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2020-10-08 22:58:25

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診療マル秘裏話  号外Vol.1664 令和1年12月6日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1)血流栄養供給で腫瘍成長、薬剤影響評価のシステム
2)TSPO分子の阻害薬が抗うつ作用を示す事を解明

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】血流栄養供給で腫瘍成長、薬剤影響評価のシステム

 
 
 
 
 
 
 
 
 京都大学は11月12日、生体内
の固形ガンを模したモデル内に
血管を誘導し、血流を介した栄
養供給が、腫瘍モデルの成長、
薬剤評価に与える影響を評価す
るシステムを開発したと発表し
ました。この研究は、同大大学
院工学研究科の横川隆司教授、
東北大学学際科学フロンティア
研究所の梨本裕司助教らの研究
グループによるものです。研究
成果は、国際学術誌 「Biomate
rials 」のオンライン速報版に
掲載されています。薬剤開発に
おいては、培養皿での細胞に対
する薬剤投与から動物実験を経
て臨床試験に至るまで、多くの
時間と資金が必要となります。
この薬剤開発の効率を向上させ
るため、生体内の腫瘍組織を模
倣した腫瘍モデルの構築が求め
られています。細胞を凝集させ、
立体的に培養するスフェロイド
モデルは、従来の培養皿を用い
た培養手法に比べ、形状や内部
の化学物質濃度(酸素など)が
生体内の腫瘍組織に近く、薬剤
スクリーニングツールとして期
待されています。しかし、従来
のスフェロイドモデルは、腫瘍
微小環境を構築する重要な要素
である血管、および血管内の流
れを再現できていませんでした。
今回研究グループは、同グルー
プが過去に報告した「流れる血
管を組織モデルに導入するため
のマイクロ流体デバイス」をベ
ースとして、流れる血管を備え
た腫瘍モデルの構築に取り組み
ました。最初に、腫瘍細胞のみ
から構成されるスフェロイドを
マイクロ流体デバイス内で培養
し、血管誘導を試みましたが、
腫瘍組織モデル内に十分な血管
を呼びこむことができませんで
した。次に、腫瘍細胞を繊維芽
細胞、血管内皮細胞と混合した
スフェロイドを作成し、血管誘
導を試みたところ、ある混合割
合で、腫瘍組織モデル内に「流
れる」血管を構築できることが
分かりました。そこで、構築し
た血管網が腫瘍モデルに与える
影響を調べるため、構築した血
管を介して連続的に培養液を供
給し、腫瘍組織が成長する様子
を評価しました。その結果、血
管を経て栄養供給を行った腫瘍
モデルは、流れる血管を備えな
い腫瘍モデルと比べて腫瘍の面
積、増殖活性が有意に高くなり、
一方で、細胞死が起こる面積は
有意に小さくなることを確認し
ました。これは、血管を介した
栄養供給が腫瘍の増殖に有利に
働いていることを意味している
ということです。

さらに、構築したモデルを用い、
流れのある条件下で薬剤投与(
抗ガン剤:パクリタキセル)を
行ったところ、高濃度(50 ng/
mL)の薬剤投与では腫瘍面積の
減少が観察できましたが、低濃
度の投与(5ng/mL)では腫瘍面
積の減少は観察されませんでし
た。一方で、静止条件での薬剤
投与では、低濃度であっても腫
瘍面積の減少が観察されました。
これは、低濃度領域では流れに
よる増殖活性の促進の効果が、
抗ガン剤による増殖抑制の効果
より強く現れたためと考えられ
ます。

腫瘍組織内の血管は、腫瘍微小
環境を構築する重要な要素であ
り、治療の対象としても期待さ
れています。今回開発した微小
流体デバイスを用いれば、腫瘍
組織の増殖、腫瘍への経血管的
な薬剤投与の効果、血管と腫瘍
細胞間の生化学的・力学的な相
互作用などを顕微鏡下において
実時間で観察することができま
す。血管を通る「流れ」を含む
腫瘍微小環境を再現したオンチ
ップ腫瘍組織モデルは報告され
ておらず、薬剤開発において「
流れ」の効果まで含めて評価す
るスクリーニングツールとして
の利用も期待できると、研究グ
ループは述べています。

ガンの炎症性微小環境について

解説している動画です。

 
 


 
 
 新生血管は、欠陥のある血管
です。          笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 TSPO分子の阻害薬が抗うつ作用を示す事を解明

 
 
 
 
 
 
 
 広島大学は11月11日、脳の炎
症反応に関わるトランスロケー
タ蛋白質(TSPO)分子の阻害薬
が抗うつ作用を示すことを動物
実験の結果から明らかにしたと
発表しました。この研究は、同
大大学院医系科学研究科の相澤
秀紀教授、同大脳・こころ・感
性科学研究センターの山脇成人
特任教授、九州大学病院精神科
神経科の加藤隆弘講師、小野薬
品工業らの研究グループによる
ものです。研究成果は、米国科
学雑誌「Neuropharmacology 」
オンライン版に掲載されました。
うつ病は広く見られる精神疾患
であり、世界の全人口の約4%
が苦しんでいます。自殺率や再
発率が高いことから、その治療
薬や予防薬の開発が社会的な課
題です。また、うつ病の治療を
受けても約40%以上の患者さん
で症状の再燃が見られると報告
されており、うつ病を治療・予
防する新たな抗うつ薬の開発が
求められています。最近の研究
成果によると、脳の微弱な炎症
性反応は多くの精神疾患の病態
に関わることが示されています。
感染症や自己免疫疾患に伴って
うつ病のような症状が出ること
があるのは広く知られており、
脳の炎症反応はうつ病の診断や
治療を開発する上で重要な標的
となっています。

今回、研究グループは、うつ病
の病態に関わる炎症反応を詳し
く調べるため、TSPO分子に注目
しました。TSPOは、脳の炎症反
応の中心を担うミクログリア細
胞が活性化した際に増える蛋白
質で、脳をはじめさまざまな臓
器の炎症反応を知る手がかりと
して注目されています。同研究
では、慢性的にストレス状態に
置かれたマウスに現れるうつ病
のような行動に対するTSPOの反
応を調べました。 解析の結果、
慢性社会的敗北ストレスにより
うつ病のような行動を示すマウ
スの脳では、TSPO遺伝子が増加
していたことが判明しました。

次に、TSPOの機能を阻害する薬
剤「ONO-2952」使って研究を進
めました。培養細胞での検討の
結果、ONO-2952は、活性化した
ミクログリア細胞での炎症性物
質(サイトカインおよび活性酸
素)産生を抑えることが分かり
ました。ONO-2952をマウスへ投
与して、慢性ストレスが行動に
与える影響を調べた結果、スト
レス負荷により惹起される回避
行動や不安様行動が軽減されて
いたということです。このよう
な変化は、脳内でのサイトカイ
ンおよび活性酸素の抑制に伴っ
て生じており、ONO-2952が脳内
の炎症反応へ作用して抗うつ作
用・抗ストレス作用を発揮して
いることが示されました。

今回の研究成果は、脳の炎症細
胞がうつ病の基盤であることを
示すと同時に、脳の炎症細胞を
作用点とした新しい抗うつ薬の
可能性を示唆するものです。ON
O-2952は、同じくストレス関連
疾患として知られる過敏性腸症
候群を対象とした米国臨床試験
で第1相および第2相試験を終え、
安全性と有効性が実証されてい
ます。研究グループは、今回の
研究結果について、うつ病を対
象としたONO-2952のドラッグ・
リポジショニングへの道を開く
ものだとし、今後、ONO-2952を
プロトタイプとし、脳内炎症を
作用点とした新たな抗うつ薬の
開発が期待される、と述べてい
ます。

脳の炎症がどのようにうつ病に

つながるのかということを解説

している動画です。

 
 


 
 
 
左様な作用点が見つかる。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 京都大学が11月12日、生体内
の固形ガンを模したモデル内に
血管を誘導し、血流を介した栄
養供給が、腫瘍モデルの成長、
薬剤評価に与える影響を評価す
るシステムを開発したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
血流を介した栄養供給がより、
生体内に近い腫瘍の生育を惹起
するということですので、この
モデルを使った抗ガン剤のスク
リーニングは、生体内に近い、
反応を示すという点で貴重であ
ると考えられます。腫瘍が生体
内で栄養を得るには、血管を介
して行うことが実証されたとい
うことも言えると思います。こ
れからは、こうした生体内に近
いモデルで抗ガン剤のスクリー
ニングを行うことで薬剤の有効
性を確認することが容易になる
ものと確信しています。ただ、
あくまでも生体内で起こる反応
とは、一線を画していると思い
ます。
 広島大学が11月11日、脳の炎
症反応に関わるトランスロケー
タ蛋白質(TSPO)分子の阻害薬
が抗うつ作用を示すことを動物
実験の結果から明らかにしたと
発表したのは、偉大な業績です。
恥ずかしながら、脳の炎症反応
に関わるトランスロケータ蛋白
質(TSPO)分子は、初耳でした。
ただミクログリア細胞に関する
蛋白質であるということでこの
分子の働きを阻害する新薬候補
が生まれてきたのは、本当に頼
もしい限りです。ミクログリア
細胞の活性を抑えるだけならば、
抗生物質のミノマイシンでこと
が足ります。ただ抗生物質であ
るがゆえに、漫然とした投与と
受け取られ兼ねないところが難
しい所です。ところが、この新
薬候補は、恐らく抗生物質の働
きはなく、適応が脳内の炎症の
抑制から抗うつ作用・抗ストレ
ス作用を発揮するとのことです
から、実用化すれば、ミノマイ
シンより使いやすいものと推測
されます。

 八基の機械がその能力を発揮
する。          笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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