謝されることが
知られています。そこで研究グ
ループは、歯周病患者の歯周組
織およびPg菌を全身投与した中
年マウス肝臓を用いて、歯周病
により惹起されるそれぞれの炎
症組織におけるAβ 発現につい
て解析を行いました。研究グル
ープはまず、歯周病患者さんの
歯周組織を解析しました。アル
ツハイマー型認知症における脳
内特異的な病態の老人斑主成分
であるAβ(Aβ1-42とAβ3-42)
が歯周組織のマクロファージに
局在していることが分かりまし
た。続いて、Pg菌を中年マウス
の肝臓に3週間腹内投与し、解
析しました。「IL-1β」(炎症
反応に関与する起炎性物質)を
発現したマクロファージにAβ
1-42 とAβ3-42 の誘発が認め
られました。さらに、この中年
マウスの肝臓におけるAβ 代謝
を解析しました。結果、Aβ 代
謝酵素(Neprilysin, Insulin-
degrading enzyme and Angiote
nsin-convertingenzyme )には
影響を与えず、Aβ 産生酵素(
カテプシンB )を著しく増大さ
せることが分かりました。

これは、Pg菌に感染したマウス
肝臓では、炎症性マクロファー
ジからAβ が産生される可能性
が示唆しました。その可能性を
もとに、さらに培養マクロファ
ージを用いて解析した所、Pg菌
に感染したマクロファージでは、
IL-1β とAβの産生が誘導され、
Aβ の貪食能力が著しく低下し
ていたことが分かりました。一
方、カテプシンB 特異的阻害剤
はPg菌感染により増加したIL-1
βおよびAβ 産生を有意に抑制
し、低下したAβ 貪食能力を大
幅に改善しました。

これらのことから、慢性Pg菌感
染した歯周組織をはじめ、全身
炎症を起こしたマクロファージ
はカテプシンBに依存したAβリ
ソースとなり、アルツハイマー
型認知症の脳内病態に寄与する
ことが考えられます。先行研究
の知見と今回の発見により、カ
テプシンB は歯周病によるアル
ツハイマー型認知症の誘発なら
びに病態進行を遅らせる新しい
治療標的になる可能性もありま
す。「ヒト歯周病の歯茎からア
ルツハイマー型認知症の脳内老
人斑成分が産生されることに大
変驚いた。アルツハイマー型認
知症の予防に口腔ケアはとても
重要」と、研究グループは述べ
ています。

歯周病と認知症の関係について

解説している動画です。

 
 


 
 
 航空機内での口腔ケアー。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 進行性固形ガンを対象とする抗ガン剤治験開始

 
 
 
 
 
 
 
 富士フイルム株式会社(社長:
助野 健児)は、このたび,米国
において、進行性の固形ガンを
対象とする抗ガン剤「FF-10850」
の臨床第1相試験を開始いたし
ました。「FF-10850」は、既存の
抗ガン剤「トポテカン」を新規
開発のリポソームに内包したリ
ポソーム製剤です。

リポソームは、細胞膜や生体膜
の構成成分である有機物のリン
脂質などをカプセル状にした微
粒子のことで、体内で必要な量
の薬剤を必要な部位に必要なタ
イミングで送達する技術である
ドラッグ・デリバリー・システ
ム技術の一種です。抗ガン剤に
は、ガン組織以外の正常組織に
対しても作用し、強い副作用を
引き起こすケースがありますが、
薬剤をリポソームに内包するこ
とで、ガン組織にのみ薬剤を選
択的に送達し、副作用を抑制し
て、薬効を高めることができる
と期待されています。

富士フイルムは、幅広い製品開
発で培い進化させてきた、高度
なナノ分散技術や解析技術、プ
ロセス技術などを活用して、リ
ポソーム製剤の研究開発を積極
的に推進しました。2017年には、
既存の抗ガン剤「ゲムシタビン」
を内包したリポソーム製剤「FF
-10832」の臨床第1相試験を米
国で開始しました。

今回、臨床試験を開始した「FF-
10850」は、卵巣ガンなどを適応
症とする抗ガン剤「トポテカン」
の重篤な骨髄抑制などの副作用
を低減し、薬効を高めることを
目指したリポソーム製剤です。
「FF-10850」は、リポソーム成
分に新規素材を配合しリポソー
ム膜の強度を高めることで「ト
ポテカン」を安定的に内包しま
した。ガン組織に届く前に血液
中で漏れてしまう、という「ト
ポテカン」の課題を解消しまし
た。

すでにマウス実験では、血中で
の薬剤の安定性向上および骨髄
抑制の低減が確認されています。
また同実験で、「トポテカン」
の1/10の投与量3mg/m2 で「ト
ポテカン」と同等以上の有効性、
さらには同8mg/m2で腫瘍縮小効
果が示されています。

今後、富士フイルムは、進行性
の固形ガンを対象とする米国臨
床第1相試験において、「FF-1
0850」の安全性と忍容性、薬物
の体内動態、初期の有効性を確
認する予定です。

富士フイルムは、「FF-10850」
「FF-10832」のマウス実験で免
疫チェックポイント阻害剤との
併用投与による生存期間延長を
確認し、リポソームを用いた新
規ガン免疫療法の研究を開始す
るとともに、次世代医薬品であ
る核酸医薬品や遺伝子治療薬へ
のリポソームの応用展開を推進
しています。また、高品質なリ
ポソーム製剤の安定供給体制の
構築に向けて、富士フイルム富
山化学の生産拠点に治験薬製造
および商業生産を行う工場を建
設しており、2020年2月に稼働さ
せる計画です。

富士フイルムは、独自の技術を
活かして、「ガン」などの重点領
域で新薬開発に取り組むととも
に、新規ドラッグ・デリバリー
・システムを開発することで、
新たな価値を創出し、社会課題
の解決に貢献したいと思います。

リポソームについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 
 工場では、向上心が要求され
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 九州大学が11月14日、ヒトの
歯周組織および歯周病原因菌と
される「ジンジバリス菌」(Pg
菌)を全身に慢性投与したマウ
スの肝臓において、脳内老人斑
成分であるアミロイドβが産生
されていることを初めて発見し
たと発表したのは、偉大な業績
です。歯周病と認知症の関係は、
今まで、取り上げられてきまし
たが、これほど直接的な証拠の
発見は、歯周病と認知症の因果
関係を決定づけるものとなりま
した。先行研究の知見と今回の
発見により、カテプシンB は歯
周病によるアルツハイマー型認
知症の誘発ならびに病態進行を
遅らせる新しい治療標的になる
可能性を大いに追求して頂きた
いものです。
 富士フイルム株式会社(社長:
助野 健児)は、このたび,米国
において、進行性の固形ガンを
対象とする抗ガン剤「FF-10850」
の臨床第1相試験を開始したの
は、素晴らしい企画だと思いま
す。抗ガン剤には、ガン組織以
外の正常組織に対しても作用し、
強い副作用を引き起こすケース
がありますが、薬剤をリポソー
ムに内包することで、ガン組織
にのみ薬剤を選択的に送達し、
副作用を抑制して、薬効を高め
ることができると期待されてい
るのも素晴らしいことです。が
ん組織に選択的に送達可能とい
うデザインも一流と言えましょ
う。

 家庭科で家事の洗濯を選択す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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