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2020-08-12 23:51:19

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診療マル秘裏話  Vol.772 平成30年9月26日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)蛋白質の機能改変を大幅に効率化する手法開発
2)特殊遺伝子導入でドーパミン 細胞死の防御に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 蛋白質の機能改変を大幅に効率化する手法開発

 
 
 
 
 
 
 
東北大学は、8月31日、人工
知能と実験を組み合わせること
で、蛋白質の機能改変を従来よ
りも、大幅に効率化する手法の
開発に成功したと発表しました。
この研究は、同大大学院 工学
研究科梅津光央教授、産業技術
総合研究所人工知能研究センタ
ーの齋藤裕研究員、亀田倫史主
任研究員、理化学研究所革新知
能統合研究センターの津田宏治
チームリーダーらの研究グルー
プによるものです。研究成果は、
米国の「ACS Synthetic Biolog
y 」オンライン版に掲載されま
した。

バイオ産業の研究開発では抗体
や酵素等の機能性蛋白質を改変
し、その機能を向上するという
ニーズが広く存在しています。
従来では、対象の蛋白質にラン
ダムな変異を導入して多数の変
異体蛋白質(ライブラリー)を
調製し、その中から目的の機能
を有する蛋白質を実験によって
探し出すという方法が行われて
きました。

しかし、この方法は多数の変異
体について実験を行うために、
多額の費用を必要とします。ま
た、あり得る変異体の数が膨大
なためライブラリーの中に目的
の機能を有する蛋白質が含まれ
ていない可能性も少なくないと
いう課題があります。

今回、研究グループは人工知能
を用いることで、蛋白質の機能
改変を効率化する手法の開発に
成功しました。この手法では、
従来のランダムな変異導入によ
って、少数の変異体を調製して
実験を行い、人工知能のための
学習データを取得しました。次
に、人工知能技術のひとつであ
るベイズ最適化によって、どの
ような変異を導入すれば目的の
機能を有する蛋白質を得られる
かの予測を行いました。これに
より、目的の機能を有する蛋白
質を豊富に含み、なおかつ安価
に実験を行える小規模な変異体
群(スマートホットライブラリ
ー)を提案することが可能にな
るということです。

今回の研究では、緑色蛍光蛋白
質(GFP)を黄色蛍光蛋白質(Y
FP)へ改変する問題に同手法を
適用して、既知YFP より長波長
で、蛍光強度も高い新規YFP を
多数発見することに成功しまし
た。従来のランダムな変異導入
で調製したライブラリーには約
3%しか黄色蛍光蛋白質が含まれ
ていなかったのに対し、このラ
イブラリーを学習データとして
人工知能が提案したライブラリ
ーでは、約70%という非常に高
い割合で黄色蛍光蛋白質が含ま
れていたということです。

今回の成果は、人工知能が蛋白
質の機能改変に有効であること
を示しており今後、抗体や酵素
などの医療・食品・環境で活躍
できるさまざまな機能性蛋白質
の開発でこの手法の応用が期待
される、と研究グループは述べ
ています。

蛋白質の機能発現に関する二つ

の過程について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
昨日発見の機能性蛋白質。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 特殊遺伝子導入でドーパミン 細胞死の防御に成功

 
 
 
 
 
 
 
京都大学は8月31日、カルビ
ンディン遺伝子を人為的に導入
させ、ドーパミン細胞死を防御
することに成功したと発表しま
した。この研究は、同大霊長類
研究所の、井上謙一助教、高田
昌彦教授らと、東京都医学総合
研究所、量子科学技術研究開発
機構、生理学研究所の研究チー
ムによるものです。 この研究
成果は、国際学術誌「Movement
Disorders」にオンライン掲載
されました。

パーキンソン病が、中脳の黒質
に分布するドーパミン神経細胞
の細胞死によって発症すること
はよく知られています。黒質ド
ーパミン細胞には、カルシウム
結合蛋白質のひとつであるカル
ビンディンを発現しているグル
ープとそうでないグループとが
あり、パーキンソン病ではカル
ビンディンを発現していないグ
ループが、発現しているグルー
プに比べて細胞死を起こしやす
いことが、これまでの研究によ
って明らかになっていました。
今回、研究グループは、正常で
はカルビンディンを発現してい
ないドーパミン細胞グループに
カルビンディンを人為的に発現
させることにより、ドーパミン
細胞死を防御し、パーキンソン
病の発症や進行を抑えることが
できると考え、パーキンソン病
のサルモデルを用いて、この仮
説を検証しました。

この実験では、カルビンディン
を人為的に発現させるために、
カルビンディン遺伝子を搭載し
たウイルスベクターを作製しま
した。アデノウイルスとレンチ
ウイルスに由来した2種類のベ
クターを利用しました。アデノ
ウイルスベクターは、黒質ドー
パミン細胞が連絡している線条
体に注入して逆行性に、レンチ
ウイルスベクターは黒質に直接
注入して、脳の片側のドーパミ
ン細胞にカルビンディン遺伝子
を導入しました。

カルビンディンが、ドーパミン
細胞に十分発現したと考えられ
る数週間後、ウイルスベクター
を脳の片側だけに注入したサル
に、静脈注射によりMPTPを全身
投与しました。 その後の行動
解析の結果、パーキンソン病に
特徴的な無動寡動や筋固縮など
の運動症状が、ウイルスベクタ
ーを注入した側に対応する、反
対側の上下肢で軽減しました。
また、陽電子放射断層撮影(PE
T )を用いて線条体におけるド
ーパミントランスポータ量を測
定した結果、ウイルスベクター
を注入した側で顕著に維持され
ていたことがわかったという事
です。

行動解析終了後は、実験個体の
安楽殺を行い、黒質と線条体を
含む脳標本を免疫組織化学的に
解析しました。その結果、正常
ではカルビンディンを発現して
いない黒質緻密部腹側部のドー
パミン細胞の多くにカルビンデ
ィンが発現していたこと、ウイ
ルスベクターを注入した側では
ドーパミン合成に関わるチロシ
ン水酸化酵素の陽性細胞と要請
細胞がそれぞれ黒質・線条体で
優位に維持されていたこと、ウ
イルスベクターを注入していな
いコントロール側において、多
数の黒質ドーパミン細胞でアル
ファシヌクレインの発現が増強
していたことが明らかになりま
した。

今回の研究成果から、パーキン
ソン病の発症や進行を抑える新
たな治療法の開発に発展する事
が期待される一方、治療法の安
全性を検証する必要があります。
研究グループは、「ひとつのア
プローチとして、iPS 細胞を用
いたパーキンソン病の再生医療
において、移植するドーパミン
産生細胞にあらかじめカルビン
ディン遺伝子を導入しておく、
あるいは移植細胞としてカルビ
ンディンを発現するドーパミン
産生細胞を選択することが考え
られる」と述べています。

パーキンソン病について解説し

ている講演動画です。

 
 


 
 
懸賞のあり方を検証する。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
人工知能と実験を組み合わせ
ることで、蛋白質の機能改変を
従来よりも、大幅に効率化する
手法の開発に成功したと発表し
たのは、偉大な業績です。バイ
オ産業の研究開発では、抗体や
酵素等の機能性蛋白質を改変し、
その機能を向上するというニー
ズが存在します。そのニーズに
応えるため、対象の蛋白質にラ
ンダムな変異を導入して多数の
変異体蛋白質(ライブラリー)
を調製しその中から目的の機能
を有する蛋白質を実験によって
探し出すという方法が行われて
きましたが、この方法は多数の
変異体について実験を行うため
に、多額の費用を必要とており、
またあり得る変異体の数が膨大
なためライブラリーの中に目的
の機能を有する蛋白質が含まれ
ていない可能性も少なくないと
いう課題がありました。これら
の課題を克服するために、人工
知能の力を借りることになった
と言われています。今回の成果
は、人工知能が、蛋白質の機能
改変に有効であることを示して
おり今後、抗体や酵素等の医療・
食品・環境で活躍できるさまざ
まな機能性蛋白質の開発でこの
手法の応用を期待したいと思い
ます。
カルビンディン遺伝子を人為
的に導入させ、ドーパミン細胞
死を防御することに成功したと
発表したのは、画期的な業績で
す。パーキンソン病が、中脳の
黒質に分布するドーパミン神経
細胞の細胞死によって発症する
ことはよく知られていて黒質ド
ーパミン細胞には、カルシウム
結合蛋白質のひとつであるカル
ビンディンを発現しているグル
ープとそうでないグループとが
あり、パーキンソン病ではカル
ビンディンを発現していないグ
ループが、発現しているグルー
プに比べて細胞死を起こしやす
いことが、これまでの研究によ
って明らかになっていたという
ことですから、単純に考えても
カルビンディン遺伝子を人為的
に導入することで、ドーパミン
細胞死を防御することが可能に
なることが容易に推測できます。
ひとつのアプローチとして、iP
S 細胞を用いたパーキンソン病
の再生医療において、移植する
ドーパミン産生細胞にあらかじ
めカルビンディン遺伝子を導入
しておく、あるいは移植細胞と
してカルビンディンを発現する
ドーパミン産生細胞を選択する
ことができれば、本当に画期的
な治療となる事が予想されます。

予想を覆すことは、よそう。


 
 
 
 
 
 
 
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