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2020-09-09 00:22:07

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診療マル秘裏話  号外Vol.1639 令和1年11月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)家族性特発性肺線維症ゲノム解析原因遺伝子解明
2)オートファジーの創薬応用を容易にする新分子を発明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】家族性特発性肺線維症ゲノム解析原因遺伝子解明

 
 
 
 
 
 
 
 徳島大学は10月11日、家族性
特発性肺線維症(IPF) のゲノ
ム解析から、その原因遺伝子と
してSFTPA1 を同定し、SFTPA1
の変異により2型肺胞上皮細胞
(AE2細胞)のネクロプトーシ
スが亢進することが病態の起点
になっていることを解明したと
発表しました。元来アポトーシ
スは計画的細胞死で、ネクロー
シスは偶発的な細胞死と考えら
れていました。しかし近年RIPK
3 を実行因子とする計画的ネク
ローシス(ネクロプトーシス)
が判明し、多くの生理現象に関
与していることが明らかとなり
ました。この研究は、同大学大
学院医歯薬学研究部(医学系)
の安友康二教授らの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「The Journal of Experimenta
l Medicine」に掲載されていま
す。IPF は、多くの場合には50
歳以上で発症し、喫煙との関連
性が高いことが知られています。
発症率としては10万人あたり10
~20人とされていますが、未発
症で診断がついていない早期病
変の患者さんを含めるとさらに
頻度は高いと考えられています。
IPF は診断後早期に死亡するこ
とが多いことから、その病態解
明と治療薬開発が求められてい
ますが、未だ死亡率を劇的に改
善させる薬剤は開発されていな
いのが現状です。IPF の大半は
孤発性ですが、まれに家族性IP
F もあることが知られています。
これまで、家族性IPF 患者さん
のゲノム解析では、TERCやTERT
などのテロメラーゼ関連遺伝子
あるいはサーファクタントプロ
テインC 遺伝子などが報告され
てきましたが、家族性IPF の70
%以上は、原因遺伝子が不明で
した。

 これまで、IPF モデルマウスと
して、ブレオマイシンを全身あ
るいは気管内に投与するモデル
が世界中で用いられてきました。
しかし、ブレオマイシンを投与
するような薬剤誘導性のモデル
は、ヒトのIPF を正確に模倣し
ているとはいえず、IPFの自然
発症モデルが求められていまし
た。今回、研究グループは日本
における家族性IPF の家系例を
調査し、IPF の一家系を見出し
ました。その家系例のゲノム解
析を実施することで、原因遺伝
子としてSFTPA1を同定し、さら
にSFTPA1変異を持ちかつ病態を
正確に模倣できるモデルマウス
を樹立することで、その後の発
症機序の解析を行いました。研
究グループはまず、近親婚歴を
有する家族性IPF の家系例のゲ
ノムサンプルを用いて、連鎖解
析、ホモ接合体マッピングとエ
クソーム解析を行い、その原因
となる変異としてSFTPA1のミス
センス変異を同定しました。SF
TPA1のミスセンス変異によって
SFTPA1の分泌が障害されている
ことが判明しました。次に、SF
TPA1のミスセンス変異がどのよ
うにIPF の発症に関与するかを
知るために、マウスのSftpa1に
もヒトと同じ変異を導入 (Sftp
a1-KIマウス)。Sftpa1-KI マウ
スでは、約40週齢頃からマウス
が肺線維症で死亡し始めること
が観察され、ヒト疾患を正確に
模倣していると考えられました。
また、Sftpa1-KI マウスにイン
フルエンザウイルスを感染させ
ると肺線維症が急性増悪するこ
とも観察され、肺線維症の発症
機序を解析するために非常に有
用なマウスモデルであると考え
られました。

 Sftpa1-KI マウスの肺組織を検
証した結果、AE2細胞の細胞死
が亢進していることが判明しま
した。どのタイプの細胞死が関
与しているかを検証した結果、
ネクロプトーシスがその細胞死
に関与していることが分かりま
した。実際に、Sftpa1-KI マウ
スにおいて、ネクロプトーシス
の制御分子であるMlklを欠損さ
せると、肺線維症の発症が抑制
されることが観察されました。
さらに、ネクロプトーシスの亢
進の機序について解析したとこ
ろ、IRE1α経路とそれに続くJN
K が活性化した結果RIPK3 の発
現が亢進していることを発見し
ました。RIPK3 がAE2細胞で過
剰に発現することによってAE2
細胞のネクロプトーシスへの感
受性が亢進していることも明ら
かになり、それがSFTPA1変異に
よるIPF の起点であることが解
明されました。

 今回の研究により、IPF の新た
な原因遺伝子が明らかになり、
未解明であったIPF の発症機序
としてネクロプトーシスの亢進
が明らかになりました。またそ
の上流経路として、ER(小胞体)
ストレスの亢進が寄与している
ことも解明されました。これら
の成果から、それらの分子経路
がIPF の新たな治療標的になり
得ることが考えられます。また、
今回の研究からネクロプトーシ
スが病気の起点になっているこ
とが解明されました。一方で、
その後にどのような経路を介し
てIPF が進むかについては、明
らかになっていません。同研究
グループは今後、今回の研究で
開発したSftpa1-KI マウスを用
いることで、ネクロプトーシス
以後の経路を明らかにし、線維
化を誘導する新たな治療標的を
見出す研究に取り組んでいきた
いとしています。

特発性肺線維症について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 病気の起点になっている現象
を機転を利かせて取り除く。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 オートファジーの創薬応用を容易にする新分子を発明

 
 
 
 
 
 
 
 東北大学は10月11日、オート
ファジーの創薬応用を容易にす
る分子AUTAC (オータック)を
発明したと発表しました。この
研究は、同大学大学院生命科学
研究科の有本博一教授、高橋大
輝研究員らによるもの。 研究
成果は、米国の主要科学誌「Mo
lecular Cell」オンライン版に
掲載されています。オートファ
ジーは、機能不全に陥った細胞
小器官、細胞外から侵入する病
原体、蛋白質凝集体など多様な
相手を分解できます。2016年に
大隅良典教授が、ノーベル医学
生理学賞を授与されたことで知
られているように、日本が強み
を持つ研究領域で、創薬応用に
も期待が高まっています。しか
しながら、既存のオートファジ
ー活性化剤は、分解する相手を
選ぶ能力を持たない短所があり
ました。今回の研究では、オー
トファジー機構を利用して、細
胞内の疾患標的を分解すること
を目指しました。まず、「オー
トファジーを呼び寄せる働き」
を持つ化学構造(グアニン誘導
体)を発見。続いて、疾患に関
係する相手に結合する「標的化
リガンド」を用意し、両者を結
合してAUTAC を作りました。今
回の発表論文ではAUTAC1~AUTA
C4まで4つの化合物を示しまし
た。例えば、AUTAC2は、細胞内
のFKBP12蛋白質の量を約70%減
少させることが判明し、AUTAC4
はミトコンドリア表面に結合す
るように設計されました。

ミトコンドリアは、エネルギー
通貨であるATP を合成するほか、
細胞の生死を決定づける機能も
持っています。疾患や老化によ
って機能低下が進むとミトコン
ドリアは小さく断片化すること
が知られていました。 そこで、
疾患患者さんから樹立された線
維芽細胞株Detroit532にAUTAC4
を3日間投与したところ、ミト
コンドリア機能(膜電位、ATP
産生)が顕著に改善しました。
また、AUTAC4投与前に存在して
いた断片化ミトコンドリアは除
去され、ネットワーク状の健康
な形態に復帰することも確認で
きたということです。

今回発明したAUTAC は、多彩な
分解対象を選んで除去できる点
で、世界初のオートファジー活
性化剤です。オートファジーは
多様な物質の分解に応用できる
ため、製薬会社において、それ
ぞれの疾患に合わせたAUTAC 分
子が研究されていくと期待され
ます。なお、この技術は東北大
学より国際特許出願がなされて
います。

オートファジーについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 大賞は対象を選んで授与され
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 徳島大学が10月11日、家族性
特発性肺線維症(IPF) のゲノ
ム解析から、その原因遺伝子と
してSFTPA1 を同定し、SFTPA1
の変異により2型肺胞上皮細胞
(AE2細胞)のネクロプトーシ
スが亢進することが病態の起点
になっていることを解明したと
発表したのは、素晴らしい業績
です。ネクロプトーシスも私は
初耳でしたので、本文中に注釈
を入れました。元来アポトーシ
スは計画的細胞死で、ネクロー
シスは偶発的な細胞死と考えら
れていました。しかし近年RIPK
3 を実行因子とする計画的ネク
ローシス(ネクロプトーシス)
が判明し、多くの生理現象に関
与していることが明らかとなっ
たということです。今回の研究
からネクロプトーシスが病気の
起点になっていることが解明さ
れましが、その一方で、その後
にどのような経路を介してIPF
が進むかについては、明らかに
なっていません。同研究グルー
プが今後、今回の研究で開発し
たSftpa1-KI マウスを用いるこ
とで、ネクロプトーシス以後の
経路を明らかにし、線維化を誘
導する新たな治療標的を見出す
研究に取り組んで頂きたいもの
です。
 東北大学が10月11日、オート
ファジーの創薬応用を容易にす
る分子AUTAC (オータック)を
発明したと発表したのは偉大な
業績です。既存のオートファジ
ー活性化剤は、分解する相手を
選ぶ能力を持たない短所があっ
たのですが、今回発明したAUTA
C は、多彩な分解対象を選んで
除去できる点で、世界初のオー
トファジー活性化剤ということ
です。オートファジーは多様な
物質の分解に応用できるため、
製薬会社において、それぞれの
疾患に合わせたAUTAC 分子が研
究されていくと期待されるので
凄い発明だとびっくりしてしま
いました。 ミトコンドリアは、
エネルギー通貨であるATP を合
成するほか、細胞の生死を決定
づける機能も持っていて、疾患
や老化によって機能低下が進む
とミトコンドリアは小さく断片
化することが知られていました。
疾患患者さんから樹立された線
維芽細胞株Detroit532にAUTAC4
を3日間投与したところ、ミト
コンドリア機能(膜電位、ATP
産生)が顕著に改善しました。
また、AUTAC4投与前に存在して
いた断片化ミトコンドリアは除
去され、ネットワーク状の健康
な形態に復帰することも確認で
きたそうですから、若返り効果
も期待できるのではないでしょ
うか?

 携帯の形態に固執する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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