最近の号外Vol.1647メルマガ

2020-09-18 22:25:22

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1647 令和1年11月16日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)早期アルツハイマー病の新薬候補が、FDAに承認見通し
2)炎症なしの血管から皮膚への抗体移行のメカニズム

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】早期アルツハイマー病の新薬候補が、FDAに承認見通し

 
 
 
 
 
 
 
 戦略提携を結んでいる米製薬
バイオジェンとエーザイが共同
開発している早期アルツハイマ
ー病に対する新薬候補「アデュ
カヌマブ」について、2020年の
早期に米国食品医薬品局(FD
A)に承認申請できる見通しと
なりました。 今年3月に最終
治験の中止が発表されましたが、
その後の大規模解析で認知機能
の悪化を有意に抑える効果が確
認されました。承認に至れば認
知症を抑える世界初の新薬にな
ります。

 両社の共同プロジェクトは別
の新薬候補の治験中止も9月に
公表され開発計画に黄信号が灯
っていましたが、アデュカヌマ
ブが承認申請に進むことで状況
は一変します。欧州や日本でも
規制当局との協議を経て承認申
請に持ち込む考えで、一気に実
用化の道筋が見えてきました。

 アルツハイマー病は脳内に蛋
白質のアミロイド・ベータ(A
β)が蓄積することが原因とさ
れています。アデュカヌマブは
Aβが凝集しはじめ不溶性の凝
集体になるまでの広いプロセス
に働きかける抗体医薬品です。
Aβを除去することで記憶や言
語などの認知機能が悪化するの
を抑える効果を狙っています。

 外部監視委員会は治験を進め
ることで有益性が得られるかど
うかを判断する途中解析で主要
評価項目を達成できないだろう
と勧告し、両社は治験中止を3
月に発表していました。その後、
FDAとの相談のもと、追加デ
ータを含め大規模に症例を解析
した結果、体重1キログラム当
たり10ミリグラムを月1回投与
する高用量群はプラセボに比較
して症状悪化を統計学的に有意
に抑制していることが示されま
した。

 アルツハイマー病など認知症
は症状悪化を抑える有効な治療
薬が存在しないのが実状です。
一方で高齢化の進展で患者数は
世界で増大する見通しで、認知
症対策が国際社会の大きな課題
です。 新薬ニーズの高さから
製薬大手が開発参入してきまし
たが、ことごとく治験に失敗し
てきました。

 バイオジェンとエーザイはア
デュカヌマブの承認申請に進む
ことで認知症新薬の開発競争で
大きく先行します。両社は別の
抗体医薬でも最終治験に入って
います。

アデュカヌマブについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 神聖な心持ちで申請を行う。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 炎症なしの血管から皮膚への抗体移行のメカニズム

 
 
 
 
 
 
 
 京都大学は10月21日、炎症の
ない状態の血管から皮膚への抗
体移行のメカニズムはカベオラ
による小胞輸送を利用し、チロ
シンキナーゼのひとつであるAb
l ファミリーチロシンキナーゼ
により制御されること、Abl フ
ァミリーチロシンキナーゼ阻害
薬は皮膚への抗体移行を阻害し
疾患モデルマウスの症状を抑制
しうることを見出したと発表し
ました。この研究は、同大学大
学院医学研究科皮膚科学講座の
椛島健治教授、江川形平同助教、
小野さち子同日本学術振興会特
別研究員らの研究グループによ
るものです。研究成果は、「Na
ture Communications 」にオン
ライン掲載されました。

 皮膚に水ぶくれを生じる「自
己免疫性水疱症」の一群は皮膚
の接着分子などに自己抗体が産
生され、血中を循環し、皮膚へ
沈着することで発症します。自
己抗体や自然抗体をふくむ免疫
グロブリンG(IgG)はリンパ組
織で作られ、血中へ入った後、
末梢組織である皮膚やさまざま
な臓器に分布します。生体内で
自己抗体を含むIgG が、どのよ
うに血中から組織へ分布するか
の詳細は未解明でした。IgG の
レセプター分子が血管壁を介し
た抗体の輸送に関わることは昔
から想定されており、近年では
Abl ファミリーチロシンキナー
ゼが炎症下での血管の透過性を
制御しうる可能性が高いことが、
脳梗塞や肺炎モデル、アレルギ
ーモデルで支持されていました。
また、研究グループは、炎症の
ある皮膚への自己抗体の移行や、
胎盤を介した胎児への自己抗体
の移行に着目し、研究を進めて
きていました。こうした背景か
ら、今回研究グループは、これ
までの研究を発展させ、皮膚へ
の抗体の輸送という観点で、Ig
G のレセプター分子やAbl ファ
ミリーチロシンキナーゼの血管
壁バリア機能の制御作用を検討
しました。

 自己免疫性水疱症のひとつで
ある天疱瘡の自己抗体をマウス
に静脈注射すると、マウスの皮
膚には天疱瘡の自己抗体の沈着
が生じ、最終的に脱毛が生じま
す。これは、天疱瘡患者の皮膚
で水ぶくれが生じるのと同じよ
うな機序が想定されます。そこ
で今回の研究では、このマウス
モデルを用いて、自己抗体の血
中から皮膚への輸送を定量的に
評価する手法を確立しました。
同手法を用いて自己抗体の皮膚
への輸送は、時間ならびに血中
濃度依存的に生じることを確認
しました。さらに、自己抗体の
皮膚への輸送がIgG のレセプタ
ー分子、あるいは、Abl ファミ
リーチロシンキナーゼによって
制御されるかどうかを、阻害抗
体やノックアウトマウス、代表
的なAbl ファミリーチロシンキ
ナーゼ阻害薬である「イマチニ
ブ」を用いて、比較・検討しま
した。

 その結果、定常下での血管か
ら皮膚への抗体移行において、
既存のIgG レセプター分子は、
必要ないこと、輸送はカベオラ
という小胞構造を利用するもの
であること、カベオラの機能は
Abl ファミリーチロシンキナー
ゼにより制御されることなどが
明らかになりました。また、イ
マチニブは、皮膚への抗体移行
を阻害することで、天疱瘡モデ
ルマウスにおける脱毛の発症の
程度を軽減しうることが分かり
ました。今回の成果を基盤とし
て、現在、自己免疫性水疱症(
水疱性類天疱瘡)に対するイマ
チニブの臨床治験が同大医学部
附属病院皮膚科で行われていま
す。

自己免疫性水疱症の一つである

類天疱瘡の症状と治療について

解説している動画です。

 
 


 
 
 自己免疫性水疱症の研究が、
水泡に帰す。       笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 戦略提携を結んでいる米製薬
バイオジェンとエーザイが共同
開発している早期アルツハイマ
ー病に対する新薬候補「アデュ
カヌマブ」について、2020年の
早期に米国食品医薬品局(FD
A)に承認申請できる見通しと
なったのは喜ばしいことです。
両社の共同プロジェクトは別の
新薬候補の治験中止も、9月に
公表され開発計画に黄信号が灯
っていたことを考えると承認の
見通しがたったのは、奇跡的と
言えるでしょう。 ほとんどの
製薬会社が早期アルツハイマー
病に対する薬剤から撤退してゆ
く中、快挙と言えるものだと思
います。アルツハイマー病など
認知症は症状悪化を抑える有効
な治療薬が存在しないのが実状
です。一方で、高齢化の進展で
患者数は世界で増大する見通し
で、認知症対策が国際社会の大
きな課題となっているのでこの
新薬候補が最終治験を無事終え
れば、素晴らしい薬の誕生と言
っても過言ではないと思います。
 京都大学が10月21日、炎症の
ない状態の血管から皮膚への抗
体移行のメカニズムはカベオラ
による小胞輸送を利用し、チロ
シンキナーゼのひとつであるAb
l ファミリーチロシンキナーゼ
により制御されること、Abl フ
ァミリーチロシンキナーゼ阻害
薬は皮膚への抗体移行を阻害し
疾患モデルマウスの症状を抑制
しうることを見出したと発表し
たのは、偉大な業績です。皮膚
に水ぶくれを生じる「自己免疫
性水疱症」の一群は皮膚の接着
分子などに自己抗体が産生され、
血中を循環し、皮膚へ沈着する
ことで発症し、自己抗体や自然
抗体をふくむ、免疫グロブリン
G(IgG)はリンパ組織で作られ、
血中へ入った後、末梢組織であ
る皮膚やさまざまな臓器に分布
するということも初耳でした。
イマチニブは皮膚への抗体移行
を阻害することで、天疱瘡モデ
ルマウスにおける脱毛の発症の
程度を軽減しうることが分かっ
たということですから臨床試験
の結果が待ち望まれる所です。

 酸性の液体が産生された。笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.1646メルマガ

2020-09-18 00:26:41

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1646 令和1年11月15日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)GD3合成酵素遺伝子をメラノサイトに発生,抑制のスイッチ
2)脊髄損傷モデル動物のまひした手の運動機能再建

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】GD3合成酵素遺伝子をメラノサイトに発生,抑制のスイッチ

 
 
 
 
 
 
 
 中部大学は10月18日、皮膚な
どにできるガンの一種「メラノ
ーマ(悪性黒色腫)」の細胞膜
表面に現れる「酸性スフィンゴ
糖脂質(GD3) 」とその合成酵
素遺伝子の「GD3 合成酵素遺伝
子(GD3 syn. mRNA) 」を正常
細胞の「メラノサイト」に発生
させたり抑制させたりするスイ
ッチを初めて発見したと発表し
ました。この研究は、同大生命
健康科学部生命医科学科の古川
圭子教授と竹内理香助手(現・
関西学院大学理工学部生命科学
科助手)らの研究グループによ
るものです。研究成果は「Scie
ntific Reports」に掲載されて
います。皮膚に紫外線が当たる
と、ケラチノサイトからさまざ
まな物質が生み出されます。そ
のひとつが「メラノサイト刺激
ホルモン(α-MSH)」で、これ
がメラノサイトに作用するとメ
ラニンが生合成され、ケラチノ
サイトに分配されます。 その
結果、ケラチノサイトではメラ
ニンが紫外線によるDNA の損傷
を防ぎます。しかしケラチノサ
イトからはα-MSH以外に「炎症
性サイトカイン」も分泌され、
皮膚の炎症反応を引き起こしま
す。持続的な炎症反応(慢性炎
症)は発ガンの誘因になります。
今回の研究で、炎症性サイトカ
インの一種である「TNFα 」が
メラノサイトに、ガン特有のGD
3とGD3 syn. mRNAを作り出す働
きがあることが分かりました。
一方でTNFα と同じケラチノサ
イトから分泌されるα-MSHがメ
ラノサイトに作用すると、細胞
内情報伝達物質(セカンドメッ
センジャー)であるcAMPのシグ
ナル経路が起動してGD3 syn. m
RNA の発現を抑制することも確
認しました。ケラチノサイトか
ら分泌されるTNFα はガン細胞
にみられる物質を発現し、α-
MSH は逆に発現を抑制するとい
う正反対の性質を持っているこ
とが分かったということです。
まとめると、通常はケラチノサ
イトが出すα-MSHがメラノサイ
ト内でGD3 syn. mRNAの発現ス
イッチをOFF にしており、過度
に紫外線を浴びるとTNFα の働
きが勝ってスイッチをONにする
と考えられ、スイッチのON/OF
Fは、cAMPとTNFαのバランスで
決まることになります。すでに
ガン化したメラノーマの細胞で
はスイッチが常にONになってい
ることも判明したので、GD3 sy
n. mRNA をモニタリングすれば
細胞の前ガン状態を予想できる
可能性があることが分かりまし
た。

メラノーマと異なり、小児ガン
の一種である神経芽細胞腫や悪
性度の高い乳ガンでは、GD2 と
いう酸性スフィンゴ糖脂質が発
現します。そのためGD2 は現在、
抗体医薬開発の標的分子として
も注目されています。GD2 の生
合成過程にはGD3 合成酵素が必
要になります。したがって、こ
れらのガンに関しても、前ガン
状態を知るためにGD3 syn. mRN
A のモニタリングは有用となる
可能性があります。研究グルー
プは、「近年「エクソソーム」
という細胞外分泌小胞が注目さ
れていますが、今後、エクソソ
ーム中のGD3 syn. mRNA を検出
することで、このmRNAのモニタ
リングが可能になる」と、述べ
ています。

悪性黒色腫について解説している

動画です。

 
 


 
 
 合成過程の仮定について家庭
で考える。        笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 脊髄損傷モデル動物のまひした手の運動機能再建

 
 
 
 
 
 
 
 生理学研究所は10月16日、手
の運動機能を持たない脳領域に
「人工神経接続システム」を使
って、新たに運動機能を付与す
ることに成功したと発表しまし
た。この研究は、東京都医学総
合研究所脳機能再建プロジェク
トの西村幸男プロジェクトリー
ダー(元生理学研究所、元京都
大学)と、加藤健治(元生理学
研究所、現国立長寿医療研究セ
ンター)らの研究グループによ
るものです。研究成果は、「Na
ture Communications 」オンラ
イン版に掲載されています。研
究グループは以前の研究で、脊
髄損傷モデル動物のまひした手
について、脳と脊髄とをつなぐ
人工神経接続システムでその運
動機能を再建することにも成功
しています。 今回の研究では、
脳自体を損傷した脳梗塞モデル
動物(サル)を用いて、この人
工神経接続システムが随意運動
機能再建に有効であり、人工神
経接続システムが切れてしまっ
た神経経路の代わりになるかど
うかを検討しました。研究グル
ープが開発した「人工神経接続
システム」は、脳の神経細胞と
似たような役割をするコンピュ
ーターで、上位の神経細胞の情
報を受け取り(入力)、次の細
胞にその情報を伝える(出力)
ように設計されています。これ
を利用して、脳梗塞により脳と
脊髄をつなぐ神経経路を損傷し
ているモデル動物の損傷部位を
バイパスし、脳の信号をまひし
た筋肉に伝えました。

脳梗塞からの機能回復は1か月
以上の懸命なリハビリにより実
現する場合がありますが、今回
のシステムを用いると、10分程
度で脳梗塞モデル動物は人工神
経接続システムに適応し、まひ
した手を自在に動かすことがで
きるまでに回復しました。その
際、約25分でまひした手の運動
を司る脳領域が小さく集中する
ように脳領域を超えた大規模な
脳活動の適応が起こり、顔や肩
の運動を司る脳領域が、人工神
経接続を介してまひした手を自
分の意思で動かせるようになり
ました。また、もともと運動機
能を持たない脳領域で感覚機能
を持つ体性感覚野でも、同様に、
まひした手を動かせるようにな
りました。このことは、脳梗塞
によって脳の一部が損傷しても、
人工神経接続システムに損傷さ
れずに残存している脳領域をつ
なぐことによって、随意運動機
能の再建ができる可能性を示す
ものです。

今後は、長期間の人工神経接続
システムにより、脳損傷・脊髄
損傷から免れた神経のつながり
を強化し、人工神経接続システ
ムがなくても身体を自分の意志
で動かせるように回復できるか
どうかを検証する必要がありま
す。また、今回の成果とこれま
での成果は、モデル動物で人工
神経接続システムの有効性を示
すことができました。これを脳
梗塞患者と脊髄損傷患者で検証
することが次の課題であると述
べています。

人工神経接続システムについて

解説している動画です。

 
 


 
 
 
 医師の意思は、石のように固
い。           笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 中部大学が10月18日、皮膚な
どにできるガンの一種「メラノ
ーマ(悪性黒色腫)」の細胞膜
表面に現れる「酸性スフィンゴ
糖脂質(GD3) 」とその合成酵
素遺伝子の「GD3 合成酵素遺伝
子(GD3 syn. mRNA) 」を正常
細胞の「メラノサイト」に発生
させたり抑制させたりするスイ
ッチを初めて発見したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
通常はケラチノサイトが出すα
-MSHがメラノサイト内でGD3 s
yn. mRNAの発現スイッチをOFF
にしており、過度に紫外線を浴
びるとTNFα の働きが勝ってス
イッチをONにすると考えられ、
スイッチのON/OFFは、cAMPと
TNFα のバランスで決まること
になります。すでにガン化した
メラノーマの細胞ではスイッチ
が常にONになっていることも判
明したので、GD3 syn. mRNA を
モニタリングすれば細胞の前ガ
ン状態を予想できる可能性があ
ることが、分かったというのも
メカニズム解明には重要なこと
だったと思います。
 生理学研究所が10月16日、手
の運動機能を持たない脳領域に
「人工神経接続システム」を使
って、新たに運動機能を付与す
ることに成功したと発表したの
は、偉大な業績です。 「人工
神経接続システム」は、脳の神
経細胞と似たような役割をする
コンピューターで、上位の神経
細胞の情報を受け取り(入力)、
次の細胞にその情報を伝える(
出力)ように設計されています。
これを利用して、脳梗塞により
脳と脊髄をつなぐ神経経路を損
傷している、モデル動物の損傷
部位をバイパスし、脳の信号を
まひした筋肉に伝えることがで
きたのですから、人間の脊髄の
損傷や脳梗塞の損傷にも当ては
まり、脳の信号をまひした筋肉
に伝えることができると容易に
推測できます。今後は、長期間
の人工神経接続システムにより、
脳損傷・脊髄損傷から免れた神
経のつながりを強化し、人工神
経接続システムがなくても身体
を自分の意志で動かせるように
回復できるかどうかを検証する
必要があるということとモデル
動物で人工神経接続システムの
有効性を示すことができ、これ
を脳梗塞患者と脊髄損傷患者で
検証することが次の課題と言え
るでしょう。

 教科を絞って学力を強化する。


 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント